自己破産のデメリット7選|よくある誤解や家族への影響も解説


自己破産とは、借金の返済が困難になった場合に、裁判所に申し立てることで借金を免除してもらう手続きです
自己破産にはデメリットもありますが、世間で一般にいわれているデメリットの中には、誤解も多く含まれています。
本記事では、自己破産のデメリットを7つ紹介するとともに、自己破産に関するよくある誤解や、自己破産が家族に与える影響について解説します
自己破産を検討しており、実際のデメリットを正しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
自己破産するデメリット7選
はじめに、自己破産する主なデメリット7つについて、詳しく解説します。
1.ブラックリストに登録される
自己破産をすると、信用情報機関に債務整理をした事故情報が登録されます。
そのため、自己破産をしてからしばらくの間は、クレジットカードを作ることができなくなります(審査が通りません)。
また、クレジットカードだけでなく住宅ローンや自動車のローンなども組むことができません(審査が通りません)。
これは、信用情報機関のブラックリストに登録されることで、審査が厳しくなるためです。
事故情報の登録期間は5年~7年
信用情報機関に事故情報が登録される期間は、一般的に5年〜7年とされています。
そのため、この期間が経過すれば、クレジットカードを契約したり、ローンを組むことができます。
ブラックリストへの登録は、あくまでも一時的な措置であり、永久に登録されるわけではありません。
デビットカードや電子マネーは使える
クレジットカードやローンによる借入は利用できなくなりますが、デビットカードや電子マネーについては、引き続き使うことができます。
ブラックリストに登録されたからといって、現金のみの生活を強いられるわけではないのです。
デビットカードや電子マネーを活用すれば、ネットショッピングなども引き続きおこなうことができるでしょう。
2.手続き中の就業が制限される
自己破産の手続き中は、職業によっては資格を使っての就業ができなくなる場合があります。
以下は、就業に制限を受ける主な職業の例です。
- 教育委員会の委員(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条3項1号、第9条1項1号)
- 行政書士(行政書士法2条の2 2号)
- 銀行の取締役・執行役・監査役(銀行法7条の2 2項2号)
- 警備員(警備業法14条1項、3条1号)
- 建築士(建築業法8条1号)
- 公正取引委員会の委員長および委員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律31条1号)
- 公認会計士(公認会計士法4条4号)
- 国家公安委員会の委員(警察法7条4項1号)
- 司法書士(司法書士法5条3号)
- 社会保険労務士(社会保険労務士法5条2号)
- 税理士(税理士法4条2号)
- 宅地建物取引士(宅地建物取引業法18条1項2号)
- 土地家屋調査士(土地家屋調査士法5条3号)
- 不動産鑑定士(不動産の鑑定評価に関する法律16条2号)
- 弁護士(弁護士法7条4号)
- 弁理士(弁理士法8条10号)
これらの職業は主に、「士業」や「他人の財産を預かる職業」に該当します。
上記の職業に就いている方は、自己破産の手続き中に就業が制限されるため、注意しましょう。
制限される職業はほんの一部
全ての職業が制限を受けるわけではありません。
現在の職業が制限対象に該当しないのであれば、自己破産の手続きをしている間も、通常どおり就業できます。
そのため、仕事を続けられる方にとっては、大きなデメリットにはならないでしょう。
手続き完了後は職業制限がない
就業の制限があるのは、あくまでも自己破産の申し立て後、破産手続き開始決定が出てから、免責許可が確定するまでの概ね3ヵ月〜4ヵ月間のみです。
手続き完了後は職業制限が解除される(復権する)ため、再び就業することができます。
また、資格がはく奪されることもないため、一生その職業につけなくなることもありません。
3.官報に掲載される
自己破産をすると、破産者の名前や住所などの情報が官報に掲載されます。
官報とは、国が発行する公式の機関紙です。
官報は個人でもインターネットや図書館などから閲覧することが可能です。
官報に掲載される理由は、個人情報を公開することで債権者にもれなく自己破産を申請していることを知らせるためです。
そのため、官報を確認すれば、自己破産した事実が知られてしまう可能性があります。
もっともこの点につき、官報情報検索サービスにおいて、破産等の「プライバシー配慮が必要な記事」は、過去の記事の検索が出来なくなることになりましたので、将来、過去の破産の事実について調べられる可能性はほぼなくなるものと思われます。
一般の方が目にする機会は少ない
官報には住所や名前などが掲載されることになりますが、官報を実際に見たことがある方はほとんどいないのではないでしょうか。
勤務先などで定期的に官報をチェックしていない限り、日常的に官報を確認している人はほとんどいないのが現状です。
官報を通じて自己破産したことが知られる可能性は低いといえるでしょう。
4.破産管財人に郵便物が転送される
管財事件として自己破産の手続きをおこなう場合、手続き中の郵便物は破産管財人に転送されます。
