交通事故(人身事故)における罰金の相場はいくら?点数や免停についても解説
人身事故を起こしてしまった方の中には「罰金はいくらになるのか」「いつ払わなければいけないのか」と不安を感じる方は少なくありません。
人身事故の罰金相場は、被害者の怪我の程度によって10万円〜50万円が目安です。
罰金の分割払いは原則として認められておらず、納付できなければ労役場留置のリスクもあります。
本記事では、人身事故の罰金相場や、違反点数・免停の基準、罰金を支払う流れについて解説します。
罰金を支払えない場合のリスクや、罰金なしを目指すための具体的な対応策も紹介しているので、参考にしてください。
人身事故による罰金の相場一覧
人身事故を起こして過失運転致死傷罪の容疑で有罪になったとき、「7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑」の範囲で刑事罰が科されます。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
被害者のけがの程度(全治期間)によっても、罰金の相場は異なります。
| 怪我の程度 | 全治期間 | 罰金相場 | |
| 加害者に全責任がある場合 | 被害者にも責任がある場合 | ||
| 軽傷 | 15日未満 | 10万円〜20万円程度 | 10万円〜20万円程度 |
| 中程度 | 15日〜30日未満 | 15万円〜30万円程度 | 15万円〜30万円程度 |
| 重傷 | 30日以上、3か月未満 | 30万円〜50万円程度 | 20万円〜50万円程度 |
| 3か月以上 後遺症あり | 30万円〜50万円程度 | 30万円〜50万円程度 | |
| 死亡 | ― | 50万円~100万円程度 | 50万円~100万円程度 |
被害者のけがの程度が軽い場合は、10万円〜20万円が目安です。
けがの程度が深刻になるにつれて、罰金の金額が高額になります。
死亡事故の場合は罰金の上限である100万円、もしくは拘禁刑が科される可能性が高いです。
罰金は、刑事罰に該当します。支払った時点で有罪判決が確定し、前科がつく点に注意が必要です。
人身事故で加害者が負う3つの法的責任
人身事故を起こした加害者は、刑事責任・行政責任・民事責任の3つを並行して負うこととなります。
目的も処分内容も全く異なり、一方が終わっても他方が免除されることはありません。
それぞれの法的責任について解説します。
1.刑事責任
刑事責任とは、国が社会秩序を守るために加害者へ科す刑罰のことです。
人身事故を起こすと、原則として「過失運転致死傷罪」が成立します。
過失運転致死傷罪が成立すると、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。拘禁刑は最低1か月からで、罰金の最低額は1万円からです。
事故発生後は警察・検察が取り調べをおこない、起訴されて有罪になると、裁判所が量刑を決定して前科がつきます。
刑事責任の重さは、事故による被害者のけがの程度によって大きく左右されます。
けがの程度に加えて、被害者の処罰感情と、示談成立の有無も量刑を決める上で欠かせない判断材料です。
被害者が「厳しく罰してほしい」と望めば重い処分になりやすく、示談が成立していれば軽減される傾向にあります。
2.行政責任
行政責任とは、交通安全を確保するために公安委員会が科す処分です。
警察が付ける「違反点数」が行政処分にあたります。刑事罰(罰金)とは別で、完全に独立している点に注意が必要です。
たとえ検察が不起訴を決定して刑事罰を免れたとしても、点数の加算や免許停止などの行政処分は、基準に則って予定通り執行されます。
点数は、原則として過去3年間の合計で計算され、累積点数によって行政処分が決定する仕組みです。
しかし、一定期間無事故・無違反を続けると3年を待たずとも点数がリセットされる優遇措置が設けられています。
- 1年間、無事故・無違反の場合、以前の点数は累積されない
- 2年間、無事故・無違反・無処分で、3点以下の違反行為をし、その後3か月以上無事故・無違反だった場合、その点数は累積されない
- 免取、免停等の処分が行われ、定められた期間内に違反行為がなかった場合、処分前の違反行為の点数は累積されない など
【参考】点数計算の優遇|警視庁
点数や免許停止(免停)・取り消しの基準
点数の計算方法は、基礎点数と交通事故の付加点数を合算する仕組みです。
基礎点数は信号無視や速度超過といった違反行為に対して付き、付加点数は被害者のけがの程度に応じて加算されます。
