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交通事故の入院慰謝料はいくらもらえる?算定基準や計算方法を徹底解説

弁護士監修記事
交通事故
2025年03月27日
2025年03月27日
交通事故の入院慰謝料はいくらもらえる?算定基準や計算方法を徹底解説
この記事を監修した弁護士
馬場 大祐弁護士 (わたらせ法律事務所)
「任せてよかった」と思っていただけるように、結果はもちろん、解決までのプロセスも大切にし、1人のパートナーとしてご相談者様のご負担を少しでも軽減できるようにご対応いたします。
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交通事故に遭い、入院しなければならなくなったら、相手側に入院慰謝料を請求できます

しかし、入通院慰謝料はどのように計算されるのか、自分が負ったけがの場合はどのくらい請求できるのか、不安に感じている方もいるかもしれません。

そこで本記事では、交通事故における入院慰謝料の具体的な計算方法や、できるだけ多くの慰謝料を受け取る方法を解説します。

事故後の慰謝料請求でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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交通事故における入通院慰謝料の目安は自動計算機で確認できる!

交通事故の被害に遭ったら、入通院にかかった費用などを慰謝料として請求することができます

入院慰謝料の額はケースによって異なりますが、負ったけがや入院日数など、一定の基準によって計算が可能です。

そこでベンナビでは、交通事故における入院慰謝料の目安額を算出するために「交通事故の慰謝料計算機」を公開しています。

詳細な慰謝料は個別の事情によっても変わるため、あくまで目安の額ですが「どれくらいの慰謝料を受け取れるのかな」と不安な方は、ぜひ活用してみてください

交通事故で入通院慰謝料を計算する際の3つの基準

交通事故における入通院慰謝には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの算定基準があります。

具体的にどう違うのかを見てみましょう。

自賠責基準|自賠責保険で決められた最低限受け取れる基準のこと

自賠責基準とは、自賠責保険会社が定めている算定基準です。

自賠責保険は、交通事故の被害者に対して基本的な賠償をおこなうものなので、ほかの基準と比べて最も低額になっています。

自賠責基準における入通院慰謝料は、1日4,300円です。

ただし、次の計算式うちいずれか少ないほうが採用されます。

  • 4,300円×全治療期間
  • 4,300円×実入通院日数×2

なお、全治療期間とは初診から完治または症状固定までを指します

たとえば、全治にかかった期間は60日間で、そのうち実際に通院したのは20日だったとします。

この場合、それぞれの計算式に当てはまると以下のとおりになります。

  • 4,300円×60日=25万8,000円
  • 4,300円×20日×2=17万2,000円

少ないのは17万2,000円であるため、こちらが採用されます。

また、傷害についての賠償は限度額が120万円と決まっています。

これは、入通院慰謝料に加えて治療費や交通費も含んだ限度額です。

任意保険基準|任意保険会社がそれぞれで定めている基準のこと

任意保険基準は、任意の自動車保険会社が設定している基準です。

任意保険は、その名のとおり任意で加入する保険です。

そのため、運転者が保険会社を選ぶことができ、それぞれの任意保険会社が独自で算定基準を設定しています。

交通事故に遭うと加害者が加入している任意保険会社から被害者に対して損害賠償が支払われます。

賠償額の算定基準は基本的に非公開ですが、実際に事故が起こったあと被害者に交付される書面に基準が書かれているケースが多いです。

ここで知っておくべきなのは、任意保険会社はあくまでも営利企業だということです。

そのため、事故被害者に支払う慰謝料が大きくなれば、保険会社の利益も少なくなるため、なるべく最低限の補償で済ませようとすることも考えられます。

過去の例を踏まえると、任意保険基準の賠償額は多くの場合で自賠責基準と同程度です。

なかには自賠責基準よりも高額に設定されているケースもありますが、任意保険基準にしたからといって大幅に慰謝料が増えることは期待できないでしょう。

弁護士基準|判例などをもとに定められている基準のこと

弁護士基準は、弁護士や裁判所が用いる算定基準です。

3つの基準のうち最も高額な基準で、判例などをもとに定められているため、法的にも妥当な金額といえます。

