慰謝料請求でやってはいけないこと8選!刑事責任が問われる可能性についても解説


配偶者の不倫が発覚したら、大変なショックを受けるはずです。
なかには、配偶者や不倫相手に慰謝料請求をしたいと考える方もいるでしょう。
しかし、不倫の慰謝料請求をおこなう際は、冷静に対応しなければなりません。
辛い気持ちがあるのは当然ですが、感情的に動いてしまうと最悪の場合刑事責任や民事の不法行為責任が問われる可能性もあります。
確実に不倫慰謝料を請求するためは「やってはいけないこと」を理解し、適切に対応することが大切です。
そこで本記事では、慰謝料請求時に注意すべきポイントを解説します。
怒りや悲しみから、不倫相手を責めたくなる気持ちも理解できます。
しかし、慰謝料をしっかり請求するためにも、ポイントを押さえて落ち着いて対応しましょう。
不倫の慰謝料請求でやってはいけないこと8つ
不倫の慰謝料請求は、冷静に慎重に対応する必要があります。
感情的になってしまうと、ご自身が損をしてしまうかもしれません。
ここからは、不倫の慰謝料請求でやってはいけないことを8つ紹介します。
会社や家などへ乗り込んで慰謝料を請求する
慰謝料請求でやってはいけないことのひとつ目は、相手の会社や家などに乗り込んで慰謝料を請求することです。
不倫がわかったとき、怒りや悲しみから今すぐ相手と話をしたいと思う方もいるでしょう。
だからといって、相手の会社や家に乗り込んではいけません。
不倫はあくまで当事者同士の問題です。
会社や相手の家族は関係ありません。
そして、無関係の人に不倫の事実がバレてしまえば、相手に大きな損害を与え、その責任を問われる可能性もあるのです。
また、会社に乗り込んで騒ぎ立ててしまえば、業務妨害罪に該当するおそれもあります。
感情的になる気持ちは理解できますが、自身が被るデメリットが大きくなってしまうので、相手の家や会社に乗り込むのはやめましょう。
不倫相手に暴行する
慰謝料請求でやってはいけないこと2つ目は、不倫相手に暴行することです。
どんな事情があっても、暴力行為は犯罪です。
配偶者や不倫相手に対して暴力をふるってしまうと、暴行罪が成立する可能性があるうえ、暴行によって相手にけがを負わせた場合は、傷害罪に問われるおそれがあります。
さらに、暴行を加えながら慰謝料や謝罪の要求を行った場合は、恐喝罪や強要罪が成立するおそれもあります。
いくら腹が立つからといって、暴行は絶対にやってはいけません。
職場や家に電話をかけ、相手の責任を追及する
慰謝料請求でやってはいけないこと3つ目は、職場や家に電話をかけ、相手の責任を追求することです。
職場や家に電話をすると、関係のない人を巻き込むことになります。
そして、相手に暴言を吐く、脅迫めいた発言をするなどの行為は、侮辱罪や脅迫罪に該当するかもしれません。
また、職場に電話をした結果、職場内で噂が広まると、名誉毀損罪に該当する可能性もあります。
不倫相手に制裁を加えたいという気持ちも理解できますが、感情的になってはいけません。
ご自身が不利になる可能性があるので、落ち着いて行動しましょう。
家族・職場に不倫などの事実をバラすと脅す
慰謝料請求でやってはいけないこと4つ目は、「家族・職場に不倫などの事実をバラす」と脅すことです。
「不倫を認めなければ、職場にバラしてやる」「今すぐ謝罪しろ」といった発言は、脅迫罪や強要罪に問われる可能性があります。
不倫相手を脅したからといって、高額な慰謝料が取れるわけではありません。
事実を確認し、冷静に話し合うようにしましょう。
不倫相手に退職を強要する
慰謝料請求でやってはいけないこと5つ目は、不倫相手に退職を強要することです。
不倫は、退職を求める理由にはなりません。
法律でも認められていないので、退職を迫れば強要罪となる可能性があります。
とはいえ、配偶者と不倫相手が同じ職場にいるのはストレスも大きいはずです。
また不倫をされてしまうのではと、不安になる気持ちもよくわかります。
今後も相手が同じ職場で働き続けるなら、示談書などに「業務上正当な理由がある場合を除き、連絡や接触を一切しないことを約束する」などの文言を入れておくとよいでしょう。
これにより、不倫の再発を抑止できるはずです。
SNSへ不倫の事実などを書き込む
慰謝料請求でやってはいけないこと6つ目は、SNSへ不倫の事実などを書き込むことです。
SNSは、不特定多数の人々に見られるものです。
