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親権って何?親権者の義務や監護権・保護者との違いなど、基本知識をわかりやすく解説

弁護士監修記事
離婚トラブル 親権
2026年03月02日
親権って何?親権者の義務や監護権・保護者との違いなど、基本知識をわかりやすく解説
この記事を監修した弁護士
川越 悠平弁護士 (東京桜の森法律事務所)
依頼者様のお気持ちを尊重し、一人ひとりに適したサポートを提供しています。離婚自体を争う事件や財産分与などを争う事件はもちろん、親権や面会交流、養育費などお子さんの関わる事件にも注力しています。
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「親権」という言葉はニュースなどで耳にしますが、具体的にどのような権利や義務が含まれているのか、正しく説明できる方は少ないでしょう。

「親権がないと子どもと会えなくなる?」「相手に親権を渡したくない」「どうやって親権者を決めるの?」などの不安や疑問を抱えている方も多いはずです。

親権は、子どもが成人するまで安心して暮らすために欠かせない大切な権利です。

中身をよく理解しないまま離婚の話を進めてしまうと、あとになって「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。

本記事では、親権の基本的な意味や役割、似ている用語である「監護権」との違い、離婚時の親権者の決め方について解説します。

また、2026年に法改正がおこなわれる予定の「共同親権」についても触れています。

お子さんの将来を守りながら手続きを進めるための参考にしてください。

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目次

親権とは?子どもの財産管理や身上管理をする権利義務の総称

親権とは、未成年の子どもが成人するまでの間、親が子どもの生活や財産を守り育てるための「権利」と「義務」をまとめた言葉です。

親権は、「子どもの利益」のために存在します。

そのため、しつけと称して子どもに暴力を振るう行為は法律上禁止されており、行き過ぎた場合は暴行罪や傷害罪に問われます。

2026年1月時点では、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する際は、必ず父母のどちらか一方を親権者と決めなければなりません

親権者を決めずに離婚届を提出しても、役所では受け付けてもらえないため注意が必要です。

なお、2026年4月以降は離婚後も両親で親権を持つ「共同親権」が認められるようになります。

詳しくは「2026年4月に始まる「共同親権」について」で解説しているので、あわせて参考にしてください。

親権にはどんな権利義務が含まれる?

親権に含まれる具体的な権利義務は、以下の6つです。

  1. 財産管理権
  2. 代理権
  3. 同意権
  4. 監護教育権
  5. 居所指定権
  6. 職業許可権

以下、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

1.財産管理権|子どもの財産を管理・処分すること

財産管理権とは、子どもの名義になっている財産を、親権者が管理・処分できる権利です。

未成年者は、自分で適切に財産を管理することが難しいため、親が責任を持って管理します。

財産管理権を行使する主な場面は、以下のとおりです。

  • 子ども名義の預貯金口座を開設する
  • 祖父母から子どもに贈与された財産を管理する

2.代理権|子どもに代わって法律行為をすること

代理権とは、子どもが契約などの法律行為をする際に、親権者が代わりに手続きをおこなう権利です。

未成年者がひとりで契約を結ぶと、不利な内容で騙されたりするリスクがあるため、親が「法定代理人」として行動します。

代理権は、たとえば以下の場面で行使されます。

  • 携帯電話やスマートフォンの契約手続きをする
  • 子どもが交通事故にあった際に、代わりに示談交渉する

3.同意権|子どもに対して法律行為を認めること

同意権とは、子どもが自分でおこなう法律行為を親権者が認める権利です。

未成年者が高額な買い物をしたり、ローンを組んだりするときは、原則として親権者の同意が必要です。

もし親権者の同意を得ずに子どもが契約をした場合、契約はあとから取り消せます。

ただし、お小遣いの範囲でのお菓子や文房具の購入など、日常生活に必要な買い物には親権者の同意は不要です。

4.監護教育権|子どもを育て教育を受けさせること

監護教育権とは、子どものそばにいて世話をし、必要な教育を受けさせる権利と義務です。

一般的にイメージされる「子育て」の大部分は、この権利に含まれます。

親権者は、子どもの利益を第一に考え、以下の点を遵守しなければなりません

  • 人格を尊重する
  • 年齢および発達の程度に配慮する
  • 子どもの心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしない

かつては、親権者に「懲戒権」が認められていましたが、2022年の民法改正で削除されました。

現在は、体罰や虐待など、子どもの心身の成長に悪影響を与える行為の禁止が明文化されています。

5.居所指定権|子どもがどこに住むか指定すること

居所指定権とは、子どもが住む場所を親権者が決める権利です。

子どもは、親権者が指定した場所に住まなければなりません。

これは、未成年の子どもが勝手に家を出て行ったり、危険な場所に住んだりすることを防止する目的です。

6.職業許可権|子どもの就業について許可すること

職業許可権とは、子どもが職業に就いて働くことを親権者が許可する権利です。

子どもが学校での勉強をおろそかにしたり、健康を害するような働き方をしたりしないよう監督するためにあります。

そのため、未成年の子どもが働くには、親権者の許可が必要です。

親権者から許可をもらった職業に関しては、未成年者でもひとりで契約を結ぶことが認められます。

なお、就労を一度許可したからといって、ずっと変更できないわけではありません。

働き始めたあとに学業や健康に悪影響が出ているとわかれば、親権者は許可を取り消したり、制限したりできます。

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親権と似ている用語との違い|監護権や保護者とはどう違う?