弁護士基準の入通院慰謝料については、入通院慰謝料算定表が公開されています。

算定表には重傷用と軽傷用があり、負ったけがに応じて次のように使い分けるのが一般的です。

  • 重傷用…骨折、脱臼、靭帯損傷、腹部損傷など
  • 軽傷用…打撲、擦り傷、画像所見に異常が写らないむちうちなど

なお、重傷用の算定表は別表Ⅰ、軽傷用の算定表は別表Ⅱとも呼ばれます。

<軽傷>
  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月
通院 0 35 66 92 116 135 152
1月 19 52 83 106 128 145 160
2月 36 69 97 118 138 153 166
3月 53 83 109 128 146 159 172
4月 67 95 119 136 152 165 176
5月 79 105 127 142 158 169 180
6月 89 113 133 148 162 173 182
7月 97 119 139 152 166 175 183
8月 103 125 143 156 168 176 184
9月 109 129 147 158 169 177 185
10月 113 133 149 159 170 178 186

(万円)

<重傷>骨折・軽傷に該当しないけがの場合、重傷用の算定表が利用されます。
  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月
通院 0 53 101 145 184 217 244
1月 28 77 122 162 199 228 252
2月 52 98 139 177 210 236 260
3月 73 115 154 188 218 244 267
4月 90 130 165 196 226 251 273
5月 105 141 173 204 233 257 278
6月 116 149 181 211 239 262 282
7月 124 157 188 217 244 266 286
8月 132 164 194 222 248 270 290
9月 139 170 199 226 252 274 292
10月 145 175 203 230 256 276 294

(万円)

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【入院期間別】入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料の相場について、自賠責保険基準と弁護士基準がどれくらい違うのか、具体的な数字を用いて確認してみましょう。

ここでは、入院期間が1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月の場合で説明します。

なお、ここで紹介する金額は裁判によって慰謝料額を決めた場合の金額です。

裁判をせずに示談によって早期解決する場合は、紹介する金額の80%~90%程度になる場合が多いことを覚えておきましょう。

入院期間1ヵ月の場合

交通事故で1ヵ月の入院をした場合、日数を30日間として計算します。

入院慰謝料は次のとおりです。

  算出方法 入院慰謝料
自賠責保険基準 4,300円× 30日 12万9,000円
弁護士基準 軽症の場合 入通院慰謝料算定表を参照 35万円
弁護士基準 重症の場合 入通院慰謝料算定表を参照 53万円

入院期間3ヵ月の場合

交通事故で3ヵ月の入院をした場合、日数は90日間になります。

入院慰謝料は次のとおりです。

  算出方法 入院慰謝料
自賠責保険基準 4,300円× 90日 38万7,000円
弁護士基準 軽症の場合 入通院慰謝料算定表を参照 92万円
弁護士基準 重症の場合 入通院慰謝料算定表を参照 145万円

入院期間6ヵ月の場合

交通事故で6ヵ月の入院をした場合、日数は180日間です。

入院慰謝料は次のとおりです。

  算出方法 入院慰謝料
自賠責保険基準 4,300円× 180日 77万4,000円
弁護士基準 軽症の場合 入通院慰謝料算定表を参照 152万円
弁護士基準 重症の場合 入通院慰謝料算定表を参照 244万円

交通事故で入通院慰謝料を適切に受け取るための3つのポイント

交通事故における入通院慰謝料を確実かつ、適切に受け取るには以下3つのポイントを押さえておきましょう。

1.事故直後から病院を受診する

交通事故に遭ったら、すぐに医療機関を受診しましょう。

できれば事故当日に行くことをおすすめします

遅くても2~3日以内には医師の診察や検査を受けてください。

時間が経ってから病院を受診しても、事故とけがの因果関係が曖昧になってしまい、日常生活で負ったけがかもしれないとして治療費や慰謝料などを受け取れなくなるリスクがあります。

