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内縁関係が破綻したら慰謝料の請求はできる?請求可能なケースを紹介

弁護士監修記事
離婚トラブル
2024年05月28日
2024年05月28日
内縁関係が破綻したら慰謝料の請求はできる?請求可能なケースを紹介
この記事を監修した弁護士
川越 悠平弁護士 (東京桜の森法律事務所)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。
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内縁関係とは婚姻届を提出していないものの、お互いが夫婦と認識のうえ生活を送っていることを指します。

つまり、夫婦として共に生きているからには、何か問題があった際は慰謝料を請求できるのかと考えますよね。

しかし、婚姻届を提出していないという点が引っかかります。実は、内縁関係の場合は慰謝料を請求できるものと、できないものがあるのです。

本記事では、内縁関係でも慰謝料の請求が可能な4つのケース、一方で請求できない3つのケースについて解説します。

また、内縁関係の相手から慰謝料を取るための流れなども紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

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内縁関係でも慰謝料は請求できる!請求可能なケース4つ

内縁関係でも相手から慰謝料の請求は可能です。

どういった問題に発展した際に慰謝料を請求できるかは、内縁関係であるからこそ知っておきたい方は多いのではないでしょうか。

たとえば、次の4つのケースでは慰謝料の請求ができると考えられるため、ぜひ把握しておきましょう。

1. 内縁関係の夫(妻)に不貞行為があった

内縁関係でも夫または妻に不貞行為があった場合は、慰謝料の請求が可能です。

不貞行為とは夫あるいは妻以外と肉体関係をもつことで、不法行為に該当するため慰謝料を請求できます。

つまり、法律上の要求される手続きを踏み婚姻届を提出した法律婚と、婚姻届を提出していない内縁関係のいずれにおいても、不貞行為における対応は何ら変わりないのです。

裁判に発展し慰謝料の請求を認めてもらうためには、きちんと不貞行為をしたことを示す証拠を提示しなければいけません。

2. 内縁関係の相手からDVやハラスメントを受けた

近年、夫婦の関係を解消する理由としてDVやハラスメントが挙げられます。ニュースでも目にする機会が多く、今や社会問題といっても過言ではありません。

そして、内縁関係でも相手からDVやハラスメントを受けた場合は慰謝料を請求できます

ただし、いわゆる夫婦喧嘩による暴言では、ハラスメントの主張は難しいかもしれません。

そのため、裁判に発展した際はきちんと立証するための証拠が必要になります。

証拠となりえるものとして、内容をまとめた日記やメモ、現場の音声を録音した、あるいは動画を撮影したデータなどが有効です。

また、夫あるいは妻からのメールやLINEでのやり取りも証拠となる重要な材料なので、万が一に備えてきちんと残しておきましょう。

3. 内縁関係の相手が既婚者でその事実を知らなかった

内縁関係とは婚姻届を提出していない夫婦となりますが、夫ないしは妻が既婚者であり、それを隠していた場合は慰謝料を請求できる対象です。

これは重婚的内縁に該当し、貞操権の侵害として慰謝料を請求できる可能性があります。

4.話し合わず 一方的に内縁関係を解消し別居された

内縁関係にある相手から話し合いをせず一方的に関係性を解消し別居となった場合も、慰謝料を請求できる可能性があります。

内縁関係は婚姻届を提出こそしていないものの婚姻に準ずる関係と認められているため、正当な理由なく関係を解消できません

一方的に関係を解消または破棄する不法行為は慰謝料請求の対象となります。

たとえば共に暮らす気がなくなった、新たに好きな相手ができた、身内に反対されたなどで別居に至った場合は諦めずに行動を起こしてください。

内縁関係で慰謝料が請求できないケース2つ

内縁関係にありながらも、慰謝料を請求できないケースがあります。

いざ問題に直面した際に困惑しないよう、請求できることだけでなく、できないケースについても事前に把握しておいてください。

1. 内縁関係がすでに破綻していた

内縁関係が破綻していた場合、慰謝料の請求はできません。関係が破綻していたということは、相手に対し慰謝料を請求できる立場にないといえるため当然といえるでしょう。

内縁関係が破綻していたという例としては、別居期間が長期にわたって続いていた、相手と相当な期間にわたって連絡を取っていないなどが挙げられます。

2. 内縁関係を立証できるものがない

内縁関係を立証できない場合、慰謝料は請求できません。

内縁関係とは婚姻届を提出していないものの、お互いが夫婦と認識のうえ生活を送っていることです。

つまり、単に同居しているだけ、あるいは婚姻の意思がないなど、一方が結婚すると思い込んでいたといった場合は慰謝料請求の対象ではありません。

そのため、内縁関係を立証するためにも次のものを残しておく必要があります。

  • ●家計を共にしていることがわかる記録
  • ●住民票の続柄の記載
  • ●結婚式を挙げたことがわかるもの
  • ●会話の録音
  • ●LINE・SNSなど文字上でやり取りしたもの
  • ●周囲の証言