| 被害の程度 | 完全に加害者の不注意により発生した場合 | 左以外の場合 |
| 死亡 | 20点 | 13点 |
| 重傷(全治3か月以上または後遺障害) | 13点 | 9点 |
| 重傷(全治30日以上3か月未満) | 9点 | 6点 |
| 軽傷(全治15日以上30日未満) | 6点 | 4点 |
| 軽傷(全治15日未満) | 3点 | 2点 |
【参考】交通事故の付加点数|警視庁
加害者の不注意が完全に原因となった事故か否かで、3〜7点もの差が生じます。
被害者側にも過失が認められれば、点数は大幅に軽減される仕組みです。
累積点数が6点に達すると30日間の免許停止処分、15点を超えると免許取り消し処分となります。
過去に免停歴(前歴)がある場合は、より少ない点数で取り消しになる点に注意が必要です。
3.民事責任
民事責任とは、被害者が受けた損害を金銭で償う責任のことです。
治療費や慰謝料、休業損害、将来得られるはずだった利益を補償する逸失利益(いっしつりえき)などが賠償の対象となります。
通常、加害者が加入している任意保険会社が示談交渉の窓口となり、被害者側と協議を重ねて損害賠償額を確定させます。
民事上の示談成立は、加害者の刑事処分の軽減に直結する重要な要素です。
被害者への賠償が完了していれば、検察や裁判所は「被害回復がなされた」と評価し、罰金額や起訴・不起訴の判断に好影響を与えます。
しかし、保険会社に交渉を任せきりにするだけでは、刑事処分の軽減が難しいケースも少なくありません。
加害者本人が謝罪文を送ったり、お見舞いに行ったりするといった誠意ある対応が、処分軽減の可能性を高めることにつながります。
交通事故(人身事故)で科される可能性がある主な刑事罰
人身事故を起こすと、過失の程度や事故の状況に応じて複数の罪名が適用されます。
罰金刑で済まず、拘禁刑が規定されている罪も存在します。
以下では、人身事故が法的にどのような罪に問われ、どのような刑罰が科される可能性があるのかを解説します。
過失運転致死傷罪|100万円以下の罰金または7年以下の拘禁刑
加害者側の一般的な不注意による事故は、ほとんどが過失運転致死傷罪で処罰されます。
過失運転致死傷罪の法定刑は、「7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」です。
不注意の程度と結果(傷害か死亡か)によって、罰金刑か拘禁刑かが分かれます。
初犯で過失が軽微、かつ被害者との示談が成立していれば、罰金刑で終わるケースが多いです。
一方、後遺障害が残る重傷事故や死亡事故を起こした場合は、罰金ではなく拘禁刑が科される可能性が高まります。
過失運転致死傷罪が適用される具体例は、以下のとおりです。
- 赤信号を無視して交差点に進入して走行中の車両に衝突した
- 停止線を無視して交差点に進入して横断歩道を歩行中の人を轢いた
- 運転中のスマートフォン操作などで前方不注意に陥り、停車していた車両に後方から追突した
- 運転中のハンドル操作を誤り、対向車線を走行中の原動機付自転車に接触した
- 駐車時にアクセルとブレーキを踏み間違えてコンビニエンスストアの店舗内に進入してお客さんを轢いた など
危険運転致死傷罪|15年以下の拘禁刑(負傷)、1年以上の有期拘禁刑(死亡)
飲酒運転や制御困難な高速度走行といった、故意に近い悪質な運転で死傷事故を起こした場合に適用される非常に重い罪です。
過失運転致死傷罪とは異なり、罰金刑の規定がありません。
対象となる危険運転行為は、以下のようなものが挙げられます。
- アルコール・薬物の影響により、正常な運転が困難な状態での走行
- 制御困難な高速度での走行
- 未熟な運転技能での走行
- 赤信号をわざと無視した走行
- 妨害目的の割り込み・接近(あおり運転)
- 高速道路での停車・徐行による妨害
危険運転致死傷罪で有罪になれば、原則として拘禁刑が科されます。罰金刑は科されません。
負傷事故で15年以下、死亡事故で1年以上の有期拘禁刑が法定刑です。
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期拘禁刑に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
飲酒運転やあおり運転による事故は、社会的にも厳しい目が向けられるため、量刑も重くなる傾向にあります。
