近くの弁護士・法律事務所を探せる検索サイト

異母兄弟に相続させないためにはどうする?生前からできる対策とトラブル対処法

弁護士監修記事
遺産相続
2025年02月04日
2025年02月04日
異母兄弟に相続させないためにはどうする?生前からできる対策とトラブル対処法
この記事を監修した弁護士
安藤 俊平弁護士 (葛南総合法律事務所)
遺言書や相続人間のトラブル防止など相続開始前のご相談から、相続開始後のお悩みまで、税理士・司法書士等の他士業と連携のうえワンストップでご対応可能。LINEから予約可能で、相続放棄に特に注力しています。
法律事務所のプロフィールを見る
  • 「異母兄弟に遺産を相続させない方法はないのか」
  • 「異母兄弟と遺産相続でトラブルになった場合はどう対処すればよいのか」

通常、父母の遺産を相続する際は、異母兄弟も法定相続人になります。

しかし、異母兄弟との関係性が悪く、なんとかして相続を阻止できないかと考える人は少なくありません。

そこで本記事では、異母兄弟がいる場合の相続に関する決まりと、異母兄弟に相続させないために取るべき対策について解説します。

異母兄弟との間で起こりやすいトラブル事例や対処方法なども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ相続で
遺産相続に強い弁護士を探す
目次

異母兄弟に相続させない方法を考える前に把握しておくべき知識

異母兄弟に遺産を相続させたくない場合には、まず相続に関する正しい知識を把握しておく必要があります。

ここでは、父親が亡くなった場合を想定し、法律で定められた異母兄弟の相続に関する決まりについて解説していきます。

異母兄弟も父親の子どもとして法定相続人になる

相続が発生した場合、異母兄弟であっても父親の子という立場に変わりはないので、そのほかの子と同様に法定相続人となります。

異母兄弟の例としては、父親の前妻の子ども、父親と婚姻関係にない相手が生み父親が認知している子どもなどが挙げられます。

認知されていない愛人の子ども(=異母兄弟)は法定相続人にならない

父親と婚姻関係がない愛人との間に生まれ、認知されていない子どもは、法定相続人に該当しません

血縁上は父親の子どもであっても認知手続きをおこなわないと、法律上父親の子どもとみなされないためです。

認知の方法には、以下の5つの方法があります。

  • 任意認知:父親が自ら認知をおこなう
  • 強制認知:父親が任意で認知しない場合に、非嫡出子の子どもなどが訴えを提起して、認知の効果を発生させる
  • 胎児認知:非嫡出子の子どもが生まれる前に父親が認知をおこなう
  • 死後認知:父親の死後3年以内に、非嫡出子の子どもなどが訴えを提起して、認知の効果を発生させる
  • 遺言認知:父親が遺言者で非嫡出子の認知をおこなう

すでに父親が亡くなっており、認知に関する遺言書も残されていなかった場合は、死後認知によって愛人の子どもが法定相続人になる可能性が残されています。

異母兄弟に相続権が発生する可能性がある2つのケース

異母兄弟に相続権が発生する可能性があるケースは、以下の2つです。

父親が死亡し異母兄弟に相続権が発生するケース

父親の子どもであれば、父親が死亡した際に異母兄弟であっても相続権が発生します。

異母兄弟であっても、ほかの子どもと同等の相続権があります。

兄弟が死亡し兄弟間で異母兄弟に相続権が発生するケース

兄弟が亡くなった場合に、異母兄弟にも相続権が発生するケースがあります。

法定相続人になれるのは、配偶者と血族です。

血族には、父母や祖父母といった直系尊属と、子どもや孫などの直系卑属、兄弟の3つがあり、異母兄弟はこのうちの兄弟に当たります。

ただし、兄弟は直系卑属、直系尊属に次ぐ第三順位に位置しています。

そのため、異母兄弟が相続人になれるのは、原則として、亡くなった兄弟に子どもや親がいない場合に限られます。

異母兄弟の相続順位と法定相続分

法定相続人とは、民法により定められた「被相続人の遺産を相続できる人」のことで、法定相続分とは同じく民法により定められた「相続人が二人以上いる場合にそれぞれに相続される遺産の割合」のことです。

