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慰謝料未払い時の差し押さえの流れ|弁護士に依頼するメリットや注意点も

弁護士監修記事
離婚トラブル 慰謝料
2025年09月02日
2025年09月02日
慰謝料未払い時の差し押さえの流れ|弁護士に依頼するメリットや注意点も
この記事を監修した弁護士
長谷川 達紀・日吉 加奈恵弁護士 (新静岡駅前法律事務所)
依頼者様のお気持ちに寄り添い、最も良い選択ができるよう、一緒に考え、解決策を提案させていただきます。
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  • 「不倫相手から慰謝料が支払われない」
  • 「離婚慰謝料が未払いなので、相手の給料を差し押さえたい」

このように、不倫や離婚の慰謝料を請求しているのにもかかわらず、相手から支払われずに困っている方もいるでしょう。

慰謝料の未払いが発生した場合は、相手の給料や財産を差し押さえることが可能です。

しかし、一体どうやって差し押さえればよいのでしょうか。

本記事では、慰謝料が未払いとなったときの差し押さえについて、手続きの流れや必要書類などを詳しく解説します。

また、未払い慰謝料の回収・差し押さえを弁護士に依頼するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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慰謝料の回収に役立つ「差し押さえ」とは?

「差し押さえ」とは、裁判所を通しておこなう法的な手続きです。

借金や慰謝料、養育費などの債務を支払わない相手に対して、給料や財産を強制的に押さえることができます。

差し押さえられた財産は、債務者が自由に処分することができなくなります。

非常に強制力のある手続きなので、未払いの慰謝料を回収したいという債権者にとって最終手段ともいえる方法であることを覚えておきましょう。

ただし、債務者の全ての財産を差し押さえられるわけではありません。

たとえば、以下のような財産は差し押さえができません。

  • 手取り給料、年金などの4分の3(養育費や婚姻費用の場合は2分の1)
  • 生活保護や児童手当、年金の受給権
  • ひと月生活に必要な衣服や食料品

債務者にも生活があるため、日常生活が送れなくなるような差し押さえは法律で禁止されています。

債務者の生活を保護しつつ財産を回収できるのが、差し押さえの手続きです。

慰謝料未払い時の差し押さえの流れ|大きく2ステップが必要

では、実際にどのように差し押さえがおこなわれるのでしょうか。

ここからは、慰謝料未払い時の差し押さえの流れを以下2ステップで解説します。

  1. 判決などの債務名義を取得する
  2. 強制執行の申立て手続きをする

それぞれの手続きについて見ていきましょう。

1.判決などの債務名義を取得する

相手の財産を差し押さえるためには、まずは債務名義を取得しましょう。

債務名義とは、債務者が債権者に対して、債務の支払いがあるということを法的に証明する書類のことです。

裁判での判決や和解調書、調停調書、公正証書などが債務名義に該当します。

ただし、債務名義だけで差し押さえができるわけではありません。

債務名義に執行文を付与してもらう必要があります。

執行文とは、債務名義に執行力があることを証明する文言のことです。

債務名義を手に入れたら、裁判所や公証役場に執行文付与を申し立てましょう。

申立てをおこなうと、債務名義の最終ページに「債権者は債務者に対し、この債務名義により強制執行をすることができる」などの文言が書かれた書面が添付されます。

また、債務者に債務名義が送達されたことを証明する「送達証明書」も必要です。

調停や裁判終了時に送達申請をしていない場合は改めて申請をおこない、送達証明書を取得しましょう。

なお、家事調停調書や仮執行宣言付支払い督促などの債務名義を持っている場合は、強制執行においては執行文が不要なケースもあります。

詳しくは、弁護士に相談のうえで必要な書類を収集しましょう。

2.強制執行の申立て手続きをする

執行文が付与された債務名義と送達証明書が揃ったら、差し押さえの手続きに移ります。

裁判所に以下の書類を送り、申立てをおこないましょう。

  • 債権差押命令申立書
  • 当事者目録
  • 請求債権目録
  • 差押債権目録
  • 債務名義
  • 送達証明書

申立てが受理されると、裁判所から第三債務者(債務者が勤務する会社や、口座のある銀行)と債務者に対して、債権差押命令が発令されます。

命令が出されたあと、債権者は第三債務者に直接債務を取り立てることが可能です。

慰謝料未払い時の差し押さえ手続きを弁護士に依頼する3つのメリット

慰謝料の差し押さえにはさまざまな書類が必要です。

手続きも煩雑なので、弁護士へ依頼したほうがスムーズに金銭を回収できるかもしれません。

ここからは、差し押さえ手続きを弁護士に依頼するメリットを3つ、解説します。

1.おすすめの執行方法を教えてもらえる

慰謝料未払いにおける強制執行を弁護士に依頼するひとつ目のメリットは、おすすめの執行方法を教えてもらえる点です。

給与、預金、不動産など、差し押さえの対象となる財産にはいくつかの種類があります。

差し押さえをする際は、どの財産でもOKというわけではなく、確実に財産があるところに目掛けて差し押さえをしないと、空振りに終わってしまうかもしれません。

その点、弁護士に依頼することで、どこの何を差し押さえるべきなのか、適切な方法を教えてもらえるでしょう。

よりスムーズに確実に、財産を差し押さえられるはずです。

2.事前の財産調査についても依頼できる

慰謝料未払いにおける強制執行を弁護士に依頼する2つ目のメリットは、事前の財産調査についても依頼できる点です。

