近くの弁護士・法律事務所を探せる検索サイト

法テラスで弁護士費用が免除される条件とは|具体的なケースや申請手順を解説

弁護士監修記事
法律相談
2026年02月06日
法テラスで弁護士費用が免除される条件とは|具体的なケースや申請手順を解説
この記事を監修した弁護士
川越 悠平弁護士 (東京桜の森法律事務所)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。
法律事務所のプロフィールを見る

「弁護士に相談したいけれど、費用を払う余裕がない」

法律トラブルを抱えている方の中には、このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そんなときに頼れるのが、国が運営する公的機関「法テラス」です。

法テラスでは、収入や資産が一定基準以下の場合に、弁護士費用を一時的に立て替えてもらう制度を利用できます。

さらに、生活保護を受けている人やそれに準ずる経済状況の人、ひとり親世帯など、一定条件を満たすケースでは、立て替えてもらった費用の返済が免除される場合もあります。

本記事では、法テラスで弁護士費用が免除される条件や具体的なケース、申請手続きの流れをわかりやすく解説します。

あわせて、法テラスを利用する際の注意点や、利用できない場合の代替方法も紹介するので、「お金の不安を理由に弁護士への相談をあきらめたくない」という方は、ぜひ参考にしてください。

法テラスで立て替えてもらった弁護士費用の返済が免除されるケースとは?

法テラスでは、経済的に余裕がない人でも弁護士や司法書士に依頼できるよう、民事法律扶助制度の一環として弁護士費用の立替制度が用意されています。

通常、法テラスに立て替えてもらった費用は毎月分割で返済する仕組みですが、一定の条件を満たすと返済そのものが免除される場合があります。

免除が認められるのは、主に「生活保護を受給している場合」や「生活保護に準ずる経済状況にある場合」、「ひとり親世帯で特定の事件に関する援助を受けた場合」などです。

これらのケースでは、法テラスが個別に審査をおこない、返済能力が著しく低いと判断されれば費用の返済が免除されます。

ここからは、法テラスの費用が免除になる代表的なケースについて詳しく見ていきましょう。

生活保護を受給している

生活保護を受給している場合、法テラスで立て替えてもらった弁護士費用の返済が免除される可能性が高いです。

ただし、生活保護を受けているからといって必ずしも費用が免除されるわけではありません

法テラスでは、生活保護受給者の費用免除条件として、以下3つを設けています。

(1)生活保護法による保護を受けていること

(2)事件の結果得た利益の25%を償還していること、または25%の償還を不要とする特別の事情があること

(3)免除を認める相当性があること

引用元:よくあるQ&A|法テラス

なお、「特別な事情」には、重い病気や障害、高齢による就労困難、災害・事故での被害などが含まれます。

これらの事情を証明するには、医師の診断書や福祉事務所による証明などが必要です。

審査の結果、免除が相当と判断されれば返済義務はなくなりますが、判断は個別の状況によって異なります。

まずは居住地の福祉事務所や法テラスへ相談し、必要書類や手続きを確認することが重要です。

生活保護に準ずる経済状況の場合も条件を満たせば免除される場合がある

生活保護を受給していなくても、生活保護に準ずる経済状況と判断された場合には、法テラスで立て替えてもらった費用が免除される可能性があります。

費用が免除となるかどうかの主な判断基準は以下の5つです。

  • 本人および配偶者の合計収入が、収入要件の基準額以下であること
  • 預貯金や保険、有価証券などの資産が66万円以下であること(資産要件)
  • 自宅のほかに不動産を有しないこと(資産要件)
  • 車の保有数が1世帯1台以下であること(資産要件)
  • 高齢、障害、長期療養などの資⼒回復困難要件を満たすこと

中でも、具体的な収入要件は世帯人数によって以下のように異なります。

生活保護法の一級地以外に居住している方
人数 収入基準(*1) 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額
1人 127,400円以下 41,000円以下
2人 175,700円以下 53,000円以下
3人 190,400円以下 66,000円以下
4人 209,300円以下 71,000円以下

*1:5人目以降は1名増加するごとに基準額に21,000円を加算。

東京・大阪等生活保護法の一級地に居住している方
人数 収入基準(*2) 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額(*3)
1人 140,140円以下 41,000円以下(53,000円以下)
2人 193,270円以下 53,000円以下(68,000円以下)
3人 209,440円以下 66,000円以下(85,000円以下)
4人 230,230円以下 71,000円以下(92,000円以下)

