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国民健康保険料を滞納すると差押えをされる!回避するための具体策3選

弁護士監修記事
債務整理
2025年06月10日
2025年06月10日
国民健康保険料を滞納すると差押えをされる!回避するための具体策3選
この記事を監修した弁護士
佐々木 光嗣弁護士 (札幌パシフィック法律事務所(債務分野))
2018年2月に札幌パシフィック法律事務所を設立。スタッフも一丸となり「身近なリーガルパートナー」として迅速な問題解決を目指す。
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  • 「国民健康保険料を払っていないけど、大丈夫かな?」
  • 「国民健康保険料を払わないと差押えをされるって本当?」

国民健康保険料について、このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

国民健康保険料を滞納すると、財産が差し押さえられるリスクがあります。

差押えは、行政機関によって裁判手続きを経ずに執行されるため、気づいたときには財産が差し押さえられていたというケースも少なくありません。

本記事では、国民健康保険料を滞納した場合の財産差押えの流れや対処方法を解説します。

なお、お住まいの市町村によって、「国民健康保険料」と呼ぶ地域と、「国民健康保険税」と呼ぶ地域の2種類があります。

ただ、滞納した場合の不利益については共通していますので、以下の解説では両者に共通する内容を念頭において記載します。

支払いが困難で不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでください。

国民健康保険料滞納のリスクを知り、適切な対応で差押えを回避しましょう

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国民健康保険料の滞納で財産を差し押さえられることはある!

国民健康保険料を滞納すると、財産が差し押さえられる可能性があります

国民健康保険法79条の2以下では、国民健康保険料を滞納した者が、督促状が発せられた日から起算して10日を経過した日までに徴収金を完納しない場合又は繰上徴収に係る告知を受けたにもかかわらず納期限までに徴収金を完納しないときは、市町村等が滞納者の財産を差し押さえることができると規定しています。

このように、一度でも国民健康保険料を滞納したからといって直ちに財産が差し押さえられるわけではありません

国民健康保険料を滞納すると、まず初めに督促状が届きます。

そして、この督促状が発せられた日から少なくとも、10日間無視し続けていると、財産を差し押さえられるという流れが通常です。

差押えの対象となるものは、預貯金・給与・年金・生命保険解約返戻金・不動産・動産などの全ての財産です。

預貯金を差し押さえるために銀行口座を凍結されてしまえば、銀行からお金を引き出したり、他の口座に送金したりすることができません。

また、給与を差し押さえられた場合は、勤務先から給与の一部を受け取れなくなります。

最低限の生活のために必要な費用は残されますが、それ以外の金額は滞納した国民健康保険料として市町村に支払われることになるでしょう。

国民健康保険料の滞納から財産差押えまでの大まかな流れ

国民健康保険料を滞納してしまったら、財産は差し押さえられてしまいます。

ここでは、どのような流れで差し押さえられるのかについて、簡単に紹介します

1.国民健康保険料の滞納が発生する

定められた納付期限までに国民健康保険料を支払わなければ、滞納となります。

滞納が発生すると、納付期限の翌日から延滞金が加算されます。

納付が遅れれば送れるほど延滞金が増えてしまうので気をつけなければなりません。

なお、延滞金の納付も法令等によって義務付けられています

そのため、滞納後にもともと支払わなければならなかった金額だけを納めても、延滞金が未納であれば滞納が続いている状態となるのです。

2.市町村から手紙や電話で督促される

納付期限を過ぎても国民健康保険料を支払わなければ、市町村から督促状が送付されます。

国民健康保険法第79条第1項では、納付期限を過ぎても滞納者が国民健康保険料を支払わない場合、市町村は、期限を指定して督促をしなければならないと規定しており、この期限内に完納がなされないと、多くの場合、により、督促状が発せられることとなります(同法第79条の2、地方税法第231条の3第3項参照)。

督促状の送付後も納付しなければ、電話などによって納付の催告がなされることがあります

上記でも述べましたが、この督促状を発した日から起算して、10日を経過した日までに滞納している金額の完納されない場合、市町村等は滞納者の財産の差押えをおこなわなければなりません。

ここでポイントなのは、「差し押さえなければならない」という規定があることです。

国民健康保険料の督促が届いたら、差押えの一歩手前という意味があるので、速やかに対応しましょう

3.市町村が被保険者の財産を調査する

納付の督促や催告があっても納付に応じないと、滞納者の財産について調査が開始されます

差押えの対象は、預貯金・給与・年金・生命保険解約返戻金・不動産・動産などの全ての財産です。

国税徴収法によると、自治体が財産調査をおこなうためには、その必要と認められる範囲内においては、本人の事前の同意は必要ありません(国税徴収法第141条参照)。

そして、この国税徴収の基本構造が、地方税等にも準用される形になっています。

そのため、たとえば持家に住んでいた場合、本人だけでなく同居している家族の意思も関係なく、強制的に検査される可能性もあります

4.市町村が被保険者の財産の差押えをする

市町村は、財産調査によって発覚した財産の中から差し押さえる財産を決定します。

そして、必要な分の財産を差し押さえます。

差押えがなされると、滞納者本人はもちろん、勤務先や金融機関などの必要な相手に「差押通知書」が送付されるため、滞納していることが勤務先に知られるリスクがあることを覚えておきましょう

