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DV離婚慰謝料の相場は?必要となる証拠や請求の流れもわかりやすく解説

弁護士監修記事
離婚トラブル DV
2026年02月03日
DV離婚慰謝料の相場は?必要となる証拠や請求の流れもわかりやすく解説
この記事を監修した弁護士
杉本 真樹弁護士 (杉本法律事務所)
解決への道筋は一つではありませんので、いくつか選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをしっかりとご説明した上で、一緒に最良の選択肢を考えるように心がけております。
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「夫からの暴力にもう耐えられない。離婚した場合、慰謝料はいくら請求できるのだろうか」

配偶者からのDVに疲れ果て、離婚を検討している方の中には、慰謝料を請求したいが相場や必要なものがわからず困っている方も多いのではないでしょうか。

DVによる離婚慰謝料の相場は、50万円〜300万円といわれています。

相場額に幅がある理由は、被害の内容や期間、程度、婚姻期間などさまざまな事情によって金額が上下するからです。

また、DVによる離婚慰謝料は必ず支払ってもらえるわけではなく、相手が支払いを拒否しているときは、DVを裏付ける客観的な証拠をもって法的に慰謝料請求を認めてもらう必要があります。

本記事では、DV離婚慰謝料の相場や証拠、請求の流れを解説します。

最後まで読めば、身の安全を確保しながら手続きを進められる方法がわかるでしょう。

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DVによる離婚慰謝料の相場は50万円~300万円

配偶者からのDVが原因で離婚する場合、慰謝料として請求できる金額は50万円~300万円が相場です。

ただし、最終的な金額はDVの内容や家庭の状況などさまざまな要因を考慮して決定されるため、ケースによって大きく異なります。

また、法律上は慰謝料額に明確な上限額はなく、双方が合意しているならいくら請求しても構いません。

以下では、慰謝料額を決定する際に高額化する要因について見ていきましょう。

DV離婚慰謝料の金額を決定する・高額化する要因

DV離婚の慰謝料額は、画一的に決まるわけではありません。

以下のような要因を考慮し、最終的な金額が決定されます。

高額化の要因 内容
DVの悪質性 身体的DVだけでなく精神的DV、性的DV、経済的DVなども該当する。内容が悪質であるほど高額になる傾向にあり、凶器の使用や人格を否定するような言動は悪質性が高いと判断されやすい。
DVの期間・頻度 DVを受けていた期間が長く、頻度が多いほど被害者が受けた精神的苦痛は大きいと判断され、慰謝料が増額される傾向にある。
けがや精神疾患の有無・程度 DVによって大けがを負ったり、うつ病、PTSD(心的外傷ストレス障害)などの精神疾患を発症したりした場合は、慰謝料が高額になる可能性がある。
婚姻期間の長さ 婚姻期間が長い夫婦ほど裏切られた精神的ショックが大きいと考えられるため、慰謝料が高額になる傾向にある。ただし1年未満など、婚姻期間が短いときは反対に減額されやすい。
加害者の資力・社会的地位 慰謝料の支払い能力も考慮されるため、加害者の収入や資産が多い場合は高額の慰謝料が認められやすい。
未成熟子の有無・人数 監護養育を要する未成熟子が多いほど、精神的苦痛の度合いが大きいと評価されやすく、慰謝料が引き上げられる可能性がある。
被害者側の落ち度 例えば被害者が不貞行為やDVをしたなど、被害者側にも何らかの原因があるケースは、慰謝料が減額されることがある。

