DVで離婚は認められる!慰謝料の相場や十分な証拠がない場合の対策まで解説
配偶者からのDVに苦しみながらも、「証拠がない」「お金がない」「子供への影響が心配」といった理由で離婚に踏み出せない方は少なくありません。
結論からお伝えすると、DVは法的に認められた離婚事由であり、適切な手順を踏めば相手が拒否しても離婚を成立させられます。
この記事では、DV離婚が認められる条件と具体的な手順、必要な証拠の集め方、慰謝料・財産分与・養育費の相場まで詳しく解説します。
証拠がない場合や弁護士費用が払えない場合の対処法についても解説するので、参考にしてみてください。
DVの定義

DVは殴る・蹴るなどの身体的暴力だけではありません。
精神的、性的、経済的な支配行為もすべてDVに該当し、法的な離婚事由として認められます。
配偶者暴力防止法(DV防止法)では、配偶者、事実婚のパートナー、同棲相手からの暴力全般をDVと定義しています。
(定義)
第一条 この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項及び第二十八条の二において「身体に対する暴力等」と総称する。)をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。
2 この法律において「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者をいう。
3 この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする。
引用元:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 | e-Gov 法令検索
身体的DV|直接危害を加えてけがを負わせる暴力
殴る・蹴る・首を絞めるなどの行為は、夫婦間であっても傷害罪や暴行罪に該当する犯罪です。
「家庭内のこと」という理由で許されるものではありません。
身体的DVには以下のような行為が含まれます。
- 殴る
- 蹴る
- 平手打ちをする
- 首を絞める
- 髪を引っ張る
- 物を投げつける
- 刃物を突きつける
- 壁に押し付ける
- 突き飛ばす など
夫婦間であっても、相手にけがを負わせれば傷害罪、けががなくても暴行罪が成立します。
精神的DV(モラハラ)|暴言や無視で心を傷つける暴力
罵詈雑言や長期間の無視によって相手を恐怖心で支配する行為は、心の暴力としてDVに該当します。
身体への攻撃がなくても、精神的なダメージは深刻です。
精神的DVの具体例は多岐にわたります。
- 「お前は無能だ」「役立たず」などの人格否定
- 数日〜数週間にわたる無視
- 人前での侮辱
- 友人や家族との交流を禁止する
- 大声で怒鳴る
- 「子供に危害を加える」といった脅迫
- 大切にしている物を壊す、捨てる
- 些細なことで長時間の説教を繰り返す など
精神的DVの問題点は、被害者自身が「自分が悪い」と思い込み、DVだと自覚しにくいことにあります。
外傷がないため周囲にも気づかれにくく、長年一人で苦しむケースが少なくありません。
【関連記事】モラハラを理由に離婚はできる?離婚を成立させるポイントとできなかった場合の対処法
性的DV|性行為の強要や避妊への非協力
夫婦間であっても、合意のない性行為は許されません。
配偶者の性的自由を侵害する行為はDVに該当し、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
性的DVには以下のような行為が含まれます。
- 性行為の強要、拒否しても無理やりおこなう
- 避妊に協力しない
- 中絶を強要する
- 裸の写真や動画を無断で撮影する
- 見たくないポルノを見せる
- 「子供ができないのはお前のせいだ」と不妊を責める
- 自分の浮気を無理やり認めさせる など
身体的な行為だけでなく、精神的な苦痛を与える行為も性的DVです。
経済的DV|お金で相手を追い詰め支配する行為
生活費を渡さない、収入を管理するといった金銭的な制限によって、相手の自由を奪う行為は、経済的DVに該当します。
目に見える暴力がなくても、金銭的な自由を得られないDVは、生活を支配する深刻な問題です。
経済的DVの具体例は多岐にわたります。
- 生活費を渡さない、極端に少額しか渡さない
- 配偶者の貯金を勝手に使い込む
- 家計簿を細かくチェックし、少額の出費も責める
