離婚調停の申し立てから終了までの流れ|調停の平均的な実施回数と期間
夫婦が離婚を検討するにあたって、当事者同士の話し合い(協議離婚)で考えや条件が合わない場合には離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員(男女1名ずつ)を間に入れ夫婦双方の言い分を聞いてもらい離婚成立を目指す手続きです。
離婚調停での離婚成立が困難だと裁判官や調停委員に判断された場合は、調停は不成立となり離婚裁判に移行することになります。
筆者も離婚調停を経験したことがあります。
今回は、その離婚調停に注目し実際に経験した事を踏まえてどのような手続きや流れで調停が行われていくのか説明していきたいと思います。
離婚調停の流れ
離婚調停の大まかな流れは以下の図のようになります。
離婚調停の申立て
離婚調停は一般的に相手方の住所を管轄している裁判所に申し立てることになります。
後述しますが、申立書等の必要書類等を揃え家庭裁判所に申し立てます。
第1回調停期日の決定
離婚調停を申し立ててから1回目の調停期日が決定次第、家庭裁判所から調停期日通知書が双方に送付されます。
第1回調停期日
調停期日通知書に指定されている場所や時間に出向き1回目の調停を行うことになります。
指定された時間の15分前までには到着し受付を済ますようにしてください。
調停用の待合室は申立人と相手方で待合室が分けられています。
お互いが顔を合わすことはありませんから安心してください。
また、調停はお互いの言い分を交互に聞くことになりますから、自分の番が来た際はプライバシーを考慮して事件番号で呼ばれることもあります。
1回目の調停には本人の出頭が義務付けられています。
もし連絡もなしに出頭しなかった場合は過料5万円が処せられる場合があります。
2回目以降の調停
1回目の調停で話の折り合いがつかず、また調停を行う必要があると判断された場合は2回目の調停期日を決め行うことになります。
調停を行う回数に制限はありませんから、必要とあれば何回でも行うことになります。
逆に、これ以上調停を行っても意味がなかったり、調停を継続するのが困難だと裁判官や調停委員が判断した場合は1回目の調停でも調停不成立として調停を終了させることになります。
複数回調停を行う場合は、裁判所の混み具合にもよりますが概ね1ヶ月から1ヶ月半に1回の調停期日が定められるようです。
筆者の場合は、調停成立までに4回の調停を行い約半年の時間がかかりました。
調停終了(成立・不成立)
上記でも書きましたが、お互いの主張が対立したままで話の折り合いがつかずこれ以上調停を継続するのが困難だと裁判官と調停委員が判断した場合は、調停不成立として調停を終了させることになります。
逆に、お互いが離婚することに同意し、親権や養育費、慰謝料などの条件についても同意がなされた場合は調停成立として調停が終了します。
この際に作成される調停調書は裁判の判決と同等の効力をもつことになります。
調停期日の流れ
実際に調停期日にはどのような流れで調停が行われるのでしょうか。
受付
家庭裁判所についたら指定されたフロアに行き受付を済ませて下さい。
筆者の場合は、受付はせず指定された待合室で待っていて、時間になれば調停委員から呼ばれる事になっていました。
裁判所によって多少違いがあるかもしれませんが、調停期日通知書に記載されていることに従ってください。
控室で待機
受付を済ませた後は控室で調停委員に呼ばれるのを待つことになります。
手続きの説明
1回目の調停期日の場合は、原則双方が出席の上調停の手続きや流れに関して調停委員から説明を受けることになります。
例えば、調停委員というものが間に入って交互に当事者から話を聞いて、合意の成立を目指す手続きであること、調停が成立した場合には調停調書が作成されること、不成立になった場合には裁判で決着を着けることになることなどの説明を受けます。。
別々に調停委員と話をする
手続きの説明が終わった後は、申立人と相手方で交互に調停委員と話をすることになります。
離婚に対しての考えや、離婚する条件に関して自分の考えていることを伝える場になります。
時間で言うと30分ずつくらいで、おおよそお互い2回ずつ交互に話しをすることになります。
次回調停期日を決める
お互いの言い分を聞いた後に調停委員がまた調停を開く必要があると判断した場合は、次回の調停期日をお互いの都合を聞きながら決めることになります。
離婚調停に要する期間
離婚調停を行う期間や回数に関しては人によって違います。
1回で終わる人もいれば、10回行う人もいます。
調停での解決が望めるのであれば何回でも行いますが、逆に調停での解決が全く見込めないのであれば1回の調停でも終了する場合がありますから、本当にケースバイケースといえるでしょう。
以下の図を見てもらうと、調停実施回数はおおよそ4回目までが多く、実施期間も6ヶ月以内が多くの割合を占めています。
【参考元】裁判所 婚姻関係事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所
離婚調停が成立した場合と不成立になった場合
調停が終了する場合は、調停が成立した場合か、不成立になった場合かのいずれかの場合です。
成立した場合
調停が成立した場合は、調停調書が作成され交付されます。
この時点では法律上は離婚は成立していますが、調停成立から10日以内に役所に離婚届を調停調書と共に原則として申立人が届ける必要があります。
不成立の場合
調停が不成立になった場合は、離婚裁判に移行することができます。
自動的に裁判に移行する訳ではなく、裁判を起こすかどうかはお互いの自由になります。
また、例外的に審判に移行する場合もあります。
審判とは、裁判官が離婚させたほうが夫婦のためになると判断した場合に行われる手続きになります。
長い時間がかかってしまう裁判とは違い、比較的迅速に決定が出る手続きになっています。
離婚調停を申し立てるのに必要なもの
離婚調停の申し立てに必要な書類は下記の内容です。
- 離婚調停申立書
- 添付書類(戸籍謄本・住民票等)
- 収入印紙・予納切手
また、調停を申し立てるのには諸々の費用がかかります。
離婚調停では何を相手に求めるかで相手との交渉方法が大きく変わります。
親権を獲得したい場合は相手に育てることが出来る環境が整っていないことなどを証明していく必要があります。
離婚調停で不貞行為やモラハラ・DV等の慰謝料請求を行い場合は、相手方にその行為があった事実を証明することが重要となります。
離婚調停における財産分与問題は非常にもめる可能性が高い内容です。
金額が大きい場合や借金がある場合等は特にトラブルになりやすいです。
まとめ
離婚調停はあくまで話し合いの場でありますから、一方が反対すれば調停は不成立になってしまいます。
筆者も当初は離婚することには同意せずにいましたが、調停の回数を重ねていくごとに冷静に考えることができ、お互いのこれからの事を考え離婚に同意した経緯があります。
意見が食い違うのは仕方のないことですが、ただ感情的になって反発しているだけではあなたのためにもなりません。
もう一度言いますが、調停はあくまで話し合いの場でありますから、お互いに冷静に建設的な話し合いができるように心がけてください。