これらの証拠があれば、相手に対して慰謝料を請求できる可能性があるため把握しておきましょう。

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内縁関係を立証する5つの要素

内縁関係にある場合、慰謝料を請求するにあたってはきちんと関係性を立証しなければいけません。

その際、次に挙げる5つの要素が重要となるため把握しておきましょう。

1.共同で生活をしている

内縁関係と認められるためには、まず最低条件として共同生活を送っている点が挙げられます。

共同生活とは一緒に暮らしているだけではなく、家計を共にしている、共有の財産があるといった状態を指していることを理解しておきましょう。

婚約していても共同生活を送っていない場合は内縁関係と認めてもらえません。

また、同棲と混同しているケースが少なくありませんが、同棲は結婚していないカップルが共に暮らすことです。

つまり、婚姻の意思があるか否かは特に問わないことから、内縁関係を立証するための共同生活とは別と考えられます。

2. 周囲から夫婦として扱われるなど社会的に認知されている

社会的に夫婦であると認知されているか否かも、内縁関係を立証するうえで必要な要素です。周囲が夫婦と認知しているかを証明する際に冠婚葬祭が挙げられます。

たとえば、結婚式を挙げている、葬儀に夫婦として出席しているなど、法律婚と何ら変わらない関係性であれば、内縁関係にあると立証できるでしょう。

親族の冠婚葬祭へ一緒に呼ばれている場合は、周囲から夫婦として扱われているといえます。

また、親族の友人に夫婦であると互いに紹介している場合も、内縁関係を立証する要素となります。

3. 子どもを認知している

内縁関係にある夫婦の間に産まれた子どもを認知していることは、関係性を立証できる要素のひとつです。

妻(母親)の場合は原則として子どもが産まれた時点で法的な親子関係が生じるため、一般的には夫が子どもを認知するか否かが鍵になるでしょう。

ただし、自分の子どもであることを口頭でいっただけでは認知とするには足りず、役所に必要書類を提出する必要があります。

4. 当事者同士に婚姻の意思がある

共同生活を送っているということに加えて、お互いが婚姻の意思をもっているか否かも重要です。

夫ないしは妻の一方が結婚を考えているだけでは、内縁関係を立証することは難しいかもしれません。

婚姻の意思を図るうえで、結婚式を挙げている場合は内縁関係を立証する要素として強いといえるでしょう。

客観的に内縁関係であることを評価するにあたって、実際に起こした行動は大きく左右する要素です。

5. 公的手続きで内縁関係を証明している

口頭では内縁関係を立証することは難しいといえるため、やはり公的な手続きを踏んでいるか否かは重要になります。

公的手続きを済ませていると、内縁関係を示すうえで根拠となるため有効です。

公的手続きとして次のものが挙げられます。

  • ●住民票への記録
  • ●社会保険への第3号被保険者としての記録
  • ●内縁契約書への調印

周囲から内縁関係と認知されていることに加えて、これら公的手続きを踏んでいるとなれば、立証できる可能性に期待できるでしょう。

内縁関係の相手から慰謝料を取るために必要な証拠

内縁関係の相手から慰謝料を請求するためには、証拠を用意しなければいけません。では、どういったものが証拠となりえるのでしょうか。

事前に把握しておくことで、慰謝料の請求に向けた準備がスムーズに進められます。必要な証拠として挙げられるものは次の2つです。

1. 不貞を立証できる写真や動画

不貞行為を立証し慰謝料を請求するためには、証拠となる写真や動画が必要です。法的に有効な証拠となりえるものとして次が挙げられます。

  • ●血縁関係にある相手がホテルへ出入りしているとわかる写真または動画
  • ●血縁関係にある相手がホテルや不倫相手の家に長時間滞在していたとわかる写真または動画
  • ●不貞行為と判断できる詳細なやり取りとなる記録

