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遺産分割協議証明書とは?サンプル付きで作成時のポイントや注意点などについて解説

弁護士監修記事
遺産相続
2025年03月27日
2025年03月27日
遺産分割協議証明書とは?サンプル付きで作成時のポイントや注意点などについて解説
この記事を監修した弁護士
佐藤 光太弁護士 (ステラ綜合法律事務所(相続分野))
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遺産分割協議がまとまったあとは、通常「遺産分割協議書」の作成が必要です。

しかし、遺産分割協議書を作成するためには、相続人全員の署名・押印が必要になるため、非常に手間がかかるのが実情です。

そのため、相続人の人数や特別な事情によっては「遺産分割協議証明書」の作成が適しているケースもあります。

本記事では、遺産分割協議証明書とは何か、具体的な役割やメリットを解説するとともに、作成時のサンプルや注意点についても詳しく紹介します。

相続手続きの負担を減らしたい方にとって大いに役立つ情報を掲載しておりますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

遺産分割協議証明書とは?相続人が作成・署名・押印した書類のこと

遺産分割協議証明書とは、相続人同士で決定した遺産分割の内容を記載した文書です。

遺産分割協議書と目的・中身は似ていますが、作成方法や記載事項にはいくつかの違いがあります。

【遺産分割協議証明書と遺産分割協議書の違い】

  遺産分割協議証明書 遺産分割協議書
署名・押印する人 相続人各自 相続人全員
記載する相続内容 2つの方法がある
・遺産分割協議で決まった内容を全て掲載
・各相続人が取得する財産についてのみ掲載
遺産分割協議で決まった内容を全て掲載
作成日 各相続人が署名・押印した日 遺産分割協議の成立日
作成数 相続人分 1通のみ

遺産分割協議書より遺産分割協議証明書のほうがおすすめのケース2選

遺産分割協議証明書と遺産分割協議書の違いを踏まえると、遺産分割協議証明書を作成したほうがよいケースとして、次の2つの場合が考えられます。

1.相続人の人数が多い場合

遺産分割協議書では、全員が1つの文書に署名・押印する必要があります。

そのため、相続人が多い場合には、全員が同じ文書に署名するまでの手間や時間がかかり、手続きの進行が遅れてしまう可能性があるでしょう。

一方で、遺産分割協議証明書では、相続人がそれぞれ個別に署名・押印すれば問題ありません。

相続人の中に署名が遅れそうな方がいたとしても、手続きがストップせず、個人で相続手続きをスムーズに進めることができます。

2.ほかの相続人が遠方に住んでいる場合

各相続人に文書を郵送して署名を集めるとなれば、書類の往復が発生する分時間と手間がかかります。

とくに、相続人が遠方に住んでいる場合、より時間がかかってしまうでしょう。

その点、遺産分割協議証明書の作成では、書類を送付する必要は生じません。

【サンプル付き】遺産分割協議証明書の作成方法

遺産分割協議証明書を作成する際は、必要事項を漏れなく記載する必要があります。以下で記載内容やサンプルを詳しく見ていきましょう。

遺産分割協議証明書に記載する内容

以下では、遺産分割協議証明書に記載すべき事項と具体的な記載内容例を紹介します。

記載事項 内容
タイトル 遺産分割協議証明書
被相続人の氏名・本籍地・最後の住所地 被相続人 ◯◯◯◯
本籍地 東京都◯◯区◯◯ ◯丁目◯番◯号
最後の住所地 東京都◯◯区◯◯ ◯丁目◯番◯号
※戸籍や住民票の除票を参考に記載。
被相続人の生年月日・死亡年月日 生年月日 昭和◯◯年◯◯月◯◯日
死亡年月日 令和◯◯年◯◯月◯◯日
※戸籍や住民票の除票を参考に記載。
遺産分割協議の実施と合意について 被相続人◯◯◯◯(以下「被相続人」という。)の遺産相続につき、相続人全員で遺産分割協議をおこない、以下のとおり遺産分割協議が成立したことを証明する。
相続財産と分割方法 1.次の不動産は相続人◯◯◯◯が相続する。
(1)土地
所在 東京都◯◯区◯◯
地番 ◯番◯号
地目 宅地
地積 ◯◯.◯◯㎡
2.次の預貯金は相続人◯◯◯◯が相続する。
 (1)預貯金
 ◯◯銀行◯◯支店
 普通預金 口座番号◯◯◯◯◯◯◯
 口座名義人 ◯◯◯◯
3.本書に記載のない遺産及び遺産分割後に判明した遺産は、負債も含めて◯◯◯◯が相続する。
書類作成日 令和◯◯年◯◯月◯◯日
※遺産分割協議証明書を作成した日付を記載。
相続人の氏名・住所・生年月日、被相続人との続柄 住所 東京都◯◯区◯◯ ◯丁目◯番◯号
生年月日 昭和◯◯年◯◯月◯◯日
相続人(長男) ◯◯ ◯◯(印)
相続人の押印 ※押印欄に実印を押印

遺産分割協議証明書のサンプル

遺産分割協議証明書のサンプルは以下のとおりです。

書式は、法務局のホームページからダウンロードできるので、必要に応じて使用してください。

遺産分割協議証明書

引用元:法務局|不動産登記Q&A「⑥遺産分割協議証明書(記載例4)」

遺産分割協議証明書を使って遺産分割を進める際の4つのポイント

遺産分割協議証明書は、相続人が多い場合や遠方に住んでいる場合などに有効ですが、作成や手続きの際には注意すべきポイントがいくつかあります。

以下、遺産分割協議証明書を使って遺産分割を進めるためのポイントを主に4つ解説します。

1.できる限り事前に遺産分割協議をしておく

遺産分割協議証明書は一人で作成できますが、相続人間で十分な協議ができていない場合、相続人の意思と異なる遺産分割協議証明書が作成されてしまう可能性があります。

遺産分割協議証明書を作成したら、相続人全員に内容を確認してもらい、了承を得たうえで署名と押印を進めるようにしましょう。

2.署名・押印を除き、記載内容は同じにする

各相続人がそれぞれ作成する遺産分割協議証明書は、内容が統一されていなければ意味がありません。

そのため、相続人が個別に証明書を作成するのではなく、あらかじめ全員で協議した内容をもとに、全員で統一された書面をデータとして作成するか、印刷して用意するのが好ましいです。

