不倫した側なら弁護士に相談!弁護士費用・慰謝料の相場・選び方を徹底解説


ある日突然、不倫の慰謝料を請求されたら、誰でも冷静ではいられなくなるでしょう。
「法外な金額を請求されたが、どうすれば…」「相手とどう話せばいいのかわからない」と、不安と焦りで頭がいっぱいかもしれません。
知識がないまま感情的に対応すると、事態はさらに悪化し、高額な慰謝料を請求される恐れがあります。
しかし弁護士に依頼することで、精神的、金額的負担を減らし問題の解決へ進むことが出来るでしょう。
この記事では、不倫慰謝料を請求された方が弁護士に相談すべき理由から、具体的な費用、そして信頼できる弁護士の選び方までをわかりやすく解説します。
不倫慰謝料の相場は?
不倫慰謝料の相場は、離婚しない場合は数十万円~100万円、離婚する場合は150万円~300万円が目安です。
不倫慰謝料の相場は法律で決まった金額ではなく、過去の裁判例から形成されたものです。
慰謝料額は、個別の事情によって相場より高くなることも、低くなることもあります。
ここでは金額が高額になるケースと、減額・免除されるケースを具体的に解説します。
慰謝料が高額になりやすいケース
慰謝料が高額になりやすいのは、不倫をされた側の精神的苦痛が特に大きいと裁判所に判断される場合です。
慰謝料は精神的苦痛に対する賠償であるため、その苦痛を増大させる事情は、金額に直接反映されます。
具体的には、以下のような事情が挙げられます。
- 不貞行為の期間が長く、頻度も多い
- 不倫が直接の原因で離婚に至った
- 不倫の結果、妊娠または出産した
- 不倫された側に未成年の子どもがいる
- 不倫を主導したまたは発覚後に反省が見られない
これらの事情は、行為が悪質かつ計画的であり、配偶者への裏切りが深刻であると評価されるため、慰謝料増額の重要な要因となります。
慰謝料が減額・免除されるケース
慰謝料が減額されたり、支払い自体が免除されたりするケースもあります。
不倫をしたからといって、必ずしも請求通りに支払う義務があるわけではありません。
例えば、以下のようなケースでは、慰謝料が減額・免除されることもあります。
- 肉体関係の明確な証拠がない
- 不倫前から夫婦関係が破綻していた(例:長期間の別居)
- 相手が既婚者だと知らなかった(知らないことに落ち度がない)
- 暴力や脅迫など、自由な意思に反して肉体関係を強いられた
- 慰謝料請求権の時効が成立している(例:不倫の事実と相手を知ってから3年)
これらの事情があるなら、相手の要求を鵜呑みにせず、法的な観点からご自身の状況を正確に把握することが重要です。
不倫した方が必要な弁護士費用の目安
不倫問題で弁護士に依頼する費用は主に「相談料」「着手金」「報酬金」で構成され、依頼する内容によって異なります。
ここでは、不倫問題で多い「慰謝料の減額交渉のみ依頼する場合」と「減額交渉+離婚条件の交渉も依頼する場合」の費用について詳しく解説します。
慰謝料の減額交渉のみ依頼する場合
慰謝料の減額交渉のみを依頼する場合、主に以下の費用がかかります。
費用の種類 | 慰謝料の減額交渉のみ |
---|---|
相談料 | 初回無料~1時間1万円程度 |
着手金 | 20万円~40万円程度 |
報酬金 | 減額できた金額の10%~20% |
【例】
着手金40万円+報酬金20%の弁護士に依頼して、300万円の慰謝料を100万円に減額できた場合(経済的利益が200万円出た場合)
- 報酬金|200万円×20%=40万円
- 着手金|40万円
- 慰謝料|100万円
- 支払合計|40万円+40万円+100万円=180万円
この場合、弁護士に依頼することで、弁護士費用を支払ってもなお、最初に請求された慰謝料300万円を支払うより、最終的に120万円も支出を抑えられます。
ご自身の状況でどのくらいの費用がかかるか、まずは無料相談などを利用して具体的な見積もりを確認しましょう。
減額交渉+離婚条件の交渉も依頼する場合
慰謝料減額に加えて離婚条件の交渉も依頼する場合にかかる主な費用は以下の通りです。
費用の種類 | 減額交渉+離婚交渉も依頼 |
---|---|
相談料 | 初回無料~1時間1万円程度 |
着手金 | 30万円~50万円程度 |
報酬金 | 経済的利益の10%~20%+離婚成立報酬 |
減額交渉+離婚条件を依頼すると、交渉事項が多岐にわたるため、費用は高くなる傾向があります。
