窃盗事件で示談は必要?示談の重要性や交渉の流れ、示談金相場を解説
自分や家族が窃盗をしてしまい、「逮捕されたらどうしよう」「前科がつくのでは」と不安に感じている方も多いでしょう。
窃盗事件を起こしてしまったときは、被害者との示談を早期におこなうことが重要です。
示談が成立すれば、逮捕や起訴を避けられる可能性があるからです。
しかし、「そもそも示談とは何か」「示談金はいくら必要なのか」「どのように進めればいいのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。
そこで本記事では、窃盗事件における示談の重要性や交渉の流れ、示談金の相場と決め方をわかりやすく解説します。
示談について弁護士に依頼するメリットや、示談金を払えない場合の対処法、被害者が応じないときの対応まで詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
窃盗事件で示談を成立させるべき理由
窃盗事件を起こしてしまった場合、被害者との示談を早期に成立させることが極めて重要です。
その理由は、以下の4つです。
- 刑事事件化や逮捕を回避できる可能性が高まる
- 身柄を拘束されている場合は早期釈放を目指せる
- 不起訴処分を獲得できる可能性が高まる
- 仮に起訴されたあとでも実刑を回避できる可能性が高まる
ここでは、示談によって得られる主な効果を具体的に紹介します。
刑事事件化や逮捕を回避できる可能性が高まる
窃盗事件で早期の示談成立を目指すべき最大の理由は、刑事事件化や逮捕を回避できる可能性が高まる点にあります。
窃盗事件が警察に発覚すると、捜査機関による取り調べや事情聴取がおこなわれ、最悪の場合逮捕に至るケースも少なくありません。
しかし、被害届が提出される前に示談を成立させれば、そもそも事件化するのを防げる場合があります。
示談金を支払うことで被害者が「被害届を出さない」ことに同意してくれれば、警察が介入せず、結果的に逮捕を回避できる可能性が高まるでしょう。
身体拘束されることも、前科がつくこともなく、日常生活を続けられる点が大きなメリットです。
身柄を拘束されている場合は早期釈放を目指せる
すでに逮捕されている場合でも、示談が成立すれば、早期の釈放につながる可能性があります。
示談成立は罪を認めて被害回復に努めている証拠となり、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断されることがあるためです。
また、示談成立によって被害者が「厳罰を望まない」などの意思表示をすれば、微罪処分として警察段階で事件が終了し、検察へ送致されることを防げる可能性もあるでしょう。
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不起訴処分を獲得できる可能性が高まる
被害者との示談が成立した場合、仮に検察へ送致されたとしても不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
なぜなら、検察官がおこなう起訴・不起訴処分の判断には、示談成立や示談書の内容が大きく影響するからです。
被害者が加害者を許している、あるいは被害が回復していると判断されれば、不起訴となるケースも少なくありません。
示談が成立している場合は、検察官に示談書を提出することで、刑事裁判に進まずに済む可能性が高まるでしょう。
仮に起訴されたあとでも実刑を回避できる可能性が高まる
示談が成立していれば、仮に起訴されてしまったとしても量刑判断において加害者に有利な事情として考慮される点も見逃せません。
その結果、本来なら実刑となる事件でも執行猶予付き判決が下される場合があります。
示談成立は、被害者が加害者を許したことを示す重要な証拠となり、刑の軽減を目指すうえでも非常に効果的なのです。
窃盗事件における示談交渉の流れ
窃盗事件で示談を成立させるためには、被害者との信頼関係を築きながら、段階的に交渉を進める必要があります。
ここでは、示談成立までの基本的な流れを以下3つのステップに分けて解説します。
- 被害者に連絡して示談交渉を申し出る
- 被害者と示談金額・示談条件について交渉する
- 示談書に合意内容をまとめる
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
1.被害者に連絡して示談交渉を申し出る
示談交渉を始めるには、まず被害者と連絡を取ることから始まります。
ただし、加害者本人が直接連絡を取ることは避けたほうが安全です。
警察は被害者の個人情報を開示しないため、弁護士を介して連絡を取るのが一般的です。
弁護士は検察官を通じて被害者の意思を確認し、被害者が示談に応じる意向を示した場合のみ連絡先を受け取ります。
このように、弁護士を仲介することで感情的な対立を避けながら、冷静に示談の話し合いを進めることができます。
2.被害者と示談金額・示談条件について交渉する
被害者が示談に前向きな場合、弁護士が代理人として示談条件の調整をおこないます。
具体的に話し合うのは、示談金の金額・支払い方法・被害届の取り下げの有無などです。
多くのケースでは、加害者本人が直接謝罪することはなく、弁護士が代わりに謝罪の意を伝えます。
ただし、被害者の希望がある場合に限り、加害者本人が直接謝罪をおこなうケースもあります。
経験豊富な弁護士が間に入ることで、双方が感情的にならず、交渉を円滑に進めやすくなるでしょう。
3.示談書に合意内容をまとめる
示談条件がまとまったら、示談書を作成して正式な合意とします。
主な記載内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加害者・被害者の氏名 | 当事者の正式な氏名を記載 |
| 事件の発生日時・場所・被害内容 | 事件の日時や場所、被害の概要を明確にする |
| 示談金の金額・支払い方法・支払期限 | 示談金の金額、支払方法、期限を記載 |
| 清算条項 | 記載内容以外の請求をしない旨を明記 |
| 宥恕条項 | 被害者が加害者を許す意思を示す |
| 被害届の取り下げ | 被害届を取り下げる場合、その旨を記載 |
示談書に署名・押印がなされると正式に成立します。
作成後は示談金を支払い、写しを弁護士経由で検察官に提出すれば、不起訴処分に向けた重要な資料となります。
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窃盗事件の示談金相場はどのくらい?
