相続の無料相談をメールで受け付けている窓口はある?メール文例も紹介
- 「相続の相談をしたいけれど、電話や対面では話しづらい…」
- 「相談に行きたいけど、仕事や家事が忙しくて時間を作れない...」
そんなときに便利なのが、メールでの無料相談を受け付けている窓口です。
メール相談なら、時間を気にせず自分のペースで相談内容をまとめられるうえ、24時間いつでも好きなときに相談することができます。
とはいえ、「どこに相談すればいいの?」「どんな内容を書けばいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、相続に関する無料相談をメールで受け付けている主な窓口を紹介するとともに、実際に使えるメール相談の文例もわかりやすく解説します。
これからメール相談を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
相続の無料相談をメールで受け付けている窓口と相談できる内容
相続に関する無料メール相談を受け付けているのは、主に以下5つの窓口です。
- 法律事務所
- 司法書士事務所
- 税理士事務所
- 行政書士事務所
- 法テラス
まずは、それぞれの窓口の特徴や相談できる内容について、詳しく見ていきましょう。
法律事務所|相続問題全般に関すること
法律事務所は、相続に関するあらゆるトラブルを相談できる窓口です。
特に、相続人同士で遺産の分け方について意見が対立している、いわゆる「争族」の状態になっている、またはそうなりそうな場合には、弁護士が唯一の相談相手となります。
なぜなら、ほかの相続人との交渉や、家庭裁判所での調停・審判といった手続きであなたの代理人になることは、弁護士にしか認められていないからです。
なお、多くの法律事務所では、正式な依頼の前に事件の見通しを立てるための無料相談を実施しています。
メールや専用の問い合わせフォームで無料相談を受け付けている事務所も多いので、まずは相談内容の概要を伝えてみるとよいでしょう。
司法書士事務所|不動産の相続登記に関すること
実家の土地や建物など、不動産相続に関するトラブルや疑問を抱えている場合は、司法書士に相談するのがおすすめです。
亡くなった方から不動産を相続したら、その名義を自分に変える手続きである「相続登記」をしなければなりません。
その点、司法書士は主に登記手続きを得意としているため、スムーズかつトラブルのない手続きに期待できるでしょう。
また、司法書士は借金が多いなどの理由で相続そのものを放棄したい場合の「相続放棄」や、遺言書が法的に有効かを確認する「遺言書の検認」など、家庭裁判所に提出する書類の作成も対応可能です。
相続に詳しい司法書士事務所の中には、メールでの無料相談を受け付けているところも多いので、まずは一度気になる司法書士のホームページを確認してみましょう。
税理士事務所|相続税に関すること
財産を相続する際に発生する相続税について悩んでいる場合は、税理士への相談がおすすめです。
高額な遺産を相続する際は、相続税を計算して税務署へ申告する必要がありますが、これらを業務を代理でおこなえるのは税理士だけです。
相続税に詳しい税理士事務所では、無料のメール相談や面談を通じて、相続税申告が必要かどうかを判断してくれます。
ただし、正確なアドバイスには詳しい財産の資料が必要になるため、メール相談だけでは問題を解決できない可能性もあるでしょう。
メール相談はあくまで対面相談前の準備段階と理解し、困っていることやどんなサポートを受けられるかなどを確認するために利用してください。
行政書士事務所|相続にともなう書類作成に関すること
相続に関して揉め事や複雑な手続きが発生しておらず「書類の作成だけ手伝ってほしい」という場合は、行政書士への相談がおすすめです。
行政書士は、「遺産分割協議書」の作成や、相続手続きに必要な戸籍謄本などの公的な書類を集める作業を代行してくれます。
ただし、行政書士ができるのはあくまで書類作成のサポートまでです。
相続人同士の交渉や不動産の登記、相続税の申告はできないため注意が必要です。
法テラス|相続関連の法律・制度に関すること
「自分の悩みがどの専門家の分野なのかもわからない」「何から手をつけていいか全く見当がつかない」という方は、法テラス(日本司法支援センター)に相談するのも一つの方法です。
法テラスは、国が設立した法的な問題の総合案内所です。
メールで問い合わせをすると、あなたの相談内容に関連する法律や制度について教えてくれたり、弁護士や司法書士といった適切な相談窓口を案内してくれたりします。
ただし、法テラスのメール相談は、個別の問題に対して「こうすれば解決できますよ」という具体的なアドバイスをくれるわけではありません。
あくまで、次の一歩を踏み出すための道案内役と考えるとよいでしょう。
また、メールの返信には数日かかることが多く、急いでいる場合には不向きです。
収入が一定以下などの条件を満たせば、無料の法律相談を受けられる制度もあります。
相続のメール相談先は、状況に合わせて選ぶのが大切