破産管財人とは、破産者の財産や債務の管理をおこなう者のことで、通常、裁判所から選任された弁護士が担当します。
破産手続き中の郵便物には、債権者からの通知や請求書が含まれる可能性があるため、破産管財人が内容を確認する必要があるのです。
ただし、破産管財人に転送されるのは破産者本人宛ての郵便物のみであり、家族宛ての郵便物が転送されることはありません。
同時廃止の場合は転送されない
自己破産手続きのうち、同時廃止事件として処理される場合には、郵便物の転送がおこなわれません。
同時廃止事件では、破産管財人が選任されないからです。
同時廃止事件は、破産者に換価できる財産がなく、破産管財人による財産調査も不要と判断された場合に適用されます。
このため、郵便物の転送はおこなわれず、破産者には通常どおり郵便物が配達されます。
配達される荷物は対象にならない
自己破産手続き中であったとしても、宅配業者による宅配便やネットショッピングで購入した商品は転送の対象とはなりません。
転送されるのは、ハガキやレターパックなどの「信書」に限られるためです。
通販で注文した商品などは自己破産手続き中であっても、破産管財人に転送されず、通常どおりの配達となるでしょう。
5.保証人が借金を背負う
自己破産をすると、保証人が借金を背負う場合があります。
保証人とは、借り入れた本人が返済できなくなった場合に、代わりに返済義務を負う人のことです。
たとえば、親、配偶者、親族、友人などが保証人になっている場合があります。
自己破産をすると、本人の借金は免除されますが、保証人の借金は免除されません。
そのため、保証人は本人の代わりに借金を返さなければならなくなります。
免責を受ける債務に保証人が付いている場合、保証人に大きな負担がかかることになるでしょう。
保証人を立てていなければ問題なし
保証人が債務を背負うのは、免責を受ける借金に保証人が付いている場合に限られます。
このため、借金に保証人を立てていなければ、影響は一切ありません。
保証人への影響が気になる場合は、事前に借金に保証人が付いているかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。
6.高額な財産・現金(預貯金)を処分する必要がある
自己破産をすると、高額な財産や多額の現金・預貯金を処分しなければなりません。
これは、債権者への配当に充てる必要があるためです。
具体的には、次のような財産が処分の対象となります。
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える財産(預貯金・株式など)
- 時価20万円を超える自動車
- 高価なブランド品・宝飾品
- 生命保険の解約返戻金
- 家や土地などの不動産 など
特に、自宅は換価処分されるため、住宅を所有する債務者にとっては大きな問題となります。
自己破産者は、生活に必要な最低限の財産を除いて、ほとんどの資産を手放さなければならないのです。
自由財産は手元に残すことができる
ただし、自己破産をしても、全ての財産が処分されるわけではなく、「自由財産」として認められるものについては、引き続き手元に残すことができます。
たとえば、以下の財産は自由財産として残すことが認められます。
- 99万円以下の現金
- 20万円以下の預貯金・株式・解約返戻金
- 生活に必要な家具・家電・日用品
- 退職金の一部 など
また、裁判所の判断によっては、「自由財産の拡張」が認められ、自動車や少額の貯金などを維持できる場合もあります。
このように、生活を立て直すために必要な自由財産は、そのまま手元に残すことが可能です。
7.周囲にバレる可能性がある
自己破産したことが周囲に知られることは少ないですが、バレる可能性が完全にゼロというわけではありません。
たとえば、次のようなケースでは、自己破産したことが発覚する場合があるでしょう。
- 借金に保証人が付いている
- 家族と同居している
- 信用調査会社などに知人が勤めている
借金に保証人が付いている場合には、自己破産後に保証人に対して一括請求がおこなわれるため、自己破産したことがバレます。
また、家族と同居している場合には、裁判所や弁護士から郵便物や電話が届くことがあるため、家族に通知を見られるとバレるでしょう。
さらに、知人が信用調査会社などに勤めている場合には、官報をチェックすることがあるため、発覚する可能性があります。
戸籍や住民票には記載されない
ただし、自己破産したとしても、戸籍や住民票に破産した事実が記載されることはありません。
このため、婚姻の際や、家族や親族が戸籍謄本や住民票を取得したとしても、それだけで自己破産の事実が知られることはないでしょう。
自己破産したことを通知する義務はない
自己破産したことを会社や知人に通知する義務は一切ありません。
また、通知が届くこともありません。
裁判所や弁護士からの連絡は、あくまでも債権者に対しておこなわれるからです。
自分から教えない限り、職場や友人に自己破産したことが知られることはないでしょう。
自己破産のデメリットでよくある誤解10選
自己破産に関する一般的な情報は十分とはいえないため、誤解や間違った情報が広まっていることも少なくありません。
ここでは、自己破産のデメリットでよくある誤解を10個紹介し、実際の事情を解説します。
1.年金を受け取れなくなる?
