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法テラスで離婚相談するメリットは?利用できる条件や有効活用するポイントも解説

弁護士監修記事
離婚トラブル
2024年08月26日
2024年08月26日
法テラスで離婚相談するメリットは?利用できる条件や有効活用するポイントも解説
この記事を監修した弁護士
川越 悠平弁護士 (東京桜の森法律事務所)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。
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法テラスで離婚相談をするか迷っている場合、自分でも相談可能か、ほかの機関に相談したほうがよいのかなど、気になる方もいるでしょう。

そんな方のため、本記事では、法テラスで離婚相談するメリット・デメリットや条件、利用方法などを解説します。

また、弁護士費用を抑えるコツについても紹介するため、法テラスを利用しないで弁護士に相談する場合を含め、よりよい選択ができるようお役立てください。

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法テラスの民事法律扶助業務で離婚相談するメリット

まずは法テラスの民事法律扶助業務にて、離婚相談する5つのメリットを紹介します。

要件を満たせば無料で離婚相談できる

法テラスの民事法律扶助業務での離婚相談は、収入などの要件を満たした場合に無料で利用可能です。

そのため、まずは無料相談の対象かどうかを、法テラスのホームページで確認しましょう。

なお、収入や資産の基準は同居家族などにより金額が異なる点に、ご注意ください。

無料相談の対象者は、同案件で30分、3回分の無料相談が可能となるため、費用をかけずに離婚に関する相談ができます。

要件を満たせば弁護士費用の立替制度を使える

一般的に、弁護士への依頼は相談料や着手金などを依頼時に支払う必要があります。

一度に数十万円の出費になるケースが多いため、手元にお金がなくて相談できない方もいるでしょう。

その点、法テラスは無料相談と同様に、要件を満たせば弁護士費用の立替制度を利用できます。

着手金・報酬金・実費の立替が可能なため、現時点で手元にお金がない場合でも依頼できる可能性があります。

弁護士費用が安くなる

原則として、法テラスの民事法律扶助業務を利用して弁護士に依頼した場合は、立替分の費用をあとから返済する必要があります。

法テラスの民事法律扶助を活用すると、直接法律事務所に依頼した場合と比較して費用を抑えられることがあるため、金銭面で不安な方は検討するとよいでしょう。

たとえば、弁護士の相談料は30分5,000円程度になることがありますが、法テラスに登録している弁護士に依頼すると同一案件であれば30分の相談3回分が無料になります。

ほかにも、報酬金の固定費用や実費が不要になる可能性もあることから、弁護士費用を抑えたい場合には、法テラスの民事法律扶助業務を利用するとよいでしょう。

返済は分割払いが可能なため、月々5,000円~10,000円程度の出費で済むケースが多いです。

生活保護受給者は立替金の返済が猶予・免除される

相談者が生活保護受給者の場合、弁護士費用の立替金の返済が猶予・免除される可能性がある点も、法テラスの民事法律扶助業務を利用するメリットです。

基本的に生活保護の受給中は返済が猶予され、事件終了後も生活保護を受給している場合は、返済の免除申請が可能です。

ただし、弁護士への依頼を通じて慰謝料などを回収できた場合は、そのお金を返済するよう求められる可能性があります。

適切な相談先を教えてもらえる

法テラスを通じた依頼をするとは決めていなくても、法テラスは適切な相談先を教えてくれるため、ぜひ活用してください。

離婚問題以外に借金や労働など、法的な問題は数多くあるため、そのなかから離婚に適した専門的な相談窓口を自分で見つけることは困難かもしれません。

そういった際、法テラスのサポートダイヤルを活用すると誰に相談すべきかをアドバイスしてくれます。

なお、電話受付は9時~21時まで(土曜日は9時~17時まで・日祝などは休み)、メール相談であれば24時間受付可能です。

法的トラブルが生じて困っている場合だけでなく、法的トラブルかどうかわからない場合にも、法テラスの専門オペレーターが問合せ内容に応じて法制度などについて案内してくれるケースがあるため、困っている場合は法テラス・サポートダイヤルへ問い合わせてみましょう。