離婚交渉では、財産分与の対象となる財産の調査・評価、親権争いにおける監護実績の主張立証、養育費の算定など、専門的で複雑な作業が必要となり、弁護士の労力が増加するためです。
この場合の報酬金の計算基礎となる「経済的利益」には、慰謝料の減額分だけでなく、獲得した財産分与や、将来にわたって受け取る養育費などが含まれるため、計算が複雑になります。
事務所によっては、離婚が成立したこと自体への成功報酬が別途加算されることもあります。
必ず契約前に詳細な見積もりを取り、納得のいく説明を受けましょう。
不倫慰謝料を請求され弁護士へ相談すべきケース
不倫で慰謝料を請求されたら、速やかに弁護士へ相談すべきですが、特に「法的文書が届いた」「高額請求された」「離婚を迫られた」「直接交渉が困難」といった状況では、一刻も早く相談すべきです。
専門知識がないまま対応すると、状況が悪化したり、不当な要求をのんだりするリスクが高まります。
では、具体的にどのような状況なら、迷わず弁護士に相談すべきなのでしょうか。
代表的な5つのケースを紹介します。
トラブルが生じた場合
相手方が感情的になり、冷静な話し合いが難しい場合は、直ちに弁護士に相談しましょう。
例えば、以下のようなトラブルが発生しているケースです。
- 自宅や職場に押しかけたり、頻繁に連絡してきたりする
- 「家族にばらすぞ」といった脅迫的な言動がある
- 暴力や暴言を受けている
ご自身で対応しようとすると、精神的な負担が大きいだけでなく、身の危険を感じたり、さらなるトラブルに発展したりする可能性があります。
弁護士に依頼すると、直ちに相手方へ「受任通知」が送付されます。
受任通知は弁護士が法的な代理人として交渉の窓口になったことを告げるもので、以降、相手はあなたに直接接触できなくなります。
度を越した脅迫行為などに対しては、弁護士が刑事告訴を示唆するなど、より強い対抗措置をとって、相手に冷静な対応を促すことも可能です。
高額な慰謝料を請求された場合
請求額が法外に高いと感じる場合や、支払い義務・金額の妥当性に疑問がある場合は、弁護士に相談して法的な見解と減額交渉を依頼しましょう。
相手方は感情的になって、法的な相場を無視した金額を請求してくることが少なくありません。
弁護士は慰謝料の相場を熟知しています。
具体的な事情を法的な観点から分析し、適正な金額の交渉をおこなうことが出来るのです。
例えば、不貞行為の期間や態様、ご自身の収入状況、反省の態度などを主張し、減額要素として交渉材料にします。
また、相手方夫婦の関係性にも着目し、不倫前から夫婦関係が悪化していた事情があれば、「相手方にも関係破綻の原因がある」と主張して、慰謝料の減額を求めることもあります。
このように、個人では気づきにくい法的な主張点を専門家が拾い上げ、客観的な根拠に基づいて交渉することで、不当な請求からあなたの権利を守ります。
内容証明郵便や訴状が届いた場合
相手の弁護士や裁判所から内容証明郵便や訴状が届いたら、直ちに弁護士に相談してください。
これらは相手が法的手続きを開始した、あるいは開始する意思があるという明確な証拠です。
知識なく対応したり、放置したりすると、著しく不利な結果を招く恐れがあります。
特に「訴状」を無視することは絶対にやめてください。
訴状には答弁書の提出期限が記載されており、これを過ぎても提出せず、裁判期日にも出廷しないと、反論する機会を放棄したものとなり相手の主張が100%認められてしまいます。
その結果給与や預金口座などの財産を差し押さえられる強制執行に発展する可能性があります。
弁護士に依頼すれば、あなたに代わって、定められた期限内に法的に適切な答弁書を作成・提出し、その後の裁判手続きも全て代理人として遂行してくれます。
離婚するかどうかの判断が難航している場合
不倫が原因で離婚を迫られているが、応じるべきか、関係修復を目指すべきか判断できない場合も、弁護士への相談が有効です。
弁護士は、法律の専門家として、それぞれの選択をした場合の具体的な未来図を客観的に示してくれます。
離婚した場合の慰謝料、財産分与、養育費といった金銭的な見通しはもちろん、子どもの親権や面会交流がどうなるかといった、お金以外の重要な問題についても、法的な観点からアドバイスします。
これらの具体的な情報を得ることで、感情論と法的な権利・義務を切り分けて考えることができ、ご自身の将来にとって本当に最善の選択は何かを冷静に判断する手助けとなります。
