【加害者向け】刑事告訴を受理されるとその後どうなる?捜査の内容や流れなどを解説


刑事事件の加害者になってしまったら、被害者から刑事告訴をされる可能性があります。
刑事告訴をされると、突然の警察からの呼び出しや、逮捕のおそれがあるため、不安を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、告訴状が受理されるとその後どのような流れで捜査を受けることになるのか、身柄事件と在宅事件では何が違うのか、起訴回避のために加害者が取れる対応はあるのかなどを詳しく解説します。
刑事告訴が受理されるとその後の加害者はどうなるのか?
刑事事件の被害者は、加害者へ責任を追及するために刑事告訴をすることがあります。
刑事訴訟法第242条には、警察が告訴を受けたときは、速やかに検察官へ事件についての書類や証拠物を送付しなければならない旨が規定されています。
そのため、警察は告訴状を正式に受理したあとは、必ず捜査を開始しなければなりません。
告訴状と似たものに被害届がありますが、被害届はあくまでも被害者が被害事実を捜査機関に申告するものです。
警察署は原則として被害届が提出されれば受理しなければなりませんが、被害届の場合は、受理したからといって必ずしも捜査を開始されるわけではありません。
刑事告訴が受理されたあとの捜査方法|身柄事件と在宅事件
告訴状が受理されたあとは、捜査が開始されます。
捜査方法は、身柄事件となるか在宅事件となるかによって異なります。
以下では、それぞれの事件における捜査方法について見てみましょう。
1.身柄事件|逮捕や勾留をされて捜査が進む事件のこと
身柄事件とは、捜査機関からの逮捕や勾留によって、被疑者や被告人の身柄が拘束されたまま捜査が進められる事件のことです。
被疑者や被告人に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合は、身柄事件として捜査がおこなわれます。
身柄事件の場合、被疑者や被告人は留置されている場所から施設内の取調室などに移動して取り調べを受けることになります。
捜査機関は、身柄事件においては逮捕から最大23日間で起訴するかどうかを決めなければなりません。
そのため、逮捕された場合でも、捜査は最大23日間で終了します。
身柄事件においては、事件が終結するまで自由に外出することはできません。
会社などに行けなくなるのはもちろん、自宅に帰ることもできない点に注意しましょう。
2.在宅事件|逮捕されることなく捜査が進む事件のこと
在宅事件は、被疑者や被告人が逮捕されることなく、身柄拘束なしに捜査が進められる事件です。
被疑者はそれ以前と変わらず、日常生活を送りながら取り調べを受けることになります。
取り調べを受ける際は警察や検察官から呼び出され、警察署や検察庁に出頭しなければなりません。
呼び出されたのに出頭しないことが続くと、途中から逮捕されて身柄事件になることもあるため注意が必要です。
在宅事件は身柄事件と異なり、時間や生活拠点の制限がありません。
身柄拘束されずに日常生活を送れるのはメリットといえますが、捜査が長期化するケースが多い点はデメリットといえます。
刑事告訴が受理されたあとの刑事手続きの流れ|4ステップ
刑事告訴がなされ、告訴状が受理されたあとはどのように刑事手続きが進んでいくのでしょうか。
ここでは、刑事告訴から刑事裁判までの流れを説明します。
1.警察による捜査・逮捕
警察は、告訴状を受理すると捜査を開始します。
告訴状を受理すると、被害届を受理したケースと違って、警察は事件についての書類や証拠物を検察官に送付しなければなりません。
そのため、被害届を元におこなわれる捜査以上に積極的な捜査がなされる可能性が高いでしょう。
捜査の際、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断した場合、警察は被疑者を逮捕します。
逮捕の必要性があるかどうかは、必ずしも被疑者への事情聴取をしたうえで判断されるわけではありません。
警察が突然、加害者のもとを訪れて逮捕をすることも少なくないので、覚えておきましょう。
2.検察への送致|逮捕後48時間以内
警察は、被疑者を逮捕すると取り調べをおこないます。
逮捕をしたとしても、犯罪の容疑がない場合や極めて被害が軽い場合などは、すぐに釈放することもあるでしょう。
釈放しない場合は、警察は48時間以内に検察官へ被疑者の身柄を送致します。
3.勾留請求・勾留決定|送致後24時間以内
警察からの送致を受けた検察官は、引き続き被疑者の身柄拘束を続けるべきかどうかを判断します。
引き続き拘束が必要だと判断されると、送致後24時間以内に裁判所へ勾留請求をします。
勾留請求を裁判所が認めると、最長で20日間は身柄を拘束されたまま取り調べを受け続けることになります。
通常、勾留されるのは警察の留置場です。
なお、取り調べで発言したことは供述調書という書類にまとめられます。
供述調書の内容は起訴となるか不起訴で済むかの決定に大きくかかわります。
また、刑事裁判にも大きな影響するため、取り調べは慎重に受けなければなりません。
4.起訴・不起訴|勾留後10日以内(最長20日以内)
勾留されると、最長で20日間のうちに起訴されるか不起訴となるかが決まります。
通常、勾留ができるのは10日間です。
しかし、やむを得ない事由がある場合は、検察官はさらに勾留期間の延長を裁判所に請求することができます。
勾留延長が認められればさらに最大10日間の身柄拘束がなされ、最長20日間までは勾留が続くのです。
勾留期間が満期になると、検察官は被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。
起訴されると刑事裁判を受けなければなりませんが、不起訴となればその時点で釈放され、前科がつくことはありません。
刑事告訴の受理に関係なく加害者がとるべき3つの対応