法テラスの民事法律扶助業務で離婚相談などを利用できる人の条件

法テラスの民事法律扶助業務料(無料相談など)は誰でも利用できるわけではなく、次に挙げる3つの条件に該当しなければいけません。

収入と資産が条件以下である

相談者に経済的な余裕がある場合は自分で支払えるとみなされるため、法テラスへ相談する際は収入・資産が一定条件以下という状況が求められます。

なお、収入面における条件は「手取りの平均月収額が182,000円以下(生活保護一級地の場合は200,200円以下)」です。

上記の条件は家族人数が一人(申込者のみ)で暮らしている場合で、ほかに配偶者などがいれば人数に応じて金額が異なる点に注意してください。

なお、家族の人数が増えるほど基準の金額が高くなるため、事前に法テラス公式ホームページなどで確認しておきましょう。

なお、生活保護一級地とは東京都特別区や大阪府大阪市、神奈川県横浜市などを指しています。

また、家族人数が一人で、家賃または住宅ローンを負担している場合は、上記金額から41,000円(東京都特別区に住んでいる場合は53,000円)を控除できます。

一方、資産額は現金など預貯金を指し、資産の基準については、家族人数によって次のように設定されています。

【法テラスの無料相談における資産基準】
  • 1人:180万円以下
  • 2人:250万円以下
  • 3人:270万円以下
  • 4人:300万円以下

なお、収入も資産も配偶者の分を計算対象には含みます。

そして、将来支払うために備蓄した教育費や冠婚葬祭費がある場合は、その金額が控除される可能性もあります。

民事法律扶助の趣旨に適する

「民事法律扶助の趣旨に適する」とは、以下の状況を意味します。

【法テラスの民事法律扶助の趣旨に適する状況】
  • 援助を受けることが法律上、経済上の利益に向けられている場合
  • 社会正義、もしくは法に照らして援助することが適当でない場合

法テラスでは上記のように「民事法律扶助の趣旨に適するかどうか」を判断しているため、「単に報復したい」「権利濫用的な訴訟をしたい」という場合には、対象外となります。

具体的には、相手からのDVやモラハラによる慰謝料を受け取って離婚したい場合は、民事法律扶助の趣旨に適していると考えられますが、相手が嫌いで困らせたいために裁判を起こしたい場合は含まれないでしょう。

勝訴の見込みがないとはいえない

法テラスで無料相談をしたあと、代理援助・書類作成援助をしてほしい場合、「収入と資産が条件以下である」「民事法律扶助の趣旨に適する」という条件に加え、「勝訴の見込みがないとはいえない」との条件が求められます。

ここでいう「勝訴の見込みがないとはいえない」とは、勝訴判決の見込みがあるときのほか、弁護士や司法書士がつくことで、調停・和解・示談交渉などによる紛争の解決や、相談者の法律上の利益獲得が期待できる状況を意味します。

勝訴が見込めない場合は金銭的回収ができないとみなされ、相談を断られる可能性はゼロではありません。

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法テラスの民事法律扶助業務で離婚相談を利用する方法

法テラスの民事法律扶助業務における一般法律相談援助(無料相談)にて離婚相談を利用する方法は、大きくわけて2パターンあります。

それぞれの利用方法について解説します。

法テラスに直接申し込む

  1. 希望する法テラスの事務所へ電話、もしくはWebにて予約する
  2. 相談内容の整理・相手方から届いた書類などの準備をする
  3. 予約日時に弁護士へ相談する

直接法テラスに申し込む場合、相談希望の法テラス事務所が受け付けている方法で予約しましょう。

法テラスの各事務所に関する情報は、公式ホームページから都道府県ごとに検索して確認できます。

持ち込み方式

持ち込み方式とは、自分で探した弁護士に直接申し込み、法テラスを利用する方法で、利用方法は以下のとおりです。

  1. 法テラスの民事法律扶助契約弁護士・司法書士の事務所を探す
  2. 民事法律扶助対象の弁護士・司法書士に直接問い合わせる

自分で弁護士を探す労力はかかりますが、持ち込み方式の場合、離婚問題を得意とする弁護士を自分で選べるというメリットがあります。

法テラスの公式サイトにて、民事法律扶助契約弁護士・司法書士事務所のリストが掲載されているケースがあるため、自身の近くにある契約事務所があるかどうかを確認してみることも、ひとつの方法です。

