給料未払いの相談先3選|未払いは法律違反なので堂々と請求しよう
「給料日を過ぎても賃金が振り込まれない」、「未払いが続いている」という場合は、未払いの給料を請求するための行動を起こすようにしましょう。
労働者にとって、会社の業績と労働賃金の支払いは別問題です。
今回は、未払い給料の請求手順と労働賃金に関する法律について詳しくご紹介します。
給料未払いが続いている場合の相談先
給料の請求をひとりで行うのは勇気のいることですよね。
また、「給料が支払われていないけど、このまま支払われないのだろうか」、「特殊な労働制度で請求方法がわからない」という場合もあります。
そんな時は、相談窓口を利用するというのもひとつです。
弁護士
未払い給料を請求するための交渉や書面作成、労働審判や裁判のことで不安があるという方は弁護士に相談することも可能です。
弁護士事務所によっては無料相談などを受け付けている場合もあります。
社内・社外の労働組合
給料の振込が遅れているという場合はまず、その事実を社内の人事部や労働組合に伝えましょう。
社内の労働組合では相手にされなかったという場合は、民間の労働組合などに加入するということもできます。
関連リンク:全国労働組合連合会
労働条件相談ほっとライン
相談をしにいく時間が取れないという場合や「労働問題が法律に違反しているかなどの相談をしたい」という場合は、厚生労働省の労働条件相談ほっとラインを利用するのもひとつです。
【フリーダイヤル】0120-811-610(はい! ろうどう)
携帯電話・PHSからも利用可能■ 開設期間: 平成26年9月1日(月)~ 平成27年3月31日(火)■ 受付時間: 平日(月・火・木・金) 17時~22時 土日 10時~17時 ※ 12月6日(土)は、12時~17時 ※ 年末・年始(12月29日~1月3日まで)は除く。
警察に相談しても解決には結びつかないことが多い
給料未払いについて警察に相談して刑事告訴をする場合、詐欺罪での立件を考えることになります。
しかし、大半の会社は入社当初は給与を支払う意思があるため、労働者を欺くことを狙いとした行為とはみなされないことが多いです。
労働者を欺く行為ではなく、やむを得ない事情で未払いとなってしまったことになるため、詐欺罪として立件することが難しいのです。
一方で、労働基準法には第24条にて賃金未払いを認めないことが記載されています。
1.賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2.賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
労働基準法 第24条より抜粋
もし会社が労働基準法違反を犯している場合は、罰則を受けることとなります。
労働基準監督署にまずは申告することをお勧めします。
ハローワークに相談しても業務範囲外なので解決にはならない
もしハローワーク経由で就職した会社で給料未払いが発生した場合、ハローワークに相談することを考えがちです。
しかし、ハローワークは職業の紹介が主な業務内容となるため、紹介先の給料未払い問題については管轄外になります。
給料未払い問題については労働基準監督署や弁護士に相談することをメインで考える方が良いでしょう。
給料未払いを許してはいけない3つの理由
給料が未払いになっていると「いつかは払ってくれるはず」、「業績があまり良くないから仕方ないのかな」と思う方もいると思います。
しかし、会社は従業員を雇用している以上、給料などの労働賃金は支払う義務があります。
また、業績不振によって会社が倒産しそうな場合でも「未払賃金立替払制度」などの従業員の給料を支払うための制度もあります。
この項目では、給料未払いを許してはいけない理由について詳しくご紹介します。
法律で決められているから
給料などの労働賃金の支払いは、労働基準法24条に定められています。
また、会社は給料以外にも様々な労働賃金を支払わなければなりません。
会社が労働基準法24条に違反して従業員の給料を未払いの状態にしていた場合は、30万円以下の罰金が科されることもあります。
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
○2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。(非常時払)
引用元:労働基準法
会社が倒産しても賃金を支払う方法はあるから
会社の業績不振によって、会社が倒産してしまったという場合は「未払賃金立替払制度」を利用することで従業員に給料が支払われます。
未払賃金立替払制度が利用できるのは以下の条件に当てはまる会社です。