ニュースや学校の書類などで、「監護権」や「保護者」という言葉を目にすることがあります。

これらは「親権」と似ていますが、法律上の意味や役割には明確な違いがあります。

それぞれの用語の意味と、親権との関係性を整理しておきましょう。

1.監護権とは?親権のうち子どもを監護・教育する権利義務のこと

親権は、大きく分けて「財産管理権」と「(身上)監護権」の2つに分類されます。

それぞれの内訳を、以下の表で整理しました。

財産管理権 身上監護権
・財産管理権
・代理権
・同意権
・監護教育権
・居所指定権
・職業許可権

この表のうち、右側の「身上監護権」が、いわゆる「監護権」と呼ばれる部分です。

親権者は原則として、「財産管理権」と「監護権」の両方を有します。

しかし、離婚をする際、父親を「親権者」、母親を「監護者」にするといった役割分担も可能です。

このように分ければ、親権を持たない側も「監護者」として認められ、子どもと一緒に暮らせます

ただし、手続きが複雑になるため、実務上は親権者が監護権を持つのが一般的です。

2.保護者とは?一般的に使われる「子どもを保護する人」のこと

「保護者」という言葉は、法律用語ではありません。

日常的に「子どもを現実に保護・監督する人物」というニュアンスで使われる言葉です。

一般的には親権者を指すことが多いですが、必ずしも「保護者=親権者」とは限りません。

事情があって親と一緒に暮らせない場合、親の代わりに面倒を見ている祖父母や親戚、または施設の職員などが「保護者」と呼ばれることもあります。

【親権者と保護者の違い】

  • 親権者:民法によって定められた、財産管理や身上監護の権利義務を持つ人物
  • 保護者:学校や社会生活において、子どもの責任を負う立場にある人物

「親権者」は法律上の地位を指す言葉、「保護者」は実際の役割を指す言葉、と理解しましょう。

親権者になるのは誰?ケース別に親権者を確認しよう

親権者になるのは、基本的には子どもの両親です。

しかし、状況によって親権者の人数や組み合わせは変わります。

以下、親権者の違いを状況別にまとめました。

状況 親権者 親権の行使方法
1. 婚姻中 父母の両方 共同親権
2. 離婚後 父母のどちらか一方 単独親権
3. 再婚後 実親 + 再婚相手 共同親権


ここから、それぞれの状況を詳しく見ていきましょう。

1.婚姻中|両親が親権者となる

両親が結婚している間は、原則として父母の両方が親権者となります。

これを「共同親権」といいます。

婚姻中は、進学先の決定や携帯電話の契約など、子どもに関する重要事項は父母が協力して親権を行使しなければなりません。

どちらか一方が勝手に決めるのではなく、話し合って方針を決めるのがルールです。

ただし、父親か母親のどちらかが海外赴任中だったり、重い病気で入院して親権を行使できなかったりする場合は、単独での親権の行使が認められます

2.離婚後|父母のいずれかが親権者となる

2026年1月時点では、離婚をする場合、父母のどちらか一方を親権者と決めなければなりません

これを「単独親権」といいます。

離婚届には親権者を記入する欄がありますが、空欄だと離婚届は受理されません。

そのため、離婚する前には必ず話し合いで親権者を決める必要があります。

もし話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の調停や裁判で、子どもの幸福の観点からどちらが適任か判断されます。

なお、結婚する前に子どもが生まれた場合や、子どもが生まれる前に離婚が成立していた場合は、母親が単独で親権者になるのが原則です。

3.再婚後(養子縁組あり)|父母のいずれかと再婚相手が親権者になる

離婚後に子どもを引き取った親(実親)が再婚し、その再婚相手が子どもと「養子縁組」をした場合、親権者は実親と再婚相手のふたりです。

 この場合、実親と養親(再婚相手)による「共同親権」となります。

養子縁組とは、血のつながりがない親子が法律上の親子関係を結ぶ手続きです。

養子縁組をすることで養親も親権者となるので、実親と養親が共同で親権を行使します。

一方で、再婚はしたけれど養子縁組をしていない場合、再婚相手に親権はありません

再婚相手はあくまで「親の配偶者」という立場にとどまり、法的な親権者は実親ひとりだけです。

2026年4月に始まる「共同親権」について

これまで日本では、父母が離婚をした場合、どちらか一方だけが親権者になる「単独親権」しか認められていませんでした。

しかし、民法が改正され、2026年4月に「共同親権」という制度が始まります

これは、離婚をしたあとも父母の両方が協力して子育てに関われるようにするための制度です。

離婚後の共同親権に関する主なポイントは、以下の3点です。

  • 離婚後もふたりで親権を持てる
  • 話し合いで決まらないときや裁判離婚の場合は、裁判所が親権を決める
  • 監護教育に関する日常の行為や、子どもの利益のため急迫の事情があれば、「単独親権」を行使できる

