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養育費の相場はいくら?政府統計や算定表・自動計算機で簡単に調べる方法を解説

弁護士監修記事
離婚トラブル 養育費
2025年12月15日
養育費の相場はいくら?政府統計や算定表・自動計算機で簡単に調べる方法を解説
この記事を監修した弁護士
加藤 惇弁護士 (東日本総合法律会計事務所)
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離婚後や別居中に子どもを育てるために欠かせない「養育費」。

とはいえ、「実際の相場はいくらなのか?」「自分の年収や相手の年収だといくらになるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

養育費の金額は、子どもの人数や年齢、父母それぞれの収入によって大きく変わります。

本記事では、政府統計から見る養育費の全国平均や養育費算定表の使い方、自動計算機を使ったシミュレーション方法について詳しく解説します。

また、養育費が相場より高くなりやすいケースについても紹介するので、これから養育費を請求する方、あるいは支払う側の方も、ぜひ参考にしてください。

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養育費の相場はどのくらい?政府統計でみる

養育費は、子どもの人数や年齢、支払う側・受け取る側の収入によって変動しますが、まずは全国的な平均額を知っておくと目安になります。

令和3年度全国ひとり親世帯等調査における1世帯あたりの養育費平均額は、以下のとおりです。

■1世帯あたりの養育費平均額
家族形態 平均 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人 子ども5人 不詳
母子世帯 50,485 円 40,468 円 57,954 円 87,300 円 70,503 円 54,191 円 39,062 円
父子世帯 26,992 円 22,857 円 28,777 円 37,161 円 -※ -※ 10,000 円

※統計対象の世帯がない

【参考】令和3年度全国ひとり親世帯等調査

この統計から、母子世帯の場合は平均で月5万円前後、父子世帯では3万円未満が多いことがわかります。

政府統計によれば養育費をまったく受け取っていない世帯も多い

政府統計によると、養育費をまったく受け取っていない母子世帯が多いこともわかります。

その背景としては、以下のような理由が挙げられています。

  • 相手と関わりたくない:50.8%
  • 相手に支払う意思がないと思った:40.5%
  • 相手に支払う能力がないと思った:33.8%

離婚時に養育費について取り決めをしていない場合や、相手が支払いに応じない場合は、法的手続きや強制執行などを視野に入れなければなりません。

そのため、できる限り離婚する前に養育費について交渉をおこない、しっかりと取り決めをしておくことが大切です。

なお、相手と関わりたくないという場合は、交渉や取り決めを弁護士に任せる方法もあります。

養育費は、子どもの将来のために必要なお金なので、親の事情で取り決めない・受け取れないといったことがないようにしてください。

より詳しい養育費の相場は養育費算定表で確認できる

養育費には相場がありますが、実際の金額は父母それぞれの年収・子どもの年齢・人数によって決まります。

そのため、自分のケースにあった金額を知りたい場合は、全国平均ではなく、家庭裁判所が公表している養育費算定表を使うのが基本です。

ここからは、養育費算定表の基本知識と見方を順に解説します。

そもそも養育費算定表とは?

養育費算定表とは、支払う側と受け取る側の年収、子どもの人数と年齢に応じて、養育費の目安額を簡単に確認できる表のことです。

家庭裁判所での調停や裁判では、この算定表に基づいて養育費額を算出するのが一般的です。

養育費算定表の見方

養育費算定表を使うには、まず自分の条件に合った表を選び、次に父母の年収に応じた金額帯を確認します。

それぞれの流れについて、以下で見ていきましょう。

1.裁判所のホームページで条件に合う算定表をダウンロードする

養育費算定表は、子どもの人数と年齢別に複数用意されています。

「0〜14歳の子ども1人用」「15〜19歳の子ども2人用」など、自分のケースに合ったものを裁判所のホームページから選んでダウンロードしましょう。

■ダウンロード先:裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

2.養育費を支払う側・受け取る側の年収をもとに養育費の金額を確認する

養育費算定表をダウンロードしたら、受け取る側・支払う側の年収に応じて金額を確認しましょう。

ダウンロードした表の横軸・縦軸には、それぞれ「支払う側の年収」「受け取る側の年収」が記載されています。

該当する交差部分に記載されているのが、月額の養育費目安額です。

裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

引用元:裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

例えば、支払う側の年収が500万円、受け取る側の年収が200万円、子ども1人(0〜14歳)の場合、以下のように養育費の目安は「月4万〜6万円」となります。

裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

引用元:裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

養育費算定表に基づく養育費額の早見表

ここからは、以下の条件をもとにケースごとの養育費目安額を紹介します。

  • 子どもの年齢:0〜14歳
  • 受け取る側は給与取得者(会社員)