被相続人がなくなった場合、配偶者は常に法定相続人となります。

配偶者以外の親族には以下のように相続順位と法定相続分が決められていて、最も高順位の人物だけが相続できる仕組みになっています。

相続順位 相続人 法定相続分
第一順位 子や孫(直系卑属) 1人当たり2分の1を人数で割った割合
第二順位 親や祖父母(直系尊属) 1人当たり3分の1を人数で割った割合
第三順位 兄弟姉妹や甥・姪 1人当たり4分の1を人数で割った割合

法定相続人

父親が亡くなった場合、その子どもは第一順位の相続人です。

法律上の親子関係があれば、母親が誰かは関係ありません。

つまり、異母兄弟を含む被相続人の子どもは配偶者とともに法定相続人となり、遺産の2分の1を相続し、兄弟間で分け合うことになります。

異母兄弟も遺留分を主張できる

異母兄弟であっても、ほかの相続人と同様に遺留分を主張できます

遺留分とは、被相続人の兄弟・甥姪以外の法定相続人に最低限保証された遺産取得分です。

例えば、遺言書に「前妻との子どもには一切の財産を取得させない」と記載されていても、異母兄弟が被相続人の子どもである以上は遺留分を主張できます。

主張できる遺留分は、本来の法定相続分の2分の1です。

異母兄弟に相続させないための6つの方法

異母兄弟がいる場合、何も対策をしないでいると法律で定められたとおりの割合で、遺産相続がおこなわれます。

しかし、ここで解説する5つの方法を実行すると、異母兄弟に相続をさせない、または相続財産を減らすことが可能です。

ここでは、その5つの方法を解説していきます。

1.被相続人に遺言を用意してもらっておく

異母兄弟に相続させないための方法のひとつは、被相続人に「異母兄弟に遺産を相続させない」と明記した遺言書を作成してもらうことです。

遺言書には原則として従うことになるため、異母兄弟は遺留分を主張しない限り遺産を相続できません。

また、遺留分を主張しても本来受け取れる遺産の2分の1しか相続できないので、異母兄弟の手に渡る遺産を大きく減らすことができます。

なお、被相続人自身の異母兄弟が相続人になっている場合、異母兄弟に遺留分はありません

そのため、遺言書で異母兄弟に遺産を相続させない旨が記載されていれば、通常、異母兄弟は遺産を相続できなくなります。

2.被相続人から生前贈与を受けておく

生前贈与とは、被相続人が生存中に財産を他者に贈与することを指します。

生前贈与された財産は、贈与された時点で被相続人の財産ではなくなるため、遺産分割の対象外です。

そのため、本来遺産分割で各相続人に引き継がれるはずだった財産を生前贈与で受け取っておけば、異母兄弟の取り分を減らすことができます。

ただし、生前贈与で得た財産は特別受益にあたると判断されるおそれがある点に注意してください。

特別受益として認められてしまうと、受贈者はすでに遺産の一部を相続しているもののみなされ、遺産分割時に持ち戻し計算がおこなわれます。

遺産分割時の持ち戻しを避けるためには、被相続人から遺産分割時に持ち戻しを免除する旨の意思表示が必要となります。

また、特別受益を考慮したうえで、異母兄弟から遺留分侵害額請求を受ける可能性もあります。

3.被相続人から死因贈与を受ける

死因贈与とは、被相続人が死亡した時点で生前に指定していた財産を受贈者に贈与するという、贈与契約の一種です。

生前に財産を渡す方法を指定しておくという点においては、遺言書による相続と変わりがありません。

死因贈与が遺言書による相続と大きく異なる点は、不動産を生前に仮登記できるということです。

そのため、自分の死後不動産を特定の方に譲りたいと考えている場合には、死因贈与が確実な方法であるといえます。

ただし、死因贈与した財産は贈与税ではなく相続税の課税対象となるので、注意が必要です。

また、死因贈与によって、特別受益や遺留分侵害が問題になることも多いので、事前に対策しておきましょう。

4.被相続人に生命保険を利用してもらう

被相続人が相続人よりも年齢が高いなどの理由で、先に亡くなることが予想される場合には、生命保険を利用する方法も考えられます。

被相続人が被保険者と保険料負担者となり、相続人を保険料の受取人とします。

死亡保険金は受取人の固有財産となるため、遺産として分割する必要がありません

全ての財産を生命保険に代えることは難しいですが、異母兄弟への相続財産を減らす効果はあります。

また、死亡保険金は相続税の課税対象になりますが、以下のような非課税枠があるので、最低でも500万円は課税されません。