なお、無料相談が可能な弁護士へ依頼しなければ別途相談料が必要になる恐れがあるため、民事法律扶助対象の弁護士・司法書士に直接問い合わせる際には、「弁護士名・司法書士名」と「法テラスのホームページを見て、民事法律扶助相談を受けたい」と伝えましょう。

法テラスでの離婚相談を有効活用するポイント

法テラスでの離婚相談を有効活用するためには、事前準備が欠かせません。

そこで、次に挙げる4つの準備をして、スムーズに相談できるようにしておきましょう。

事前に質問をまとめておく

法テラスへの離婚相談は時間制限があるため、疑問点を全て聞くことは難しいでしょう。

そのため、優先順位を付けて優先度の高いものから質問することをおすすめします。

また、質問内容は箇条書きにするなどして簡潔にまとめておくと、弁護士も回答しやすいでしょう。

慰謝料や養育費はどれくらい請求できるか、性格の不一致で離婚は可能かなど、質問事項は3個~5個程度にまとめておくと、時間や気持ちに余裕をもって相談できるでしょう。

目的を明確にしておく

ただ話を聞いてほしいといった相談の仕方では、弁護士がどのようにアドバイスすべきか迷ってしまい、話がまとまらないまま終わってしまうかもしれません。

そのため、離婚するにあたって、どのような結果を望んでいるのか、相手にどのような条件を承諾してほしいのかなど、目的を明確にして相談することが大切です。

たとえば、「離婚したいと切り出すことで相手に反省してもらいたい」「確実に慰謝料を受け取れなくてもよいから、早く離婚したい」「慰謝料として500万円を払ってもらったうえで離婚したい」など、どのような目的があって相談をするかによって、弁護士から提案してもらえる解決策は異なると考えられます。

また目的を事前に明確にすることで、相談可能な時間を有効活用できるでしょう。

事前に援助申込書を記入しておく

援助申込書とは、法テラスの民事法律扶助業務における無料相談や弁護士費用の立替えなどの、援助を申し込む際に必要な書類です。

弁護士との面談当日に援助申込書へ記載することも可能ですが、収入や資産状況などを記載する必要があるため、落ち着いて不備なく記載できるよう、事前に用意しておくことをおすすめします。

なお、援助申込書は法テラスのホームページからダウンロード可能なため、必要に応じて印刷するなどして作成するとよいでしょう。

離婚に強い弁護士を選ぶなら持ち込み方式を使う

法テラスへ直接申し込みをすると希望の弁護士に相談できない可能性があるため、離婚問題を得意とする弁護士に相談したい場合は、持ち込み方式を検討しましょう。

一方、持ち込み方式なら、法テラスの民事法律扶助契約弁護士・司法書士の事務所から好きに選べるため、希望の弁護士に依頼しやすくなります。

持ち込み方式で相談をする際には、検討中の弁護士が法テラスと民事法律扶助契約をしているか、離婚案件に関する実績はどうかなどに注目すると、法テラスの民事法律扶助業務を活用しつつ、離婚問題を得意とする弁護士を見極めやすくなるでしょう。

法テラスの民事法律扶助業務で離婚相談をするデメリット

法テラスの民事法律扶助で離婚相談をする際は、次に挙げる3つのデメリットも把握しておきましょう。

持ち込み方式でない限り、弁護士を選べない

持ち込み方式であれば、法テラスの民事法律扶助契約弁護士・司法書士の事務所をのなかから自分で弁護士を選べますが、法テラスへ直接予約した場合は選べません。

法テラスが弁護士を選任するため、離婚問題に精通していない、あるいは自分との相性が悪いなどの可能性が懸念されます。

そのため、自分の希望に合う弁護士に相談したい場合には、法テラスを介さず、直接弁護士へ依頼したほうがよいと感じるかもしれません。

審査に時間がかかる

法テラスの民事法律扶助業務で離婚相談の申し込みをすると、審査が出るまでに2週間ほどの時間がかかります。

そのため、すぐに相談したいと急いでいる方にとって、法テラスは不便と感じるかもしれません。

緊急性の高い離婚相談は、法テラスを利用せず、直接弁護士へ依頼することをおすすめします。

同じ事案の無料相談は1回30分を3回まで

法テラスへの相談は、条件を満たせば無料で利用できますが、同案件で1回30分、3回までという制限があるため、「時間が足りなかった」など、満足できない可能性があります。