自身の条件に近いケースを探して、相場の目安として参考にしてください。

支払う側の年収が300万円の場合

支払う側の年収が300万円の場合の養育費額は、以下のとおりです。

■支払う側が会社員の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 4万~6万円
100万円 2万~4万円
300万円 2万~4万円
2人 0円 4万~6万円
100万円 4万~6万円
300万円 2万~4万円
3人 0円 6万~8万円
100万円 4万~6万円
300万円 2万~4万円
■支払う側が自営業の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 4万~6万円
100万円 4万~6万円
300万円 2万~4万円
2人 0円 6万~8万円
100万円 4万~6万円
300万円 4万~6万円
3人 0円 8万~10万円
100万円 6万~8万円
300万円 4万~6万円

支払う側の年収が400万円の場合

支払う側の年収が400万円の場合の養育費額は、以下のとおりです。

■支払う側が会社員の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 4万~6万円
100万円 4万~6万円
300万円 2万~4万円
2人 0円 6万~8万円
100万円 4万~6万円
300万円 4万~6万円
3人 0円 8万~10万円
100万円 6万~8万円
300万円 4万~6万円
■支払う側が自営業の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 6万~8万円
100万円 4万~6万円
300万円 2万~4万円
2人 0円 10万~12万円
100万円 8万~10万円
300万円 6万~8万円
3人 0円 10万~12万円
100万円 8万~10万円
300万円 6万~8万円

支払う側の年収が500万円の場合

支払う側の年収が500万円の場合の養育費額は、以下のとおりです。

■支払う側が会社員の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 6万~8万円
100万円 4万~6万円
300万円 4万~6万円
2人 0円 8万~10万円
100万円 6万~8万円
300万円 6万~8万円
3人 0円 10万~12万円
100万円 8万~10万円
300万円 6万~8万円
■支払う側が自営業の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 8万~10万円
100万円 6万~8万円
300万円 4万~6万円
2人 0円 12万~14万円
100万円 10万~12万円
300万円 8万~10万円
3人 0円 14万~16万円
100万円 12万~14万円
300万円 10万~12万円

支払う側の年収が600万円の場合

支払う側の年収が600万円の場合の養育費額は、以下のとおりです。

■支払う側が会社員の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 6万~8万円
100万円 6万~8万円
300万円 4万~6万円
2人 0円 10万~12万円
100万円 8万~10万円
300万円 6万~8万円
3人 0円 12万~14万円
100万円 10万~12万円
300万円 8万~10万円
■支払う側が自営業の場合
子どもの数 受け取る側の年収 (給与) 養育費の目安額 (月額)
1人 0円 10万~12万円
100万円 8万~10万円
300万円 6万~8万円
2人 0円 14万~16万円
100万円 12万~14万円
300万円 10万~12万円
3人 0円 16万~18万円
100万円 14万~16万円
300万円 12万~14万円

養育費算定表は目安であり実際の額は状況により異なる

ここまで、養育費算定表に基づいて養育費の相場を紹介しました。

しかし、養育費算定表はあくまで標準的な条件に基づく目安であり、実際の金額は家庭ごとの事情によって変わる点に注意が必要です。

たとえば、以下のような要素は算定表だけでは反映されにくく、実際の協議や調停で増減することがあります。

  • 子どもに特別な教育費や医療費がかかる(私立学校、留学、持病など)
  • 支払う側の収入が急増・急減している
  • 受け取る側が再婚し、生活費の負担状況が変わった
  • 支払う側が複数の扶養義務(別家庭の子どもなど)を負っている

また、養育費は原則として子どもが成人するまで支払われますが、大学進学や資格取得のために延長を求められるケースも少なくありません。

そのため、最終的な金額は、当事者間の合意や家庭裁判所の判断によって決まります。

「算定表で○万円だから絶対この金額」というわけではなく、交渉や証拠提出で条件を有利に変えられる余地があることを覚えておきましょう。

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養育費の自動計算機を使って簡単にシミュレーション結果を出す方法もある!