特に、以下のような悩みをお持ちの場合に有効です。
- 離婚した場合の金銭的な見通しを知りたい
- 関係修復を目指す場合の、適切な和解条件を知りたい
- 相手の提示する離婚条件が法的に妥当か知りたい
親権を取得したい場合
不倫をした側であっても、子どもの親権獲得を強く希望する場合は、弁護士への相談が不可欠です。
親権者の決定で最も重視されるのは、夫婦のどちらに離婚原因があるかではなく、「子の福祉」、つまり子どもの利益と幸せです。
不倫の事実だけで親権を諦める必要は全くありません。
裁判所は、これまでの監護実績、子どもの年齢や意思、心身の状況、今後の養育環境、親の監護能力などを総合的に考慮して親権者を判断します。
不倫の事実は、それが子どもの健全な育成を直接的に害するような特段の事情がない限り、親権判断において決定的な不利にはなりません。
弁護士は、あなたがこれまで主として子どもを育ててきた実績を、育児日記や連絡帳、写真などの証拠を用いて効果的に主張・立証します。
また、親権争いで重要な役割を果たす家庭裁判所調査官の調査や面談への対応についても、専門的なアドバイスであなたをサポートし、親権獲得の可能性を最大限に高めます。
不倫した側が弁護士に依頼する4つのメリット
不倫問題で弁護士に依頼する場合、以下の4つのメリットがあります。
- 慰謝料が減額・免除される可能性がある
- 交渉代行で精神的負担を大幅軽減
- 法的に有効な示談書による再請求の予防
- 財産分与や親権などの離婚問題をトータルサポート
ここでは、具体的にどのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。
慰謝料が減額・免除される可能性がある
弁護士は、請求された慰謝料が法的に妥当か判断し、不当な請求に対しては減額や免除を交渉します。
弁護士の強みは、法的知識だけでなく、その「交渉力」にあります。
相手方が感情的に高額な請求をしてきても、弁護士は冷静に過去の裁判例や法的根拠を示し、相手を論理的に説得します。
また、相手の性格や状況を読み、時には強気に、時には譲歩案を示しながら、戦略的に交渉を進めることができます。
裁判になった場合のリスクや見通しを相手に伝えることで、「裁判で争うよりは、この金額で和解した方が得策だ」と相手に思わせ、交渉を有利に進めることも可能です。
個人間の話し合いでは感情的な水掛け論になりがちですが、法律の専門家が間に入ることで、客観的で冷静な交渉の土台が作られ、適正な金額での解決が期待できます。
交渉代行で精神的負担を大幅に軽減できる
弁護士に交渉を全て任せることで、精神的なストレスや不安から解放され、日常生活への支障を最小限にできます。
弁護士に依頼すると、直ちに相手方へ「受任通知」が送られ、以降の連絡窓口は全て弁護士となります。
これにより、相手からの執拗な電話やメール、威圧的な言動に直接晒されることがなくなります。
しかし、交渉を弁護士に任せ、進捗状況を冷静に報告してもらうことで、問題と心理的な距離を置くことができ、ご自身の生活や仕事に集中する余裕が生まれます。
法的に有効な示談書によって再請求が予防できる
弁護士は、後々のトラブルを防ぐため、法的に抜け漏れのない示談書を作成し、将来の再請求リスクを確実に防ぎます。
慰謝料問題で和解が成立した場合、合意内容を書面にする「示談書」の作成は必須です。
特に重要なのが、「本件に関し、本示談書に定めるもののほか何らの債権債務も存在しないことを相互に確認する」といった「清算条項」です。
清算条項があることで、今回の不倫問題は完全に解決したことになり、後から追加で慰謝料を請求されるのを防ぎます。
弁護士は、清算条項に加え、慰謝料の金額、支払方法(一括か分割か)、支払いが遅れた場合のペナルティ(遅延損害金)、お互いに接触しないことを約束する「接触禁止条項」、問題を他言しない「秘密保持義務」など、個別の事案に応じて必要な条項を網羅した、法的に完璧な示談書を作成します。
これにより、将来の不安の芽を完全に摘み取ることができます。
財産分与や親権などの離婚問題をトータルサポートしてくれる
不倫が原因で離婚に至る場合、慰謝料だけでなく財産分与や親権など、複雑な離婚問題も弁護士がトータルでサポートします。
不倫問題と離婚問題は密接に関連しており、それぞれを別々に考えるのではなく、包括的に解決することが賢明です。