交通事故で負ったけがは、あとから痛みが出てくることも少なくありません。

事故直後は興奮状態で痛みを感じにくくなるほか、むちうちなど外傷として見えないけがも多いからです。

念のための受診であっても、加害者に検査の費用を請求することができます。

本当にけががないことを確認して、安心を得る意味でもすぐに病院に行きましょう

また、事故後に後遺障害が残ってしまい、後遺障害等級を申請する際も事故直後の診断書は重要な役割を担います。

早期に診断を受けて早めに治療を開始していたにもかかわらず後遺障害が残ったとして、後遺障害等級の認定に有利になるケースもあるのです。

2.医師の指示に従って通院を続ける

入通院慰謝料を適切に受け取るためには、必ず医師の指示に従って通院を続けましょう。

自己判断で入通院をやめてしまうと、加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切りを提案されやすくなります。

また、入通院慰謝料を減額されるおそれもあるでしょう。

自覚症状がよくなったからといって完治しているとは限りません

なかには、きちんと治療を続けなかったことで後遺障害が残ってしまうケースもあります。

医師の指示に従って通院していなければ、後遺障害等級も認定されづらくなってしまうので注意してください。

反対に、医師が指示する以上の日数の通院をしても症状は改善していきません。

医師の指示でなければ賠償金額が増えることもないので、適切な日数と期間で治療を続けましょう

ただし、医師によっては捻挫や打撲であれば時間が経てば治癒するだろうと症状を軽視し、治療やリハビリに熱心でないこともあります。

完治までの入通院をすすめられない場合は、セカンドオピニオンを受けることも大切です。

転院することで適切な入通院慰謝料を受け取れる可能性があるため、通院先に不満がある場合はセカンドオピニオンを受け、医療機関に事情を伝えるとよいでしょう。

3.交通事故トラブルが得意な弁護士に相談する

交通事故の慰謝料を自力で請求するのは、容易なことではありません。

被害者は、交通事故に遭って精神的にも参っているなかで、治療もしなければならない状況です。

そんななか、慰謝料や損害賠償の項目を自分で全て計算し、何度も保険会社とやりとりをするのは心理的にも時間的にも、大きな負担になります。

適切な入通院慰謝料を受け取るためには、交通事故トラブルの対応が得意な弁護士に相談し、依頼するのが一番です。

交通事故案件に詳しい弁護士であれば、法的に認められる最大限の賠償を受けられるように、経験や判例を用いて交渉してくれます。

納得できる慰謝料を受け取れる可能性は格段に高まるでしょう。

なお、弁護士には交通事故の慰謝料請求について、具体的に以下のようなことを依頼できます。

  • 加害者側の任意保険会社とのやりとり
  • 適切な過失割合の交渉
  • 入通院費をはじめとした慰謝料の計算
  • 弁護士基準での慰謝料の請求
  • 慰謝料以外の損害賠償金の請求
  • 必要書類の作成
  • 示談金の受け取り
  • 裁判の準備や代理 など

交通事故トラブルの対応が得意な弁護士を見つけるなら、ポータルサイト「ベンナビ交通事故」を活用しましょう。

全国の交通事故案件に注力している法律事務所が登録しており、近隣の事務所を検索することができます。

また、初回無料相談に応じている事務所やオンライン相談に応じている事務所など、条件を指定しての検索も可能です。

あなたの状況にぴったりの弁護士を探すためにも、ぜひご活用ください。

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交通事故の入通院慰謝料に関してよくある質問

ここからは、交通事故の入通院慰謝料に関するよくある質問に答えていきます。

Q.入通院慰謝料はいつ支払われる?