- 働くことを禁止する、仕事を辞めさせる
- 配偶者名義で借金をさせる など
経済的DVの深刻な点は、被害者が「自立して逃げる」手段を奪われることにあります。
お金がなければ経済的な加害者への依存状態が続き、別居も離婚もできません。
【関連記事】
DVとは何か?被害者や一般ユーザーが知っておくべき基本事項と対処法
経済的DVとは?チェックリスト・相談先や経済的DVで離婚する流れを解説
DV加害者に共通して見られる特徴
DV加害者に共通してみられやすい特徴は、主に以下のとおりです。
- 二面性がある
- 支配欲・独占欲が高い
- 自己正当化しやすい
- 男尊女卑など偏った考えがある
- 物にあたることが多い
- プライドが高く、自己肯定感が低い
- 幼少期に加害者自身もDVを受けていた
- 過保護に育てられた
- 自分のしていることが愛情表現だと勘違いしている
DV加害者には「暴力→反省→優しくなる→緊張が高まる→暴力」というサイクルが見られることが多いです。
暴力を振るったあとで急に優しくなる期間は、ハネムーン期と呼ばれます。被害者が加害者のことを「本当は優しい人」と錯覚する原因となります。
自分の状況を客観的に判断するためにも、加害者の特徴を知っておくことが大切です。
DVを理由とする離婚が認められる例・認められない例
DVを理由に離婚を求めても、すべてのケースで認められるわけではありません。
以下で具体例を確認し、自分の状況と照らし合わせてみてください。
DV離婚が認められる例
生命や身体に危険が及ぶ継続的な被害があり、客観的な証拠で裏付けできる場合は、離婚が認められやすくなります。
認められやすいケースの具体的な特徴は以下のとおりです。
- 重度のけがや精神疾患(うつ病、PTSDなど)を負った旨の医師の診断書がある
- 警察への通報記録や相談記録が残っている
- 裁判所から保護命令が発令されている
- DV被害を理由に長期間(目安として1年以上)別居している
複数の種類のDVが重なっているケースも、離婚が認められやすい傾向にあります。
経済的DVで生活費を渡されず、さらに身体的暴力も受けているといった状況では、婚姻の継続が著しく困難と判断されやすいです。
DVを理由とする離婚は、証拠の有無が結果を大きく左右するため、できる限り記録を残しておくことが重要です。
DV離婚が認められない例
一過性の喧嘩や、証拠がなく事実確認ができない場合は、DV離婚が認められにくくなります。
認められにくいケースの具体的な 特徴は以下のとおりです。
- 数年前に一度だけ平手打ちがあったが、その後は平穏に生活していた
- 日記やメモすら残っておらず、相手が全面的に否認している
- 周囲の証言や第三者機関への相談記録がない
- 暴力を受けたあとに「許す」と明言したり、関係修復の行動を取った
特に、暴力を受けた後も長期間同居を続け、夫婦関係を維持していた場合は、法的に「婚姻関係が破綻していない」と判断されるリスクがあります。
証拠が不十分であっても、別居を先行させるなど、弁護士に相談すれば対策を立てられるケースも多々あります。
DVを理由に離婚が認められた裁判例3選
DV離婚が認められるかどうかは、証拠の内容と被害の程度によって判断されます。
ここでは、DVを理由に離婚が認められた代表的な判例を3つ紹介します。
裁判例1:身体的DVとPTSDが認められた事例
夫婦喧嘩の際に、夫が投げた本が妻の左目に当たり、後遺障害等級8級の視力低下と、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症を引き起こした事案です(東京地判H18.11.29)。
裁判所は、刑事罰に相当する暴行であり、被害者の人格を否定する重大な侵害行為と判断しました。
後遺障害が残るほどの重傷を負わせた点が、離婚を認める決定的な要素となっています。
重度の身体的被害がある場合は、離婚が認められやすい傾向にあります。
裁判例2:複数のDV(身体・精神・経済)が重なった事例
夫による馬乗りでの首絞めや、執拗な暴言、生活費の不払いが認定され、離婚が成立した事案です(東京地判H16.7.5)。
裁判所は、身体的DV・精神的DV・経済的DVが複合的に存在することを重視しました。
複数の種類のDVが重なると、婚姻生活の維持が著しく困難と判断されやすくなります。
生活費を渡さない経済的DVも、ほかの暴力と併せて離婚事由として強く評価される点がポイントです。