示談を検討する際に最も気になるのが、支払うべき金額の目安です。
ここでは、窃盗事件における一般的な示談金の相場を紹介します。
被害額+20万円程度が相場になる
窃盗事件の示談金は、被害額や被害者の意向によって変わりますが、おおむね「被害額に20万円を加えた金額」が目安とされています。
たとえば5万円を盗んだ場合、示談金の相場は25万円前後です。
これは、実際の被害額に加え、精神的損害を補う慰謝料の意味合いが含まれているためです。
なお、事件の悪質性や被害者の処罰感情が強い場合は、上記よりも高くなることがあります。
【関連記事】窃盗の示談金の相場はいくら?示談するメリットや示談交渉の流れを解説
被害額が5,000円・1万円と低額な場合は示談金もおさえられる
被害額が少ない場合、示談金も比較的低く抑えられる傾向があります。
たとえば、コンビニでおにぎりを万引きしたようなケースでは、3万円〜10万円程度で示談が成立することもあります。
一方で、同じ金額の被害でも、店舗ではなく個人宅や職場で起きた窃盗など、被害者が受けた精神的苦痛が大きい場合は、数十万円規模になるケースも少なくありません。
窃盗事件における示談金額の決め方
示談金は法律で一律に決まっているわけではなく、被害の状況や当事者の事情をもとに交渉で決められます。
以下では、金額に影響する主な要素をまとめました。
| 要因 | 示談金への影響 |
|---|---|
| 被害額 | 高いほど金額も上がる傾向 |
| 被害品の回収状況 | 回収済みなら低く抑えられやすい |
| 被害者の精神的苦痛 | 苦痛が大きいほど上乗せされやすい |
| 犯行の悪質性 | 計画的・常習的なら高額になりやすい |
| 被害者の処罰感情 | 厳罰を望むほど金額が上がる傾向 |
| 加害者の反省・謝罪態度 | 真摯な謝罪があれば減額の可能性あり |
なお、最終的な金額は被害者との合意によって決まります。
金額の妥当性に不安がある場合は、弁護士の助言を受けて交渉を進めると安心です。
窃盗事件の示談交渉を弁護士に任せるべき理由
示談は、被害者との信頼関係や交渉力が結果を左右します。
感情的な対立を避け、確実に示談を成立させるためには、弁護士に依頼するのが最も安全で効果的です。
ここでは、弁護士に任せる主な理由を紹介します。
弁護士なしでは被害者の連絡先さえわからない場合も少なくない
警察や検察は、加害者側に被害者の連絡先を教えることはありません。
そのため、弁護士を通じてしか被害者と連絡を取れないケースがほとんどです。
弁護士は捜査機関から正式に連絡先の開示を受け、代理人として交渉の場を整えてくれます。
示談を早期に成立させるためにも、窃盗事件を起こしてしまった場合はいち早く弁護士へ相談しましょう。
示談が成立する可能性が高まる
弁護士が示談交渉を担当することで、示談が成立する可能性は格段に高まります。
被害者は、加害者本人との直接交渉に不安や警戒心を抱くことが多く、感情的な衝突が起こりやすい傾向があります。
しかし、弁護士が代理人として間に入ることで、被害者は冷静に話を聞きやすくなり、交渉の信頼性が高まるでしょう。
不利な条件で示談が成立するのを回避できる
示談金額の相場を知らないまま交渉すると、法外な金額を支払ってしまうおそれがあります。
弁護士なら、過去の事例を踏まえて妥当な金額を判断し、必要に応じて減額交渉をおこなうことも可能です。
また、示談書の作成時には、追加請求や条件の不備がないよう確認してくれるため、後日のトラブルも防止できます。
示談成立後のトラブルも予防できる
示談成立後の手続きを正確に進められ、示談内容を適切に反映できるのも、弁護士に依頼するメリットです。
示談書の内容に不備があると、あとで「そんなつもりではなかった」と争いになるおそれがあります。
弁護士は法的に有効な示談書を作成し、検察官に提出する適切な時期を判断してくれます。
こうした専門的な対応により、示談の効果が適切に反映されやすくなるでしょう。
窃盗の示談金が払えない場合はどうすればいい?