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪|12年以下の拘禁刑
飲酒運転の発覚を免れるために現場から逃走したり、事故後に飲酒運転を隠す目的で「追い酒」をしたりする行為を罰する罪です。
事故当時に飲酒していたかどうかを分からなくする隠蔽工作を封じる目的で設けられました。
以下の行為が、処罰の対象となります。
- 運転時のアルコールや薬物の影響を隠す目的で、さらにアルコールや薬物を摂取した
- 現場を離れてアルコールや薬物の濃度を減少させた
- その他、アルコールや薬物の影響や程度が発覚することを免れようとした
過失運転致死傷罪に加えて、飲酒や薬物の発覚を免れようとした行為自体が独立した犯罪として成立します。
罰金刑の規定はなく、有罪になれば12年以下の拘禁刑のみが科されます。
(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
第四条 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の拘禁刑に処する。
飲酒運転での事故後は、絶対にその場から離れてはいけません。
無免許運転による加重
運転免許がない状態、または免許停止中に人身事故を起こすと、本来の罪よりも刑罰が重くなります。
無免許運転は加重事由として扱われ、法定刑の上限が引き上げられる仕組みです。
たとえば、過失運転致死傷罪の場合、無免許が加わると罰金刑の選択肢がなくなります。10年以下の拘禁刑のみが科されることになり、処分が格段に重くなります。
ほかにも、以下のような場合は、刑罰が引き上げられます。
- 危険運転致傷罪(第2条):6か月以上の有期拘禁刑
- 危険運転致傷罪(第3条):15年以下の拘禁刑
- 危険運転致死罪(第3条):6か月以上の有期拘禁刑
- 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(第4条):15年以下の拘禁刑
- 過失運転致死傷罪(第5条):10年以下の拘禁刑
(無免許運転による加重)
第六条 第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期拘禁刑に処する。
2 第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期拘禁刑に処する。
3 第四条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十五年以下の拘禁刑に処する。
4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の拘禁刑に処する。
免許の更新を忘れていて、うっかり失効していた場合でも、法律上は無免許扱いとなる点に注意が必要です。
救護義務違反|100万円以下の罰金または10年以下の拘禁刑
人身事故を起こした場合、加害者を含む車両の運転者などは、速やかに車両を停止して、負傷者を救護する義務(救護義務)が課されています。
負傷者の救護と119番・110番通報を怠った時点で、救護義務違反(ひき逃げ)が成立します。
事故の過失がどちらにあるかどうかは関係ありません。たとえ相手側の不注意で事故が起きたとしても、負傷者がいる場に居合わせた運転者には、等しく救護の義務が生じます。
特に、人の死傷が自らの運転に起因する人身事故の場合、救護義務違反の法定刑は「10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑」です。
第百十七条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
ひき逃げは「証拠隠滅や逃亡の恐れがある」とみなされるため、警察に逮捕される可能性が極めて高く、在宅捜査ではなく身柄を拘束されたまま捜査が進められるケースが大半です。
【関連記事】ひき逃げとはどんな事故?されたらどうする?被害者がとるべき対応と受けられる補償
報告義務違反|5万円以下の罰金または3か月以下の拘禁刑
けがの程度や物損・人身といった事故の規模や種類に関わらず、交通事故が発生した際には直ちに警察へ報告する義務が運転者に課されています。
事故直後、被害者から「大丈夫です」といわれ、その場で別れてしまうケースは少なくありません。
しかし、交通事故では数日後に痛みが出て病院を受診することも多く、現場での報告を怠っていることが判明すると、あとから報告義務違反に問われるリスクが高まります。