「算定表をダウンロードして年収を当てはめるのは少し面倒…」という場合は、養育費の自動計算機を使うのがおすすめです。

インターネット上では、さまざまな養育費計算ツールが無料公開されており、必要な条件を入力するだけで、目安額をすぐに計算できます。

なお、以下ではベンナビ離婚問題が手がける「養育費の自動計算機」を例に、利用手順を紹介します。

【養育費の自動計算機の使い方】

  1. 養育費をもらう方の年収を入力する
  2. 養育費をもらう方の収入形態(給与所得者・自営業)を選択する
  3. 年齢ごとの子どもの人数を入力する
  4. 養育費を支払う方の年収を入力する
  5. 養育費を支払う方の収入形態(給与所得者・自営業)を選択する
  6. 所在地を選択する
  7. 結果が表示される

このように、自動計算機を使えば数分で自分のケースの養育費相場を把握できます。

ただし、ここで表示される金額もあくまで目安であり、実際には双方の話し合いや家庭裁判所の判断によって変動する可能性があります。

詳しい養育費の金額や決定までの流れについて気になる方は、弁護士への相談も検討しましょう。

【関連記事】 養育費について無料相談できる窓口一覧|相談内容別の相談先も解説

養育費が相場より高くなりやすいケース

養育費は算定表を基準に決められるのが一般的ですが、家庭の事情によっては相場より高くなることがあります。

養育費が相場より高くなりやすいケースは、主に以下のとおりです。

ケース 概要
子どもの教育費が高額な場合 私立学校への進学や留学、塾や習い事など、特別な教育費がかかる場合は上乗せされることがあります。
医療費や特別な養育費が必要な場合 持病や障がいにより、通常より多くの医療費・療育費が必要な場合は考慮されます。
支払う側の年収が高い場合< />   算定表の上限を超える高収入世帯では、子どもの生活水準維持のために相場を超える額が認められることがあります。
子どもの大学進学が予定されている場合 高校卒業後も進学費用や生活費を支援する形で、成人後も一定期間養育費を延長することがあります。
当事者間で特別な合意をした場合
 
離婚協議や調停で「将来のために多めに払う」といった合意が成立すれば、その金額で契約できます。

このような事情がある場合は、算定表通りの金額ではなく、実情に即した金額を主張できる可能性があります。

ただし、高額な養育費を希望する場合は、その必要性を示す証拠を揃えて交渉しなければなりません。

相手との交渉には法的な知識も求められるので、個人で対応するのが不安な方は弁護士へ相談するようにしてください。

弁護士であれば、希望の養育費額が妥当であるかどうかを判断したうえで、あなたの希望通りの養育費を獲得できるように尽力してくれるはずです。

さいごに|養育費の交渉について不安があれば弁護士に相談を!

本記事では、養育費の相場について年収や子ども人数別に詳しく解説しました。

養育費は、子どもの生活や将来を守るために欠かせない大切な資金です。

全国平均や算定表、自動計算機を使えば目安額は把握できますが、実際の金額は家庭ごとの事情や交渉内容によって変わります。

また、養育費については相手が支払いに応じない、取り決めを守らないといったトラブルも少なくありません。

そのため、トラブルを避けるためにも事前に弁護士へ相談し、金額や取り決めについてアドバイスをもらうのがおすすめです。

弁護士に相談すれば、適正な養育費額はもちろん、交渉や調停での代理対応や公正証書や調停調書の作成による強制執行の備えなど、養育費の決定からその後のトラブル防止まで、さまざまなサポートを受けられます。

なお、ベンナビでは養育費を含む離婚トラブルに詳しい弁護士を多数掲載中です。

無料相談に対応している事務所も多いので「養育費についてもめている」「取り決めができないまま離婚になってしまいそう」という場合は、まずはお気軽にご相談ください。

子どもの将来のために今のうちにしっかりと取り決めをしておきましょう。

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