  • 死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の人数

例えば、法定相続人が二人、死亡保険金が700万円だった場合、非課税枠は「500万円×2人=1,000万円」となるため、死亡保険金は全額非課税になります。

5.被相続人が相続廃除の申立てをする

被相続人が相続廃除の申立てをおこなうことも、異母兄弟に相続させないための方法のひとつです。

相続廃除とは、相続人が虐待や重大な侮辱、そのほかの著しい非行などによって、被相続人に大きな身体的または精神的苦痛を与えた場合に、被相続人が家庭裁判所に申立てをおこない、相続人としての地位をはく奪する手続きのことです。

相続廃除の対象となった人物は、遺留分の請求もできなくなります。

ただし、相続廃除された人物に子どもがいる場合は、代襲相続によって相続権が移る点に注意してください。

6.異母兄弟に相続放棄をしてもらう

異母兄弟の理解を得られるのであれば、相続放棄してもらうことも検討してみましょう。

相続放棄とは、相続が発生した際に相続人としての権利や義務を放棄する手続きのことです。

異母兄弟が相続放棄をおこなうと相続人ではなくなるため、父親の財産を相続することもできなくなります。

なお、相続放棄は相続が発生してから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があり、その後の申立ては原則として認められません。

異母兄弟がいる場合の相続手続きの進め方

ここでは、異母兄弟がいる場合の相続手続きの進め方について解説していきます。

1.遺言書の有無を確認する

まず初めにおこなうことは、被相続人が遺言書を残しているかの確認です。

法的に有効な遺言書が残されている場合、原則として遺言書で指示されたとおりに遺産分割などを進めることになります。

なお、遺言書が自筆遺言書または秘密証書遺言書の場合には、裁判所で検認手続きをおこなう必要があります。

2.相続人調査をする

遺言書の有無が確認できたあとは、相続人の調査を進めましょう。

そもそも誰が相続人にあたるのかを確定させなければ、遺産分割協議を進めることはできません。

通常は被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本をそろえて、被相続人の子ども・両親・孫などの続柄にある人物を調べ、相続人を確定していきます。

相続人調査では、関係する人物の戸籍謄本を集めていく必要があるため、膨大な手間と時間がかかります。

特に異母兄弟がいる場合は、離婚・再婚などによる転籍が関係してくるので、戸籍謄本の取得手続きが煩雑になりやすいです。

そのため、相続人調査については、弁護士などに依頼することをおすすめします。

異母兄弟がいる場合は、結婚・離婚・再婚などによる転籍の回数が多いケースがほとんどなので、複数の戸籍謄本を取得しなければならないケースがほとんどです。

3.相続財産の調査をする

相続人調査のめどがついた段階で、相続財産の調査にも着手しましょう。

相続財産の調査とは、被相続人の財産を全て洗い出し、財産の総額を確定させることです。

相続財産には、預貯金や株式・信託投資などの有価証券、貴金属・車などの動産、土地・建物などの不動産をはじめ、あらゆる財産が含まれます。

しかし、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含まれるため、こちらもしっかりと調べておきましょう。

4.異母兄弟にも呼びかけて遺産分割協議をする

相続人・相続財産が確定すれば、異母兄弟にも呼びかけて遺産分割協議をおこないましょう。

遺産分割協議とは、誰がどの財産をどの程度相続するかについて話し合うことです。

民法では各相続人の法定相続分が定められているものの、遺産分割協議で全員が合意すれば、遺産分割の方法を自由に決めることができます。

この時点で、異母兄弟の合意を得られれば、遺産を相続させずに済ませることも可能です。

遺産分割協議がまとまったら、その結果を遺産分割協議書に残しておきましょう。

遺産分割協議書には、必ず相続人全員の自署と実印の押印が必要となります。

相続人が一人でも欠けていると、協議内容が無効になってしまうので注意してください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ相続で
遺産相続に強い弁護士を探す