裁判例3:頻度は低くても離婚が認められた事例
年1回程度の暴行であっても、夫婦間の基本的信頼関係を壊すに足りると判断された事案です(東京地判H16.6.24)。
妻が言葉に詰まった際、夫から髪を引っ張る、蹴るといった暴行がおこなわれました。
加害者側は「回数が少ない」と主張しましたが、裁判所は暴力の頻度が不法行為を正当化する理由にはならないと判断しています。
暴力そのものが夫婦の信頼関係を根底から破壊する行為であり、回数の多寡は本質的な問題ではありません。
DV離婚を成立させる3つの手順
DV離婚を成立させるには、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの手順があります。

以下ではDV離婚を成立させるための手順を詳しく解説します。
手順1:協議離婚|直接交渉は避け弁護士を窓口にする
協議離婚では、双方が合意すれば、離婚届を提出するだけで離婚が成立します。
しかしDV加害者は、離婚を切り出されると逆ギレしたり、問題をすり替えたりして攻撃してくることが少なくありません。
被害者側も、相手への恐怖心から自分の希望を言えず、不利な条件を飲まされてしまう、あるいは話し合いが進まず心身ともに疲弊してしまうケースが多く見られます。
こうした二次被害を防ぐための有効な手段が、弁護士を代理人にすることです。
直接の接触を断てるため、安全を確保したまま、慰謝料や財産分与について対等な条件で交渉を進められるようになります。
安全に、かつ正当な権利を守りながら手続きを進めるために、弁護士のサポートを受けることは自分自身を守るための重要な選択肢となります。
手順2:離婚調停|顔を合わせず裁判所で話し合う
協議離婚がまとまらない場合は、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てます。
調停委員を介して話し合うため、加害者と直接顔を合わせる必要がありません。
特にDV事案では、裁判所側も安全面に配慮しており、以下のような対応をとることが可能です。
- 待合室を別々にする
- 出廷時間をずらす
- 住所を相手に知らせない
調停を有利に進めるには、調停委員に被害の実態を正しく理解してもらうことが重要です。
感情的になりすぎず、事実を時系列で整理して説明すると、説得力が増します。
診断書や写真、相談記録といった客観的な証拠があれば、必ず提出してください。
調停で合意に至らない場合は「調停不成立」となり、訴訟(離婚裁判)へ移行します。
手順3:離婚裁判|判決によって強制的に離婚する
調停が不成立となった場合、最終手段として離婚裁判を提起します。
離婚裁判では、DVが婚姻を継続し難い重大な事由に該当することを証拠によって証明しなければなりません。
提出した証拠を基に裁判官が判決を下すため、相手が拒否しても法的に離婚を成立させることが可能です。
また、裁判官は離婚の可否だけでなく、慰謝料や財産分与、親権、養育費といった諸条件もあわせて判断を下します。
もし判決が出ても相手が支払いに応じない場合には、給与や預貯金を差し押さえる「強制執行」の手続きをとることも可能です。
解決までの期間は1年から1年半程度が目安となりますが、弁護士が作成する主張書面の質が結果を大きく左右します。
後悔のない再出発のためにも、DV事案の実績が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
【関連記事】離婚手続きの種類と流れ | 離婚後にすべきことのチェックリストも紹介
DV離婚の慰謝料相場
DV離婚の慰謝料相場は一般的に50万〜300万円程度とされています。
ただし、金額は一律ではなく、DVの悪質性や被害者が受けた心身の後遺症によって大きく変動します。
具体的に慰謝料の算定で考慮されるのは、主に以下の要素です。
- DVの期間と頻度
- けがの程度(診断書の内容や、完治までの期間)
- 精神的後遺症(うつ病やPTSDの発症など)
- 子供への影響(子供の前で暴力を振るう「面前DV」など)
特に被害が深刻で悪質性が高いと判断された場合、相場を大きく上回る慰謝料が認められることもあります。
高額な慰謝料は、被害の実態を裏付ける客観的な証拠が積み重なることで認められるものです。
証拠が充実しているほど、相手の責任を厳しく追及し、相場以上の増額を期待することが可能になります。
【関連記事】DVで離婚する際の慰謝料相場は?請求手順と確実に慰謝料を獲得するための秘訣