例えば、財産分与では、夫婦が協力して築いた「共有財産」と、親からの相続財産など個人の「特有財産」を正確に区別する必要があり、専門的な知識が求められます。
また、相手への慰謝料の支払いを、財産分与の内容で調整する(例えば、本来もらえる財産分与の一部を放棄する代わりに慰謝料の支払いを免除してもらうなど)といった、柔軟な解決策を提案できるのも弁護士の強みです。
複雑に絡み合った問題を一つの窓口で解決できることは、依頼者にとって大きなメリットとなります。
不倫を自分で解決する場合の注意点
不倫問題を自分で解決しようとすることには、大きなリスクが伴います。
法律知識がないまま感情的な相手と交渉すると、不当に高額な慰謝料を支払う約束をしてしまったり、法的に不備のある示談書で後日トラブルになったりする危険があります。
相手の主張や証拠が法的に正しいかを知識が乏しい個人で判断するのは困難です。
安易な自己判断は、かえって状況を悪化させ、取り返しのつかない結果を招く可能性があるため、不安がある方は弁護士に相談しましょう。
不倫慰謝料を請求された時の正しい対処法
不倫慰謝料を請求された際は、突然の請求に動揺して誤った初期対応をすると、法的に不利な状況を招きかねないため、冷静に状況を把握し、専門家のアドバイスのもと慎重に行動することが重要です。
具体的にどのように対処をすればいいのか詳しく見ていきましょう。
書面の内容を冷静に確認する
慰謝料請求の書面が届いたら、まず慌てずに内容を正確に把握することが重要です。
感情的になってすぐに連絡する前に、相手の主張や要求を冷静に分析することが対応の第一歩となります。
書面を弁護士に見せ、法的な意味を解説してもらうことが最も安全です。
特に確認すべきは、差出人(本人か弁護士か)、請求の原因とされる事実関係、請求金額、そして回答期限です。
差出人が弁護士であれば、相手が法的手続きを視野に入れている本気の対応であると考えるべきです。
請求金額が相場からかけ離れていれば、相手が感情的になっている証拠であり、交渉の余地が大きいとも言えます。
これらの情報を基に、今後の対応方針を検討するため、書面は決して捨てずに保管してください。
不利な状況を招く行動はしない
慰謝料を請求され、「早くこの状況から逃れたい」と焦る気持ちから、以下のような不適切な行動をとると、立場が不利になる可能性があるため慎重な対応が必要です。
内容をよく確認せずに示談書にサインする | 一度サインすると、法外な金額でも支払い義務が確定する危険があります。 |
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請求を無視する(特に訴状) | 裁判所からの訴状を無視すると、相手の請求が100%認められる「欠席判決」となり、財産を差し押さえられる可能性があります。 |
感情的に謝罪したり、安易に約束したりする | 全面的に非を認めたと解釈され、後々不利な証拠として利用される恐れがあります。 |
証拠隠滅を疑われる行為 | 相手とのやり取りを削除するなど、証拠を隠そうとする行為は、裁判官に悪い印象を与えます。 |
その場の感情に流された軽率な行動は、後で取り返しのつかない不利な状況を招きかねないため、弁護士に相談する前にこのような行動は絶対に避けましょう。
証拠の有無を確認する
相手が持つ不貞行為の証拠の有無や内容を必ず把握しておきましょう。
そのうえで速やかに弁護士に相談し、今後の対応策を協議することが極めて重要です。
慰謝料請求が認められるかどうかは、客観的な証拠の「強弱」に大きく左右されます。
例えば、二人きりで食事をしている写真だけでは不貞行為の証拠としては弱く、肉体関係を推認させるLINEのやり取りなどが加わると少し強くなり、ラブホテルに出入りする写真や動画があれば非常に強力な証拠となります。
弁護士は、相手が持つ証拠の法的な価値を専門的な観点から評価し、それに基づいて最適な交渉戦略を立てます。
証拠が弱ければ強気に交渉し、強力な証拠を握られている場合は、無駄に争わず早期に妥当な金額で和解する方が賢明な場合もあります。
自分に有利な証拠(例:不倫前から夫婦関係が破綻していた証拠)もあれば、忘れずに弁護士に伝えましょう。
不倫問題に強い弁護士の選び方のポイント
不倫問題で信頼できる弁護士を選ぶには、以下の4つのポイントを総合的に確認することが大切です。
- 実績と専門性
- 弁護士との相性
- 明確な費用体系
- メリット・デメリット双方の説明
