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迷惑防止条例違反として逮捕される行為とは?罰則・逮捕後の流れを解説

弁護士監修記事
刑事事件
2024年11月18日
2024年11月18日
迷惑防止条例違反として逮捕される行為とは?罰則・逮捕後の流れを解説
この記事を監修した弁護士
梅澤 康二弁護士 (弁護士法人プラム綜合法律事務所)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

粗暴行為(痴漢や盗撮など)」や「不当客引き行為」などで、平成29年には9,000人以上の人が、迷惑防止条例違反で逮捕されています。

このほかにも、ダフ屋・ショバヤ・景品買い・押し売り・たかりなどの行為も迷惑防止条例違反に該当し、状況によっては逮捕される可能性があります。

また、迷惑防止条例違反は、各都道府県によって対象範囲や罰則が異なります

この記事では、迷惑防止条例違反に該当する行為や、逮捕された場合の流れなどについて紹介します。

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迷惑防止条例違反で逮捕される行為

迷惑防止条例で逮捕される行為には以下のようなものがあります。

  1. 痴漢
  2. 盗撮
  3. 公共でのひわいな言動
  4. つきまとい行為
  5. 不当客引き行為
  6. その他

具体的な行為について紹介します。

痴漢

公共の乗り物(電車やバスなど)や公共の場所で相手の同意なく、衣類の上からもしくは直接相手の身体に触れた場合、迷惑防止条例違反として逮捕される可能性があります。

なお、昨今は痴漢行為が発覚した際に線路へ逃げる輩もいるようですが、このような行為は別の犯罪が成立する可能性もありますので、絶対にやめましょう。

痴漢が発覚した場合、その場で現行犯逮捕されるケースもあれば、任意同行を求められた先で逮捕されるケースもあります。

痴漢行為は通常は条例違反で立件されますが、態様が悪質である場合は「強制わいせつ罪」として立件されることもあります。

強制わいせつ罪の法定刑は6ヶ月以上10年以下の懲役と条例違反に比して格段に重いです。

盗撮

「盗撮」も迷惑防止条例違反として逮捕される可能性があります。盗撮とは、通常衣服で隠されている下着や身体を写真機などにより撮影したり、撮影する目的でカメラなどの機材を向けたり、設置する行為により、不当に人を羞恥もしくは不安を覚えさせる行為です(東京都)。

このように盗撮行為には実際に撮影する行為だけでなく、盗撮目的でカメラ等を向ける行為も含まれますので、「カメラを向けただけで実際には写真を撮っていない」という弁解は通用しません。

東京都では以下のような場所での盗撮行為を禁止しています。

  • 公共の場所
  • 公共の乗物
  • 公衆便所
  • 公衆浴場
  • 公衆が使用することができる更衣室
  • 公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所
  • 上記場所以外の住居・便所・浴場・更衣室
  • 不特定又は多数の人が、入れ替わり立ち替わり利用する場所・乗物

公共でのひわいな言動

公共の場でひわいな言動をしたり、音声を流したりすることは、迷惑防止条例に違反する可能性があります。

卑猥な言動かどうかは常識的な判断となりますが、例えば自分の性器などを見てほしいといったり、女性に「パンツを売ってほしい」と持ち掛けたりなどが卑猥な言動となり得ます。

通学中の女子高生にカーステレオから卑猥な音声聞かせたとして26歳男を逮捕 車の速度落とし20メートル並走

神奈川県警相模原南署は30日、カーステレオで女子高生に卑猥(ひわい)な音声を聞かせたとして、県迷惑行為防止条例違反(卑猥な言動)容疑で、東京都町田市南大谷の会社員、永見廉容疑者(26)を逮捕した。「女子高生に興味があり性的欲求を満たすためだった」と容疑を認めている。

引用元:産経ニュース|通学中の女子高生にカーステレオから卑猥な音声聞かせたとして26歳男を逮捕 車の速度落とし20メートル並走

つきまとい行為

特定の者や特定の者と社会生活上密接な関係のある者に対し、悪意ある感情を満たす目的で不安を覚えさせるような迷惑行為を禁止されています。

なお「不安を覚えさせる迷惑行為」とは具体的に以下のような行為が該当します。

  1. つきまとい
  2. 粗野・乱暴な言動
  3. 連続電話
  4. 汚物の送付
  5. 監視していると告げること
  6. 名誉を害する事項を告げること
  7. 性的羞恥心を害する事項を告げること

また、拒否されているのにも関わらず、SNSを通じて連続で投稿する行為も禁止されています (東京都)。

この場合の目的は「悪意の感情を満たすこと」という広い意味であるため、ストーカー規制法の定めるつきまとい行為(「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」としたつきまとい行為)よりも広くなることが想定されます。