異母兄弟がいる場合の相続における注意点

異母兄弟がいる場合の相続は、一般的な相続より慎重におこなう必要があります。

ここでは、異母兄弟がいる場合の相続における注意点について解説していきます。

遺留分を請求される可能性がある

異母兄弟がいる場合の相続では、遺留分を請求される可能性がある点に注意しておきましょう。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証された遺産取得分です。

生前贈与・死因贈与・遺贈などによって引き継がれた財産は、遺留分侵害額請求の対象になり得ます。

例えば、遺言書に「異母兄弟には遺産を相続させない」と記述されていても、異母兄弟から遺留分侵害額請求がおこなわれると、遺留分に相当する金額を原則現金で渡さなければなりません。

異母兄弟も遺産分割協議には必ず参加しなくてはならない

遺産分割協議には、異母兄弟を含め、法定相続人全員が出席しなければなりません。

相続人が全員揃っていない状況でおこなわれた遺産分割協議は無効です。

しかし、異母兄弟とはお互い顔を合わせたことがないケースも多く、またお互い相手に複雑な感情を抱くことも少なくないため、トラブルが起こる可能性が高くなります。

そのため、遺産分割協議をおこなうときには、相手の立場に立って考え、配慮を怠らないようにしましょう。

なお、相続人全員が同じ場所に集まる必要はなく、電話やWeb会議ツールで話し合うことも可能です。

死後認知によって異母兄弟が出現する可能性もある

相続においては、死後認知によって異母兄弟が出現するケースもあります。

死後認知とは、被相続人の死亡後に異母兄弟などが家庭裁判所に認知の訴訟を提起し、被相続人との親子関係を成立させることです。

被相続人が婚姻関係のない相手との子どもを認知しないまま亡くなった場合であっても、死後3年以内に死後認知の訴訟を起こし、それが認められれば認知の効果を生じさせることが可能です。

死後認知が認められた場合には、法的な親子関係が成立するため、その子どもは法定相続人となります。

この場合、認知された子どもも含めて遺産分割協議をおこないます。

すでに遺産分割協議が終わっているのであれば、わざわざやり直す必要はありません。

ただし、遺産を受け取った相続人は認知された子どもに対し、現金で相続分に相当する金額を支払う必要が出てきます。

異母兄弟との相続でよくあるトラブル

異母兄弟がいる相続では、しばしばトラブルが発生します。

その中でも、特に起こりやすいトラブルについて解説していきます。

異母兄弟と連絡が取れない

異母兄弟であっても被相続人の子どもという立場に変わりはないので、当然相続人となります。

しかし、異母兄弟の存在は知っていても、今どこで何をしているかということまで把握しているケースはあまりありません。

そのため、相続人全員の参加が必須となっている遺産分割協議をおこなう際に、異母兄弟と連絡が取れないことが考えられます。

連絡先がわからない場合には、被相続人の戸籍をたどり異母兄弟の本籍を調べ、戸籍の附票を取得して住所を突き止めるといった作業が必要です。

ただし、連絡したところで異母兄弟が応じてくれるとも限らないので、可能であれば、被相続人が生きているうちに面識をもっておくようにしましょう。

遺産分割協議がまとまらない

異母兄弟が相続人となっている場合は、遺産分割協議がまとまらないケースも多くみられます。

遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の合意が必要です。

しかし、異母兄弟と対立関係にあったり、そもそも疎遠な関係だったりする場合には、意見が折り合わない可能性が高くなります。

状況次第では当事者間での協議を断念し、遺産分割調停に踏み切らなくてはなりません。

異母兄弟と相続についてトラブルになった場合の対処法

相続に関して異母兄弟とトラブルになる例は、珍しくありません。

ここでは、トラブルになってしまった場合の対処法について解説していきます。

家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

相続人同士で遺産分割協議をまとめられないときには、家庭裁判所へ遺産分割調停の申立てをおこないましょう。

裁判官と調停委員による仲介のもとで、話し合いによる和解を目指すことができます。

調停で和解できなかった場合には、自動的に審判へ移行します。

審判に移行した場合には、決着がつくまで早くて半年、一般的には1年近くの時間がかかってしまうため、各相続人は大きな労力と長い時間を費やさなければなりません。

弁護士に相談をする

異母兄弟と相続に関するトラブルが起こってしまったら、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼すれば、異母兄弟との交渉を任せることが可能です。