弁護士選びは問題解決の成否を左右します。
これらの点を見極めることで、安心して事件を任せられ、より良い結果に繋がる可能性が高まります。
不倫・男女問題の解決実績と専門性は豊富か
不倫や離婚など、男女問題の解決実績が豊富で、この分野を得意とする弁護士を選びましょう。
なぜなら、不倫問題には、特有の判例知識、慰謝料相場や交渉の落としどころに関する肌感覚など、経験に裏打ちされた専門的な知見が不可欠だからです。
事務所のWebサイトを見る際は、「男女問題専門」と掲げているかだけでなく、解決事例が具体的に紹介されているか、弁護士自身がこの問題に関するコラムなどを執筆しているかなども確認するとよいでしょう。
実績のある弁護士は、初回相談の際に、あなたのケースに似た過去の事例を基に、具体的な見通しや解決策を示してくれるはず。
曖昧な回答に終始するのではなく、経験に基づいた的確なアドバイスをくれるかどうかを見極めましょう。
弁護士と相性が良いか
あなたの話を親身に聞き、法的な内容をわかりやすく説明してくれる、信頼できて相性が良いと感じる弁護士を選びましょう。
不倫問題の解決には数ヶ月以上かかることもあり、その間、弁護士はあなたのパートナーとなります。
相性が悪く、気軽に質問や相談ができない関係性では、精神的なストレスが溜まるだけでなく、重要な情報が弁護士に伝わらず、最善の解決を逃してしまう恐れもあります。
初回相談は、弁護士との相性を確認する絶好の機会です。
高圧的な態度をとらず、あなたの気持ちに寄り添ってくれるか、専門用語をかみ砕いて説明してくれるかなどをチェックしましょう。
もし少しでも違和感を覚えたら、複数の弁護士に相談する「セカンドオピニオン」も有効です。
あなた自身が「この人になら任せられる」と心から思える弁護士を見つけることが、納得のいく解決の第一歩です。
費用についてりやすく事前説明してくれるか
弁護士を選ぶ際には、費用トラブルを避けるため、契約前に以下のような弁護士費用について「何に」「いくら」「いつ」かかるのかを明確に説明し、書面で提示してくれる事務所を選びましょう。
- 相談料:初回無料~1時間1万円程度
- 着手金:20万円~50万円程度(事案の複雑さによる)
- 報酬金(成功報酬):経済的利益(減額できた額など)の10%~20%程度
- 実費、日当:交通費や郵便代などの実費、裁判所への出張時に発生する日当
特に、着手金(結果に関わらず最初に支払う費用)と報酬金(成功した場合に支払う費用)の違いや、報酬金の計算根拠となる「経済的利益」の定義(単に減額できた金額なのか、財産分与なども含むのか)などを、具体例を交えて丁寧に説明してくれる事務所のほうが安心して任せられます。
デメリットやリスクも正直に説明してくれるか
良いことだけでなく、考えられるデメリットやリスクについても正直に説明してくれる弁護士は信頼できます。
「必ず勝てる」「絶対に減額できる」といった甘い言葉を並べる弁護士はむしろ注意が必要です。
どんな事件にも100%はなく、不利な点やリスクは存在します。
誠実な弁護士は、依頼者にとって耳の痛いことであっても、客観的な事実や法的な見通しを正直に伝えてくれます。
リスクを事前に理解することで、あなた自身も現実的な着地点を考えることができ、後になって「こんなはずではなかった」と後悔することを避けられます。
また、依頼後の主な連絡手段(電話、メールなど)や、進捗報告の頻度なども契約前に確認しておきましょう。
不安な時にすぐに連絡が取れ、状況がわからず放置されるストレスがないかどうかも、弁護士選びの重要な判断基準です。
弁護士への不倫相談から解決までの流れ
弁護士への不倫相談から解決までは、一般的に以下の5つのステップで進みます。
- お問い合わせ・予約
- 面談
- 契約
- 交渉開始
- 問題解決
この流れを事前に把握しておけば、依頼する際の不安が和らぎ、各段階で何をすべきか理解しやすくなります。
それでは、各ステップの内容を具体的に見ていきましょう。
STEP1:お問い合わせ・相談予約
まず、法律事務所に連絡し、法律相談の日時を予約します。
電話、メール、Webサイトの予約フォームなど、都合の良い方法を選びましょう。
近年はオンライン相談に対応する事務所も増えており、遠方にお住まいの方や、忙しくて事務所に行く時間が取れない方でも、気軽に相談できる環境が整っています。