相続に関する相談先はあなたが置かれている状況やどんな相談をしたいのかで異なります。
ご自身の悩みがどの専門家の分野に当てはまるのか、下の表で確認してみましょう。
| 相談したい内容 | 最適な相談先 | 備考 |
| ほかの相続人と揉めている・揉めそう | 法律事務所 | 交渉や調停・裁判の代理は弁護士の独占業務です。 |
| 不動産(土地・家)の名義変更をしたい | 司法書士事務所 | 不動産の相続登記(名義変更)の専門家です。 |
| 相続税がかかるか知りたい・申告したい | 税理士事務所 | 相続税の計算と申告は税理士の独占業務です。 |
| 揉めごとはないが、遺産分割協議書などの書類作成を依頼したい | 行政書士事務所 | 遺産に不動産が含まれていない場合に適しています。 |
| 誰に相談すべきか、何から始めるべきか全くわからない 弁護士や司法書士に相談するお金がない | 法テラス | 適切な相談窓口を案内してくれますが、具体的な解決策は得られません。 |
なお、専門家にはそれぞれ「独占業務」という、その資格を持つ人しかおこなうことのできない仕事が決まっています。
間違った相手に相談してしまうと、「それは私の専門外なので、〇〇事務所に相談してください」と、時間と手間をロスしてしまう可能性があるので注意しましょう。
メールで相続の無料相談をする基本的な流れとメール文例
どの専門家に相談するかが決まったら、次はいよいよメールを作成します。
ここでは、相談メールを送るまでの基本的な流れと、具体的なメールの文例を紹介します。
1.相談内容を整理する
専門家からの無料相談という限られた機会を最大限に活かすためには、事前の準備がとても大切です。
メールを送る前に少しだけ時間をとって、ご自身の状況を整理してみましょう。
状況の整理は、完璧でなくても大丈夫です。
わかる範囲で情報をまとめるだけでも、専門家は状況を把握しやすくなり、より具体的な返信をしやすくなります。
具体的なチェック項目は、以下のとおりです。
| 内容 | 備考 |
| 登場人物は誰ですか?(相続関係の整理) | 亡くなった方(被相続人)と、相続人になる可能性のある人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)を簡単な図に書き出してみましょう。 |
| 何が遺されていますか?(財産の整理) | プラスの財産(預貯金、不動産、株など)と、マイナスの財産(借金、ローンなど)を、わかる範囲でメモに書き出してみましょう。 |
| 一番困っていることは何ですか?(問題点の整理) | あなたが専門家に一番聞きたいこと、一番解決したい問題を、短い文章でまとめてみましょう。 |
この3点を整理しておくだけで、頭の中もスッキリし、相談メールも格段に書きやすくなります。
2.相談メールを作成・送付する
準備ができたら、いよいよメールを作成します。
メールを作成する際は、件名を見ただけで内容がわかるようにし、本文は箇条書きなどを活用して、わかりやすく伝えるのがポイントです。
以下に、相談内容別のメール文例を4つ紹介します。
ご自身の状況に合わせて、内容を書き換えて使ってみてください。
遺産分割に関して相談する場合のメール文例
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件名:遺産分割に関する無料メール相談のお願い(氏名:山田太郎) |
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本文: 〇〇法律事務所 お世話になります。山田太郎と申します。 先日亡くなった父(山田一郎)の遺産分割について悩んでおり、専門家のアドバイスをいただきたく、ご連絡いたしました。 具体的な状況は以下のとおりです。 亡くなった人(被相続人):山田一郎(2024年〇月〇日死亡) ご多忙のところ恐れ入りますが、ご助言を賜れますと幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。 山田太郎 |
相続登記に関して相談する場合のメール文例
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件名:不動産の相続登記に関する無料メール相談(氏名:鈴木良子) |
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本文: 〇〇司法書士事務所御中 はじめまして。鈴木良子と申します。 亡き母(鈴木春子)名義の不動産の相続手続き(相続登記)についてご相談があり、メールいたしました。 状況は以下のとおりです。 亡くなった人(被相続人):鈴木春子(2024年〇月〇日死亡) お忙しいところ恐縮ですが、ご回答いただけますと幸いです。 よろしくお願いいたします。 鈴木良子 |
相続税に関して相談する場合のメール文例
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件名:相続税に関する無料メール相談のお願い(氏名:佐藤健太) |