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国民健康保険料の滞納による差し押さえがこわい三つの理由

国民健康保険料の滞納による差押えは、民事事件における未払や賠償金などに関する差押えとは異なります

ここでは、一般民事事件における差押えよりも国民健康保険料の滞納による差押えのほうがこわいとされる理由について見ていきましょう。

1.裁判手続きを経ないで差押えができる

国民健康保険料の滞納について自治体がおこなう差押えは、裁判所を通す必要がありません。

そのため、訴状などが届くことはなく、裁判のステップを飛ばして差押えを実行できるのです。

万が一、知らない間に差押えが開始されたとしても、原則的にその執行は止められないことになっているため、受け入れるしかありません

2.滞納額以上の財産を差し押さえられる可能性がある

国民健康保険料を滞納してしまうと、滞納額以上の差し押さえがおこなわれるケースがあります

たとえば、5万円程度の国民健康保険料を滞納している方に対して、100万円以上の評価額である「自動車」を差し押さえるような例です。

国税徴収法第48条第1項によると、国税を徴収するに際して、必要な財産以外の財産は差し押さえることができないとして、いわゆる超過差押えを禁止しています

しかし、上記の例のように、「自動車」以外にめぼしい財産がない場合においては、滞納額に応じて自動車を「分割」して差し押さえるということはできませんので、少額の滞納であっても、所有する自動車が突然、差し押さえられてしまう危険性があるのです。

市町村側はさまざまな理由によって多額の財産を差し押さえることがあるため、なかには強引な差押えだと感じる方もいるでしょう。

3.自己破産をしても国民健康保険料は免除されない

国民健康保険料は、自己破産でも支払い義務が免除されない非免責債権の一種です。

国民健康保険料を滞納する方のなかには、ほかにもさまざまな支払いを滞納していたり、多額の借入れをしていて返済困難な状況に陥ったりしている方も少なくありません。

そのような場合、自己破産を検討する方もいるでしょう。

しかし、自己破産をしても国民健康保険料の支払い義務は免除されないのです。

そのため、予期せぬ差押えを回避するためにも、自己破産を弁護士に依頼する場合であっても、まずは、国民健康保険料の滞納を解消することを最優先とした方針を立てる必要があります。

国民健康保険料の滞納による差押えを回避するための対処法

国民健康保険料を滞納してしまったら、放置せずに次のような対処を検討しましょう

1.督促を無視せず役所に相談する

国民健康保険料の滞納で督促状が届いたら、差押えをされる前に市町村の役所に相談してください

場合によっては分割払に応じてくれることがあります。

また、世帯所得が一定以下の場合は、国民健康保険料を支払うと最低限の生活すら送るのが困難だと考えられ、減免や納付猶予を受けられるケースもあります。

納付できない事情があるときは、放置せずに相談することが大切です。

2.お金を用意して保険料を支払う

差押えを回避したいなら、お金を用意して支払うのが一番です。

とくに滞納している額が少ない場合は、家族などを頼って借りるのもよいでしょう。

差押えのリスクは、滞納額とは関係がありません。

20万円の滞納であっても、1万円の滞納であっても、いきなり差し押さえられるリスクは同じです。

数万円の滞納で差し押さえられるリスクを考えれば、家族に頼ったり生活費を抑えたりして、何とか支払ってしまうほうがよいでしょう。

3.家族の保険への加入を検討する

国民健康保険料を支払うのが難しいなら、場合によっては、家族が勤務先で加入している社会保険(健康保険)の被扶養者になることも検討すべきです。

このように、扶養認定を受けることで、国民健康保険からの脱退手続きをすることができる場合があります。

親や兄弟であれば、必ずしも同居していないくても、生計が同一であれば扶養に入ることができます

ただし、扶養に入るには、原則として、年収130万円未満かつ、扶養家族の年収の2分の1未満である必要があります。

なお、一人暮らしでも家族の扶養に入ることは可能です。

その場合は、上記の要件の加えて、扶養する側の家族から仕送りなどで援助してもらう金額よりも、自身の収入が少ないことも要件となります。

さいごに|国民健康保険料の滞納は放置せずに早めに対処しよう!

国民健康保険料は滞納すると、差押えという厳しい措置が取られる可能性が高いです。

万が一、すでに国民健康保険料の支払いを滞納している場合は、放置せずに早めに対処しましょう。

なお、国民健康保険料のほかにも借金の返済や滞納が重なっている場合は、一人で抱え込まず、弁護士に相談してください。

弁護士なら法的な手続きを通じて借金問題を解決できるかもしれません。

弁護士には守秘義務があり、相談内容が第三者に漏れることはありませんので、安心して相談ください

ベンナビ債務整理には、借金や滞納への法的な対処方法に理解が深く、解決実績が豊富な法律事務所が多く登録しています。

その中から、自分に合う弁護士がきっと見つかるでしょう

初回相談を無料で受け付けている法律事務所も少なくありません。

ぜひ活用して相談してみてください。

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