一般的に、被害者が受けた精神的苦痛の度合いが大きいと判断されるほど、慰謝料は高額になる傾向にあります。

ただし、あくまでも一般的な傾向であるため、必ずしも上記に当てはまれば高額の慰謝料が認められるとは限りません。

最終的な金額は個別の事情を総合的に判断して決まるため、自身の状況に近い判例などを参考にしながら、専門家と相談して請求額を検討していくのがよいでしょう。

DV離婚慰謝料を請求するには証拠が必要となる

DV離婚で慰謝料を請求する場合は、相手に否認されたときに備えて客観的な証拠を集める必要があります。

ただし、証拠収集の際に相手に見つかると、相手が逆上しさらに被害が大きくなるおそれも否定できません。

また、証拠を捨てられたり、証拠を残さないよう警戒されたりすることも考えられるため、慎重になる必要があるでしょう。

ここでは、有効な証拠の具体例や証拠収集の際の注意点について解説します。

DV離婚慰謝料の請求に有効な証拠の具体例

DVを裏付ける有効な証拠には、例えば以下のようなものがあげられます。

医師の診断書・カルテ 暴力によって負ったけがの治療を受けたときのものや、精神疾患で病院を受診したときのもの。初診日や治療期間の記載があると立証力が高まる。
被害がわかる写真・動画 暴力によってできたアザや傷、壊された物、散乱した部屋などの状況を、日付がわかるよう撮影する。アザやけがは、顔も写るように撮るとよい。
DVの様子をとらえた動画・音声 相手の暴言や暴力の様子を録音・録画したデータなど。防犯カメラの映像も証拠になり得る。
日記・メモ いつ・どこで・どのようなDVを受けたかを、可能な限り具体的に継続して記録する。
公的機関の相談記録 警察や配偶者暴力相談支援センターなど、公的機関に相談した事実や受付票も証拠になる。相談した日時や担当者の名前を控えておくとよい。
メール・LINE・SNS 暴言や謝罪、行動を束縛するような内容のメッセージがあれば、日付や相手のアカウントがわかるようにスクリーンショットを撮っておく。
第三者の証言 家族や友人、DVの現場を目撃した人などの証言。目撃証言は有力な証拠になり得るが、被害者本人から相談を受けたという程度では、証拠としては弱い。

なお、証拠はできるだけ複数集めるようにしましょう。

複数の証拠を組み合わせることで主張の信頼性が高まるからです。

うまく証拠を集められない場合や、なかなか証拠が確保できないときは、離婚問題を得意としている弁護士に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