異母兄弟と直接関わる必要もなくなるため、精神的な負担を軽減できます。

また、弁護士は依頼者の代理人となって、調停や審判に必要な手続きをおこなってくれます。

調停・審判が始まると、平日の日中に裁判所まで足を運ばなければならないため、普段から仕事や家事で忙しくしている方にとっては、弁護士のサポートが大きなメリットに感じられるでしょう。

異母兄弟との相続トラブルを防ぐには

異母兄弟との遺産についての話し合いは、トラブルが起こりやすいものです。

しかし、事前に対策を取っておくことで、トラブルを防げる可能性が高くなります。

ここでは、異母兄弟との相続トラブルを防ぐ方法について解説していきます。

法的効力のある遺言を確実に用意しておく

法的効力のある遺言を用意しておけば、異母兄弟との相続トラブルをある程度防ぐことができます。

ほぼ確実に法的効力をもたせられる遺言書は、公正証書遺言です。

公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成してくれる遺言書なので、遺言の真正が担保されています。

また、公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるため、家族に見つけてもらえない、発見した家族に破棄されたり改ざんされたりするリスクなどを回避することができます。

ただし、公正証書遺言の原案は自分で考える必要があるので、原案を決める時点で不安がある場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。

遺言執行者を弁護士に依頼しておく

遺言執行者を弁護士に依頼しておくことも、異母兄弟との相続トラブルを避ける方法のひとつです。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための権利と義務を負う人物のことで、被相続人が生前に選任します。

相続人・相続財産の調査、財産目録の作成、預貯金の解約など、相続に関する手続きを主体的に進める人物をあらかじめ決めておけば、相続人同士のトラブルも起きにくくなるはずです。

遺言執行者は、未成年でなければ誰を選任しても問題はありません。

しかし、相続人の中から選任すると、ほかの相続人の反発を買ってしまう可能性が高くなるため、トラブルを防ぐためには弁護士を選任するとよいでしょう。

戸籍調査は専門家に依頼する

異母兄弟との相続トラブルを防ぐためには、戸籍調査を専門家に依頼することも有効な方法といえるでしょう。

被相続人と相続人の戸籍調査は、非常に手間と時間がかかる作業です。

その点、弁護士に依頼すれば最短で戸籍調査を進め、異母兄弟の存在を明らかにしてくれます

異母兄弟の存在が発覚するまでに時間がかかってしまうと、相続手続きにも支障が生じてしまうため、自力で無理やり対応することはおすすめしません。

異母兄弟との交渉は弁護士に任せる

異母兄弟と面識がないため心理的な抵抗があったり、複雑な感情を抱いたりしている場合には、異母兄弟との接触を全て弁護士に任せてしまいましょう。

当事者同士が直接交渉をおこなったばかりに、トラブルになってしまったという例は非常に多いからです。

特に相続放棄など難しい交渉の場合は、弁護士が対応することで承諾を得やすくなります。

異母兄弟との接触は大きなストレスになるケースもあるため、弁護士に依頼することで時間や労力の負担に加えて、精神的な負担も軽減できます。

異母兄弟がいた場合の相続についてよくある質問

ここでは、異母兄弟がいた場合の相続に関してよくある質問を紹介します。

異母兄弟が死亡した場合、わたしは相続人になる?

異母兄弟が死亡した場合、自分自身が相続人になる可能性はあります

異母兄弟であっても、相続においては一般的な兄弟と同様に扱われます。

被相続人の兄弟は、直系卑属、直系尊属に続く第三順位の相続人です。

つまり、異母兄弟に子どもがおらず、両親も先に他界している場合などは、自分に相続権が回ってくることがあります。

異母兄弟へ相続について知らせる手紙の例文を教えて欲しい

異母兄弟に相続について知らせる手紙には、以下の内容を簡潔かつ丁寧に伝える必要があります。

  • 故人(父親)が亡くなったこと
  • 亡くなった日付
  • 差し支えなければ亡くなった理由
  • 自分自身と故人との続柄
  • 手紙を出すことに至った経緯
  • 相続手続きには相続人全員の合意が必要なので異母兄弟の協力が欠かせないこと
  • 折り返しの返信が欲しいこと
  • 返信の期限
  • 差出人の住所と電話番号などの連絡先