男性が16年6月~17年9月、崔さんに対する嫌悪の感情などを満たす目的で、「民族性モロ出しの小賢(こざか)しさはムカつくぜ」「差別を楯(たて)にのうのうと暮らす在日朝鮮人を許さない」などと4回にわたり、崔さんの名誉を害する内容のツイートをしたというもの。

 男性は昨年5月、脅迫容疑で書類送検されたが、横浜地検川崎支部は今年2月22日に不起訴とした。崔さんの弁護団が同日、県迷惑行為防止条例違反容疑で同支部に告訴状を提出していた。(引用元:朝日新聞DIGITAL)

不当客引き行為

不当客引き行為とは、特定の相手に対し、公共の場所で立ちふさがったりつきまとったりして、居酒屋やカラオケ、風俗店などへ誘う行為です。

逮捕容疑は5月9日午後11時10分ごろ、同区の繁華街、木屋町通の路上で、取り締まりのため私服で警戒中だった男性警察官に、「キャバクラやったらええとこ紹介しますよ」などと声をかけ、不当な客引き行為をしたとしている。

 同署によると、男性警察官は、男にキャバクラ店まで案内されたところで、現行犯逮捕したという。(引用元:産経WEST)

また、悪質であったり、売春類似行為をするための客引きやキャバクラや風俗店への勧誘などを行ったりした場合、風営法に抵触し懲役が科せられる可能性があります

その他

ダフ屋(チケット類の高額転売)・ショバヤ・景品買い・押し売り・たかりなどの行為も迷惑防止条例に該当します。

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迷惑防止条例違反による罰則

迷惑防止条例は、規定されている迷惑行為の幅も広いため、罰則もさまざまです。

どの行為においても逮捕・起訴されてしまうと、罰金や懲役などの判決が下され、前科がついてしまうことになります

この項目では、迷惑防止条例の対象となる行為の大まかな分類や罰則についてご紹介します。

粗暴行為(痴漢・盗撮・公共での卑猥な言動・付きまとい行為)

痴漢・盗撮・公共での卑猥な言動・付きまとい行為などの粗暴行為の罰則は、 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

また、常習犯の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と罪が重くなります。

不当な客引き行為

不当な客引き行為では、各都道府県について以下のような罰則が科せられます。

  • 東京都 100万円以下の罰金
  • 埼玉県 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 千葉県 6ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金
  • 神奈川県 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 大阪府 50万円以下の罰金または科料

迷惑防止条例により懲役刑が科せられることもあり得ます。

逮捕される前に知っておきたい3つのこと

迷惑防止条例違反は、痴漢、盗撮、つきまといなど被害者がいる場合は、被害者と示談することで刑事責任が軽減される場合があります。

この項目では、示談交渉や弁護士に相談するタイミングについてご紹介します。

①被害者との示談交渉が進めば不起訴になることもある

逮捕された被疑者は、検察官による起訴・不起訴の判断を受けます。

日本では起訴された場合、統計上は90%以上が有罪となっており、たとえ事実を否定したとしても最終的に有罪の判断を受ける可能性は大いにあります。

他方、不起訴となった場合は刑事裁判が行われず、不処分となりますので前科がつくこともありません

特に初犯の場合ですが、被害者との間で早期に示談を成立させた場合、検察官がこれを被疑者に有利な事情として考慮し、刑事処分までは必要ないとして不起訴とすることはあり得ます。

②弁護士に相談するタイミングについて

弁護士への相談のタイミングですが、一般的には逮捕された直後に当番弁護制度を通じて行うケースが多いと思われます。

ただ、もし「迷惑防止条例違反になる行為を行ってしまったかもしれない」と不安に思う場合には、逮捕前であっても弁護士の法律相談を受けることで、今後の見通しやどのように対応するべきかについて的確なアドバイスをもらうことができるかもしれません。