慰謝料以外に請求できる費用
DV離婚では、慰謝料以外にも請求できるお金があります。
特に専業主婦や経済的DVを受けていた場合、財産分与の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、慰謝料以外に請求できる費用について解説します。
財産分与
婚姻期間中に築いた財産は、夫婦の協力によって得たものと考え、収入の差に関わらず原則として2分の1ずつ分配されます。
専業主婦であっても、家事労働は財産形成への重要な貢献とみなされるため、「収入がないから財産をもらえない」ということはありません。
財産分与の対象となるのは、主に以下の夫婦共有財産です。
- 預貯金
- 不動産
- 有価証券
- 退職金
- 保険の解約返戻金 など
名義が相手方になっていても、婚姻期間中に形成された財産であれば請求できます。
ただし、経済的DVを受けていた場合、相手が財産を隠しているケースが少なくありません。
財産隠しが疑われる場合、弁護士に依頼すれば、弁護士会照会や調査嘱託によって相手の財産を詳しく調査することが可能です。
【関連記事】財産分与は弁護士に相談しよう!|依頼するメリットや費用などを解説
子どもがいる場合の養育費
養育費は子どもの生活や教育のための費用であり、DVの慰謝料とは別に請求できます。
養育費は、子どもと生活を共にしない親に対しても法的な支払い義務が生じます。
養育費の金額は、裁判所が公表している「養育費算定表」を基準に、夫婦の収入と子どもの年齢・人数によって妥当な額が算出される仕組みです。
DVの加害者であっても、親としての扶養義務は消えません。
将来の不払いを防ぐには、離婚時に公正証書を作成しておくことが重要です。
公正証書に強制執行認諾条項を盛り込んでおけば、万が一支払いが滞った場合でも、裁判を通さずに相手の給与や預貯金を差し押さえることが可能になります。
子どもの福祉を守るためにも、養育費は妥協することなく、確実に確保しておくべき重要な権利です。
【関連記事】【離婚対策】子供に必要な養育費の決め方をわかりやすく解説|養育費算定表の見方も
別居時の婚姻費用
別居を開始してから離婚が成立するまでの間、収入の多い側から少ない側へ支払われる生活費を「婚姻費用」といいます。
法的に認められた正当な権利であり、たとえ別居していても、婚姻関係が続いている限り夫婦間の扶養義務は消えません。
特に、経済的DVで生活費を絞られていた場合は、重要な請求項目の一つです。
婚姻費用は、慰謝料とは別枠で請求できるため、離婚前から経済的な安定を確保できます。
金銭的な不安が軽減されれば、相手のペースに巻き込まれて不利な条件で離婚に応じる必要がなくなり、落ち着いて慰謝料や財産分与の交渉を進められるようになります。
家庭裁判所に「婚姻費用分担調停」を申し立てれば、相手が拒否しても支払いを命じてもらうことが可能です。
離婚・慰謝料請求に必要なDVの証拠5選
DV離婚を成立させ、適正な慰謝料を獲得するには証拠が不可欠です。証拠は複数の種類を組み合わせることで、より説得力が増します。
離婚や慰謝料を請求する際に必要なDVの証拠を解説します。
1. 医師による診断書や受診歴(最有力な証拠)
医師の診断書は、身体的・精神的被害を公的に証明する強力な証拠です。些細なけがであっても、必ず病院を受診してください。
第三者である医師による記録は裁判所での信用度が極めて高く、慰謝料の算定にも直接的な影響を与えます。
受診時は「配偶者からの暴力が原因」と伝え、カルテに詳しく記載してもらうことが重要です。
また、身体的なけがだけでなく、PTSDやうつ病といった精神的な被害も、診断書があれば慰謝料増額の根拠になります。
精神科や心療内科への継続的な通院記録も、被害の深刻さを示す有効な証拠です。
診断書を取得する際は、初診日や治療期間、今後の見通しなどを具体的に明記してもらってください。
被害が継続し、婚姻生活が破綻に至ったことを示す客観的な裏付けとなります。
2. 被害箇所の写真や壊された物の写真
けがの写真や壊された物の写真は、視覚的に被害を証明できる有力な証拠となります。
撮影時は、必ず自分の顔と一緒に写し込むことが重要です。
患部のみの写真では、相手から「別人の写真ではないか」といった反論を受けるリスクがあります。
傷やあざは、受傷直後から数日おきに経過を追うことで、被害の深刻さを客観的に示せます。
また、壊された家具や壁の穴など、暴れたあとの室内の様子も加害者の攻撃性を裏付ける重要な資料です。
