不倫で訴えられたときの対処法|裁判の流れや慰謝料を減額・回避できるケースも解説


- 「不倫がバレて訴えられた。これからどうすればいいのだろう。慰謝料請求はどのようにおこなわれるのか。」
- 「不倫慰謝料を支払わなければならなくなった場合、相場はどのくらいか。」
不倫がバレて相手の配偶者から訴えられ、どうすればいいか不安になっていませんか。
不倫で訴えられた場合、ストレスのかかる交渉や裁判をする必要が生じたり、高額な慰謝料を支払ったりしなくてはならない可能性があります。
そのため、これからどうなるか不安になるのは仕方ないでしょう。
本記事では、不倫がバレて訴えられた場合にやるべきことや不倫で訴えられた場合の流れ、不倫慰謝料の相場、慰謝料を減額できるケースや支払いを回避できるケース、弁護士に相談して解決した事例を解説します。
不倫で訴えられても、必ずしも高額な慰謝料を支払わないといけないわけではありません。慰謝料をゼロにできたり減額できたりするケースも多いのです。
本記事を読めば相手の慰謝料請求にきちんと対応できるようになるうえで、慰謝料の支払い回避や減額の可能性を高められます。
不倫がバレて訴えられた場合にまずやるべきこと
不倫がバレてしまい、相手の配偶者から訴状が届いたら、誰でもパニックになってしまうかもしれません。
しかし、こんなときこそ冷静に対応することが大切です。
まずは、以下の3つを順番に進めていきましょう。
訴状の内容が事実かどうか確認する
最初にやるべきことは、訴状をしっかり読んで、書かれている内容が事実で誤りがないか確認することです。
訴状には、以下が記載されています。
請求の趣旨 | 原告が被告に何を求めているか(慰謝料の請求など) |
請求の原因 | 誰と誰がどのような不貞行為をしたかや不貞行為で発生した損害の程度、慰謝料算定の根拠など |
事実とは異なる内容が記載されているようであれば、しっかり否定し反論する必要があります。
相手の要望を把握する
次に訴状から相手の要望を正確に把握します。
不倫に関する訴状で、まず考えられるのが慰謝料の請求です。
詳しくは後述しますが、不倫慰謝料の相場は50万円~300万円程になります。
相手からの請求額がどの程度で、相場からかけ離れていないか確認しましょう。
相場よりも高額である場合は、その要求が不当であるか高額になる要因があると考えられます。
不倫に関する訴状で、相手から要求されるのは慰謝料の請求だけではありません。
以下のような要望があげられることも多いです。
- 謝罪してほしい、謝罪文を書いて欲しい
- 今後、一切会わないで欲しい
- (職場不倫である場合)会社を辞めて欲しい
- 引っ越して欲しいなど
訴状が届いた場合は、相手の要望を正確に把握し適切に対応する必要があります。
そのうえで応じられる内容か否かなどを検討しましょう。
離婚問題が得意な弁護士に相談する
不倫で訴えられた場合は、一刻も早く離婚問題が得意な弁護士に相談すべきです。
自身の不倫について他人に相談するのは気が引けるかもしれませんが、弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットがあります。
- 請求された慰謝料額が相場と比べ妥当かなど、法的な観点からアドバイスをしてもらえる
- 相手方との交渉や繁雑な訴訟手続きを代行してもらえるので、精神的・肉体的負担を軽減できる
- 主張を適切におこない、慰謝料額を減額してもらえる可能性がある
【注意】不倫で訴えられた場合に無視するのはNG
もし訴状が届いても、「怖いから見たくない」「どうせ自分には関係ない」と無視してしまうのは絶対にやめましょう。
訴状を無視して答弁書を提出せず期日にも出廷しなければ、被告が原告の言い分を認めたとみなされ(擬制自白といいます)、原告の請求を認容される判決が下されます。
訴状が届いた場合は、答弁書を提出するなど適切に対応をすすめる必要があります。
不倫で訴えられたあとの流れ
では、実際に不倫で訴えられた場合、裁判はどのような流れで進んでいくのでしょうか。
ここでは、一般的な民事裁判の流れを5つのステップに分けて説明します。