自己破産は、借金の免責を得るための手続きであり、年金の受給資格とは関係ありません。
年金は、一定期間以上働いて納めた保険料に基づいて支払われるものであり、自己破産をしたからといって没収されることはありません。
また、すでに年金で生活している方についても、自己破産によって年金が受け取れなくなることはありません。
2.選挙権を失う?
選挙権は、満18歳以上の日本国民に与えられる権利であり、日本国憲法で保障された基本的人権のひとつです。
そのため、自己破産をしても選挙権を失うことはありません。
自己破産の手続きをしている間も手続きした後も、これまでどおり選挙で投票できます。
3.戸籍・住民票に自己破産したことが掲載される?
戸籍や住民票は、個人の身分や住所などの基本的な情報を記録するものであり、借金や自己破産といった個人の財務状況とは関係ありません。
そのため、戸籍や住民票によって周りの方に自己破産したことが知られてしまうこともありません。
4.海外旅行に行けなくなる?
破産手続き開始決定後は、居住地を離れるために裁判所の許可が必要となります。
海外出張などの場合は許可が出ることが多いですが、プライベートでの旅行は、許可がでない可能性もあります。
なお、破産手続きが終了したあとは、これらの制限はなくなりますので、破産前と同じように、自由に海外旅行に行けます。
5.家族にも影響ある?
自己破産しても、基本的に家族への影響はありません。
影響を受けるのは、あくまでも破産者自身であるからです。
自己破産してからも、家族は引き続きクレジットカードを利用できるほか、自動車などのローンを組むことも可能です。
ただし、破産者名義で作った家族カードや、住宅や自動車を共有している場合は、それらのカードや財産が没収される可能性があります。
この点については、家族にも影響が及ぶでしょう。
6.一生カードを作れなくなる?
自己破産をしても、一生カードを作れなくなるわけではありません。
自己破産をした方は、破産が終了してから5年〜7年程度の間、信用情報機関に事故情報が登録されます。
そのため、この期間中はクレジットカードやローンの審査に通ることが難しくなるでしょう。
しかし、5年〜7年が経過したあとは、事故情報は信用情報機関から抹消されます。
したがって、その後は通常どおりクレジットカードを作ることが可能です。
【関連記事】自己破産後5年以内にクレカは作れる?破産者がカードを作るための条件
7.自己破産が会社にバレて解雇される?
自己破産をしたことが会社に知られる可能性はゼロではありませんが、それだけで解雇されることは基本的にありません。
会社に自己破産がバレる主なケースとしては、会社が官報を読んで発見した場合や、会社から借金をしていた場合が挙げられます。
それら以外のケースで破産が知られることは、ほとんどないと考えられます。
万が一会社にバレてしまったとしても、借金や自己破産を理由とする解雇は、原則として不当解雇にあたるでしょう。
もっとも、資格保持者として雇用されている方については、自己破産中の資格制限により業務が継続できなくなる可能性があります。
そのため、仕事ができないことなどを理由に、解雇される可能性がないとは言い切れません。
その場合は、個人再生など、ほかの債務整理の方法を検討するのもひとつの方法です。
まずは弁護士に相談してみてください。
8.生活保護が受給できない?
自己破産をしたからといって、生活保護が受給できなくなるわけではありません。
生活保護は、生活に必要な最低限の費用が支給される制度です。
自己破産は借金の返済義務を免除されるだけで、生活が保障されることに変わりはありません。
したがって、生活保護の受給要件を満たしていれば、自己破産をしていても生活保護を受けることができます。
9.賃貸借契約ができなくなる?
自己破産をしたことが理由で、賃貸借契約ができなくなることは基本的にありません。
しかし、賃貸借契約をする際には、家主や不動産会社から審査を受ける必要があります。
家賃保証会社を立てる場合には、信用情報機関に登録されている自己破産の記録が確認され、審査が通らない可能性もあるでしょう。
破産後に賃貸借契約をする場合には、家賃保証会社を通さないで契約できる物件を探すなどの対策が必要となるかもしれません。
10.就職や転職ができなくなる?