③迷惑防止条例違反の時効について

刑事訴訟法第250条は刑事責任を追及することができる時間制限として定めています。

迷惑防止条例違反の場合、法定刑は通常は「長期5年未満の懲役もしくは禁錮または罰金にあたる罪」が予定されていますので、この場合の公訴時効は3年です。

ただし、逮捕されなかったからと言って無実になるわけではありません。特定の被害者がいるのであれば、弁護士を通して示談を行うことを強くおすすめします。

迷惑防止条例違反で逮捕された後の流れ

迷惑防止条例違反で逮捕された場合の流れと対処法について紹介します。

逮捕された後の流れ

惑防止条例違反で逮捕された場合の流れは、通常の刑事事件と同様です。

微罪処分となる場合は即時釈放されますが、逮捕されてしまった場合いは、身柄と事件記録が48時間以内に検察庁に送致されることになっています。

事件の送致を受けた検察は、24時間以内に身体拘束を継続しての追加捜査が必要かどうかを判断し、必要と認める場合は裁判所に勾留を請求します。

裁判所が勾留を認めた場合、被疑者は追加で最大10日間の身体拘束を受けることになり、勾留満期までに延長された場合、更に最大10日の身柄拘束を受けることになります。

そのため、逮捕から勾留期間が終わるまでの最長期間は23日となりますが、検察はこの期間内に起訴・不起訴の判断をします。

不起訴処分の場合や略式手続で罰金刑となる場合には、被疑者はその時点で身柄を解放されますが、正式裁判で起訴された場合には身柄拘束はそのまま続き、刑事裁判で処分が確定するまでは保釈されない限り解放されることはありません

迷惑防止条例違反は略式起訴となることも多い

以下の条件を満たす場合には、略式起訴という簡易的な刑事手続きで処理されることもあります。

  • 簡易裁判所が管轄できる事件であること
  • 『100万円以下の罰金または科料』に相当する事件であること
  • 略式起訴に関して被疑者の異議がないこと

略式起訴とされた場合、書面のみで刑事裁判が行われ、被告人には略式命令により直ちに罰金刑が言い渡され、被告人は即時釈放されます。

迷惑防止条例違反が軽微事案である場合、このような略式手続が選択される場合も多いです。

『準抗告』を行うことで釈放される可能性がある

被疑者は逮捕後に勾留された場合、準抗告(じゅんこうこく)という不服申立てをすることができます。

この準抗告により勾留処分が不当であると認められた場合は勾留決定が取り消され、被疑者は釈放されます(もっとも、検察官がなおも身柄拘束が必要であると考えた場合、当該決定に対して特別抗告がされることもあります)。

このような手続きを行いたいのであれば、速やかに弁護人に相談しましょう(勾留された場合、全件で国選弁護人を請求できますので、まずは国選弁護人に相談しましょう)。

任意同行を拒否した場合のリスク

犯行の現場に警察官が駆けつけたからといって、必ずしもその場で逮捕がされるとは限らず、任意同行を求められることも多いようです。

任意同行はあくまで同行するかどうか、相手の自由な判断に委ねるものですので、当然、これを拒否することもできます。

しかし、任意同行を拒否した場合、現行犯逮捕や緊急逮捕の要件が揃っていればその場で逮捕される可能性がありますし、その場はやり過ごせたとしても、後日、令状発布を受けて通常逮捕される可能性もあります。

もし犯罪事実を行ったことが明らかである場合には、警察の捜査に対して積極的に協力する方が不利益を最小限に抑えられる場合もあります

場合によっては任意同行先の警察署で事情を聞かれただけで逮捕されずに釈放されることもあり得ます。どのように対応するべきかはケース・バイ・ケースですので、その場の状況で判断するしかありません。

被害者がいる場合は弁護士を通じて示談交渉を行う

痴漢や盗撮など被害者がいる迷惑行為の場合は、弁護士を通じて示談交渉を行うことを積極的に検討するべきでしょう。

示談には、通常、被害者に対する被害弁償が含まれます。そのため、示談するということは、被害者の被った被害を填補する意味もあります。

また、示談が成立した場合には、このことが刑事処分を決定する上で、被疑者に有利な事情として考慮されることもあります

そのため、被疑者の立場としては、被害者に対する示談については積極的に検討するべきと言えます。

この場合、被害者との示談交渉は二次トラブルを防ぐためにも弁護人に依頼するべきでしょう。

迷惑防止条例違反による示談金の目安

一口に迷惑防止条例違反といっても行為累計は多数ありますし、犯罪の悪質性も犯罪毎に異なります。

そのため、迷惑防止条例違反について示談金の相場がいくらということは一概にはいえません。

もっとも、迷惑防止条例違反の事案で示談する場合、通常、示談金は10~50万円の範囲内収まるケースが多いのではないでしょうか。

実際に示談を進めるにあたっては、事件の性質、見通し、被疑者・被害者の状況等を総合考慮して妥当な金額を判断することになります。

この判断は刑事事件の知識・経験の乏しい素人には難しいものがありますので、弁護人に相談しながら進めるべきでしょう。

まとめ

迷惑防止条例違反は、都道府県ごとによって罰則や範囲が異なります

起訴され有罪判決にならなくても、逮捕され長期間、身柄拘束された場合、会社や周囲の人に逮捕されたことがバレてしまう可能性が高まります。

今後どうなるのかが不安、家族が逮捕されてしまいどうすればいいのかわからない人は、刑事問題解決の得意な弁護士へ相談ことをおすすめします。

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編集部
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