基本的に、交通事故の慰謝料が支払われるのは、治療が終わって加害者との示談交渉が済んでからです。

治療にかかった最終的な費用などを算出して話し合い、損害が確定したあと支払われます。

ただし、治療が終わったとしても、後遺障害認定が必要な場合は認定が終わったあとに示談し、慰謝料が支払われることになります。

なお、支払いのタイミングは示談成立から2週間程度であることが多いです。

交通事故に遭い、示談交渉がはじまったときから支払いまでには半年から1年程度かかることもあるでしょう。

けがの状態や後遺障害が残るかどうかによって、さらに長期にわたるケースもあります。

示談成立から慰謝料を受け取れるまでの流れ

示談が成立してから、実際に慰謝料を受け取るまでの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 3日程度で加害者側の任意保険会社から被害者宛に示談書が届く
  2. 3日程度で示談書の内容を確認のうえ、署名・押印をして返送する
  3. 3~7日程度で保険会社から慰謝料が振り込まれる

示談書の返送が遅くなればなるほど、慰謝料の振り込みも遅くなります

速やかに返送しましょう。

内払金が認められることもある

示談が成立する前に、加害者側の任意保険会社から一部の損害賠償金を先払いしてもらえる可能性もあります

内払い金については、各保険会社が独自に定めている制度なので、応じてもらえるかどうかは、保険会社の制度や交渉次第です。

直接または弁護士を通じて、保険会社に確認してみましょう

一括対応が認められることもある

加害者側の任意保険会社が治療費の一括対応をおこなってくれるケースもあります。

一括対応とは、保険会社が医療機関への入通院費などを支払ってくれる制度です。

保険会社から直接病院に支払うため、被害者が治療費を支払う必要がありません。

ただし、一括対応に応じるかどうかも各保険会社の制度によります

Q.退院後に自宅での安静を余儀なくされていた場合はどうなる?

交通事故で骨折をすると、歩くことすらできずに通院するのが困難になることもあるでしょう。

この場合、医師から自宅で安静にするよう指示があれば、通院せずに自宅待機期をしていた期間も入院期間として慰謝料を請求可能です。

とくに症状が重症な場合は、自宅待機期間を入院期間と考えるのが通常です。

しかし、保険会社によっては自宅で安静にしていると、通院頻度が少ないとして、治療費の打ち切りや低額な慰謝料を提案してくることもあります。

ただし、通院頻度が少ないからといって慰謝料を減額する理由にはなりません。

骨折などの場合はむちうちなどに比べて活動しづらく、通院頻度が少ないのは当然のことです。

正当な理由がある場合は、保険会社からの要求を受け入れる必要はありません

しっかりと理由を伝えたうえで、治療費の支払いを継続してもらいましょう。

Q.やむを得ない理由で入院・通院できない場合はどうすればよい?

やむを得ない理由によって、通院を中断しても慰謝料は請求可能です。

しかし、治療再開までに30日以上が経過した場合、交通事故とけがの症状の因果関係が曖昧になり、通院は終了したものとされる可能性があります。

そのため、治療を再開してからの通院期間や日数が計算されず、再開後の慰謝料を支払ってもらえなくなるリスクがあるのです。

自覚症状がよくなった場合には、仕事や日常生活を優先して一時的に通院を中断したくなるかもしれません。

しかし、なるべく継続して治療をするのがよいでしょう。

やむを得ず通院を中断しなければいけない事情があるときは、主治医と相談して治療の中断と再開が必要であることを確認してください。

また、相手方の保険会社には事前に了承を得ましょう

さいごに|交通事故のことはベンナビ交通事故で弁護士を探して相談しよう

交通事故の入院慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準によって大きく金額が変わります。

適切な慰謝料を受け取るためには、事故に遭ってからすぐに受診することや医師の指示に従ってきちんと通院することが大切です。

また、被害者自身が保険会社と交渉して最大限の慰謝料を得るのは、なかなか簡単なことではありません。

そのため、交通事故の入院慰謝料で交渉が必要な場合は、交通事故案件に注力している弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。

法的に適正な最大限の金額を受け取るために、専門家の力を借りましょう。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
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