報告を怠ると、刑事罰(3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金刑)の対象となります。
また、交通事故証明書を取得できない点にも注意が必要です。
交通事故証明書がなければ、任意保険関係の手続きを進めることができず、被害者に対して自動車保険から保険金を支払うことができません。
【事例付き】人身事故を理由に罰金刑が科されたケース
罰金相場を知るうえで、実際の事例を確認しておくと処分の見通しが立てやすくなります。
以下では、過失運転致傷罪で罰金刑が科された実例を紹介します。自分のケースと照らし合わせて、おおよその処分内容を把握する参考にしてください。
自動車で女児をはねて全治90日のけがを負わせた事例|罰金70万円
2022年9月1日午後3時ごろ、水戸市内で横断歩道付近を歩いていた女児を自動車ではね、全治90日の重傷を負わせた事例です。
加害者には過失運転致傷罪が適用され、罰金70万円の略式命令が下されました。
全治90日は重傷に分類され、一般的な罰金相場(30万〜50万円)よりも高額になっています。
被害者が負った怪我が重いこと、横断歩道を通行中の歩行者には一切過失がなく、加害者側に全過失があるケースであることが、量刑に影響したと考えられます。
【参考】茨城県職員に罰金70万円 車で女児はね骨折させる - 産経ニュース
捜査車両を運転中に女児をはねて軽傷を負わせた事例|罰金10万円
2024年5月27日午後3時40分ごろ、島根県の男性警察官が公務中、見通しのよい道路上の横断歩道付近を渡ろうとしていた5歳女児を捜査車両ではねた事例です。
事故により、女児は頭部に軽傷を負いました。
加害者には過失運転致傷罪が適用され、罰金10万円の略式命令が下されています。
公務中の警察官には、車両運転中に高度の注意義務が課されているため、罰金刑が科されました。
しかし、被害者が負った怪我が比較的軽傷であったことが考慮され、罰金額は10万円に留まっています。
【参考】島根県警の捜査車両が5歳女児はねる 浜田市の県道、女児は軽傷 | 中国新聞デジタル
人身事故が有罪になり罰金を支払うまでの流れ|略式裁判になることが多い
人身事故を起こし、刑事罰(罰金)が科される際の手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

人身事故の多くは、法廷での裁判を省略する「略式手続(略式裁判)」で処理されます。
略式命令とは、正式な公判を開かず、書面審理のみで罰金額が決定する簡略化された手続きです。
事実を認めて早期解決を望む場合に有効ですが、不同意として正式裁判で争うことも可能です。
ただし、正式裁判は審理が長期化し、場合によっては罰金ではなく拘禁刑が科されるリスクも伴います。
罰金は確定後、検察庁から届く納付書を用いて銀行等で現金一括払いするのが原則です。
示談の成否が処分の重さに直結するため、不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
【関連記事】実況見分調書とは?立ち合い時の注意点や入手方法を解説
人身事故の罰金が払えない場合のリスク
人身事故における罰金は、一括払いが原則です。
人身事故の罰金は刑罰の一種であるため、納付期限までに支払えない場合は、厳しい措置がとられます。
納付できないまま放置すると、検察庁が裁判所に申し立てをおこない、財産の差し押さえが執行されるため注意が必要です。
また、差し押さえでも回収できない場合は、最終手段として労役場へ留置されます。
刑務所に併設された労役場で強制労働をおこない、罰金を消化する仕組みです。
ただし、検察庁の徴収担当官に誠実に相談すれば、納付猶予や分割払いが認められる可能性があります。
人身事故による罰金刑や拘禁刑を避けるためのポイント
人身事故を起こした際に、罰金なし(不起訴)や減刑を勝ち取るには、検察官が処分を決める前の行動がすべてです。
具体的にどのような対応が減刑につながるのかについて、解説します。
1. 現場での対応(救護・警察への通報)を確実に行う
事故現場から離れると、ひき逃げとみなされ、刑事責任が劇的に重くなります。
人身事故を起こしてしまった場合は、被害者の救護と、警察・救急への通報を最優先でおこないましょう。
ひき逃げが成立すると、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断され、逮捕・勾留される可能性が大幅に高まります。