1.訴状の送達
裁判所は不倫相手の配偶者(原告)から訴状を受理すると、あなた(被告)へ書留郵便で訴状を送達します。
訴状とあわせ、裁判所に出廷する期日などが書かれた期日の呼出状や答弁書の書き方などの書面が封入されているのであわせて確認しましょう。
2.答弁書の提出
訴状を受け取ったあと、被告は訴状に対する認否や反論などの主張を答弁書にまとめて指定された期限までに提出します。
答弁書を提出すれば口頭弁論期日に欠席したとしても、原告の主張をそのまま認めたとはみなされません。
3.口頭弁論期日
口頭弁論期日とは、裁判所が原告・被告双方を法定へ呼び出し、主張や証拠のやりとりをさせる日です。
口頭弁論期日は1回で終わることもありますが、一般的に主張や証拠がそろうまで複数回にわたっておこなわれます。
口頭弁論期日ごとの間隔は1~2ヵ月程度です。
4.尋問
原告・被告から提出される主張・証拠がそろったら、裁判所が当事者や証人に対し尋問をおこないます。
尋問とは、裁判所が当事者による主張や証拠を調べるための手続きです。
当事者に対しておこなわれる当事者尋問と第三者に対しておこなわれる証人尋問があります。
5.和解・判決
尋問のあと、裁判所から和解の提案があり、お互い合意できれば和解をするケースも多いです。
また、裁判官によっては、尋問前に和解の提案をすることもあります。
和解は判決と同じ効力を持ち、違反すれば強制執行がおこなわれることもあります。
当事者間で和解ができないケースも少なくありません。
その場合は、判決によって裁判が終了します。
判決の内容に不服がある場合は、2週間以内であれば上級の裁判所に対し控訴が可能です。
控訴審では、第一審の判断に誤りがあるかなどが争われ、判決内容が変更(逆転勝訴)される場合もあります。
不倫で訴えられた場合の慰謝料相場はいくら?
不倫で訴えられた場合、慰謝料がいくらぐらいになるかは気になるところでしょう。
ここでは慰謝料額の相場や減額を期待できるケース、支払った慰謝料の一部を不倫相手に請求できる可能性があることを解説します。
不倫の慰謝料相場は50万円~300万円程度
不倫(不貞行為)による慰謝料の金額は、法律で明確に決まっているわけではありません。
しかし、これまでの裁判例などから、おおよその相場は存在します。
一般的に、不倫の慰謝料相場は50万円~300万円程度といわれています。
- 不倫により、相手が離婚に至った場合の慰謝料相場:100万円~300万円程度
- 不倫が発覚したものの、相手が離婚に至らなかった場合の慰謝料相場:50万円~150万円程度
慰謝料額は、以下にあげる要因によって増額される可能性があります。
婚姻期間 | 婚姻期間が長くなるほど、慰謝料が増額されやすい |
不貞行為の頻度 | 不貞行為の頻度が高いほど、慰謝料が増額されやすい |
不貞行為を続けた期間 | 不貞行為を続けた期間が長いほど、慰謝料が増額されやすい |
未成年の子どもがいるかや数 | 夫婦の間に未成年の子どもがいたり、その数が多かったりすると、慰謝料が増額されやすい |
不倫をされた側の精神状況 | 不倫をされた側の配偶者が、不倫によって精神疾患をわずらうと慰謝料が増額されやすい |
不倫の悪質性 | たとえば不倫をした側の配偶者が家を出て配偶者と同棲をはじめたなど、不倫の悪質性が高い場合は慰謝料が増額されやすい |
慰謝料の減額が期待できるケース
不倫をしたときの状況や対応によっては、慰謝料が減額される可能性があります。
不倫慰謝料の減額を期待できる主な要因は以下のとおりです。
婚姻期間 | 婚姻期間が短いと、慰謝料が減額されやすい |
不貞行為の頻度 | 不貞行為の回数が少ないほど、慰謝料が減額されやすい |
不貞行為を続けた期間 | 不貞行為を続けた期間が短いほど、慰謝料が減額されやすい |
未成年の子どもがいるかや数 | 未成年の子どもがいないと慰謝料が減額されやすい |
反省・謝罪 | 不倫をしたことを深く反省し、不倫をされた側の配偶者に謝罪がすんでいれば慰謝料が減額されることがある |