事前に質問内容をまとめるなどの準備をしていなければ、時間を有効活用できず、満足できるまで離婚に関する相談ができないこともあるでしょう。

また、相談したいことが多い場合にも、法テラスの無料相談では物足りないと感じるかもしれません。

こういった点をふまえ、回数制限なしで同じ案件の相談をしたい場合、法テラスを利用せず、弁護士に申し込む方法も検討するとよいでしょう。

法テラスの離婚相談が利用できない!弁護士費用を抑えるコツ

法テラスの審査に落ちて離婚相談ができない場合、別の対策を講じることになるでしょう。

その際、有効な離婚相談先のひとつに弁護士が挙げられますが、なるべく費用を抑えたいと考える方は少なくありません。

そこで、ここからは弁護士費用を抑える3つのコツについて解説していきます。

法律相談が無料の弁護士事務所を利用する

弁護士への相談料は30分あたり5,000円~10,000円が相場とされているため、適切な相手を見つけるまでに相談料だけ支払う状況になる可能性があります。

そのため、少しでも費用を抑えたい場合には、各法律事務所の公式ホームページなどを見て、相談無料の弁護士を探してみましょう。

相談料無料の法律事務所を中心に比較すれば、賢く費用を抑えながら弁護士を選べます。

ただし、無料相談の時間は制限されているケースが少なくないため、与えられている時間を有効活用できるよう、事前に質問内容や依頼目的を整理しておきましょう。

複数の弁護士事務所から相見積もりをとる

弁護士の料金設定は自由化されているため、法律事務所によって異なります。

依頼内容は同じでも、料金が異なるケースがあるため、複数の法律事務所に見積もりを依頼して比較しましょう。

なかでも、注意すべき費用として、報酬金が挙げられます。

報酬金とは事件が成功に終わった場合に弁護士に支払う費用です。

どのような結果をもって成功とするかは事務所によって設定されているため、一部成功など、あまり満足できる結果にならなかった場合にも、報酬金を支払わなければならないかもしれません。

また、そのほかにも、収入印紙代や交通費などを指す「実費」についても、法律事務所によって異なります。

たとえば、移動時にグリーン車を使う法律事務所や、裁判所から遠く離れた法律事務所を選ぶと、実費が高くなりやすいです。

報酬金や実費など、実際の業務が終わらなければ金額が確定しないコストがある場合にも、可能な限り見積もりをとりましょう。

着手金や報酬金の後払い・分割払いを相談する

弁護士費用を抑えたい場合、なかには着手金や報酬金後払い、分割払いに対応してくれる法律事務所がある点もおさえておきましょう。

着手金や報酬金は数十万円の出費となるケースが多いため、お金がない状態では支払いが厳しいでしょう。

その点、後払い・分割払いに対応している法律事務所を選べば、慰謝料などの回収できたお金でまかなえる可能性があるため、費用を支払えない状況に陥りづらいでしょう。

ただし、着手金や報酬金の後払い・分割払いに対応している法律事務所は少なく、可能であっても、無条件で対応してくれるとは限らないため、必要に応じて利用条件などを確認するとよいでしょう。

さいごに|法テラスの利用が難しい場合は弁護士へ相談

本記事では、法テラスで離婚相談するメリット・デメリットや利用条件、利用方法などを解説しました。

法テラスは申込者の状況次第では無料相談や弁護士費用の立替え、さらには弁護士費用の削減などのメリットを感じられる可能性があるため、弁護士に直接相談するより出費を抑えやすいでしょう。

ただし、法テラスの無料相談には時間制限が設けられていること、自分に合った弁護士に相談できるとは限らないことなどデメリットもあるため注意してください。

また、審査に時間がかかる・審査落ちで利用できないなどのリスクもあるため、すぐに依頼したい場合や、法テラスの審査に受からなかった場合は、法テラスを利用せずに弁護士へ相談する方法も検討しましょう。

法テラスの民事法律扶助業務を活用せずに弁護士へ依頼する場合は、相談料無料や後払い・分割払い可能な事務所を探し、事前に見積もりをとるなどの工夫をすることで、より賢く利用できます。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
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