*2:5人目以降は1名増加するごとに基準額に23,100円を加算。
*3:居住地が東京都特別区の場合、()内の基準を適用。

なお、収入要件や資産要件、資力回復困難要件については、個人で判断するのが難しいケースも多いです。

また、法テラスで支援を受けた訴訟において、相手方から金銭などを受け取った場合、受け取った金銭から最低でも弁護士費用の25%を返還しなければならないなど、個別のケースごとに条件も異なります。

そのため、自分のケースで費用免除要件を満たすかわからない場合は、法テラスへ相談することが大切です。

詳しい条件については、以下の法テラス公式リーフレットも参考にしてください。

【参考】生活保護を受給していない方の償還免除申請について

ひとり親世帯も条件を満たせば免除される場合がある

ひとり親世帯の場合も、一定の条件を満たせば法テラスで立て替えてもらった弁護士費用の返済が免除される可能性があります。

ひとり親の弁護士費用の免除が認められる主な条件は以下3つです。

  1. ひとり親であること(婚姻関係がなく、義務教育年齢までの子どもを扶養しているなど)
  2. 世帯の収入・資産が法テラスの資力基準を下回っていること
  3. 決められた額を返済していること
  4. 援助事件が「ひとり親世帯の償還免除制度」の対象事件であること

中でも、具体的な資力基準は世帯人数や地域によって、以下のように異なります。

生活保護法の一級地以外に居住している方
人数 収入基準(*1) 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額
1人 127,400円以下 41,000円以下
2人 175,700円以下 53,000円以下
3人 190,400円以下 66,000円以下
4人 209,300円以下 71,000円以下

*1:5人目以降は1名増加するごとに基準額に21,000円を加算。

東京・大阪等生活保護法の一級地に居住している方
人数 収入基準(*2) 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額(*3)
1人 140,140円以下 41,000円以下
(53,000円以下)
2人 193,270円以下 53,000円以下
(68,000円以下)
3人 209,440円以下 66,000円以下
(85,000円以下)
4人 230,230円以下 71,000円以下
(92,000円以下)

 

*2:5人目以降は1名増加するごとに基準額に23,100円を加算。
*3:居住地が東京都特別区の場合、()内の基準を適用。

また、資産が66万円以下であることや、不動産・自動車を複数所有していないことも条件です。

さらに、ひとり親が法テラス費用を免除してもらうためには、援助事件が以下対象事件に該当する必要があります。

  • 養育費請求事件
  • 養育費増額請求事件、養育費減額請求事件
  • 離婚等(離婚、親権、財産分与、年金分割及び慰謝料)請求事件
  • 親権者変更申立事件
  • 婚姻費用分担請求事件
  • 婚姻費用増額請求事件、婚姻費用減額請求事件
  • 監護者指定・子の引渡し請求事件
  • 面会交流請求事件
  • 配偶者暴力等保護命令事件
  • 認知請求事件
  • 離縁請求事件
  • 以上の事件の強制執行事件
  • 以上の事件の保全事件

なお、詳細な可否は個別に判断されるため、申請前に法テラスや担当弁護士へ相談して確認することが大切です。

詳しい条件については、以下の法テラス公式リーフレットも参考にしてください。

【参考】ひとり親世帯の償還免除制度について

法テラスで弁護士費用が免除されるまでの流れ

法テラスで弁護士費用の免除を受けるには、事件の終了後に正式な「償還免除申請」をおこなわなければなりません。

基本的な流れは次の3ステップです。

  1. 法テラス経由での弁護活動(援助事件)が終了する
  2. 必要書類を用意する
  3. 法テラスへ「償還免除申請」をおこなう

ここからは、費用免除の流れをステップごとに具体的に見ていきましょう。

1.法テラス経由での弁護活動が終了する

法テラスの弁護士費用免除の申請は、弁護活動が全て終了したあとにおこなうのが原則です。

つまり、裁判や交渉などの法的手続きが終わり、事件が「解決」した段階で初めて申請手続きに進むことができます。

この「事件の終了」とは、判決・和解・調停成立などで法的な結論が出た時点を指します。

依頼していた弁護士が業務を完了し、報告書を提出するタイミングが目安です。

なお、援助開始時点(依頼時)に免除申請をおこなうことはできません。

なぜなら、実際に事件を通して得た利益額や経済状況を踏まえて、免除の妥当性を判断する必要があるためです。

また、破産事件の場合は「免責許可決定」後2ヵ月以内といった申請期限が設けられています。

こうした期限を過ぎると申請が無効になることもあるため、事件終了後はできるだけ早めに担当弁護士または法テラスへ申請手続きの時期を確認しておきましょう。

2.必要書類を用意する

弁護士費用の免除申請をおこなうには、事件内容や経済状況を証明する複数の書類を提出する必要があります。

書類の不備があると審査が遅れることもあるため、早めの準備を心がけましょう。

主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 償還免除申請書
  • 免除に関する確認票
  • 事件の終了を証明する書類(判決文・和解調書・調停調書など)
  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 収入証明書(給与明細・年金証書・課税証明書など)