身柄を拘束されれば会社への影響も避けられず、社会的ダメージは計り知れません。
事故直後は動揺して「逃げたい」という衝動に駆られますが、その場に踏みとどまり、警察への報告と被害者の救護を確実におこなうことが重要です。
2. 速やかに保険会社へ連絡し被害者の回復を支援する
現場対応が終わったら、すぐに任意保険会社へ連絡してください。
保険会社への迅速な連絡は、被害者の治療費支払いや、補償を早めることにつながり、刑事処分の判断においても「被害回復に努めた」として評価されやすいです。
示談代行サービスを利用すれば、保険会社の担当者が被害者との交渉を開始してくれます。
初動の早さは「誠実に対応する加害者」という印象を与え、示談交渉をスムーズに進める土台となります。
すべてを保険会社任せにするだけでなく、加害者本人からの謝罪も欠かせません。
謝罪文の送付やお見舞いの申し出は、被害者の処罰感情を和らげ、刑事処分の減刑を目指す上で欠かせない要素となります。
3.被害者に対して謝罪し被害回復に向けた支援をする
刑事処分の減刑において重要なのは、誠実な謝罪と、示談による宥恕(ゆうじょ)の獲得です。
宥恕とは、被害者が加害者に対し「処罰を望まない」という意思を示すことを指します。
被害者の処罰感情を和らげるよう誠心誠意努めた上で、示談書に「刑事処罰を求めない」旨の条項(宥恕条項)を盛り込むことが重要です。
検察官は示談書に記載された宥恕条項を確認することで、精神的な被害回復もなされたと評価し、不起訴や減刑を判断する際の有力な材料とします。
もし被害者の怒りが強く、当事者間での交渉が難しい場合は、弁護士を介して対話をおこなうのが最善です。
第三者である専門家が間に入ることで、冷静かつ円滑な示談交渉が可能となります。
4.捜査機関に対する取り調べなどには誠実に対応する
取り調べにおいて嘘をついたり、責任を他人に転嫁したりする態度は「反省の色なし」とみなされ、重い罰金や起訴につながるリスクを高めます。
実況見分や取り調べでは、自分の過失を素直に認め、ありのままを正確に伝えることが基本です。
また、作成される供述調書は、将来にわたって残る重要な証拠書類となります。
内容を細部までよく確認し、事実と異なる記載があれば署名を拒否するか、訂正を求めることが可能です。
「真摯に反省している」という態度を捜査官に伝えることが、情状酌量につながります。
5.できる限り早い段階で弁護士に相談する
前科がつくのを防ぎ、社会的影響を最小限に抑えるには、刑事事件に強い弁護士の介入が重要です。
弁護士は被害者との示談交渉を代行するだけでなく、検察官に対して「不起訴」を求める意見書を提出するなど、有利な処分獲得に向けて働きかけをおこないます。
弁護士費用については、特約に加入していれば、自己負担なく専門的なサポートを受けられます。
自動車保険の契約内容を確認し、特約が使えるかどうかを早めに調べておきましょう。
弁護士に相談すれば、刑事処分だけでなく日常生活への影響についてもアドバイスを受けられます。
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人身事故の罰金に関するよくある質問
人身事故の罰金について、よくある質問に回答しています。
Q. 人身事故の罰金通知はいつ来る?
事故発生から罰金通知が届くまでは、最短でも2ヶ月程度かかります。
事故の内容や検察庁の混雑状況によっては、半年以上かかることも珍しくありません。
まずは検察官から出頭を求める呼び出し(ハガキや電話)があり、取り調べの際に略式手続(書面審理での裁判)への同意が確認されます。
同意した場合、その後1か月程度で裁判所から略式命令の書類と罰金の納付書が届く流れです。
納付書が届いたら、記載された期限内に銀行・郵便局・検察庁の窓口にて現金で支払います。
「通知が来ない」と不安になる方も多いですが、不起訴処分の場合は原則として通知が届きません。
Q. 人身事故の罰金は保険(自動車保険)で補填できる?
罰金は「刑罰」であるため、任意保険(対人賠償)や自賠責保険で支払うことはできません。全額自己負担となります。
