遺産相続での嫌がらせに悩んだら?弁護士に相談すべき理由と解決までの大まかな流れ
- 「遺産相続について、ほかの相続人から嫌がらせを受けている」
- 「一部の相続人の嫌がらせのせいで、手続きが全然進まない」
遺産相続について、このように悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
被相続人が死亡して相続が発生すると、遺産分割協議などの手続きを進める必要があります。
しかし、遺産分割協議などは常にスムーズに進むとは限りません。
たとえば、自分の取り分を増やすためにほかの相続人から嫌がらせをされたり、執拗に相続放棄を迫られたりするなど、遺産相続をめぐってトラブルが発生することも多いです。
この記事では、遺産相続の際に嫌がらせをされたときの対処法と、弁護士に相談・依頼するメリットなどについてわかりやすく解説します。
遺産相続の際に嫌がらせを受けた場合に検討すべき4つの対処法
遺産相続の際に嫌がらせを受けたときの代表的な対処法として、以下4つが挙げられます。
- 遺産相続問題が得意な弁護士に相談する
- 遺産分割調停を申し立てる
- 嫌がらせの内容次第では警察に相談する
- 嫌がらせをしてくる人に対して慰謝料請求をする
ここからは、それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
1.相続問題が得意な弁護士に相談・依頼する
遺産相続で嫌がらせを受けたときには、弁護士に相談・依頼をするとスムーズです。
弁護士に依頼すれば、依頼者の代理人として嫌がらせをしている人との間で話し合いをする機会を設けて、嫌がらせをやめるように働きかけてくれるでしょう。
結果として、遺産分割協議がスムーズに進み、遺産相続トラブルの早期決着を期待できます。
2.家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
嫌がらせが原因で遺産分割協議が進まないときには、遺産分割調停を申し立てるのも選択肢のひとつです。
遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員のサポートを受けながら、遺産分割に関する合意形成を目指す裁判所手続きのことです。
調停委員が当事者全員から意見を聞き、証拠書類を確認したうえで、全員が納得できる解決策を提示してくれるため、当事者のみで話し合いをするよりもスムーズな解決が望めるでしょう。
遺産分割調停によって合意形成に至った場合、調停調書が作成されて、遺産相続が確定します。
仮に遺産分割調停が不成立に終わったとしても、そのまま審判手続きに移行するため、何らかの形で遺産相続トラブルを決着させることが可能です。
3.犯罪をされている場合は警察に通報する
ほかの相続人から暴言や暴行、脅迫などを受けている場合には、警察に通報してください。
嫌がらせが犯罪行為に該当するような内容なら、被害届・告訴状の提出によって、相手方の刑事責任を追求できます。
仮に逮捕に至らなかったとしても、警察から厳重注意をしてもらうことで、嫌がらせがストップする可能性もあります。
4.嫌がらせをしてくる人に慰謝料を請求する
嫌がらせによって精神的損害が生じた場合や、誹謗中傷によって名誉毀損をされた場合などでは、相手方に対して不法行為に基づく慰謝料請求をおこなうのも選択肢のひとつです。
ただし、嫌がらせをしてくる相手に対して本人がいきなり慰謝料請求などをしても反感を買ってしまうリスクが高いので、弁護士に内容証明郵便などを作成・送付してもらうのがおすすめです。
遺産相続で嫌がらせを受けた場合に弁護士に相談すべき理由
遺産相続に関して嫌がらせをされた場合、弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。
なぜなら、弁護士の力を借りることで、以下4つのメリットを得られるからです。
- 適切な解決策についてアドバイスをもらえる
- 泣き寝入りをすることなく遺産を受け取ることができると直接関わらなくて済む
- 遺産分割協議や調停、訴訟などの法的手続きにも対応してく
- 依頼者の代理人になってくれるので嫌がらせをする相手方に対応してもらえる