これらの書類を提出すると、法テラスが内容を審査し、免除が妥当かどうかを判断します。

なお、申請書式や提出先は地域の法テラスによって異なる場合があるため、必ず事前に窓口や公式サイトで最新情報を確認しておきましょう。

3.法テラスへ「償還免除申請」をおこなう

必要書類をそろえたら、法テラスへ正式に「償還免除申請」をおこないます。

申請先は、援助を受けたときに手続きを行った各地域の法テラス支部です。

申請書類を提出すると、法テラスが書類審査をおこない、免除が相当かどうかを判断します。

必要に応じて追加資料の提出を求められることもあるので、迅速に対応しましょう。

審査の結果、免除が認められた場合にはその旨が記載された通知書が交付され、以後の返済義務はなくなります。

一方で免除が認められなかった場合でも、事情によっては返済の猶予を受けられる可能性があります。

免除が難しい場合には、放置せず早めに担当弁護士や法テラスの職員へ相談し、返済計画の見直しを検討しましょう。

法テラスを利用するデメリット・注意点

法テラスの立替制度や免除制度は、経済的に困っている人にとって大きな支えとなりますが、利用にあたってはいくつかの注意点やデメリットもあります。

制度の仕組みを十分に理解せずに申し込むと、「思ったより審査に時間がかかった」「希望する弁護士に依頼できなかった」といったトラブルにつながる可能性もゼロではありません。

ここからは、法テラスを利用する際の注意点やデメリットについて、見ていきましょう。

利用条件がある

法テラスを利用するには、一定の収入・資産基準や事件の内容に関する条件を満たす必要があります。

誰でも自由に使えるわけではなく、経済的に困窮していることを証明できる人が対象です。

法テラスの民事法律扶助制度を利用する主な条件は、以下の3点です。

  1. 収入・資産が法テラスの定める基準以下であること
  2. 勝訴または和解などによって解決の見込みがあること
  3. 民事法律扶助の趣旨に適していること

これらの条件を満たしていない場合は、制度を利用できなかったり、審査が長引いたりすることがあります。

したがって、申し込み前に自分の状況が利用基準に当てはまるか、公式サイトや窓口で確認しておくことが大切です。

法テラスの利用条件については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】法テラスとはどんな機関?無料法律相談や費用立替制度の利用方法なども解説