書き込むことで多くの人に不倫を公表することになり、名誉毀損になる可能性があります。
匿名だからバレないというわけではありません。
内容によっては当事者を特定できることもあるので、SNSへの書き込みはしないようにしましょう。
不倫相手の自宅に盗聴器を仕掛ける
慰謝料請求でやってはいけないこと7つ目は、不倫相手の自宅に盗聴器を仕掛けることです。
相手の家に忍び込んで盗聴器を仕掛ける行為は、住居侵入罪に問われる可能性があります。
不倫の証拠を集めたいからといって、度が過ぎた行為は避けましょう。
また、このように違法な手段で集めた証拠は、裁判で証拠として扱ってもらえないかもしれません。
正しい手段で証拠を集めるためにも、弁護士への相談がおすすめです。
不当に高額な慰謝料の支払いを迫る
慰謝料請求でやってはいけないこと8つ目は、不当に高額な慰謝料の支払いを迫ることです。
慰謝料を支払ってもらうには、当事者の合意が必要です。
あまりにも相場からかけ離れた金額を請求してしまうと、「払えるわけない」と話し合いを放棄されるかもしれません。
話し合いができなければ、慰謝料の支払いを受けるのは困難です。
そして、高圧的な態度で無理やり慰謝料を請求する行為も避けましょう。
相手は脅されたと感じ、恐喝罪が成立するおそれがありますし、後々トラブルに発展するかもしれません。
離婚や不倫の慰謝料には相場があります。
ご自身のケースでどのくらい請求できるのか知りたいなら、弁護士へ相談しましょう。
慰謝料請求でやってはいけないことをすれば、脅迫罪などの刑事責任に問われる可能性も
慰謝料を請求する際、怒りに任せて暴力行為や名誉棄損にあたる行為などをおこなうと、最悪の場合刑事責任に問われる可能性があります。
ここからは、行き過ぎた行為によって問われる可能性のある刑事責任について見ていきましょう。
種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
脅迫罪 | 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(刑法第222条) | 不倫していたことを家族や職場にバラすと脅す行為など |
名誉棄損罪 | 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第230条) | SNSで不倫の内容を書き込む行為、職場や家族に不倫の事実を言いふらす行為など |
恐喝罪 | 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。(刑法第249条) | 相手を脅して慰謝料を支払わせる行為など |
暴行罪、傷害罪 | 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。(刑法第208条) 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第204条) | 腕を掴む、髪を引っ張る行為など(暴行罪) また、暴行により相手にけがを負わせる行為(傷害罪) |
住居侵入罪 | 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。(刑法第130条) | 相手の家に侵入し、盗聴器を仕掛けて不倫の証拠を集める行為など |
慰謝料請求での不適切な行為により、民事責任を問われる可能性もある
慰謝料請求での不適切行為で問われるのは、刑事責任だけではありません。
場合によっては民事責任を問われる可能性もあります。
たとえば、不倫相手の会社に乗り込んで騒ぎ立てた場合、業務妨害として会社側から損害賠償請求されてしまうことも考えられます。
また、不必要に不倫の事実を言いふらせば、相手の社会的評価を下げることにもなり、名誉毀損を理由として逆に不法行為に基づく慰謝料請求をされてしまうかもしれません。
行き過ぎた行為で後悔しないためにも、慰謝料を請求する際は落ち着いて対処すべきです。
弁護士を立てずに自分で慰謝料請求をするのであれば、冷静に相手と交渉する
自分で慰謝料請求をする場合は、冷静に相手と交渉しましょう。
不倫をした相手に落ち度があったとしても、過度な要求や過激な発言は控えるべきです。
度が過ぎた行為をおこなってしまうと、最悪の場合、刑事責任や民事責任に問われる可能性があります。
冷静になれる自信がないのであれば、弁護士などの専門家への依頼も検討しましょう。