ここからは、それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
1.トラブルに応じた適切な解決策を教えてくれる
弁護士に相談・依頼をすれば、嫌がらせやトラブルの内容に応じた適切な対応策を提案してくれるでしょう。
たとえば、遺産分割協議への参加を拒否されているケースでは、速やかに遺産分割調停を申し立てて、家庭裁判所の手続きに踏み出すべきでしょう。
また、遺産相続に関する意見が衝突している事案では、こちら側としてどこまで譲歩できるのかや、折衷案を提示するなどして、建設的な話し合いを進めなければいけません。
さらに、刑事事件のおそれがある場合には警察への相談、インターネット上でのトラブルが生じたときには削除請求などの対処法が必要です。
弁護士であれば、これらのケースごとに最適な解決策をとれるので、スムーズな問題解決を目指せるでしょう。
2.泣き寝入りせずに遺産を受け取れるようになる
弁護士に相談・依頼をしたうえで、嫌がらせをしている相手との間で丁寧に交渉を進めたり、適切な法的措置をとったりすることで、泣き寝入りすることなく希望通りの遺産を取得しやすくなるメリットもあります。
そもそも法定相続人には、民法で規定されたルールに基づき、法定相続分や遺留分を受け取る権利があります。
しかし、ほかの相続人などからこれらの持分を放棄するように嫌がらせを受けた結果、本来承継できたはずの遺産を放棄させられたり、目減りした遺産しか承継できなくなったりしかねません。
このように嫌がらせによって相続人の権利が侵害されることがないためにも、弁護士への相談・依頼することが大切なのです。
3.嫌がらせをしてくる相手とやり取りをしないで済む
遺産相続について嫌がらせを受けたときに弁護士に依頼をすれば、それ以降は代理人としての対応してもらうことが可能です。
嫌がらせをしてくる相手方と直接やり取りをする必要がなくなるため、精神的な負担も軽減されるでしょう。
4.調停や訴訟などの法的手続きについても一任できる
遺産相続の際に嫌がらせを受けると、相続手続きを進めるために法的な手続きをとらなければならないケースがあります。
たとえば、嫌がらせが原因で遺産分割協議がまとまらなかった場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用して、遺産の相続方法や相続割合について合意形成を目指さなければいけません。
また、遺産分割調停を経ても合意形成に至らないケースでは、家庭裁判所における審判手続きを経て遺産の相続方法などの最終的な決定が下されます。
さらに、相手方による悪質な嫌がらせについて慰謝料請求をする際には、民事訴訟を提起しなければいけないこともあるでしょう。
弁護士にこれらの業務を依頼すれば、複雑な裁判所の手続きにもスムーズに対応してくれるので、依頼者側は時間・労力の負担を強いられることなく、紛争の解決を目指せます。
嫌がらせなどの遺産相続トラブルを弁護士に相談してから解決するまでの流れ
ここでは、弁護士に相談をしてから紛争が解決するまでの流れについて解決します。
- 法律事務所に問い合わせて予約する
- 弁護士と面談し、必要に応じて契約する
- 弁護士がトラブル解決に向けて行動する
- 交渉・調停・訴訟などでトラブルが解決する
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
1.法律事務所に問い合わせて予約する
嫌がらせが原因で遺産相続手続きが円滑に進まないときには、法律事務所に連絡をして、法律相談の日時を予約してください。
遺産相続関係の嫌がらせについて相談する弁護士を選ぶときには、以下のポイントを押さえるのがおすすめです。
- 遺産相続に関する業務に力を入れているか
- 弁護士の性別・年齢・実務経験歴
- 法律事務所の立地条件、アクセスのしやすさ
- 初回の相談料無料のサービスがあるかどうか
遺産相続問題への対応が得意な弁護士を効率的に見つけたい場合には、ベンナビ相続などの総合ポータルサイトを活用しましょう。
2.弁護士と面談し、必要に応じて契約する
法律相談の予約日がきたら、指定された時間に法律事務所を訪問しましょう。
