在宅事件とは?捜査機関に逮捕・勾留されない刑事事件の特徴や流れなどについて解説
- 「警察から連絡が来たが、逮捕はされていない」
- 「このまま自宅で生活できるのだろうか」
刑事事件について、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
刑事事件というと、逮捕されて留置場に入るイメージを持つ方が多いかもしれませんが、全ての事件で逮捕・勾留がおこなわれるわけではありません。
中には、身柄を拘束されず、自宅で生活を続けながら捜査や手続きが進む「在宅事件」として扱われるケースもあります。
本記事では、在宅事件とは何かという基本的な考え方から、逮捕・勾留されない刑事事件の特徴、捜査の流れ、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
現在の状況を整理し、今後どのように対応すべきか判断するための参考にしてください。
在宅事件とは?捜査機関に身柄を拘束されない刑事事件のこと
在宅事件とは、警察や検察が被疑者を逮捕・勾留せず、身柄を拘束しないまま捜査を進める刑事事件のことです。
被疑者は自宅で通常の生活を送りつつ、呼び出しに応じて任意で取調べを受けることになります。
このような対応が取られるのは、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断された場合です。
たとえば、軽微な事件で初犯の場合や、すでに示談が成立しているケースなどでは、在宅事件として扱われる可能性が高くなります。
捜査機関に逮捕や勾留をされる事件のことは「身柄事件」という
刑事事件には、在宅事件と対になる手続きとして、身柄事件があります。
身柄事件とは、捜査機関が被疑者を逮捕・勾留し、一定期間拘束下に置いたうえで捜査や取り調べを進める事件のことです。
身柄事件に該当するかどうかは、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれの有無を中心に、事件の性質や身元の安定性などを踏まえて判断されます。
重大な事件や再犯の可能性が高い場合などは、身柄事件として扱われることが一般的です。
在宅事件で捜査をしてもらうメリット・デメリット
在宅事件は、身柄を拘束されないという点で被疑者にとって一定の利点がありますが、その一方で見落とされがちな注意点もあります。
ここでは、在宅事件の主なメリットとデメリットを整理して紹介します。
メリット|事件発覚後も今まで通り日常生活を送れる
在宅事件の最大のメリットは、被疑者が普段通りの生活を継続できることです。
逮捕・勾留されると、仕事を休まざるを得なくなったり、家族や周囲に事情が知られたりすることで、生活や社会的地位に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
一方、在宅事件であれば自宅に居ながら対応できるため、会社や学校を休む必要もなく、日常のペースを崩さずに済みます。
精神的なプレッシャーや金銭的な負担も比較的小さく、社会生活への影響を抑えられる点が大きな利点です。
さらに、身柄拘束がない分、自分の意思で弁護士を選び、相談しながら準備を進めやすいことも挙げられます。
デメリット|期限がなくなり進行状況を把握しにくくなる
在宅事件の主なデメリットのひとつは、手続きが長引く傾向があることです。
身柄事件では、逮捕から起訴や不起訴の判断までに最大23日という明確な期限が設けられています。
一方で在宅事件にはそのような法的な期限がなく、捜査や処分の判断が数ヵ月に及ぶことも少なくありません。
そのため、被疑者は結果が出ないまま長期間待つことになり、不安な日々を過ごすことになります。
また、警察や検察からの連絡がしばらく途絶えることもあり、今どのような状況なのかが把握しづらくなるのも精神的な負担となるでしょう。
さらに、逮捕されなかったことで事件が終わったと誤解してしまい、何の準備もないまま後日いきなり起訴されてしまうといった事態に陥るおそれもあります。
このように、捜査の見通しが立ちにくいことは、在宅事件における大きなデメリットといえるでしょう。
在宅事件になった場合の流れ|捜査から裁判までの3ステップ
在宅事件となった場合も通常の刑事事件と同様に、捜査から裁判まで一定の手続きがおこなわれます。
ここでは、在宅事件における3つのステップを見ていきましょう。
1.在宅捜査|任意出頭をして取り調べを受ける
まずは警察による捜査がおこなわれます。
在宅事件では逮捕されていないため、警察から連絡を受けて指定された日時に出頭し、任意で取調べを受けることになります。