自分で慰謝料請求をするのはリスクや注意点が多い
不倫の慰謝料請求は、感情的になりやすい問題です。
そのため、自分で対応するにはリスクや注意点もあります。
あなたからの慰謝料請求に対して、もし相手が弁護士に依頼したらご自身が相手の弁護士と直接交渉しなければなりません。
弁護士は法律の専門家ですから、法律知識がない素人が立ち向かうのは非常に困難です。
そのため、相手に弁護士がついたら、ご自身も弁護士へ依頼したほうがよいでしょう。
また、当事者同士で話し合い、合意まで辿り着いたとしても、合意内容を書面に落とし込むには法的な知識が必要です。
自己流で作成してしまうと思わぬ不備があり、せっかくの合意書が意味をなさなくなるリスクもあります。
これらを踏まえると、不倫の慰謝料を適切かつ確実に請求したいなら、早い段階で弁護士へ依頼したほうがスムーズに解決できるでしょう。
慰謝料請求は弁護士に任せるべき理由
慰謝料請求は、弁護士に任せるのがおすすめです。
ここからは、慰謝料請求を弁護士に任せるべき具体的な理由を解説します。
交渉や手続きをスムーズにすすめてくれる
慰謝料請求を弁護士に依頼すれば、相手との交渉や合意書作成などの手続きをスムーズに進めてくれます。
裁判を起こす場合も、弁護士に依頼すれば、訴状などの書類の作成、裁判所とのやりとり、裁判所への出頭などを弁護士に一任することができます。
男女のトラブルや離婚問題の解決実績が豊富な弁護士なら、不倫の慰謝料請求業務には慣れているはずです。
また、一般的な人には負担が重い交渉や合意書作成も、弁護士にとっては日常業務でもあります。
ご自身で対応するより弁護士に依頼したほうが、ストレスもなく早期に解決できるでしょう。
精神的な負担を軽減できる
慰謝料請求を弁護士に依頼すれば、精神的な負担も軽減できます。
不倫相手との直接対決は、不倫の被害者にとって非常にストレスがかかるものです。
冷静になりたくても、つい感情が爆発してしまうこともあるでしょう。
弁護士は、相手との交渉や裁判に進んだ場合の手続きなどを全て代理で対応してくれます。
そのため、依頼者は精神的な負担を大幅に減らすことができ、日々の日常を過ごしながら問題解決を目指すことが可能です。
相手にプレッシャーを与えられる
慰謝料請求を弁護士に依頼すれば、相手にプレッシャーを与えられます。
弁護士の名前が入った書面が届くだけで、相手が慰謝料請求にすんなり応じるケースも少なくありません。
スムーズかつ適切に慰謝料を請求するためにも、一度弁護士へ相談してみるとよいでしょう。
より有利な条件で解決できる可能性が高まる
慰謝料請求を弁護士に依頼すれば、より有利な条件で解決できる可能性も高まります。
不倫の慰謝料額は、不貞期間や回数などさまざまな事情を考慮して計算されます。
ご自身で正確な額を出すのは難しいでしょう。
その点、弁護士なら不貞の状況を聞き取り、過去の事例と照らし合わせて適切な慰謝料額を算定してくれます。
思っていたより高額な慰謝料を獲得できるかもしれません。
さいごに | 慰謝料請求をする際は弁護士に相談を!
本記事では、不倫の慰謝料請求でやってはいけないことについて詳しく解説しました。
不倫の慰謝料請求でやってはいけないことは、以下のような行為です。
- 会社や家などへ乗り込んで慰謝料を請求する
- 不倫相手に暴行する
- 職場や家に電話をかけ、相手の責任を追及する
- 家族・職場に不倫などの事実をバラすと脅す
- 不倫相手に退職を強要する
- SNSへ不倫の事実などを書き込む
- 不倫相手の自宅に盗聴器を仕掛ける
- 不当に高額な慰謝料の支払いを迫る
慰謝料請求は、精神的なショックから相手に対して感情的になりがちな問題です。
しかし、相手を脅迫したり暴言を吐いたりしては、刑事責任や民事の不法行為責任に問われる可能性もあります。
いくら不倫相手が悪くても、ご自身の行為によっては慰謝料請求できなくなってしまうかもしれません。
相手と直接交渉するなら、行き過ぎた言動は避け、冷静に対処すべきです。
そして、不倫トラブルをなるべくスムーズに解決したいなら、弁護士へ相談しましょう。
弁護士なら状況に合った適切な慰謝料額を算定し、相手に請求してくれます。
直接相手と話す必要もないので、負担を大幅に減らせるはずです。
冷静になれる自信がない、少しでも高額な慰謝料を獲得したいと悩んでいるなら、早めに弁護士へ相談しましょう。