スマートフォンでの撮影なら日時データが自動記録されますが、相手に発見されて削除されないようクラウドなどへバックアップし、厳重に保管してください。
3. メール・LINE・通話の録音データ
暴言や脅迫の録音、謝罪のメッセージは、加害の事実を裏付ける決定的な証拠になります。
特に目に見える傷跡が残りにくい精神的DVの立証において、極めて有効な手段です。
罵詈雑言を浴びせられている最中の音声データは、言葉による暴力を客観的に示せます。
スマートフォンの録音機能やボイスレコーダーを活用し、当時の緊迫した状況をありのままに記録しておくことが大切です。
「もうしない」「殴って悪かった」といった謝罪のLINEやメールも、価値が高い証拠です。
加害者自身が暴力を認めた証拠として、調停や裁判で相手が事実を否定した場合でも、強力な反論材料となります。
4. 具体的で継続的なメモや日記
毎日の被害を詳細に記録したメモや日記は、診断書や写真と組み合わせることで強力な裏付けになります。
記録する際は、日時・場所・具体的な内容を明確に書いてください。
「〇月〇日〇時頃、リビングで『死ね』と罵倒され、顔を平手で叩かれた」のように具体的に残します。
あとからの加筆や修正は、証拠の信用性を損なうため、絶対に避けてください。
手書きの場合はボールペンで、デジタルの場合は編集履歴が残るツールを使うと安心です。
被害を受けた時の恐怖心や「震えが止まらなかった」といった感情も記しておくと、被害の深刻さが伝わります。
5. 警察や相談機関での相談記録
警察やDV相談支援センター、市区町村窓口などの公的機関への相談履歴は、被害を訴えていた事実を客観的に証明する、極めて信頼性の高い資料です。
特に警察への相談実績は、身を守るための「保護命令」を申し立てる際にも不可欠な資料となります。
相談時は被害の内容を具体的に伝え、確実に記録に残してもらいましょう。
「相談した」という事実自体が、被害の深刻さを裏付ける強力な証拠になります。
後日、開示請求をおこなうことで、相談内容の控えを証拠として活用可能です。
今すぐ離婚を決断できなくても、外部に「足跡」を残しておくことは、将来の自分を守るための大切な備えになります。
一人で抱え込まず、まずは窓口へ相談し、公的な記録を作っておくことが重要です。
DVの証拠がない場合は離婚できない?
証拠がなくても、双方が合意すれば協議離婚は成立し、慰謝料の支払いも可能です。
しかし、相手が拒否して裁判に発展した場合は、DVの事実を証明する客観的な証拠が必要不可欠となります。
裁判所は提示された証拠に基づいて判断を下します。「DVを受けた」という主張のみでは、相手に否認された際の立証は困難です。
証拠の有無は結果を大きく左右しますが、現時点で不十分でも諦める必要はありません。
弁護士に相談すれば、これから証拠を積み上げる方法や、別居によって「婚姻の破綻」を既成事実化するなど、専門的な対策を立てられる可能性があります。
安全を確保しながら次のステップへ進むためにも、まずは一人で悩まず専門家へ相談することをおすすめします。
DV問題を弁護士に依頼するメリット3つ
DV離婚を進める際、弁護士に依頼することで得られるメリットは大きいです。
DV問題を弁護士に依頼する具体的なメリットを3つ解説します。
1. 相手との接触を完全に遮断し安全を確保できる
弁護士に依頼する最大の利点は、加害者との接触を断ち安全を確保できることです。
弁護士が窓口を一本化するため、被害者本人が直接やり取りする必要はなくなります。
弁護士が受任通知を送付すると、加害者は被害者へ直接連絡できません。無視して連絡を続けた場合は、法的措置の対象となることを警告します。
弁護士が窓口となることで、加害者に対する恐怖心や精神的負担が大幅に軽減され、落ち着いて新生活の準備を進めることが可能です。
また、弁護士は避難時の実務的なサポートもおこないます。
住民票の閲覧制限や郵便物の転送、子どもの学校への連絡など、身を守るための具体的なアドバイスを受けられるのも大きな強みです。
安全を最優先にしながら、正当な権利を守るための手続きを安心して進めることができます。
2. 有利な条件(慰謝料・親権・財産分与)を獲得できる
証拠の整理と法的な主張を弁護士に一任することで、有利な条件での解決を目指せる点も大きなメリットです。
診断書や写真、日記などの断片的な資料を法的に構成し、裁判官に伝わる説得力のある書面に仕上げるのは、専門家である弁護士ならではの強みといえます。