オンライン相談や電話相談の場合は、指定の方法に従ってください。
法律事務所を訪問する際には、遺産相続に関する書類、起こった出来事を時系列にまとめたメモ、嫌がらせを示す証拠などを持参しましょう。
法律相談の時間は限られており、端的に弁護士へ情報を提供しなければ、法律相談の時間内に必要なアドバイスを受けることができないからです。
法律相談を受けた結果、弁護士に依頼をしたほうが適切だと判断できる状況なら、委任契約を締結して、業務を依頼しましょう。
3.弁護士がトラブル解決に向けて行動する
弁護士との間で委任契約を締結すると、弁護士はすぐに業務開始に向けて動き出してくれます。
この際、遺産相続に関する嫌がらせへの対応だけではなく、相続人調査や相続財産調査などの業務を依頼することも可能です。
4.交渉・調停・訴訟などでトラブルが解決する
依頼を受けた弁護士は、交渉や調停、訴訟などの方策によって嫌がらせをやめさせ、遺産相続問題の解決を目指してくれます。
これらの業務の大半は弁護士が対応してくれるので、依頼者本人が相手方などと直接やり取りをする必要はありません。
依頼者は、定期的に弁護士から報告を受けたり、法律事務所で打ち合わせをしたりするだけでよいのです。
遺産相続における嫌がらせをそのまま我慢してしまうデメリット
さいごに、遺産相続の際に受けた嫌がらせをそのまま我慢したときに生じるデメリット・リスクを3つ紹介します。
- 嫌がらせがエスカレートする
- 不利な内容での遺産分割を強いられる
- 法律的な解決が難しくなる
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
1.嫌がらせ行為がエスカレートしてしまう
嫌がらせに対して対策をとらなければ、嫌がらせがどんどんエスカレートする可能性があります。
無視しつづけても相手方が自主的に嫌がらせをやめることは期待しにくいので、遺産相続において嫌がらせの被害にあったときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談してください。
2.不利な内容で遺産分割がおこなわれてしまう
嫌がらせに対抗することなく、相手方の主張などを受け入れたり嫌がらせに屈したりすると、不利な内容の遺産分割協議書に同意せざるを得なくなります。
法定相続分や遺留分は民法上認められた正当な権利なので、理不尽な嫌がらせに屈する必要はありません。
弁護士に相談・依頼をしたうえで、粛々と遺産分割協議を進めてもらい、自分が受け取るべき遺産はしっかりと相続しましょう。
3.法律的な解決が期待できなくなる可能性もある
法律上の権利はいつまでも行使できるわけではありません。
たとえば、遺留分侵害額請求権の時効は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年間です。
また、嫌がらせをした人に対して、民法上の不法行為責任を追求する場合には、損害及び加害者を知ったときから3年以内に慰謝料請求権を行使しなければ消滅時効にかかってしまいます。
消滅時効や公訴時効などの法律上のルールに抵触すると、どれだけ嫌がらせをされたとしても、相手方の法的責任を追求することはできません。
遺産相続における自己の利益を守るには嫌がらせトラブルの早期解決が不可欠なので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士まで相談してください。
さいごに|相続問題が得意な弁護士は「ベンナビ相続」で探せる!
遺産相続の際に、ほかの相続人や受贈者、親族などから嫌がらせをされたときには、速やかに信頼できる弁護士まで相談してください。
弁護士が代理人としてトラブル解決に動き出したとわかっただけで嫌がらせがストップする可能性がありますし、遺産相続において依頼者の希望を実現しやすくなるでしょう。
ベンナビ相続では、遺産相続時における嫌がらせなどのトラブルへの対応が得意な法律事務所を多数紹介中です。
法律事務所の所在地、具体的な相談内容、初回の相談料無料などのサービス面から24時間無料で専門家を検索できるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士までお問い合わせください。