刑事告訴がなされている場合はもちろん、そうでなくても何らかの犯罪の加害者になってしまったのであれば、次のような対応を検討してください。
1.刑事事件が得意な弁護士に相談する
何らかの事件の加害者になってしまった場合、何より大切なのは刑事事件を得意とする弁護士に相談することです。
弁護士には、それぞれ注力している分野があります。
もしも刑事事件で逮捕されてしまったら、起訴まで最大で23日間しかありません。
そのあいだに不起訴処分を目指さなければならないのです。
また、そもそも逮捕を回避したり早期釈放を目指したりするには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張する必要があります。
どのような手続きをおこなえば早期釈放や不起訴につながるのか、刑事事件に精通した弁護士であれば熟知しています。
刑事事件を得意とする弁護士を探す際は、ぜひポータルサイト「ベンナビ刑事事件」を活用してください。
ベンナビ刑事事件には、全国の刑事事件に注力している法律事務所が登録しています。
登録している法律事務所のなかからエリアや相談内容を指定して検索できるので、相談したい内容に精通している弁護士を簡単に見つけられます。
初回相談を無料に設定している法律事務所も多いため、迷わず相談しましょう。
なお、刑事事件の場合、すでに本人が逮捕されてしまったというケースも少なくありません。
そのような場合は家族から相談することも可能です。
2.被害者に謝罪し、示談交渉を進める
刑事告訴がなされたかどうかにかかわらず、刑事事件の加害者になったら、被害者に謝罪をして示談交渉を進めることが大切です。
被害者が告訴状を提出していた場合、謝罪と示談による賠償金や慰謝料の支払いによって、被害者自身が告訴を取り消してくれる可能性があります。
また、被害者と示談が成立した場合や告訴を取り消してもらえた場合、逮捕や起訴を回避できる可能性も高まります。
検察官は、加害者が賠償をおこない被害者も許しているのであれば、そこまで重い処罰を受けさせなくてもよいと考えるからです。
ただし、被害者の連絡先を知らなければ謝罪や示談交渉はできません。
警察官や検察官に聞いても連絡先を開示してもらうことはできないうえ、たとえ連絡先を知っていたとしても、加害者本人からの連絡は拒む被害者が多いでしょう。
その点、弁護士であれば、警察や検察官から連絡先を教えてもらえる可能性が高まります。
被害者に対する謝罪と示談交渉をおこなうには、弁護士に依頼するのが一番です。
3.自首も検討する
自分が加害者であることに自覚があるなら、自首することも検討しましょう。
刑法には、加害者が自首をすれば、裁判所の裁量によって刑罰が減軽されることが規定されています。
自首によって不起訴となった事件も少なくありません。
また、自首が認められれば逮捕を回避できる可能性も高まります。
一人で警察署へ出向くよりも、弁護士のサポートがあるほうが、より反省や身柄拘束が不要な旨を伝えることができるでしょう。
自首を考えているなら、まずは弁護士に相談してください。
刑事告訴を受理されたあとに関するよくある質問
ここからは、刑事告訴を受理されたあとについてのよくある質問を紹介します。
Q.刑事告訴が受理されているか知る方法はある?
基本的に、被害者から刑事告訴がなされているかどうかを確認することはできません。
告訴状は警察に提出されることが通常です。
そのため、警察に問い合わせようと考える方もいるかもしれませんが、警察が被害者の動向を加害者に教えることは基本的にはないでしょう。
加害者の性格や捉え方によっては、さらなる被害を増幅させるおそれもあるからです。
また、加害者が被害者に直接確認するのも現実的ではありません。
弁護士から警察に問い合わせてもらうのも難しいでしょう。
しかし、刑事事件に精通した弁護士であれば、警察と話した感触から告訴状が受理されたかどうかを推測することはできるかもしれません。
Q.刑事告訴をされたら警察から呼び出しされる?
告訴状が受理されると、警察から取り調べのために呼び出される可能性が高いでしょう。
しかし、呼び出されたからといって必ずしも逮捕されるとは限りません。
逮捕されたくないからといって呼び出しを拒否するのはやめましょう。
呼び出しを拒否し続けると、それを理由に逮捕される可能性が高まるからです。
呼び出されたら、素直に応じてください。
ただし、弁護士に相談したうえで取り調べに出向くことが大切です。
Q.刑事告訴から逮捕までにはどれくらいの期間がかかる?
被害者が告訴状を提出してから受理されるまでの期間は、事件の性質や警察署の状況によって異なります。
そのため、逮捕までにどれくらいかかるかも事件ごとに異なるでしょう。
なかには、告訴状が受理されるまでに1年以上かかることもあります。
また、告訴状が受理されたあとにすぐに捜査が始まることもあれば、数ヵ月経ってから捜査が開始されることもあります。
そのため、長いあいだ警察から連絡がないからといって逮捕される可能性がないわけではありません。
さいごに|刑事事件のことはベンナビ刑事事件で弁護士を探して相談しよう
刑事事件の告訴状が受理されたあとは、警察によって捜査が開始されて取り調べを受けることになります。
逮捕されるかどうかはケースによって異なりますが、逮捕を回避したい場合は、早期の示談交渉や謝罪、自首を検討する必要があるでしょう。
示談交渉や自首をおこないたい場合は弁護士に相談するのが一番です。
刑事事件に詳しい弁護士であれば、逮捕を回避できるように尽力してくれるので、逮捕されないか不安な方にとっても心強いでしょう。
また、万が一逮捕されてしまった場合でも、不起訴となるように尽くしてくれるはずです。
ベンナビ刑事事件では、刑事事件に詳しい弁護士を多数掲載しています。
無料相談に応じている弁護士も多いので、逮捕の不安がある方はまずは一度相談してみるとよいでしょう。