統一された書類を用いることで、相続人間の認識の齟齬を防ぎ、手続きを正確に進めることができます。

3.相続人全員分の印鑑登録証明書も集める

不動産の名義変更や預金口座の相続手続きなどの際は、遺産分割協議証明書に押印した実印について、印鑑証明書の添付が必要になることが多いです。

そのため、遺産分割協議証明書には必ず実印で押印し、各市区町村の役場などで印鑑証明書を取得するようにしてください。

その後、作成した遺産分割協議証明書と印鑑証明書を取りまとめ、代表者に送付するなどの対応をとりましょう。

4.弁護士などの専門家に相談・依頼をする

遺産分割協議証明書の作成については、法律的な知識や経験が必要な場面も多く、相続人だけで進めるのが難しい場合もあります。

場合によっては、弁護士などの専門家に相談・依頼をすることを検討しましょう。

専門家に依頼することで書類作成のミスを防ぎ、適切な手続きを迅速に進めることが可能です。

また、相続人同士で意見が対立している場合も、中立的な立場から調整を図ってくれるため、大きな負担軽減になります。

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遺産分割協議証明書を使って遺産分割を進める際の3つの注意点

ここでは、遺産分割協議証明書を使用する際におさえておくべき3つの注意点について解説します。

1.相続人全員分の遺産分割協議証明書が必要になる

遺産分割協議証明書は、相続人それぞれが作成しますが、最終的には、相続人全員分の証明書が揃わないと遺産分割の効力は生じません。

一人でも遺産分割協議証明書の作成が遅れてしまうと、相続手続き全体のスケジュールに影響を与えてしまいかねません。

遺産分割協議証明書の作成の重要性を事前に相続人全員にしっかり説明し、期日を設定するなどして対応を促すことが重要です。

2.遺産分割協議証明書を受け付けてくれない窓口もある

遺産分割協議証明書は、遺産分割協議書に代わる文書として利用されますが、金融機関や不動産登記の窓口の担当者が対応に慣れていない可能性もあります。

そのため、場合によっては遺産分割協議書を作成しなければならないケースがあることも知っておきましょう。

あらかじめ、証明書を提出予定の窓口に問い合わせて、受理してもらえるか確認しておくと安心です。

3.相続人調査や相続財産調査に抜け・漏れがあるとやり直しになる

遺産分割協議では、相続人全員が確実に参加し、相続財産を正確に把握しておくことが重要です。

相続人が漏れていたり、協議後に新たに財産が発覚したりした場合、協議をやり直さなければなりません。

とくに、相続人と疎遠になっている場合や、被相続人に隠し財産があると見込まれる場合には、相続人調査や相続財産調査をしっかりとおこないましょう。

必要に応じて、専門家に相談したうえで慎重に進めることが大切です。

遺産分割協議証明書についてよくある質問

以下では、遺産分割協議証明書についてよくある質問をまとめました。似たような疑問を持っている方は、ぜひここで疑問を解消してください。

Q.遺産分割協議証明書の原本は返してもらえますか?

遺産分割協議証明書などの署名が必要な書類は、関係する当事者の数だけ原本を作成するのが一般的です。

しかし、もし原本が1通しかない場合は、返却されるケースが多いでしょう。

とはいえ、確実に手元に保管したい場合は、原本を2通作成し、1通を自分の手元に残しておくと安心です。

また、割り印を押しておくと証明力が高まり、後々のトラブルを避けることにつながるでしょう。

Q.添付する印鑑登録証明書の日付はいつでもよいのでしょうか?

印鑑登録証明書には法的な有効期限は存在しません。

そのため、証明書がいつ発行されたものであっても、証明書自体としては有効です。

ただし、提出先の機関や手続きによっては、証明書が最新であることを確認するために、発行日から3ヵ月以内または6ヵ月以内といった制限が設けられているケースもあります。

提出先の取り扱いを事前に確認しておくようにしましょう。

Q.遺産分割協議証明書が送られてきたら何に注意すればよいでしょうか?

遺産分割協議証明書が送られてきた際には、以下のポイントを確認してください。

  • 遺産の内容が正しいか
  • 遺産の相続分は適切か

遺産分割協議証明書の内容についてあとから争うのは難しいので、内容をよく確認せずに安易にサインするのは控えるべきです。

不備や疑問点がある場合は、相続人に連絡を取り、修正や確認をしましょう。

さいごに|ベンナビ相続で弁護士を探して遺産分割協議について相談しよう

遺産分割協議証明書を活用すれば、遺産分割手続きをスムーズに進めることができます。

一方で、内容に齟齬があれば手続きをやり直さなければならないリスクがあるのも事実です。

遺産分割協議に関して少しでも不安が残る場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

弁護士による適切なアドバイスを受けることで、安心して手続きを進められます。

ベンナビ相続では、遺産分割を得意とする弁護士を地域別に検索可能です。

初回相談無料や電話相談、オンライン相談ができる弁護士も検索できるので、積極的に利用してみましょう。

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編集部
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