また、相手に財産を隠されている疑いがある場合でも、弁護士会照会などの制度を用いて詳細な調査が可能です。
適切な婚姻費用や財産分与を確保することで、離婚後の経済的な不安を解消できます。
さらに、子どもの前で暴力を振るう「面前DV」の悪影響を正しく主張することは、親権獲得において極めて重要です。
専門的な知見に基づき、子どもの福祉を最優先にした主張をおこなうことで、親権争いを有利に進めることが可能になります。
3. 保護命令の申し立てなどの法的手続きを迅速に行える
裁判所への申し立てや書類作成といった煩雑な手続きを、迅速かつ確実に進められる点は弁護士に依頼する大きな強みです。
専門知識が必要な手続きを一任できるため、心身の負担を抑えながら対策を講じられます。
身の危険がある場合は、裁判所へ「保護命令」を申し立てることが有効です。
接近禁止命令が発令されれば、加害者は被害者の住居や職場に近づくことが禁じられ、物理的な安全を確保できます。
さらに、調停や訴訟での膨大な書類準備に加え、将来の養育費不払いを防ぐ「強制執行認諾条項付き公正証書」の作成サポートを受けることも可能です。
目先の安全だけでなく、将来のリスクまで見据えた対策を講じることで、離婚後の安定した生活基盤を築くことができます。
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【参考】配偶者からの暴力の被害経験 | 内閣府男女共同参画局
【関連記事】DVを弁護士に無料相談できる窓口11選!相談するメリットや選び方も解説
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ただし、原則として面会交流は子どもの権利とされているため、面会交流の制限や拒否をする正当な理由と証拠が欠かせません。
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また、身の危険がある場合は、子への接近禁止命令といった法的な保護措置も検討してください。
完全な拒否が難しい場合でも、手紙や写真の送付のみとする間接交流や、第三者機関が立ち会う監視付き面会など、安全を確保するための条件を設定できます。
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Q. 過去のDVでも、今から慰謝料を請求できますか?
時効の期間内であれば、過去のDVに対する慰謝料請求は可能です。
不法行為の時効は原則3年ですが、身体的被害(生命・身体の侵害)の場合は5年となります。
また、離婚そのものに対する慰謝料は、離婚成立日から3年以内であれば請求できます。
ただし、年月が経つほど立証は難しくなるため、当時の診断書や写真、日記といった証拠の有無が重要です。
時効が迫っている場合は、内容証明郵便による催告で6ヶ月間時効を猶予させ、その間に訴訟準備を進める方法もあります。
いつの時点の被害まで遡れるか、証拠が有効かどうかの判断は非常に専門的です。
数年前のことであっても諦める前に、まずは弁護士へ相談し、法的な時効を確認することをおすすめします。
Q. 証拠が全くありません。絶対に離婚できないのでしょうか?
証拠がなくても、今から作れる証拠は多くあります。
まずは警察の生活安全課や配偶者暴力相談支援センターに相談してください。
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証拠が揃わない場合でも、別居を先行させて「婚姻関係の破綻」を客観的に示すことも可能です。
一定期間の別居実績があれば、DVの直接的な証拠がなくても離婚が認められやすくなります。
まとめ|DVの支配から脱却し安全な再スタートを切りたいあなたへ
DVは身体的暴力だけでなく、精神的、性的、経済的な支配もすべて離婚事由として認められます。
証拠を揃え、適切な手順を踏めば、相手が拒否しても離婚を成立させることが可能です。
慰謝料の相場は50万〜300万円程度ですが、被害の程度によっては500万円以上の判決も出ています。
財産分与、養育費、婚姻費用も別途請求でき、経済的な不安は軽減できます。
加害者との直接交渉はリスクが高いため、弁護士を窓口にすることをおすすめします。
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