法律事務所のWebサイトで、不倫問題の解決実績や弁護士のプロフィールなどを確認し、「ここなら信頼できそうだ」と感じた事務所に連絡してみるのがよいでしょう。
その際、相談料の有無(初回無料の事務所も多いです)、相談時間、相談時に持参すべき資料(相手からの通知書、証拠になりそうなものなど)を確認しておくと、当日の相談がスムーズに進みます。
この最初の行動が、問題解決への大きな一歩となります。
STEP2:弁護士との面談(法律相談)
予約した日時に弁護士と面談し、問題の経緯や状況、ご自身の希望を詳しく話します。
弁護士には守秘義務がありますので、話しにくい内容であっても、ありのままを正直に伝えることが重要です。
正確な情報が、的確な法的アドバイスに繋がります。
この面談は、弁護士があなたの状況を法的に分析し、今後の見通しや具体的な解決策、必要な費用などを説明する場です。
同時に、あなたが弁護士の人柄や説明のわかりやすさ、自分との相性などを判断する重要な機会でもあります。
事前に経緯をまとめたメモや関係資料、質問したいことのリストなどを用意しておくと、限られた時間の中で効率的に相談を進めることができます。
ここで得たアドバイスを基に、正式に依頼するかどうかを検討しましょう。
STEP3:委任契約の締結
弁護士の説明や提案、費用に納得したら「委任契約」を締結し、正式に弁護活動を依頼します。
この契約をもって、弁護士はあなたの法的な代理人となり、あなたのために活動を開始します。
契約時には、必ず「委任契約書」が作成されます。
この書面には、弁護士に依頼する業務の範囲(交渉のみか、訴訟まで含むかなど)や、着手金・報酬金の詳細な金額、計算方法などが明記されています。
後々の費用トラブルなどを防ぐためにも、契約書の内容は隅々まで確認し、少しでも疑問があれば、その場で質問して完全に解消しておくことが不可欠です。
全ての内容に納得した上で署名・押印し、通常はその後、契約書に基づいて着手金を支払うことで、弁護士の活動が正式にスタートします。
STEP4:弁護士による相手方との交渉開始
契約後、弁護士があなたの代理人として相手との交渉を始めます。
まず弁護士は、あなたの代理人になったことを相手方(または相手方の代理人弁護士)に知らせる「受任通知」を送付します。
この通知が相手方に届いた時点から、交渉の窓口は弁護士に一本化され、あなたは相手からの直接の連絡から解放されます。
その後、弁護士はあなたの希望や法的な主張、証拠に基づき、慰謝料の金額や支払い条件などについて、相手方と具体的な交渉を進めていきます。
交渉の進捗状況については、弁護士から電話やメールなどで適宜報告があります。
交渉の過程で重要な判断が必要な場面では、必ずあなたの意向が確認され、あなたが知らないうちに話が進むことはありません。
交渉で合意できれば示談成立となり、難しければ調停や訴訟といった次のステップを検討します。
STEP5:問題解決
弁護士による交渉や法的手続きの結果、示談や調停、あるいは裁判所の判決・和解によって問題は最終的に解決します。
示談成立 | 当事者間の交渉で合意に至った場合、その内容を明記した示談書を取り交わし、解決となります。慰謝料の支払いなどが履行されれば事件は終了です。 |
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調停による解決 | 交渉で合意できない場合は、裁判所での調停に移行することがあります。調停では、調停委員を介した話し合いによる解決を目指し、合意すれば「調停調書」が作成されます。 |
訴訟による解決 | 調停でも解決でき倍場合は、訴訟で最終的に裁判官が「判決」を下すか、途中で「和解」が成立することもあります。調停調書や和解調書、確定判決は、法的な強制力を持ちます。 |
いずれの方法で解決した場合も、合意された内容が全て履行されたことを確認し、弁護士への報酬金の支払いや実費の精算を行って、正式に事件は終了となります。
【Q&A】不倫した側が弁護士に相談する際によくある質問
弁護士への相談を考える際、「家族にバレないか」「お金がないとダメか」「示談書にサインしたら手遅れか」など、多くの方が共通の疑問を抱きます。
こうした不安は相談をためらう原因になりがちです。
正しい情報を知ることで、不安を解消し、適切な一歩を踏み出しましょう。
ここでは、特に多く寄せられる3つの質問について、詳しくお答えします。
Q1. 家族や職場にバレずに解決できる?