示談金の提示額が高く、「すぐには払えない」「全額を用意できない」という人も少なくありません。
また、場合によっては「被害者が示談金を受け取ってくれない」というケースもあるでしょう。
ここでは、示談金の支払いが難しい場合の現実的な対応策を紹介します。
弁護士に減額交渉をしてもらう
被害者から高額な金額を提示された場合でも、弁護士に依頼すれば減額交渉が可能です。
弁護士は、加害者の収入状況や支払い能力をもとに、相手方へ合理的な金額を提示します。
また、被害者の感情に配慮しながら交渉を進めるため、直接やり取りするよりも合意に至りやすくなります。
分割払いにできないか被害者に交渉する
示談金は一括払いが原則ですが、被害者の同意が得られれば分割払いに変更できる場合もあります。
最初にある程度の金額を支払い、残りを分割して支払う方法など、誠意を示しながら交渉を進めることが大切です。
被害者にとっても、確実に支払いを受けられる見込みが立つことで安心感が生まれます。
供託や贖罪寄付を検討する
どうしても被害者と示談できない、あるいは支払いを拒否された場合は、供託や贖罪寄付という方法もあります。
供託は、示談金に相当する金額を法務局に預ける制度で、後に被害者が受け取れる仕組みです。
また、犯罪被害者支援団体などに寄付をおこなう贖罪寄付によって、反省と償いの意思を示すこともできます。
いずれも示談成立と同等の効果はありませんが、不起訴や減刑の判断で有利に働く場合があります。
窃盗の示談についてよくある質問
ここでは、示談のタイミングや被害者への対応など、多くの人が悩む3つの疑問について詳しく解説します。
窃盗の示談交渉を始めるべきタイミングは?
窃盗事件の示談交渉は、できるだけ早く開始することが重要です。
検察官が起訴・不起訴を判断する前に示談が成立すれば、不起訴処分になる可能性が高まります。
逮捕から最長で23日間の勾留期間内に判断が下されるため、その前に被害者と合意できるよう、早期に弁護士へ依頼することが望ましいでしょう。
窃盗の被害者が示談金額を吊り上げてきたらどうすればいい?
窃盗事件で被害者から法外な示談金を請求された場合は、冷静に弁護士へ相談しましょう。
被害者から法外な金額を求められても、焦って応じる必要はありません。
弁護士は事件内容や過去の事例をもとに、妥当な金額を見極めて減額交渉をおこないます。
当事者同士の話し合いでは感情的な対立を招くおそれがあるため、専門家を介して冷静に進めることが大切です。
さいごに|窃盗事件の示談交渉についてはなるべく早く弁護士に相談を!
窃盗事件で示談を成立させるには、できるだけ早い行動が重要です。
被害者との合意が早期に整えば、不起訴処分や釈放の可能性が高まり、社会生活への影響を最小限に抑えられることがあります。
示談交渉では、謝罪の伝え方や金額の提示など、慎重な対応が欠かせません。
弁護士を通じて進めることで、被害者の信頼を得やすくなり、書類作成や検察官への提出などの手続きも正確に進められます。
また、もし示談金を支払うのが難しい場合も、減額交渉や分割払い、供託や贖罪寄付などの方法を取ることが可能です。
どの方法を選ぶにしても、弁護士に相談することで最も適切な解決策を見つけやすくなります。
事件を放置せず、早期に専門家へ相談することが、再出発への第一歩です。