- 使用者が1年以上事業活動を行なっていること
- 会社が倒産していること
関連リンク:厚生労働省|未払賃金立替払制度の概要と実績
賃金の請求権には時効があるから
未払いの給料で悩んでいる方に気をつけていただきたいのは、賃金請求の時効です。
給料や残業代、労災の請求などは2年間をすぎてしまうと時効消滅してしまい、請求することができなくなってしまいます。
第百十五条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
引用元:労働基準法
時効が迫っている方へ
未払い給料の時効期限が迫っているという方は、なるべく早く「会社に請求書を送付する」を行なってください。
請求書を送り、支払って欲しいという意思を表示した場合は半年間時効が停止し、その後訴訟や労働審判を起こすことで時効を中断させることができます。
退職時や現職中の給料が未払いの時の対処方法
「給料の未払いが数ヶ月続いている」、「今月も支払いが遅れると言われた」という場合は、未払いの給料を会社に請求して取り返しましょう。
給料未払いの手順は以下の通りです。
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各手順については、この項目でご紹介して行きます。
労働時間の記録を残しておく
タイムカードや業務日報など、労働時間の記録をコピーして記録に残しておくようにしましょう。
タイムカードや業務日報などがない場合は、ノートなどに手書きで勤務時間を記録しておくというのもひとつです。
請求する未払い給料の金額を確認する
勤務時間の記録から請求する未払い給料の金額を確認します。
残業代などがない場合は、募集要項や労働契約書、給与規定などの書類に書かれている額面をそのまま請求します。
残業などがある場合は残業代の計算も行い、一緒に請求することができます。
会社に請求書を送付する
請求する金額が確定したら、会社に給料の支払い請求を行います。
未払い給料の支払いは下記のような書面を作成して送付します。
普通郵便で送る
請求書はまず、普通郵便で送るようにしましょう。
郵送する際は、領収書や送った書面の控えなどをとっておくと、証拠として残すことができます。
書面を郵送したにもかかわらず、会社側から反応がない場合は、内容証明郵便での送付を検討して下さい(最初から内容証明郵便を送付してもOKです。)。
内容署名郵便で送る
内容署名郵便とは、郵便局が送った書面の内容を謄本として証明するサービスです。
内容証明郵便は裁判などで証拠としても扱われるため、会社に請求の意思をより強く示すことができます。
労働基準監督署に申告する
内容証明郵便での請求書送付を送ったのにも関わらず給料の支払いが行われない場合は、労働基準監督署に申告しましょう。
労働基準監督署に申告する場合は、会社が所属する県庁所在地にある労働基準監督署が管轄となります。
関連リンク:厚生労働省|都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
労働審判を申立てる
労働基準監督署での問題解決が難しい場合は、労働審判を申し立てることも可能です。
労働審判は、地方裁判所で行う紛争解決のための審判です。
労働問題を専門とした審判官1名、審判員2名が解決のために審判を下します。
引用元:裁判所|労働審判手続
裁判を起こす
労働審判でも判決に納得がいかない場合は、通常の裁判になります。
裁判では、弁護士の力が必要になりますので、早い段階で相談するようにしましょう。
なお、労働審判を行わず、いきなり訴訟を提起することも可能です。
退職後であっても2年以内の未払いの給料は請求できる
給料が支払われないから会社を退職した場合であっても、労働賃金の請求はできます。
先の項目「賃金の請求権には時効があるから」でもお伝えしましたが、未払い給料などの請求権は2年間分で時効消滅します。
しかし、2年以内のものであれば、退職した後であっても請求することができるのです。
アルバイトの給料未払いの対処法
アルバイト先で給料が未払いの場合は、自分でできることをまずは実行することが大切です。
内容証明郵便で未払い分の請求書を送ったり、アルバイト先に未払い分の支払いを求める旨の連絡を入れる等、自分で出来ることは多くあります。
まずは自分でできることからやっていきましょう。
自分でできる請求方法
アルバイト先に連絡する
まずはアルバイト先にコンタクトをとり、未払い給与分を請求しましょう。
この際、具体的な未払い給与金額と算出根拠を明確にしてから連絡することをお勧めします。