そもそも相手が財産を持っていなければ、差し押さえはできません。

しかし、一個人が相手の財産を調べることは非常に困難です。

その点、弁護士はどの口座にいくらの財産があるのかなど、職権や裁判所、弁護士会の手続きを経て相手の財産状況を調査できます。

しっかり金銭を回収したいという方は、弁護士への依頼を検討しましょう。

3.実際の申立て手続なども一任できる

慰謝料未払いにおける強制執行を弁護士に依頼する3つ目のメリットは、実際の申立て手続なども一任できる点です。

差し押さえ手続は煩雑です。

書類に不備があれば裁判所と何度も連絡を取り合わなければならず、非常に手間がかかります。

そして、時間をかけている間に、万が一相手方に財産を隠されてしまえば、差し押さえ手続が空振りに終わってしまいます。

差し押さえは、スピード感が非常に重要だといえるでしょう。

その点、手続きに慣れている弁護士であれば、スピーディーにミスなく進めてくれます。

より早く、確実に金銭を回収できるはずです。

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差し押さえだけじゃない!慰謝料未払い時に検討すべき2つの対処法

差し押さえは法的な手続きなので、時間と労力がかかります。

できることなら差し押さえをせずに、慰謝料を支払ってもらうのがベストです。

慰謝料が未払いになった場合の回収方法は、差し押さえだけではありません。

ここからは差し押さえ以外で、慰謝料を回収する方法を2つ紹介します。

1.あらためて催促をする

慰謝料が未払いの場合、まずは相手に催促をしましょう。

万が一支払わない場合は、差し押さえも辞さないという考えを相手に伝えれば、任意で支払いを受けられるかもしれません。

催促や相手との交渉を自分でおこなうのが難しい場合は、この時点で弁護士に相談・依頼することも検討してください。

弁護士から連絡が入ることで、相手に圧をかけ、危機感を与えることができます。

弁護士に催促を依頼するだけで、これまでかたくなに応じなかった相手がすんなり支払いに応じる可能性もあるでしょう。

2.減額や分割払いに応じる

もし相手に財産がなければ、慰謝料を支払うことができません。

その場合、慰謝料の減額や分割払いに応じたほうがよいでしょう。

差し押さえ手続をおこなう場合、弁護士費用や一定程度の時間がかかります。

また、後述のとおり、差し押さえ手続が功を奏さない可能性もあります。

費用と時間、労力を天秤にかけ、慰謝料の減額に応じたほうがメリットが大きいこともあるでしょう。

また、一括での支払いが難しくても、分割なら可能なこともあります。

相手の経済状況を把握し、分割払いを検討するのもひとつの方法です。

ボーナス月は多めに支払うなど、なるべく分割回数が少なくなるように交渉してみましょう。

慰謝料未払い時に差し押さえをする際の3つの注意点

差し押さえをしたからといって、確実に慰謝料を回収できるとは限りません。

ここからは、差し押さえをする際に事前に知っておくべき注意点を3つ解説します。

1.相手が財産を持っていない場合は失敗してしまう

相手が財産を何も保有していなければ、せっかく差し押さえをしても失敗に終わってしまいます。

差し押さえは、あくまでも差し押さえられる財産がある場合にのみ有効な手続きです。

財産がなければ押さえるものがないので、費用や時間が無駄になってしまいます。

確実に差し押さえをおこなうためにも、事前の財産調査や財産の仮差し押えなどの手続きを検討しましょう。

2.相手にバレると財産隠しなどがおこなわれてしまう

万が一、差し押さえの動きが相手にバレてしまうと、財産隠しなどがおこなわれるかもしれません。

通常、差し押さえが相手にバレるリスクは少ないといえます。

しかし、相手に対して慰謝料を支払うよう頻繁に連絡していた場合、パタリと連絡が途絶えると「何かしようとしているんじゃないか?」と疑われる可能性があります。

ご自身の動きによっては差し押さえの準備を進めていることがバレるリスクもあるので、十分に注意が必要です。

3.自己破産によって慰謝料を免除される可能性がある

相手が自己破産をした場合、慰謝料の支払いが免除される可能性があります。

自己破産とは、借金の支払いを免れるためにとる手続きのことです。

そして、自己破産をしても免責されない債権のことを、非免責債権といいます。

慰謝料で非免責債権に該当するのは、明らかな悪意がある行為に対する慰謝料や、生命を脅かす行為に対する慰謝料などです。

一般的に不貞や離婚の慰謝料は、そのどちらにも該当しないと判断されます。

よって、相手に自己破産されると、慰謝料を回収できなくなるかもしれません。

さいごに|慰謝料が支払われないなら弁護士に相談して対応しよう!

本記事では、離婚慰謝料が未払いのときの差し押さえ手続について詳しく解説しました。

不貞や離婚の慰謝料が未払いの場合、債務名義の取得や裁判所への申立てによって強制執行をおこない、相手の財産を差し押さえることが可能です。

しかし、差し押さえにおいては、聞き慣れない法律用語を理解しながら手続きしなければならず、素人がスムーズかつ確実に差し押さえを実現するのは困難です。

そのため、よりスピーディーに手続きを進めたいなら、弁護士へ依頼することをおすすめします。

弁護士に依頼すれば、慰謝料のベストな回収方法を教えてもらえるのはもちろん、相手がどんな財産を保有しているのか、事前に調べたうえで差し押さえ手続が可能です。

必要書類の収集や作成も全て任せることができるので、ご自身のストレスなく差し押さえをおこなうことができるでしょう。

より確実に財産を差し押さえて少しでも金銭を回収したいなら、弁護士へ相談して対応しましょう。

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