それぞれのポイントについて、簡単に解説します。

離婚後もふたりで親権を持てる

これまでは、離婚届を出す際に必ず「父」か「母」のどちらか一方を親権者と決めなければなりませんでした。

しかし、改正後は、父母が話し合って合意すれば、離婚後の「共同親権」を選べます

なお、今まで通り「単独親権」も選択可能です。

家庭の事情に合わせて、子どもにとって一番良い形を父母が相談して決められます。

話し合いで決まらないときや裁判離婚の場合は、裁判所が親権を決める

「自分は共同親権がいいけれど、相手は単独親権を主張している」など、父母の間で意見が食い違うこともあるでしょう。

話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所が間に入ります。

裁判所は、子どもの利益の観点で、共同親権にするか単独親権にするかを判断します。

なお、父母の間に虐待やDVのおそれがあると認められる場合、裁判所は必ず「単独親権」にしなければなりません

監護教育に関する日常の行為や、子どもの利益のため急迫の事情があれば、「単独親権」を行使できる

共同親権になったからといって、何をするにも相手の許可が必要なわけではありません。

以下のようなケースでは、親権の単独行使が可能です。

  • 監護教育に関する日常の行為をするとき:服装や食事の決定、アルバイトの許可など
  • 子どもの利益のため急迫の事情があるとき:子どもに緊急で手術が必要なときなど

なお、民法改正前にすでに離婚をしている人でも、家庭裁判所へ申し立てれば「単独親権」から「共同親権」に変更できるようになる予定です。

親権に関するよくある質問

ここでは、親権に関するよくある3つの質問について、わかりやすく回答します。

Q.なぜ親権が認められているのか?

親権が認められている最大の理由は、未熟な子どもを守り、利益を確保するためです。

未成年の子どもは、まだ社会的な判断能力や経験が十分ではありません。

もし親権という制度がなければ、子どもは以下のようなトラブルに巻き込まれるおそれがあります

  • 自分に不利な契約を結んでしまう
  • 財産を勝手に使われてしまう
  • 生活や教育がおろそかになる

親権者が適切に管理し、手助けをすることで、子どもは安心して成長できます。

つまり、親権は親の権利であると同時に、「子どもを一人前に育てるための重い責任」でもあるのです。

Q.親権は子どもが何歳になるまで続くのか?

親権が続くのは、子どもが「成年に達するまで」です。

日本では18歳で成年となるため、18歳の誕生日を迎えた時点で親権はなくなります。

ただし、親権が終了したからといって、すぐに親からの経済的な援助が不要になるわけではありません。

「親権」と「養育費」は別の問題です。

子どもが大学生で経済的に自立していない場合などは、18歳を過ぎても親が生活費を支えるケースが一般的です。

Q.親権者が亡くなった場合はどうなるのか?

離婚後に親権を持っていた親が亡くなった場合、自動的にもう一方の親(元妻や元夫)に親権が移るわけではありません。

子どもの世話をする人がいなくなってしまうため、速やかに以下のどちらかの手続きをとる必要があります。

  1. 未成年後見人を選ぶ
    祖父母やおじ・おばなどの親族が「未成年後見人」になる方法です。
    家庭裁判所に申し立てて未成年後見人に選ばれた人物が、親の代わりに未成年者の監護養育、財産管理などをおこないます。
  2. 親権者を変更する
    離れて暮らしていた実親が引き取る場合は、家庭裁判所に「親権者変更」を申し立てます。
    裁判所が認めれば、親権が実親に移り、子どもを引き取って育てます。

いずれも、家庭裁判所での手続きが必要です。

何もしないままだと法的な代理人が不在となり、子どもの生活に支障が出るため注意しましょう。

さいごに|親権(親権者)について不明点があるなら弁護士に相談しよう

本記事では、親権の仕組みや具体的な権利、離婚したときの親権者の変更に関するルールについてわかりやすく解説しました。

親権は、子どもの将来や生活を守るために欠かせない大切な権利であり義務です。

婚姻中はふたりで共同して行使しますが、離婚後はどちらか一方が単独で行使します。

そのため、離婚の手続きを進めるなかで、「どちらが親権を持つか」を必ず決めなければなりません。

お互いに冷静になり、子どもの利益を第一に考えて、慎重に親権者を決めましょう。

親権の獲得や、養育費、面会交流などの条件で少しでも不安があるなら、離婚分野が得意な弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すれば、今の状況に合わせたアドバイスをもらえます。

ベンナビ離婚では、相談内容や地域に合わせて、離婚分野が得意な弁護士を探せます。

弁護士ごとの実績や特徴も確認しやすく、自分の状況に合う弁護士を見つけやすい点が特徴です。

親権のことで悩んだり、話し合いがうまくいかなかったりする場合は、ベンナビ離婚を利用して早めに弁護士に相談しましょう。

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