DVの証拠収集には細心の注意が必要

DVの証拠を集める際は、自身の安全確保を最優先に考え、細心の注意を払いましょう。

もし証拠集めをしていることが相手に知られてしまうと、相手が逆上してさらに暴力を振るわれたり、証拠を捨てられたりする危険性が高いためです。

録音や写真撮影は相手に気づかれないようにおこない、動作音の小さい機器や連続録音機能を活用します。

また、取得したデータは原本のまま改変せず、クラウドストレージにバックアップを取っておきましょう。

そのほか、日記や診断書などは、信頼できる親族や友人に預かってもらうのがおすすめです。

少しでも危険を感じたときは証拠集めを中止し、まずは自身の身の安全を確保することを第一に考えてください。

なお、証拠集めの際は、相手の端末やアカウントへの無断アクセス、盗聴、侵入などの行為はおこなわないよう注意しましょう。

証拠集めで違法行為をおこなってしまうと、反対に相手から損害賠償請求を受けるおそれがあります。

DVによる離婚慰謝料請求が難しいと言われる理由

一般的に、DVによる離婚慰謝料の請求は難しいといわれています。

その理由は以下のとおりです。

  • 相手が逆上したり話し合いに応じなかったりする可能性が高いから
  • 証拠の確保・保全やDVの立証をするハードルが高いから

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

相手が逆上したり話し合いに応じなかったりする可能性が高いから

DV加害者の多くは、自らの行為をしつけや愛情表現などと正当化しており、DVであるという自覚がありません。

そのため、被害者が慰謝料を請求すると、「自分は悪くない」「お前が悪い」などと責任転嫁したり、さらにDVがエスカレートしたりするおそれがあります。

相手が素直に非を認め、請求に応じるケースはまれでしょう。

また、被害者が長年の支配関係から加害者に対して恐怖心を抱いており、冷静に話し合える精神状態ではないケースも少なくありません。

このような状況で話し合っても、結局被害者が言いくるめられてしまったり、加害者に逆らえず不利な条件で合意してしまったりするリスクも懸念されます。

そのため、可能であれば当事者同士での直接交渉は避け、弁護士などの第三者を介して交渉を進める必要があるでしょう。

証拠の確保・保全やDVの立証をするハードルが高いから

慰謝料請求を法的に認めてもらうためには、DVがあったことを裏付ける客観的な証拠が必要になります。

しかし、DVは密室でおこなわれることがほとんどで、他人の目に触れる機会が少ないため、証拠の確保が難しいのが実情です。

また、身体的な暴力であればアザやけがといった証拠が体の表面に出やすいですが、暴言や無視といった精神的DVは明確な痕跡が残りにくく、立証のハードルが高くなります。

さらに、慰謝料請求が法的に認められるには、相手のDV行為が法律で定められた不法行為に該当することを証明する必要があります。

そのため、以下の4つの要件を証拠に基づいて主張し、裁判所に認めてもらわなければなりません。

  • 相手がわざと、または不注意でDVをしたこと(故意・過失)
  • 相手のDVによって心身が傷つけられたこと(権利・利益の侵害)
  • 精神的苦痛という損害が発生したこと(損害の発生)
  • 相手の行為と損害に直接的なつながりがあること(因果関係)

例えば、うつ病になったとしても、それが相手のDVによるものだと証明することは簡単ではありません。

身の安全を確保しながら法的に有効な証拠を集め、主張を組み立てることは、専門知識のない個人にとって非常にハードルの高い作業といえるでしょう。

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DVで離婚や慰謝料請求をする流れ

DVで離婚や慰謝料を請求する際は、以下の流れで手続きをおこないます。

  1. DVの証拠を収集する
  2. 離婚の話し合いをする前に別居などで身の安全を確保する
  3. 第三者に同席してもらい配偶者と離婚の話し合いをする
  4. 話し合いで合意が難しければ離婚調停を申し立てる
  5. 離婚調停でも合意できなければ離婚裁判を起こす

ここからは、各ステップのポイントを詳しく解説します。

1.DVの証拠を収集する

まずは、DVの証拠を収集します。

相手が離婚を拒否している場合や、DVを認めておらず慰謝料の支払いに同意しないときは、裁判で離婚と慰謝料の請求を認めてもらうために客観的な証拠が必要です。

離婚を切り出す前に、相手に気づかれないよう慎重に証拠を集めましょう。

どのようなものを集めるかについては、本記事内の「DV離婚慰謝料の請求に有効な証拠の具体例」で詳しく解説しています。

医師の診断書やけがの写真、暴言の音声データなど、できるだけ多くの証拠を確保できるようにしましょう。

2.離婚の話し合いをする前に別居などで身の安全を確保する

離婚を切り出したときに相手がどのような行動に出るかわからないときは、話し合いの前に別居して物理的に距離を置きましょう。

とくに、離婚を切り出したことで暴力を振るわれる可能性がある場合、同居していると逃げ場がなく危険です。

DVから身を守るための避難先としては、DVシェルターや一時保護施設、実家、短期賃貸などが考えられます。状況に応じて利用しやすいところを選びましょう。

ただし、実家は居場所を把握されやすく、家族に危険が及ぶおそれがあるため注意が必要です。

また、DVシェルターには数日〜数週間程度しか入居できないため、シェルターから出たあとのことも考えておくべきでしょう。

そして、子どもがいる場合は必ず一緒に避難し、安全確保を最優先してください。

例えば、学校や保育園に事情を話して特定の人物以外に子どもを引き渡さないよう依頼したり、役所で住民票の閲覧制限を申し出たりといった対策をしておくと後日のトラブルを防止できます。

なお、DVシェルターの場所や連絡先は公開されていません。

警察や配偶者暴力相談支援センター、DV相談ナビ(#8008)などに相談し、入居を手配してもらいましょう。

DVシェルターの利用条件やシェルターを出たあと取るべき対応については、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】DVシェルターとは?入れる期間や利用条件、その後取るべき対応を解説

3.第三者に同席してもらい配偶者と離婚の話し合いをする

別居して身の安全が確保できたら、配偶者と離婚について話し合います。

DV加害者と一対一で向かい合うのは危険なので、必ず弁護士などの第三者に同席してもらうようにしましょう。

相手に会いたくない場合は、弁護士に交渉の代理を頼むのがおすすめです。

代理人になってもらえば、相手と直接連絡を取ることも顔を合わせることもなく、全ての交渉を一任できます。

相手も、法律の専門家である弁護士を前にすると、無茶な主張はしにくくなるでしょう。

4.話し合いで合意が難しければ離婚調停を申し立てる

相手が離婚に応じなかったり、慰謝料やほかの離婚条件で折り合いがつかなかったりするときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。