自動車保険は「民事上の損害賠償」をサポートする仕組みです。
治療費や慰謝料といった被害者への賠償金は保険でカバーできますが、刑事罰である罰金は対象外となります。
| 費用の種類 | 保険で支払えるか |
| 被害者への治療費・慰謝料 | ◯(対人賠償保険) |
| 罰金(刑事罰) | ✕(全額自己負担) |
| 弁護士費用 | △(弁護士費用特約があれば可能) |
保険会社が罰金を立て替えたり、補填したりすることはありません。
ただし、弁護士費用特約に加入していれば、刑事事件の弁護士費用をカバーできるケースがあります。
加入している保険の内容を確認し、特約が使えるかどうか早めに問い合わせてください。
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Q. 人身事故で罰金なし(不起訴)になるケースは?
罰金が科されないケースは、不起訴・拘禁刑・無罪のいずれかに該当します。
| 処分の種類 | 罰金 | 前科 |
| 不起訴(起訴猶予) | なし | つかない |
| 拘禁刑 | なし | つく |
| 無罪 | なし | つかない |
前科を回避し、罰金を免れるためには「不起訴(起訴猶予)」を目指すことが現実的かつ最良の手段です。
不起訴判断に際しては、過失の程度や負傷の軽重、加害者の前科の有無などが考慮されますが、被害者との示談も大きな影響を与えます。
特に重要なのが、被害者が「処罰を望まない(宥恕)」という意思表示をしているかどうかです。
示談書に宥恕条項が入っていれば、不起訴の可能性が大幅に高まります。
Q. 信号無視や追突事故の場合、罰金相場は跳ね上がる?
信号無視や一時停止無視といった明確な交通違反を伴う事故は、運転者に重大な過失があるとみなされます。
通常の不注意による事故よりも罰金の相場は高くなり、上限に近い金額が科されやすいです。
例えば、信号無視による事故の場合、被害者のけがが軽傷であっても、20万〜30万円以上の罰金が科されるケースは珍しくありません。
追突事故も同様に、専ら加害者の不注意による事故と判断されやすく、刑事罰だけでなく行政処分の点数も高くなるため、免許停止(免停)のリスクが格段に高まります。
過失割合が100:0に近いほど、検察官は「処罰の必要性が高い」と判断し、起訴される可能性が上がります。
厳しい処分を回避するためには、早期に被害者との示談を成立させ、真摯に反省の意を示すことが不可欠です。
状況に応じて、刑事事件に強い弁護士へ相談し、適切な対応を検討しましょう。
Q. 点数がリセットされるのはいつ?
原則として「1年間、無事故・無違反」を継続すれば、過去の違反点数はその後の違反に累積されなくなります。
また、状況に応じて以下のような優遇措置やルールも設けられています。
- 1年間の無事故・無違反
最後に違反や事故を起こしてから1年間、無事故・無違反・無処分で過ごすと、それ以前の点数は累積されません。
次に違反をした際、0点からのスタートとして計算されます。
- 3か月の特例(優良ドライバー向けの救済)
2年以上無事故・無違反だった人が、3点以下の軽い違反をした場合に適用されます。
その後、3か月間を無事故・無違反で過ごせば、点数はリセットされ、次の違反には合算されません。
- 免停・免取消の処分が終わったとき
免許停止(免停)の期間が終了したとき、または免許取消後の欠格期間を経て免許を再取得したとき、点数は0点に戻ります。
さいごに|人身事故のことならベンナビ交通事故で弁護士を探そう
人身事故の罰金相場は10万〜50万円ですが、状況により拘禁刑のリスクもあります。
刑事罰や前科を避け、減刑を勝ち取るには、検察の処分決定前に示談を成立させることが大切です。
特に被害者の許し(宥恕)を得られれば、罰金の減免や不起訴の可能性が格段に高まります。
罰金の減免や不起訴の可能性を高めるためには、弁護士への相談がおすすめです。
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人身事故による罰金刑で不安を感じている方は、自分に合った弁護士を探して相談してみてください。