この段階でおこなわれるのは、被疑者の供述聴取や証拠の収集などです。
必要に応じて、現場検証や防犯カメラ映像の確認などがおこなわれることもあります。
被疑者が捜査に協力的であり、逃亡や証拠隠滅のおそれがなければ、引き続き在宅のまま手続きが進行します。
2.在宅起訴|検察官が裁判所に公判請求をする
在宅事件では、警察の捜査が終わると事件が検察に送られ、検察官が起訴するかどうかを判断します。
検察官は証拠や供述を精査し、起訴が妥当と判断した場合に手続きを進めます。
起訴には公判請求と略式命令請求という2つの方法があります。
公判請求は公開の法廷で裁判官が審理をおこなう手続きです。
一方、略式命令請求は被疑者の同意を前提に、簡易裁判所で書面審理によって刑を決定します。
3.刑事裁判|法廷で犯罪や量刑などについて争う
検察官が公判請求をおこなうと、事件は裁判所に送られ、刑事裁判が始まります。
刑事裁判とは、罪を犯したと疑われている人について、本当に犯罪をおこなったのかを審理し、認められた場合にはどのような刑罰を科すかを決める手続きです。
裁判では、検察官が証拠や証言を示して有罪を主張し、弁護人が被告人の立場から反論をおこないます。
そして、裁判官は双方の主張と証拠を慎重に検討し、有罪か無罪かを判断します。
被告人が罪を犯したと認められた場合には、その内容や事情に応じて刑の重さが決定されます。
在宅事件で捜査を進めてもらうための4つのポイント
ここでは、身柄の拘束を避け、在宅のまま手続きを進めてもらうための具体的な4つのポイントを紹介します。
1.事件を認めて捜査に協力する
まず大切なのは、捜査に誠実に対応する姿勢を示すことです。
正当な理由なく出頭に応じない、連絡が取れない、証拠に触れる行動が疑われる、といった事情があると、身柄拘束の必要性が高いと判断されることがあります。
反対に、事実関係を説明し、反省の意思を見せることで、逮捕の必要性が低いと判断されやすくなります。
協力的な態度を保つことが、在宅事件として処理される第一歩です。
2.被害弁償をおこない、示談も成立させる
被害者のいる事件では、被害の回復に努め、示談を成立させることが重要です。
被害弁償や謝罪を通じて示談が成立すれば、検察官の判断において不起訴処分となる可能性が高まります。
また、被害者の感情が和らぐことで、身柄拘束の必要性も低くなります。
ただし、被害者への連絡や示談交渉は、弁護士を通じておこなうのが安全です。
【関連記事】弁護士に示談交渉を任せたい!依頼の流れ・費用・注意点をわかりやすく解説
3.身元引受人(家族や上司など)を用意する
家族や勤務先の上司など、信頼できる人物に身元引受人となってもらうことも有効です。
身元引受人がいることで、被疑者が逃亡や隠蔽をしない環境にあると判断され、在宅のまま手続きを進めてもらえる可能性が高くなります。
家族や職場と連携し、誠実に対応できる体制を整えることが重要です。
【関連記事】身元引受人とは?条件や必要な場面・いない場合の対処法まで解説
4.刑事事件が得意な弁護士のサポートを受ける
刑事事件の手続きでは、早期に弁護士へ相談することが非常に重要です。
弁護士は、警察や検察とのやり取りを適切にサポートし、身柄拘束を避けるための助言をおこないます。
また、示談交渉や供述内容の整理なども専門的に支援してくれます。
ただし、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。
法律分野は幅広く、同じ弁護士であっても刑事事件にあまり詳しくない弁護士も存在します。
適切かつスムーズなサポートを受けるためには、刑事事件を得意とする弁護士へ相談・依頼するようにしましょう。
早い段階で弁護士に依頼することで、事件を在宅のまま解決できる可能性が高まります。
【関連記事】刑事事件に強い弁護士とは?特徴・探し方・依頼するメリットを解説
さいごに|「在宅事件」にするには身柄の拘束を回避することが重要になる
在宅事件として手続きを進めてもらうためには、何よりも逮捕を回避することが大切です。
逮捕を避けられれば、社会生活を維持しながら冷静に対応することができます。
そのためには、捜査への協力姿勢を示し、被害弁償や示談の成立など、反省の意思を具体的に行動で示すことが重要です。
また、家族や上司などの身元引受人を立て、逃亡や隠蔽の可能性が低いことを示すことも効果的です。
さらに、刑事事件に詳しい弁護士に早期に相談することで、身柄拘束の回避や不起訴処分の獲得に向けたサポートを受けることができます。
在宅事件は、身柄拘束を受けないという点で大きな利点がありますが、油断は禁物です。
自分だけで対応しようとせず、弁護士の支援を得ながら一つひとつの手続きを確実に進めましょう。
