家族民事信託を無料相談できる窓口や弁護士・司法書士どちらに依頼すべきか解説


老後の認知症対策や遺産相続問題の解決策として、近年注目を集めている家族民事信託(「民事信託」、「家族信託」と呼ばれることもあります)。
しかし、家族民事信託をおこなうための手続は難しいものが多く、法律の知識も必要で悩んでしまいますよね。
そこで今回は、家族民事信託について相談できる専門家と、無料相談できる方法を紹介します。
どのような場合に相談すべきかや、弁護士・司法書士といった専門家別に依頼するメリットも解説するので参考にしてください。
なお、民事信託は、銀行といった信託会社も各種サービスを提供しています。
民事信託は、委託者の財産を預かることから、金融庁の検査・監督を受ける場合もあり、非常に難度の高いサービスといえますので、銀行等によるサービスを利用することも検討してもよいでしょう。
そもそも家族信託とは?
家族信託とは、財産管理方法の一つです。
資産を持つ人が自分で財産を管理できなくなったときに備えて、自分の財産の管理をする権限を信頼できる家族である受託者に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。
高齢化が進む現代の日本においては、認知症による財産管理の問題が浮上しています。
そこで委託者が認知症になる前に家族信託を利用することで、適切な財産管理の準備ができるのです。
家族民事信託について無料相談できる専門家
家族民事信託は、自由度の高い財産管理や相続対策など、さまざまな目的で利用される制度です。
しかし、手続や税務上の問題など、理解しなければならないことも多いため、専門家のアドバイスが必要となります。
家族民事信託について無料相談できる専門家として、弁護士・司法書士などが挙げられます。
以下では、それぞれの士業に相談するメリットを紹介します。
弁護士|法律に関する知見からアドバイスをもらえる
法律の観点からアドバイスが欲しい方は、弁護士へ相談しましょう。
法律の専門家である弁護士は、家族民事信託に関する法的な問題やリスクを理解し、最適なアドバイスを提供してくれます。
信託契約は意思の合致で成立する諾成契約のため、口頭での合意のみでも成立します。
しかし、信託内容を明確にするためにも、契約書を作成しておくべきです。
そのような場合に弁護士に依頼をすれば、整合性の取れた契約書であるか、のちにトラブルに発展しかねない内容になっていないかなどを確認してもらうことができます。
また、弁護士は、法律上、家族民事信託に関する手続全般に対応することが可能です。
司法書士|登記に関する相談をしたいケース
家族民事信託では、登記の対応が必要です。
登記の専門家である司法書士に依頼すれば、幅広い手続に対応してもらえます。
とくに信託登記は、不動産登記の手続のなかでも専門的な知識が求められます。
信託登記の手続が必要であれば、司法書士に相談してみましょう。
家族民事信託についての相談窓口3選
家族民事信託について悩む場合は、弁護士や司法書士などの専門家への相談がおすすめです。
以下では、専門家に相談できる窓口を紹介します。
ベンナビ相続|無料相談できる弁護士が見つかる
「ベンナビ相続」は、遺産相続の問題に注力している弁護士を探すことができるWebサイトです。
家族民事信託や相続トラブルなど相談したい内容から弁護士を絞り込むことができ、その分野に対応している弁護士に出会うことができます。
また、地域で絞り込むことや、無料相談が可能かどうかを確認することもできるので、弁護士への相談を検討している方は一度利用してみましょう。
市区町村の相談会|専門家に無料相談したい方
専門家への無料相談を検討している方は、市区町村の役所で定期的におこなわれている相談会を利用するのもおすすめです。
主催する自治体の住民であれば無料で相談できるのが一般的です。
なお、相談会のスケジュールは、市区町村のWebサイトや窓口にて確認できます。
また、市区町村の相談会は相談可能な時間や回数などに制限が設けられていることがあるため、事前に併せて確認することをおすすめします。
弁護士会|信託銀行と提携している場合も
各地の弁護士会において、民事信託に精通した弁護士を紹介する制度がある場合があります(民事信託|東京弁護士会(法律相談・弁護士相談等))。
弁護士の中でも特に民事信託に精通した弁護士に相談できるといえますので、良い専門家が見つからなかった場合などは相談してみましょう。
家族信託を専門家に相談するメリット
家族信託を専門家に相談するメリットは主に以下の通りです。
- 信託契約の内容を相談できる
- ケースごとに適切な契約書の作成ができる
- 遺産分割のトラブル防止につながる
- 遺留分の侵害についてアドバイスをもらえる
信託契約の内容を相談できる