調停では、裁判官と調停委員が間に入り、夫婦それぞれの言い分を聞きながら合意による解決を目指します。

当日は別々の待合室で待機し、交互に話をするため、相手と直接顔を合わせることはありません。

調停を有利に進めるには、これまで集めた証拠を提示し、DVの事実を客観的に伝える必要があります。

相手について言いたいことはたくさんあるかもしれませんが、感情的になって相手の悪口ばかり言うと話し合いが進まなくなり、裁判官や調停委員に悪い印象を与えてしまうためやめましょう。

なお、DV事案であると事前に伝えておけば、裁判所内で相手と鉢合わせしないよう配慮してもらえます。

5.離婚調停でも合意できなければ離婚裁判を起こす

調停でも話がまとまらなかったときは、離婚裁判を提起するしかありません。

裁判では、これまで集めた証拠をもとに、DVの事実とDVによって婚姻関係が破綻したことを主張・立証します。

月1回程度のペースで期日が開かれ、お互いの主張と証拠が出揃った段階で、必要があれば裁判官(それぞれ代理人が就いている場合は代理人からも)が当事者本人に直接質問する「本人尋問」がおこなわれます。

最終的に離婚を認めるか、慰謝料が認められるか、認められるとしていくらかを決めるのは裁判官です。

裁判官に主張を認められれば、相手が離婚に合意していなくても判決によって離婚が成立し、慰謝料の支払いが命じられます。

裁判では、訴状や準備書面といった専門的な書類の作成が必要です。

また、専門知識が求められるため、裁判に進む場合は弁護士への依頼をおすすめします。

DV離婚慰謝料の請求についてよくある質問

ここからは、DV離婚慰謝料の請求についてよくある質問を紹介します。

離婚せずに夫にDVの慰謝料を請求することはできる?

離婚しなくても、慰謝料の請求は可能です。

慰謝料はDVによって受けた精神的な苦痛に対して支払われるものであるためです。

そのため、離婚するかどうかとは関係なく請求できます。

ただし、離婚しない場合の慰謝料請求は、相手が支払いに応じないケースも多いです。

また、DV被害がエスカレートしたり夫婦仲がさらに悪くなったりする可能性もあります。

慰謝料を請求する際は、弁護士に相談しながら進めましょう。

証拠がないとDVによる離婚や慰謝料請求は難しい?

証拠がなければ、離婚や慰謝料請求は難しいでしょう。

相手がDVを否定した場合、裁判所は客観的な証拠に基づいて判断するためです。

証拠には、例えば医師の診断書やけがの写真、暴言を録音したデータなどが有効です。

安全を最優先しながら、できる限りの証拠を集めるようにしましょう。

自分で集められないときは、弁護士に相談しアドバイスをもらうことをおすすめします。

ただし、相手が離婚や慰謝料の支払いに合意している場合は、証拠がなくても問題ありません。

また、たとえDVの証拠がなくても、長期間の別居やほかの要因があれば夫婦関係が破綻しているとみなされ、離婚が認められる可能性もあります。

DV離婚慰謝料を簡単に計算する方法はある?

慰謝料を簡単に計算できる方法はありません。

インターネット上には計算式を紹介しているサイトもありますが、実務ではほとんど使われていません。

DVの慰謝料は、DVを受けた期間や頻度、暴力の程度、けがの有無といったさまざまな事情を考慮して、最終的に裁判官が判断します。

過去の裁判例から50万円〜300万円程度が相場とされていますが、実際の金額はケースによって大きく異なります。

妥当な慰謝料額を知るためには、弁護士に状況を説明し、専門的な見解を聞くのがもっとも確実でしょう。

さいごに|DVによる離婚慰謝料請求は弁護士に相談を!

DV離婚慰謝料の相場や証拠、請求の流れについて解説しました。

DVで離婚する際の慰謝料相場は50万円〜300万円といわれていますが、これはあくまでも目安です。

DVの悪質性や期間、けがの有無など、さまざまな事情によって金額は変わります。

また、請求を法的に認めてもらうためには、客観的な証拠が必要です。

そのため、できるだけ早く弁護士に相談し、アドバイスを受けながら進めることをおすすめします。

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