上記のポイントを抑えた手紙を作成し、返事が欲しい場合には、切手を貼り自宅の住所を記載した返信用封筒を同封したうえで、送付しましょう。

手紙の例文は以下のとおりです。

拝啓

 

突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください。

私の父、〇〇(故人の住所)は、かねて病気療養中のところ、令和〇年〇月〇日に永眠いたしました。

父の相続手続きにあたり必要な書類を集めていたところ、▲▲様も相続人であることがわかりましたので、ご連絡差し上げました。

この度はご連絡が遅くなり、申し訳ございません。

相続手続きをおこなうためには、相続人全員の合意が必要となり、相続人でいらっしゃる▲▲様のご協力が欠かせません。

▲▲様のご意向をうかがったうえで、相続人全員が合意できるように手続きを進めてまいりたいと存じます。

つきましては、この度の経緯と今後必要な手続きにつきまして、一度ご説明申し上げたいと存じます。

大変恐縮ではございますが、一度私●●(電話番号 090-××××-××××)までご連絡いただけないでしょうか。

または同封の封筒にて、▲▲様のご連絡先の電話番号とご対応可能な時間帯をお知らせいただければ、私からご連絡差し上げたいと存じます。

ご多忙の折お手数をおかけいたしますが、今月中にはご連絡いただけますと幸いです。

何卒ご協力いただけますようお願い申し上げます。

敬具

令和△年△月△日

●● 郵便番号 000-0000

(●●の住所)

さいごに|異母兄弟に相続させないためにも弁護士に相談を

異母兄弟が存在する場合の相続は、一般的な相続よりもさらに複雑な感情が絡むため、トラブルが起きやすい傾向があります。

特に、異母兄弟にとってマイナスになる条件を承諾してもらう場合は、当事者同士の話し合いで解決するのは非常に困難です。

また、戸籍を調べる作業にも、非常に長い時間と大きな労力を割かねばなりません。

その点、弁護士に相続に関する手続きや交渉などを依頼すると、時間や労力かけず、感情のもつれによるトラブルの発生も防ぐことができます

相続問題を得意とする弁護士を探し、依頼することで異母兄弟がいる場合の相続を円滑に進められるでしょう。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ相続で
遺産相続に強い弁護士を探す
編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
遺産相続に関するコラム
遺留分侵害額請求をされたら?トラブルを早期解決するための対処法
遺留分侵害額請求をされた方に向けて、遺留分侵害額請求をされるタイミング、拒否するのは難しいこと、請求されたときに確認すべきこと、支払いが困難なときにできることなどを解説します。また、弁護士に依頼するメリットや事例についても紹介します。
成年後見人に弁護士を選任しても大丈夫?トラブル事例や費用を解説
成年後見人制度の利用にあたり負担の軽減を目的に弁護士への依頼を考えている場合、関与した成年後見人トラブルは知っておきたいところです。本記事では、成年後見人に弁護士を選任して問題ないのか解説したうえで、選任すべき理由や具体的なケースなども紹介します。
遺留分侵害額請求の時効は?時効の中断方法や時効経過を防ぐ方法を解説!
遺産相続には、遺言者と相続人の関係性に応じて最低限保障されている割合があり、足りない分は多く遺贈等された人に対して請求できます。しかし、遺留分の請求権には時効があるため、注意が必要です。今回は「遺留分侵害額請求の時効」について詳しく解説します。
相続を弁護士に無料電話相談する方法|弁護士の選び方や費用の相場も解説
相続について不安や悩みがあるときは、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士事務所によっては対面相談だけでなく、電話相談やオンライン相談にも応じています。この記事では弁護士に無料で電話相談できる窓口や、弁護士の選び方、電話相談の注意点などを解説しています。
もっとみる
地域から弁護士を探す
法律相談を投稿する
離婚・不倫問題 交通事故 相続・遺産トラブル 労働問題 刑事事件 債権回収 借金減額・債務整理 ネット誹謗中傷 企業法務 その他
弁護士の方はこちら