写真や動画以外に録音データも証拠として有効な記録となりえるため、慰謝料請求をするにあたって把握しておいてください。

2. 内縁関係を立証できる書類や周囲の証言

内縁関係の相手から慰謝料を請求するうえで、その関係性を立証するための書類や周囲の証言というものも証拠となりえます。

次に挙げるものが書類として有効なため、把握しておいてください。

  • ●住民票
  • ●賃貸借契約書
  • ●健康保険証
  • ●遺族年金証書
  • ●給与明細
  • ●民生委員作成の内縁関係証明書

住民票については続柄の欄に妻(未届)あるいは夫(未届)と記載があると、婚姻の意思を示す証拠となります。

公的な書類になるため、慰謝料請求にあたって内縁関係であることを立証するうえで有効です。

賃貸借契約書は同居をする際に作成された書類で、同居人の欄に氏名と続柄に内縁の妻あるいは夫との表記があれば証拠となります。

賃貸借契約書は公的な書類ではないものの、関係性を示すうえで有効です。

健康保険証は加入者本人だけでなく被保険者に扶養されていると保険給付を受けられます。

つまり、被扶養者として相手が健康保険証を交付されている場合、内縁関係を示す証拠になるのです。

遺族年金証書は国民年金もしくは厚生年金保険への加入者が死亡した際、生計を維持されてきた配偶者、または子どもが受け取るものです。

遺族年金は内縁関係でも要件を満たしておけば請求可能なため、仮に受給し遺族年金証書があれば示すことで証拠として有効と考えられます。

給与明細は家族手当や扶養手当として支給を受けていた場合、勤務先が相手を妻あるいは夫と認めていることになるため、内縁関係であると証明する証拠になりえます。

民生委員作成の内縁関係証明書については、居住地域の民生委員へ依頼をすると内縁関係証明書を作成してもらえることがあります。

民生委員とは地域で住民の立場になり、援助をおこなう非常勤の地方公務員です。法律に触れる問題や法的根拠となりえるものは作成してもらえない場合があります。

内縁関係で請求できる慰謝料額の相場

内縁関係にある場合、慰謝料を請求すると相場はどれくらいなのかは気になるところです。

もちろん、その事案により慰謝料額は変わってくるため一概にはいえませんが、参考としてみてください。

まず、正当な理由がないにもかかわらず内縁関係を一方的に解消または破棄することは違法行為になります。

その場合は破棄された側が慰謝料を請求でき、一般的な相場は30万円から300万円ほどです。

離婚を求める裁判に発展した場合、以下のケースだと慰謝料の請求は難しいでしょう。

  • ●不貞行為や悪意の遺棄
  • ●3年以上の生死不明
  • ●回復が見込めない精神病
  • ●婚姻の継続が難しい事由に該当しないと判断されるケース

そして、内縁関係にありDVまたはモラハラを理由に慰謝料を請求した場合、実際に20万円の支払いを命じられた裁判例があります。

また、内縁の夫が不貞行為をした場合、その相手への慰謝料として200万円を認めたという例もあります。

これらは一例には過ぎないものの、相場と捉えておいてもよいかもしれません。

内縁関係の相手から慰謝料を取るための流れ

内縁関係の相手から慰謝料を請求する場合は、基本的に次の流れで進みます。

どのようなやり取りが必要か、そのためにはどういった書類を準備しなければいけないかなどを把握するためにも、ぜひ参考にしてください。

  1. 内縁関係の相手と直接交渉をする
  2. 別居している場合は内容証明を送る
  3. 訴訟・調停申立をおこなう

1.内縁関係の相手と直接交渉をする

内縁関係の相手から慰謝料を請求するにあたって、直接交渉をする方法が最も手軽といえます。

自分で交渉をする際は、相手がいい逃れできないよう必要な証拠を準備しておきましょう。

開き直られると交渉がスムーズに進めないうえ、慰謝料を請求できなくなる可能性は否めません。

たとえば、不貞行為について慰謝料を請求する場合、揺るがない証拠を突きつけるためにも次の手段を講じてみてください。

  • ●内縁関係の相手と直接協議を行う
  • ●不貞行為の現場を押さえた写真・動画を示す

そして、直接交渉において不貞行為を揺るがないものとする写真や動画といった証拠は極めて有効です。

これらを示すことで、内縁関係の相手は慰謝料の請求に応じざるをえなくなる可能性があります。

2. 別居している場合は内容証明を送る

内縁関係にある相手と別居している場合は、内容証明の送付が有効と考えられます。

内容証明とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰宛に差し出されたかを、差出人が作成した謄本により郵便局が証明する制度です。

個人で作成した手紙やメールなどでの連絡手段とは異なるため、内容証明を送付された相手は話し合いに応じようと行動を起こしてくれる可能性に期待できます。

3. 訴訟・調停申立をおこなう

直接の交渉が難しい、内容証明を送付しても動きがない場合は、訴訟・調停申立へ進みます。

慰謝料を請求する場合は、慰謝料請求訴訟と内縁関係調整調停のいずれか該当する方法をとりましょう。

慰謝料請求訴訟とは裁判を通じて慰謝料の支払いを求めるものです。

そして、内縁関係調整調停は調査委員を介し、相手と内縁関係の解消を図るもので、それにともない発生する慰謝料や財産分与についても協議します。

収入印紙と書類の送達状、訴状・申立書の提出が必要になることを理解しておいてください。

まとめ

本記事では、内縁関係でも慰謝料の請求が可能となる4つのケース、そして請求できない2つのケースについて解説しました。

あわせて内縁関係の相手から慰謝料を取るための流れなどを紹介しました。

内縁関係でも不貞行為や相手からのDVもしくはハラスメント、そして既婚者であることを隠していたり一方的に関係の解消を求め別居されたりした場合は、慰謝料の請求が可能です。

しかし、相手が既婚者であることを知っていた、内縁関係がすでに破綻していた、内縁関係を立証できない場合、慰謝料の請求はできないと考えられます。

どうすれば内縁関係であることを立証できるか、慰謝料の請求において必要な証拠となりえるものは何か、そして請求する際の流れなどを事前に把握し、適切な対応をとりましょう。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
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