自己破産をしたことで、就職や転職ができなくなることはありません。
ここまでにも解説したように、自己破産の事実を第三者が知るためには官報を確認するしかありません。
就職や転職をおこなう場合に、企業側が官報を確認することはまずないといってよいでしょう。
ただし、自己破産の手続き中に制限される職業に該当する場合には、注意が必要です。
気になる方は、弁護士に相談してみましょう。
原則、自己破産をした人にしかデメリットはない
ここまで解説したように、自己破産は原則として、自己破産をした本人にしかデメリットはありません。
なぜなら、自己破産の影響は、あくまでも破産者名義のものに限られるからです。
たとえ破産者と同居していたとしても、家族名義の財産については没収されません。
たとえば、仮に夫が自己破産しても、妻名義のクレジットカードや自動車が没収されることはありません。
また、妻名義の自宅であれば、家が没収されることはないため、そのまま自宅に住み続けることが可能です。
自己破産による家族への影響6選
自己破産をした場合、家族への影響にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、家族への主な6つの影響を紹介します。
1.持ち家や車がなくなる可能性がある
自己破産をすると、破産者名義の財産はほとんど換価されます。
その中には、当然持ち家や自動車も含まれます。
もし、家族と一緒に住んでいる破産者名義の持ち家や、家族が使っている破産者名義の自動車があれば、それらも手放さなければなりません。
ただし、生活必需品や低額な財産は残される場合がほとんどですし、自動車も価値によっては持ったまま破産できる場合があります。
詳細については、弁護士に相談してみてください。
2.現金などを手元に残しておけない
自己破産する場合、20万円以上の預貯金や現金は、原則として換価の対象となります。
これは、家族のための生活費であっても同じです。
なぜなら、複数の銀行口座を持っている場合でも、合計で20万円を超えれば処分の対象となるためです。
また、子ども名義の貯金であっても、破産者の財産と判断されることがあります。
ただし、現金については、総額99万円まで手元に残せる可能性があるため、該当する方は、弁護士に相談するのがよいでしょう。
3.家族カードが使えなくなる
自己破産をすると、破産者名義のクレジットカードやキャッシングカードは全て利用できなくなります。
このため、破産者名義で作成された家族カードも使用不可となります。
ただし、破産者名義のものでなければ家族に影響はありません。
新たにクレジットカードを作ることも可能ですし、すでに持っているカードの利用に制限がかかることもありません。
4.家族が保証人なら借金を肩代わりする
自己破産をしても、家族がその借金の連帯保証人になっている場合、保証債務は免除されません。
つまり、家族はあなたの代わりに借金を返済しなければならなくなります。
そのため、自己破産をする前に、家族と連帯保証人の問題について十分に話し合っておくことが重要です。
5.保険が解約される場合がある
自己破産をすると、解約返戻金が20万円以上の保険は換価の対象となります。
これには、学資保険や生命保険なども含まれます。
解約返戻金が、財産とみなされるからです。
解約返戻金が20万円未満の保険は換価の対象外となりますが、学資保険の解約返戻金は、20万円以上である場合が多いため、換価されるケースが多いでしょう。
もっとも、総額99万円までは持ったまま破産が認められる可能性がありますので、該当する可能性がある方は、弁護士に相談してみてください。
6.一定期間は保証人になれない
自己破産したことで、事故情報が信用情報機関に登録されると、その期間については、保証人になることができません。
自己破産することで、信用力が下がるからです。
家族が住宅ローンや奨学金などを借りる場合、破産者は一定期間、保証人になることができないため、ほかの保証人を探す必要があるでしょう。
【関連記事】自己破産後の生活はどうなる?|破産者が受ける制限と家族に与える影響
自己破産ができない場合もある
自己破産したくても、そもそもできない場合もあります。
「免責不許可事由」に該当する場合や、借金の種類によっては免除の対象とならないことがあるからです。
以下で詳しく解説します。
自己破産できないケース
自己破産できないケースとして、「免責不許可事由」に該当する場合が挙げられます。
免責不許可事由とは、破産者の行為が社会通念上問題があると判断され、借金の免除が認められないケースを指します。
主には、以下のような場合が該当するでしょう。
- 浪費(飲食・風俗・旅行・買い物など)による借金
- ギャンブル(競馬・競輪・パチンコなど)による借金
- 投資・投機(株取引・FX・暗号資産など)による借金
- 虚偽の申告をして借り入れた借金
- 特定の債権者に優先的に債務を返済した場合
- 過去7年以内に自己破産し、免責許可を受けた場合 など
ただし、免責不許可事由に該当する場合でも、裁判官の判断により例外的に免責されること(裁量免責)もあります。