社会的制裁 | 不倫をした側が社会的制裁(会社で懲戒解雇を受けたなど)を受けていれば、慰謝料は減額されやすい |
年齢・資産状況 | 慰謝料を請求される側の年齢が若く、資産もあまりないと慰謝料が減額されることがある |
関係の清算 | 不倫発覚後に不倫相手との関係を清算していると、慰謝料が減額されることがある |
支払った慰謝料の一部は不倫相手に請求することもできる
あなたひとりで慰謝料を支払った場合、その一部を負担するよう不倫相手に請求できます。
不倫はあなたと相手が、共同でおこなう不法行為です。
その責任や慰謝料の支払い義務は双方にあります。
そのためあなただけが慰謝料を支払ったのであれば、不倫相手の慰謝料まで肩代わりしていることになるのです。
あなたは肩代わりした分について、相手に支払うよう求めることができます。
この権利が「求償権」です。
訴えた側の夫婦が今後も婚姻関係を続ける場合、求償権によって金銭を請求されるのは避けたいでしょう。
あなたにせっかく慰謝料を支払わせたのに、求償権によって自分たちの財産からその一部を支払わなくてはならないからです。
これでは、せっかくあなたにだけ慰謝料を請求した意味が失われてしまいます。
そこで求償権の行使を控えてもらう代わりに、あなたへ請求する慰謝料額を減額するといった交渉がおこなわれることがあるわけです。
不倫で訴えられても慰謝料の支払いを回避できるケース
不倫で訴えられたとしても、状況によっては慰謝料の支払いを回避できるケースもあります。
以下、具体的にどのようなケースで慰謝料を支払わずにすむ可能性があるかみていきましょう。
相手が既婚者だと知らなかった場合
相手が嘘をついていたなどで既婚者であると知らなかったのであれば、不倫慰謝料の支払いを回避できる可能性があります。
不倫慰謝料の支払い義務は、以下いずれかの条件を満たしていなければ生じません。
- 故意:相手が既婚者と知っていながら、不貞行為をおこなった
- 過失:相手が既婚者と知ることができたにも関わらず、不貞行為をおこなった
上記のような故意・過失があれば、あなたが不倫慰謝料を支払う義務が生じる可能性があります。
なお、この場合の過失とは、たとえば不倫の相手と同じ職場でかつ相手が職場で既婚者であることを隠していなかったような場合です。
このように相手が既婚者とわかる環境だったのに、それを知らずに不倫をしたなら過失があるとみなされる可能性があります。
一方で相手が既婚者であるとあなたが把握できる環境もなく、相手が既婚者であることを隠していたといったケースも考えられるでしょう。
このケースでは、あなたに故意も過失も認められません。
そのため慰謝料を請求されても、支払いを拒否できると考えられるのです。
不貞行為(肉体関係)がなかった場合
慰謝料請求の要因となる法律上の「不貞行為」とは、既婚者が配偶者以外と肉体関係を持つことを指します。
あなたが不倫相手と付き合っていたもののプラトニックな関係で肉体関係がなかったなら、原則として不貞行為があったとみなされません。
そのため慰謝料を支払う必要はないと考えられるのです。
なお肉体関係がなかったとしても、相手の婚姻生活を破綻させるほど親密に付き合っていれば慰謝料の請求を拒めない可能性があります。
婚姻生活を破綻させたり精神的苦痛を与えたりしたことで、平穏な生活を続ける相手の権利を侵害したと考えられるためです。
不倫関係になる前から婚姻関係が破綻していた場合
不倫関係になった時点で、相手の婚姻関係が破綻していたのであれば、慰謝料の請求を回避できる可能性があります。
不倫慰謝料は、不貞行為により婚姻関係が破綻したという損害に対して支払われるものだからです。
不倫関係になる前から相手の婚姻関係が破綻していたなら、それが不倫のせいであるとはいえません。
「婚姻関係の破綻」とは、長期間にわたる別居、離婚の合意ができている、離婚調停や離婚訴訟中である、といった状況が考えられます。
ただし、単に「夫婦仲が悪かった」「よくけんかをしていた」という程度では、法的に婚姻関係が破綻していたとは認められにくいので注意が必要です。
損害賠償請求権の時効が成立している場合
