家庭内別居を理由に離婚できる?離婚できるケースと離婚するためのコツ
同じ家に暮らしながら、夫婦の会話はなく、食事や寝室も別々…。
そんな「家庭内別居」の状態に、精神的な限界を感じていませんか?
「もう離婚して、この息苦しい生活から解放されたい」と思っても、「家庭内別居で離婚できるの?」「何から準備すればいいかわからない」と、次の一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
結論、話し合いによる離婚であれば、家庭内別居が理由でも離婚が可能です。
ただし、離婚裁判で離婚する際には、「家庭内別居により夫婦関係が破綻しており、婚姻を継続し難い」ことを証明することが必要です。
そのため、家庭内別居だけを理由に裁判で離婚を認めてもらうことは一般的には難しいです。
この記事では、家庭内別居を理由に離婚するために必要なことや、離婚をスムーズに進めるためのコツなどをまとめてご紹介します。離婚をお考えの方はぜひ参考にご覧ください。
裁判で家庭内別居を理由に離婚を認めてもらうポイント
家庭内別居をしていることが、直ちに裁判で離婚を認める理由となるわけではありません。一般的には、裁判で離婚を可とされるには、これを超えて夫婦関係の破綻を導くようなプラスαが必要と思われます。
例①:不貞の事実(パートナーが不倫相手と肉体関係をもっている)
パートナーが不貞行為をしていることを証明できるのであれば、このことが離婚理由となる余地はあります。
このような不貞行為の証拠を掴むためには、相手に警戒されていない状態で調査を進めることが望ましいでしょう。離婚の話が出てからだと警戒されてしまう可能性があるので、離婚したいことを相手に伝える前に証拠集めをしておくとよいかもしれません。
【関連記事】
浮気・不倫慰謝料の請求に有力な証拠|証拠がなくても請求するには?
浮気の証拠は自力で入手可能|浮気調査の方法と素人調査のリスクまとめ
例②:配偶者からひどい暴力を受けている
配偶者からひどい暴力を振るわれることが続いているような場合、婚姻関係を維持することは酷であるとして離婚が認められる余地があります。
この場合も、暴力の事実を立証する必要がありますので、例えば、暴力を受けた跡(傷やあざ)の写真を撮る、病院に行って診断書を作成してもらう、暴力の内容について日記に記録する、暴力を受けていることを継続的に第三者にEmail等で相談するなどにより、証拠を作成することが考えられます。
なお、暴力をふるわれるまでいかなくても、日常的にひどい暴言を吐かれるようなモラハラ的行為があれば、その音声を録音しておく、暴言の内容をメモしておくなどで証拠化することも検討するべきでしょう。
【関連記事】
例③:就労しない、生活費を渡さないという事情で経済的に困窮している
家庭内別居状態とはいえ、夫婦である以上は相互に扶助協力すべき義務があります。しかし、配偶者の一方が就労しない又は就労していても生活費を渡さないなどの理由で経済的に困窮することを強いられている場合、これが離婚理由となる余地があります。
【関連記事】
|
【ポイント】民法は離婚が認められる事由として以下の5つを挙げています。もっとも、これに該当しても直ちに離婚が可とされるわけではありませんので、留意してください。
「離婚時に必要な5つの離婚事由|裁判離婚で必要な法的理由」でも詳しく解説していますのでぜひ参考にご覧ください。 |
家庭内別居中に浮気されたら慰謝料請求はできる?
![]()
家庭内別居中に浮気をされていたら慰謝料請求できるかどうか、気になるところですよね。これは、例え浮気の証拠を掴んでいても、慰謝料請求できる場合と、できない場合があります。
結論から言えば、家庭内別居に留まらず「夫婦関係が事実上破綻している」と評価されるような場合は、仮に配偶者が当該破綻後に他の異性と肉体関係を持っていたとしても、不貞行為と評価されませんので、慰謝料請求は認められません。
もっとも、このように夫婦関係が事実上破綻しているかどうかは、明確な基準・ルールがあるわけではありません。夫婦の生活に関わる諸般の事情を総合考慮して判断されます。
そのため、実際に配偶者による不貞行為について慰謝料請求ができる・できないの判断は法律の専門家でないと難しいと思われます。このような場合は、やはり弁護士に相談してみるのが確実です。
【関連記事】家庭内別居中の浮気はアウト?セーフ?慰謝料請求が可能な条件とは
家庭内別居中に婚姻費用は請求できる?
上記のとおり、家庭内別居中であっても、夫婦である以上は相互に扶助協力する義務がありますので、生活のために必要な費用はその収入に応じて分担する必要があります。
そのため、家庭内別居中に配偶者が生活費を渡してくれないということがあれば、相手に対して生活費を渡すよう請求すること(婚姻費用を分担するよう請求すること)ができます。
もっとも、当該費用請求は夫婦関係が存続していることを前提としますので、夫婦関係が事実上破綻しているような場合にはもはや請求はできませんので、この点は留意しましょう。
いずれにせよ、弁護士に相談してどのように対応するべきかは検討して下さい。
まとめ
この記事では、家庭内別居中のパートナーと離婚できるケースや、離婚するためのコツなどをご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか。
それぞれの家庭によって家庭内別居の状況が違いますし、個人によっても家庭内別居の定義が違いますので、もし本格的に離婚を進める段階になったら弁護士に状況を伝え、相談しながら離婚の準備を進めていくといいでしょう。
この記事が、あなたが新しい人生を踏み出すためのお役に少しでも立てれば幸いです。