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本文: 〇〇税理士事務所 お世話になります。佐藤健太と申します。 父(佐藤隆)が亡くなり、相続税の申告が必要かどうかわからず不安に思っております。 アドバイスをいただきたく、ご連絡いたしました。 概要は以下のとおりです。 亡くなった人(被相続人):佐藤隆(2024年〇月〇日死亡) 専門家のご意見を伺い、スムーズに手続きを進めたいと考えております。 何卒よろしくお願い申し上げます。 佐藤健太 |
相続放棄に関して相談する場合のメール文例
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件名:相続放棄の手続きに関する無料メール相談(氏名:高橋直樹) |
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本文: 〇〇法律事務所御中 はじめまして。高橋直樹と申します。 亡くなった父(高橋雄一)の相続について、相続放棄を検討しており、その手続きについてご相談したくメールいたしました。 具体的な状況は以下のとおりです。 亡くなった人(被相続人):高橋雄一 お忙しい中恐れ入りますが、ご回答のほど、よろしくお願い申し上げます。 高橋直樹 |
3.数日間は回答を待つ
相談メールを送信したら、専門家からの返信を待ちましょう。
ただし、メールを送ってもすぐに返信が来るとは限りません。
専門家は多くの案件を抱えているため、回答には2~3営業日、場合によっては1週間程度かかるのが一般的です。
しばらくたっても返信がない合は、迷惑メールフォルダに紛れ込んでいないか、確認するとよいでしょう。
もし1週間以上経っても返信がない場合は、相談メールが届いていない可能性も考えられます。
その際は、一度事務所に電話で問い合わせてみましょう。
メールで相続の無料相談をする際の注意点
メールでの無料相談は、時間や場所を選ばずに専門家の意見を聞ける非常に便利な方法です。
しかし、いくつか知っておくべき注意点もあります。
トラブルが起きている場合は相手方の氏名も記載する
もし、ほかの相続人と遺産の分け方で揉めている場合、相談メールにはトラブルの相手となっている方の氏名も記載するようにしましょう。
これは、利益相反というルールに関係しています。
弁護士は、対立している両方の当事者から相談を受けることが、法律で禁じられているのです。
例えば、あなたが相談した弁護士が、すでに対立しているあなたの兄弟からも相談を受けていた場合、どちらか一方に偏ったアドバイスをすることができず、公平性を保てなくなってしまいます。
相手の名前を伝えるのは、弁護士がこのルールに違反していないかを確認し、あなたに100%中立で公正なアドバイスを提供できるようにするための大切な手順なのです。
回答の詳しさや正確性には限界がある
メールでの相談で得られる回答は、あくまであなたがメールに書いた情報だけをもとにした、一般的なアドバイスであると理解しておくことが重要です。
専門家は、遺言書や不動産の登記簿謄本、預金通帳といった実際の資料を見ていません。
そのため、メールの返信はいわば「お医者さんが電話で症状を聞いて判断する」ようなもので、精密検査をしたうえでの診断とは異なるのです。
メール相談は、問題の全体像を把握し、今後どう動くべきかの方向性を知るための最初の羅針盤です。
それだけで全てが解決するわけではなく、最終的な解決には、資料を持参しての対面相談など、より深いステップが必要になることを覚えておきましょう。
迅速に回答してほしいときは対面や電話での相談を利用する
メールは自分のペースで送れる反面、返信が来るまでに時間がかかります。
もし、急いで解決しなければならない問題を抱えているなら、メール相談は適していません。
相続放棄や相続税申告など、期限が迫っている手続きについて、すぐに対応してもらいたい場合は、対面相談を利用することをおすすめします。
メール相談の利用回数には制限がある
多くの事務所が提供している無料相談は、「初回のみ」という条件付きであることがほとんどです。
最初のメールでのやり取りは無料でも、2回目以降の質問や、さらに詳しい相談には料金が発生する場合もあるので注意しましょう。
さいごに|相続の悩みもメールなら気軽に相談できる!
遺産相続は、法律や税金、そして家族の感情が複雑に絡み合う、非常にデリケートな問題です。
一人で抱え込んでいると、不安ばかりが大きくなってしまうかもしれません。
しかし、本記事で紹介したように、まずはメールで専門家に相談するという一歩を踏み出すことで、状況を整理し、進むべき道筋を見つけることができます。
対面で話すのが苦手な方でも、メールなら自分のペースで落ち着いて悩みを伝えることができるはずです。
「ベンナビ相続」では、相続問題の解決実績豊富な弁護士が、あなたの最初の相談を親身に受け付けています。
まずは気軽に、あなたの状況を伝えてみませんか。
一通のメールが、複雑な相続問題を解決へと導く、大きな第一歩になります。