弁護士に依頼すれば、家族や職場に知られるリスクを最小限に抑えられます。
弁護士には、弁護士法で定められた厳格な守秘義務があり、職務上知り得た秘密を正当な理由なく第三者に漏らすことは固く禁じられています。
違反した場合は罰則もあります。
また、弁護士が交渉窓口となることで、相手方からあなたへの直接の連絡がなくなります。
これにより、感情的になった相手が自宅に電話をかけてきたり、職場に押しかけたりするリスクを効果的に防ぐことができます。
弁護士との連絡も、個人の携帯電話やメールアドレスを指定するなど、プライバシーに配慮した方法でおこなえます。
ただし、交渉が決裂して訴訟になった場合は、裁判所からの「訴状」が自宅に郵送されるため、同居家族に知られる可能性は出てきます。
そうしたリスクも含め、弁護士は事前にしっかりと説明してくれます。
Q2. 慰謝料を支払う資力がない場合はどうすればいい?
一括で支払えなくても、弁護士が交渉することで分割払いや減額に応じてもらえる可能性があります。
資力がないことを正直に伝え、誠実に対応する姿勢を見せることが重要です。
弁護士は、あなたの収入や資産、生活状況などをまとめた資料を相手方に示し、現実的に支払い可能な分割案を具体的に提案して交渉します。
相手方としても、全く支払われないよりは、分割でも確実に回収できる方が良いと判断し、交渉に応じるケースは少なくありません。
分割払いの合意ができた場合は、その内容を法的な強制力を持つ「公正証書」にしておくことで、将来のトラブルを防ぐこともできます。
安易に自己破産を考えるのではなく、まずは弁護士に相談し、粘り強く交渉することが賢明です。
Q3. 示談書にサインしてしまった後でも相談できる?
サイン後でも相談は可能ですが、一度有効に成立した示談内容を覆すのは非常に困難です。
契約の安定性を守るという法の原則から、当事者が合意してサインした契約は、原則として両者を拘束するからです。
「やっぱり納得できない」という理由だけで、一方的に無効にすることはできません。
ただし、例外的に示談の無効や取消しを主張できるケースも存在します。
例えば、相手から「サインしないと会社にばらす」などと脅されて無理やりサインさせられた(強迫)、あるいは内容を理解できないほど精神的に追い詰められた状態で不当に高額な示談書にサインしてしまった、といった特殊な事情がある場合です。
しかし、これらの事実を後から証拠で立証するハードルは極めて高いのが実情です。
したがって、何よりも重要なのは、安易にサインしないことです。
示談書を提示されたら、必ずその場で回答せず、事前に弁護士に相談してください。
まとめ
不倫で慰謝料を請求されるという事態は、精神的に大きな負担ですが、一人で抱え込まず専門家の力を借りることが最善の解決への鍵です。
弁護士に依頼すれば、法外な慰謝料の減額、交渉代行による精神的負担の軽減、法的に有効な示談書による将来のトラブル予防など、多くのメリットがあります。
離婚問題に発展した場合も、あなたの正当な権利を守りながら解決を目指せるため、初回無料相談などを利用し、専門家のアドバイスを聞くことで、次にとるべき行動が明確になるはずです。