審査に時間がかかり弁護活動の開始が遅れる

法テラスを利用する際の注意点として、審査に一定の時間がかかる点が挙げられます。

なぜなら、法テラスの費用立替制度は公的な支援として厳密な基準で運用されているため、申請内容の確認や書類審査に時間を要するからです。

審査では、申請者の収入・資産状況、事件の内容、依頼する弁護士費用の妥当性などが細かくチェックされます。

書類の不備があると差し戻しとなり、さらに数日〜数週間遅れるケースも珍しくありません。

そのため、緊急で弁護士に動いてもらいたい場合や、訴訟の期限が迫っているケースでは、弁護活動の開始が遅れるリスクがあります。

特に、DV被害や労働問題などの早急な対応が必要な案件では、事前に弁護士へ事情を説明し、法テラス申請中でも応急的な対応が可能か相談しておくことが大切です。

地域差もありますが、審査には通常2週間ほどの期間がかかります。

スムーズに進めるためには、必要書類を早めにそろえ、提出前に弁護士や法テラス職員に確認してもらうのがおすすめです。

法テラスに無料相談を申し込むと担当の弁護士が選べない

法テラスを通じて無料相談を申し込む場合、自分で弁護士を選べない点にも注意しましょう。

これは、相談内容や地域によって法テラスが登録弁護士の中から担当者を割り当てる仕組みになっているためです。

そのため「できれば女性の弁護士に相談したい」「離婚に強い人を選びたい」といった希望があっても、必ずしも反映されるとは限りません。

特に地方では登録弁護士が少なく、選択肢が限られることもあります。

もちろん、担当弁護士の交代を申し出ることも可能ですが、再割り当てまで時間がかかるため、結果的に手続きが遅れてしまうリスクもあります。

「持ち込み方式」であればある程度は弁護士を選べる

法テラスでは、法テラスに直接申し込む方法とは別に、自分で選んだ弁護士を通じて申請できる「持ち込み方式」という仕組みがあります。

持ち込み方式を利用すれば、「離婚に強い弁護士に依頼したい」「同性の弁護士に相談したい」といった希望をある程度反映できます。

また、弁護士側が法テラスに必要書類を提出し、制度利用の可否を確認する流れになるため、利用者が直接申請するよりもスムーズに手続きが進むでしょう。

ただし、持ち込み方式を使うためには、その弁護士が法テラスに登録していることが前提条件です。

法テラスに登録していない弁護士の場合は、持ち込み方式を利用することはできません。

担当弁護士の専門性や相性は、事件解決に大きく影響します。

法テラスの利用を検討する際は、希望する弁護士が法テラスに登録しているかどうかを確認し、可能であれば持ち込み方式の活用を検討してみるとよいでしょう。

法テラスを使えない場合は弁護士に直接相談しよう

法テラスの利用条件に当てはまらない場合や、審査に時間がかかってしまう場合は、弁護士に直接相談する方法も検討してみましょう。

最近では、初回相談を無料で受け付けている法律事務所も増えており、費用を抑えて専門的なアドバイスを受けられます。

弁護士へ直接相談する最大のメリットは、自分の希望に合った弁護士を選べることです。

離婚や労働問題、債務整理など、分野ごとに経験豊富な弁護士を探せば、解決までの道筋を具体的に示してもらえるでしょう。

どの弁護士に相談すればよいかわからない場合は、「ベンナビ」のような弁護士検索サービスを活用するのがおすすめです。

ベンナビでは、分野別・地域別に弁護士を探せるほか、相談内容に応じて無料相談可能な弁護士も紹介しています。

「まずは相談だけ」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

さいごに|法テラスで弁護士費用が免除されるケースや条件を把握しよう

法テラスの弁護士費用立替制度は、経済的に困っていても法的支援を受けられる重要な仕組みです。

特に、生活保護を受けている人や、それに準ずる経済状況・ひとり親世帯などの人は、条件を満たせば弁護士費用の返済が免除される可能性があります。

ただし、免除が自動的に適用されるわけではなく、事件終了後に申請手続きと審査を経なければなりません。

条件や必要書類はケースによって異なるため、早めに法テラスへ相談して確認しておくことが大切です。

弁護士費用に不安を感じている方は、まずは法テラスや信頼できる弁護士に相談し、ご自身の状況に合った支援を受けることから始めてみましょう。

法的トラブルを抱え込まず、早期に専門家へつながることが解決への第一歩です。

相談内容を選択してください

相談員
編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドライン をご覧ください。
法律相談に関するコラム
法テラスの審査に落ちる9つの理由とは?審査期間や落ちた場合の対処法も解説
本記事では、法テラスの審査に落ちる原因、法テラスの審査に申し込んでからの手続きの流れ、法テラスの審査に落ちたときの対応方法などについて解説します。
弁護士への相談の仕方|失敗しないためのコツ6つと注意点を徹底解説
弁護士の法律相談は、1回あたりの時間が限られているのが一般的です。本記事では限られた時間内で、弁護士から有効なアドバイスを得るためのコツ6つと注意点を解説しています。相談の際に役立つ時系列表の書き方とテンプレートも紹介しているので参考にしてください。
法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説
法テラスでは、弁護士との無料法律相談や弁護士費用の一時立替えなどのサービスが利用可能です。本記事では、法テラスの無料相談でできることやできないこと、無料相談を受けるために必要な条件や利用の流れなどを解説します。
訴えられたけどお金がない!民事訴訟の被告になった場合に検討すべき2つの対処法
本記事では、民事訴訟の被告として訴えられたときに、お金がない場合でも検討すべき2つの対処法をわかりやすく解説します。
もっとみる
地域から弁護士を探す
法律相談を投稿する
離婚・不倫問題 交通事故 相続・遺産トラブル 労働問題 刑事事件 債権回収 借金減額・債務整理 ネット誹謗中傷 企業法務 その他
弁護士の方はこちら