不倫による慰謝料請求権(損害賠償請求権)には、「時効」があります。
時効が成立すると、慰謝料を請求する権利が消滅するため、あなたは慰謝料を支払う必要がなくなります。
不倫の慰謝料請求権の時効は、以下のいずれか短い方です。
- 不倫の事実と不倫相手を知ったときから3年間
- 不倫行為があった時から20年間
前者を消滅時効、後者を除斥期間といいますが、期間の経過により慰謝料請求ができなくなるという点は同様です。
相手の配偶者が不倫の事実や不倫相手を知ってから3年以上経過しているか、相手の配偶者が不倫の事実や不倫相手を知らなかった場合でも、不貞行為のときより20年が経過している場合には、慰謝料請求は認められません。
なお、慰謝料請求権(損害賠償請求権)の時効を成立させるには、時効の援用という手続きをする必要があります。
また時効が中断・更新されるケースもあり注意が必要です。
時効の援用や時効の中断・更新については、以下記事で解説しておりますので興味があればあわせて参照ください。
【関連記事】【弁護士監修】借金の消滅時効とは?成立のための4つの条件や時効か調べる方法を解説
不倫で訴えられたものの、弁護士に相談して解決した事例
実際に不倫で訴えられてしまったとしても、弁護士に相談することで、良い方向に解決できるケースは少なくありません。
ここでは、弁護士のサポートによって慰謝料が減額されたり、請求が放棄されたりした事例を2つ紹介します。
800万円の慰謝料を請求されたが、夫婦破綻を理由に請求を放棄できた事例
依頼者が不倫相手の夫から、800万の慰謝料を請求されていた事案です。
弁護士が状況を確認したところ、相手の夫婦関係が破綻しているような状態でした。
本件では相手方弁護士との交渉では合意に至らず、裁判で争うことになります。
裁判において弁護士は、相手の夫婦関係が破綻したあとの浮気であるとして主張と証拠提出を繰り返しました。
また弁護士費用の損害賠償請求や、相手方の有責性を根拠とした慰謝料の反対請求もおこなっています。
最終的には相手方が請求を放棄し、反対に相手方のみ一定額を支払う条件で和解が成立し事件が終了しました。
【参考元】浮気の慰謝料800万円 を請求されたが夫婦破綻を理由に請求を放棄、弁護士費用分を獲得、和解した事例
相手側の弱点をつき、不倫慰謝料の請求を0円に減額した事例
10年来の知り合いだった男性との2年間に及ぶ不倫関係がバレて、不倫相手の妻から300万円の慰謝料を請求された事案です。
不倫相手の男性は離婚して依頼人と再婚すると約束していたのに、不倫発覚後は依頼人を切り捨てるような態度をとります。
そうした状況から依頼人は慰謝料の支払いに納得できず、慰謝料ゼロを希望していました。
本件では弁護士が相手の性格や社会的地位、夫婦関係などの情報から相手の弱点をついて勝利を目指します。
そのうえで相手方が、慰謝料請求を断念せざるを得ないような戦略をたてました。
最終的には狙い通り相手方が慰謝料請求を断念し、慰謝料の支払わない内容での和解が実現したのです。
【参考元】300万円の不倫慰謝料請求を0円に減額した事例
さいごに|不倫で訴えられたときはできるだけ早く弁護士に相談を!
ここまで、不倫で訴えられた場合の対処法や裁判の流れ、慰謝料の相場、そして慰謝料を減額・回避できるケースなどについて解説してきました。
不倫で訴えられるという事態は、精神的にも大きな負担となり、どうすれば良いのかわからなくなってしまうことも多いでしょう。
しかし、ひとりで悩んでいても、事態が良い方向へ進むことは難しいかもしれません。
大切なのは、パニックにならず、まずは冷静に状況を把握し、そしてできるだけ解決実績豊富な弁護士に相談することです。
弁護士は、あなたの法的な代理人として、あなたの権利を守り、不利益を最小限に抑えるためのサポートをしてくれます。
また、今後の見通しや具体的な対処法について的確なアドバイスをもらえるだけでも、あなたの不安は大きく軽減されるはずです。
本記事を読んで、「弁護士に相談してみようかな」と少しでも思った方は、ぜひ勇気を出して、離婚問題や男女問題に強い弁護士を探して相談してみてください。