自己破産を検討しているものの、免責不許可事由に該当する可能性がある方は、一度弁護士に相談するのがおすすめです。
自己破産しても免除されない借金もある
裁判所から免責許可が出ても、返済が免除されない借金があります。
これらは「非免責債権」と呼ばれ、法律上、免責の対象外とされているためです。
具体的には、以下のような借金が該当します。
- 罰金などの請求権
- 滞納している税金・保険料・公共料金
- 不法行為に基づく損害賠償請求権・慰謝料
- 養育費などの扶養義務に関する債務 など
上記の借金については、自己破産しても免責されないため、自己破産した後も引き続き返済しなければならないでしょう。
自己破産以外の債務整理も検討する
ここまでは、自己破産のデメリットや家族への影響について解説してきました。
しかし、借金問題を解決する債務整理の方法は、自己破産だけではありません。
ほかにも選択肢があります。
ここでは、自己破産以外の債務整理の方法として、「任意整理」と「個人再生」のふたつを紹介します。
任意整理|毎月の返済を軽減する
任意整理とは、債権者と直接交渉して、毎月の返済額や利息を減らすことで借金の負担を軽くする手続きです。
任意整理をおこなうことで、返済期間が延長されたり、利息がカットされたりするため、毎月の支払いが楽になります。
また、裁判所を介さずに手続きができるため、費用を抑えられるのも特徴です。
ただし、任意整理を行うには、安定した収入があることや、原則として3〜5年で完済できる見込みがあることなどが前提となるでしょう。
【関連記事】任意整理とは?基本をわかりやすく解説
個人再生|借金を大幅に減額する
個人再生とは、裁判所に申立てをおこない、借金を大幅に減額することで完済の見込みを立てる手続きです。
減額された借金は、通常3年かけて返済する必要があります。
個人再生を利用すると、自動車や生命保険を残すことも可能です。
そのため、自動車や持ち家などの一部の財産を保持しながら債務整理をしたい場合に適した方法です。
また、自己破産によって仕事に制限が出る場合にも、個人再生を選択するとよいでしょう。
【関連記事】個人再生とは?基本をわかりやすく解説
自己破産のデメリットについてよくある質問
最後に、自己破産のデメリットについてよくある質問を紹介します。
自己破産のデメリットは何年くらい続きますか?
自己破産のデメリットは、およそ5年〜7年程度続くといわれています。
これは、自己破産をおこなうことで、信用情報機関に事故情報が登録されるためです。
この期間中は、クレジットカードやローンの審査に通ることが難しくなります。
ただし、5年〜7年が経過すると事故情報は抹消されるため、信用が回復します。
そのため、クレジットカードやローンの利用が再び可能となるでしょう。
法テラスを利用した自己破産のデメリットはありますか?
はい、あります。
自己破産の手続きに法テラスを利用した場合、以下のようなデメリットがあるでしょう。
- 利用審査に時間がかかる
- 担当する弁護士を選べない
法テラスを利用するには、一定の収入や資産の基準を満たす必要があり、事前に審査を受ける必要があります。
その結果、法律事務所に依頼する場合と比べて、手続き開始までに時間がかかる可能性があります。
また、弁護士を選ぶことは原則としてできません。
選ばれた弁護士が必ずしも債務整理に強いとは限らないため、制約を感じる場合があるでしょう。
自己破産すると何ができなくなりますか?
自己破産をすると、以下のようなことが制限される可能性があります。
- クレジットカードの発行・利用
- 各種ローンの利用(住宅ローン・自動車ローン・教育ローンなど)
- 保有している自動車の使用(時価20万円以上の場合)
- 保証人になること など
また、自己破産の手続き中は、一部の職業や資格に制限がかかる場合もあります。
場合によっては日常生活に支障をきたす可能性があるため、自分だけではなく、家族への影響についても十分に考慮する必要があるでしょう。
自己破産を司法書士に依頼するデメリットは?
自己破産を司法書士に依頼するデメリットは、司法書士が破産申立人の代理人になれないことです。
司法書士はあくまで書類の作成を代行することが業務となるため、弁護士のように即時面接を利用することはできません。
裁判所には自分で赴き、審尋を受ける必要がある分、破産手続きの開始が遅れます。
また、司法書士に依頼した場合には、少額管財が利用できない可能性があります。
このため、弁護士に依頼した場合と比べて、自己破産の完了までにかかる期間が大幅に長くなる可能性があるでしょう。
さいごに
自己破産には大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。
また、場合によっては家族に影響が出ることもあります。
借金の返済が難しい場合の対処法は、自己破産だけではありません。
任意整理や個人再生といったほかの方法もあるため、状況に応じて適切な手続きを選ぶことが大切です。
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