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管理職は残業代が出ないのは本当?残業代が貰えるパターンや労働基準法に沿って解説

弁護士監修記事
労働問題
2023年06月27日
2024年11月20日
管理職は残業代が出ないのは本当?残業代が貰えるパターンや労働基準法に沿って解説
この記事を監修した弁護士
(アシロ 社内弁護士)
この記事は、株式会社アシロの『ベンナビ編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。

「管理職になると残業代がもらえない」という話を聞いたことがありませんか?

たしかに、管理職になると残業代の支給の対象外となることがありますが、会社によっては管理職でも残業代がもらえたり、会社側が制度を誤って運用していたりすることがあります。

この記事では、管理職の場合に残業代が支給されないケースや、労働基準法における規定について解説します。

現在管理職で残業代が支給されていない方や、管理職への昇進を命じられ残業代への不安がある方はぜひ参考にしてください。

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管理職は残業代が出ないのは本当?残業代が出ないケースを解説

管理職になると残業代が支給されなくなることがありますが、それはごく一部のケースに限られます。

以下では、管理職になることで残業代が出なくなるケースを紹介します。

管理監督者に該当する

管理職になり残業代が出なくなるケースには、管理監督者に該当するポジションになった場合(労働基準法第41条2号)があります。

管理監督者は一般的に、ほかの従業員を監督し指導する立場にあり、労働条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人のことを指します。

労働時間等の枠組みを超えて活動をせざるを得ない重要な職務内容を担い、かつ重要な責任と権限を有し、実際にも会社から労働時間等の管理を受けておらず、賃金や待遇も管理監督者にふさわしい場合には、管理監督者に該当する可能性が高いといえます。

管理監督者に該当する場合には、労働基準法の労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されません。

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

引用元:労働基準法|e-Gov法令検索

ただし、労働基準法で定められている深夜割増賃金や年次有給休暇の規定については、管理監督者にも適用されます。

会社側の認識や制度の使い方が誤っている

労働基準法上、従業員に対して残業代を支払わなくても問題がないケースは、管理監督者であることに限られますが、会社側の認識や制度の使い方が誤っていることが原因で、適正に残業代が支払われていないこともあります。

一部の企業では、実際には管理監督者には該当しない管理職も含めて、管理職としての立場にある従業員に対して、一律、残業代を支給していない場合があります。

管理監督者とは?みなされる条件や判断基準を紹介

残業代が支給されなくなる管理監督者に該当するには、いくつかの判断基準があります。

たとえ会社から管理監督者であるとみなされていても、なかには裁判例や行政解釈が定める判断基準に照らすと、実際には管理監督者には該当せず、会社側の解釈が不当な場合もあるため、残業代に悩んでいる管理職の方は確認しておきましょう。

重要な職務内容を有している

管理監督者としてみなされるためには、労働時間や休憩、休日の枠組みを超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を担っていることが必要です。

具体的には、ほかの従業員を監督し指導する立場にあることや、組織の経営や業務の管理に関与していることが求められます。

重要な責任と権限を有している

管理監督者としてみなされるためには、労働時間や休憩、休日の枠組みを超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していることも重要です。

組織内の意思決定に関与し、従業員の賃金や人員配置の決定、予算運用に関して責任を担う立場であることが求められます。

ただし、「リーダー」「係長」などの肩書きがあったとしても、自身の裁量で行使できる権限が少ない、多くの事項に関して上司からの決裁が必要である、上司の命令を部下に伝達するだけの場合には、管理監督者とはいえません。

勤務形態が労働基準法に馴染まない

管理監督者としてみなされるためには、現実の勤務形態が労働基準法に馴染まない勤務実態であることも挙げられます。

管理監督者の職務には柔軟な働き方や長時間労働が求められるため、労働時間や休憩時間の制限に縛られず、自身の裁量で業務を遂行できる状態であることが必要です。

もし、労働時間や休憩時間等の勤怠に関して会社から厳しく管理されているのであれば、管理監督者とはいえないでしょう。

賃金や待遇がふさわしいものになっている

管理監督者としての立場にある場合、賃金や待遇もふさわしいものになっていることが重要です。

管理監督者の職務は、ほかの従業員を監督し指導する立場にあり、組織の運営や業務の管理に重要な責任を担っています。

そのため、ほかの従業員よりも高い賃金や特別な待遇が与えられることが一般的です。

賃金や待遇がふさわしいかどうかは、企業の規定や労働市場の状況によって異なるため、相場は定められていません。

そのため、ほかの従業員と比較し、管理監督者としての責任や役割に見合った報酬が提供されているかが判断基準となります。

なお、管理監督者の判断基準についてはこちらの記事も参考にしてください。

参考:管理監督者とは|管理者の正しい定義と監督者の扱いに関するトラブル対処法

まとめ|自分が管理監督者といえる立場か確認してみよう

管理職になると残業代がもらえなくなるという話がよく聞かれますが、正しくは管理職の中でも管理監督者というポジションに該当する場合に限り、残業代がもらえなくなります。

管理監督者に該当するといえるためには、上記に記載したような判断基準にあてはまっている必要があり、会社側から管理監督者であるとみなされていたとしても、実態に即していない場合があります。

残業代の支給状況に不満がある管理職の方は、ご自身の職務内容、権限、勤務時間等の管理の有無及び待遇等を確認し、管理監督者に該当しているかチェックしましょう。

もし、残業代に関して悩みがある場合には、労働問題に強い弁護士など専門家に相談することも重要です。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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