必ずアルバイト先の給与を管理している人は賃金のどの部分が未払いなのかを確認するからです。
タイムカードの記録を必ず取ることで、客観的に未払い分の算出根拠を出せる準備をするようにしましょう。
また、電話では脅迫めいた発言をされる可能性があり、連絡をはばかられる場合は通話内容を録音しておきましょう。
脅迫めいた発言があった場合、脅迫罪に該当する可能性があります。
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
刑法第222条 条文より抜粋
電話を録音しておくことで、脅迫があった場合、給料未払い分の請求以外にも刑事事件としての立件も視野に入れることが出来るようになります。
内容証明郵便で給料未払い分の請求書を送る
アルバイト先への直接連絡で、解決しない場合は未払い分に対する請求通知書を送付します。
未払いに対して、本気で請求していることを相手に伝えることが出来ます。
また、『法的手続きを取ることを考えている』といった内容を最後に挿入することで、相手に対して警告の意味合いを持たせることが出来ます。
具体的な請求書のフォーマットはリンクをクリックしてご覧ください。
給料未払いの相談先
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談することで、企業に指導勧告を行ってもらうことが出来ます。
しかし、労働基準監督署は企業に対して給与未払い分の支払いを命令することはできません。
強制力はない点に注意しましょう。
また、労働基準監督署が調査に入った場合、アルバイト先に誰が通報したのか知られる可能性があります。
今後も継続して勤務したい場合は、慎重に行動した方が良いでしょう。
また、労働基準監督署に実際に動いてもらうためには、未払金があることを証明する証拠が必要です。
証拠となる資料は以下のようなものが当てはまります。
- 給与の振込先通帳
- 会社に未払い分を請求した請求書
- 会社との未払い分に対してやり取りした内容の録音やメール
- 給与未払い被害を受けている同僚の証言
証拠がない場合は弁護士に相談
弁護士に相談することで、給与未払いの証拠となる資料が現状なくても具体的な証拠集めのアドバイスをもらえることがあります。
また、弁護士に依頼することで未払い給与に対して、代理で請求を行ってくれます。
証拠集めが現状不十分な場合は、弁護士にまず相談することをお勧めします。
給料未払いで生活できない場合の対処法
給料未払いで生活が難しいほど手元の資金が枯渇している場合は
生活手段を確保する
日払いアルバイトを探す
手元のお金がない場合は、支払いがすぐに行われることが仕事選びにとって最重要な項目になります。
日払いアルバイトは、実は飲食店等でも取り入れているところがあります。
日払いといえば、夜の仕事や土木業務のイメージが強いですがそれ以外にも探せばあります。
カードローンで当面の生活費を確保する
カードローンで借り入れを行うことで、転職までの期間の生活費を確保することができます。
返済に転職先の給料を充てることで当面の生活費を確保することができます。
もし退職前提で1年以上の勤務実績がある場合は失業給付を申請する
退職することが前提で1年以上の勤務実績がある場合は、失業給付金の支給をハローワークで申請しましょう。
失業給付金は年齢によって計算式が変化します。
どれくらい失業給付金がもらえるか気になる場合はこちらのサイトをご覧ください。
弁護士に相談する
生活が出来ないほど手元に資金がない場合は、一刻も早く給料未払い分の請求を行うことが重要です。
あなた自身で会社への連絡をしたり、請求書を内容証明で送っていては時間かかかりすぎでしまいます。
一刻も早く給料未払い分を支払ってもらいたい場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、給料未払い分請求を最短で成功させる手順を教えてくれます。
実際に弁護士に未払金請求を依頼する際に、弁護士費用がないというお悩みがありますよね。
実は法テラスを活用することで、弁護士費用の立て替えを行ってくれる場合があります。
しかし、法テラスで弁護士費用の立て替えを行ってもらうには法テラスが指定する条件を満たしている必要があります。
まとめ
働いたぶんの労働賃金は支払われるものです。
その一方で、未払い給料の請求権は2年間の時効もあります。
「給料が振り込まれていない」、「このまま支払われないんじゃないか」という漠然とした不安を持っている方も、未払い給料請求のための行動を少しずつ起こしていきましょう。
この記事で、給料の未払いに悩まされている方の手助けができれば幸いです。