家族信託の契約内容にはさまざまあります。
専門家であれば、適切な契約内容を案内してくれたり、相談に乗ってくれることが期待できます。
ケースごとに適切な契約書の作成ができる
家族信託の契約は、口頭での合意のみでも成立します。
しかし、信託内容をはっきりとさせておくためにも、契約書を作成することをおすすめします。
弁護士などの専門家に任せれば、契約内容が正当かを判断したうえで契約書を作成してくれるでしょう。
家族信託が原因で相続トラブルが起こってしまう可能性も否定できないため、弁護士などの専門家に家族信託を依頼するほうが安心でしょう。
遺産分割のトラブル防止につながる
家族信託には認知症対策だけでなく、相続対策の側面もあります。
家族信託契約によって承継者を定めることで、遺言書の代わりとして使える側面を持ち、遺産分割トラブルの防止を見込めます。
遺留分の侵害についてアドバイスをもらえる
家族信託において、遺留分の侵害はよくあるトラブルです。
しかし、弁護士などの専門家に相談することで、遺留分の侵害についてもアドバイスをもらうことができます。
家族信託の相談先を選ぶポイント
家族信託の相談先を選ぶ際のポイントについて解説します。
主なポイントは以下の通りです。
- 家族信託に関する経験・実績が豊富
- 信託契約の締結後にアフターフォローをおこなっている
- ほかの専門家とのつながりがある
- コミュニケーションが取りやすい
1.家族信託に関する経験・実績が豊富
家族信託を依頼する専門家を選ぶ重要なポイントとして「家族信託に関する経験や実績が豊富」であることが挙げられます。
経験や実績が専門家自身のSNSやホームページで確認できると、家族信託の依頼について対応できるということになるでしょう。
きちんとした出版社において、民事信託に関する専門的な書籍を出版しているかどうかも判断要素となりえます。
ぜひ確認してみてください。
2.信託契約の締結後にアフターフォローをおこなっている
家族信託は契約の締結がゴールではなく、むしろスタートになります。
そのため、契約の締結後も継続的な相談ができるかどうかをぜひ確認してください。
3.ほかの専門家とのつながりがある
家族信託では専門家同士の連携が必要になる場合があります。
たとえば家族信託を弁護士に相談したとしても、相続税に関しては税理士の意見も聞いて進める場合があります。
よりスムーズな進行のためにも、他士業と連携が取れているか確認しましょう。
4.コミュニケーションが取りやすい
専門家にも、物腰が柔らかい方だったり、はっきりと伝えてくれる方だったりと様々なタイプの方がいます。
専門家の人柄、雰囲気、印象などが自分にとって良いと感じる方に依頼することで、円滑なコミュニケーションを期待できます。
家族民事信託について無料相談する前に準備しておくこと
家族民事信託は財産管理や相続対策として有効な制度ですが、利用するにはいくつかの事前準備が必要です。
以下に、家族民事信託について無料相談する前に準備しておくことをご紹介します。
誰に、何を、どのように信託するのかをはっきりさせておく
家族信託は、委託者・受託者・受益者の間でおこなわれます。
それぞれの役割について説明します。
委託者 | 財産を託す人
委託者とは、財産管理をお願いする人です。
つまり、資産を持っており、家族信託によって自分の財産を家族に渡そうとする人のことです。
受託者 | 財産の管理を任される人
受託者とは、委託者から信託された財産を管理・運用する人です。
受益者 | 信託された財産から生じる利益を受け取る人
受益者とは、託された財産によって経済的利益を受け取る人です。
この3者が明らかになっていると、相談がスムーズにいきやすくなるため決めておくとよいでしょう。
家族民事信託をする目的を明確にしておく
家族民事信託をする目的は、人それぞれ異なります。
たとえば、財産管理や生活の支援、後継者問題の解決などが挙げられるでしょう。
そのため、家族民事信託を利用する前に、どのような目的で家族民事信託をするのかを明確にしておくことが重要です。
家族民事信託をする目的をあらかじめ決めておくことで、相談がスムーズに進むでしょう。
家族民事信託の対象財産に関する資料を用意しておく
家族民事信託を利用するためには、信託する財産を決める必要があるため、その財産に関する資料を用意しておくとスムーズに相談することができるでしょう。
たとえば、土地や建物の登記や預金口座の情報などです。
まとめ|家族民事信託の無料相談は弁護士がおすすめ
家族民事信託は有効に利用することで、財産管理や生活の支援、後継者問題の解決などに役立つ制度です。
その一方で、制度の理解は難しく、手続に関して十分な知識が必要とされます。
そのため、家族民事信託について検討しているならば、まずは弁護士に相談してみるのがよいでしょう。