「妻と離婚したい」と思った方へ!最初にやるべき行動と離婚手続きの流れを詳しく解説
「妻と離婚したい」と思っても、何から始めればいいのかわからず、不安を抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
感情のままに切り出してしまうと、話し合いがこじれたり、親権や財産分与、慰謝料などで不利な状況に陥ってしまったりするおそれもあります。
離婚をスムーズかつ有利に進めるためには、最初の行動が重要です。
事前に準備すべきポイントや正しい手続きの流れを理解しておくことで、無用なトラブルを避けながら離婚手続きを進められるでしょう。
本記事では、「妻と離婚したい」と考え始めたときに最初にやるべき行動から、協議離婚・調停離婚・裁判離婚といった手続きの違いと流れ、注意点までをわかりやすく解説します。
これから離婚を検討する方は、後悔のない選択をするための参考にしてください。
「妻と離婚したい」と思う主な理由|司法統計年報より
「離婚したいと思っているのは自分だけではないか」「こんな理由で離婚を考えてもいいのだろうか」と悩んでいませんか?
実は、裁判所のデータを見ると、男性が離婚を決意する理由には一定の傾向があることがわかります。
まずは、世の中の男性がどのような理由で離婚を求めているのか、客観的なデータを見てみましょう。
最高裁判所が発表している司法統計によると、夫側からの離婚申立ての動機として多いものは以下のようになっています。
| 理由 | 件数 |
| 性格が合わない | 9,233件 |
| 異性関係 | 1,820件 |
| 浪費する | 1,764件 |
| 性的不調和 | 1,622件 |
| 暴力を振るう | 1,441件 |
【参照元】裁判所 | 司法統計年報 3 家事編
一番多い理由は、「性格が合わない(性格の不一致)」です。
価値観の違いや会話のなさ、生活リズムのズレなどが積み重なり、これ以上一緒に暮らすことは難しいと判断するケースです。
また、近年増えているのが「精神的に虐待する」、いわゆるモラルハラスメント(モラハラ)です。
妻からの暴言や無視、過度な束縛などに耐えかねて離婚を決意する男性が増えています。
このように、離婚を考える理由は人それぞれですが、多くの人があなたと同じような悩みを抱えています。
「自分だけが我慢すればいい」と思わず、まずは現状を客観的に見つめ直すことが大切です。
「妻と離婚したい」と思った場合に最初にやるべき対応
「もう限界だ、離婚しよう」と思ったとき、すぐに妻に「離婚してくれ」と伝えてしまうのは得策ではありません。
何の準備もなしに感情だけで動いてしまうと、妻から強く拒否されたり、法外な慰謝料を請求されたりと、トラブルに発展する可能性が高いからです。
スムーズ、かつ有利に離婚を進めるためには、事前の準備が何よりも重要です。
ここでは、妻に気持ちを伝える前に、水面下で進めておくべき3つの準備を紹介します。
1.自分の気持ちや離婚の理由を整理する
まずは、冷静になって自分の気持ちと離婚したい理由を整理することから始めましょう。
なぜなら、離婚の話し合いや調停では、「なぜ離婚したいのか」「関係修復は不可能なのか」を論理的に説明する必要があるからです。
ただ単に「嫌いになった」「何となく合わない」という理由だけでは、妻や調停委員を納得させることは難しいでしょう。
具体的には、以下のような項目を書き出してみてください。
- いつ頃から離婚を考え始めたか
- 離婚を決意した決定的な出来事は何か
- 今まで関係修復のためにどんな努力をしてきたか
- 離婚後の生活(住居、仕事、お金)はどう考えているか
このように文字にして可視化することで、自分自身の決意が固まるだけでなく、今後の話し合いでブレない軸を持つことができます。
また、感情的にならずに自分の考えを整理することは、離婚後の生活設計を立てるうえでも役立つはずです。
2.離婚に必要な証拠や資料などを集める
次に、離婚を有利に進めるための証拠や資料を集めます。
もし、離婚の理由が妻の不倫や暴力(DV)、モラハラなど、相手に非がある場合、それを証明する証拠がなければ慰謝料を請求することはできません。
また、妻が離婚を拒否して裁判になった場合、法律上の離婚原因(法定離婚事由)があることを証明する必要がありますが、その際にも客観的な証拠が必要です。
具体的には、以下のようなものが証拠になります。
【不倫の場合】
- 肉体関係があったと推測できるLINEやメールのやり取り
- ホテルに出入りする写真や動画
- ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細
【DVやモラハラの場合】
- 暴言を録音した音声データ
- 怪我をしたときの写真や医師の診断書
- 日々の出来事を詳細に記録した日記(日付入り)
これらの証拠は、同居しているうちに集めるのが鉄則です。
別居してからでは、相手のスマホを見たり、家の中にある資料を探したりすることが難しくなるからです。
また、財産分与(夫婦の財産を分けること)のために、夫婦の資産状況がわかる資料も集めておきましょう。
- 預貯金通帳のコピー(表紙と中身全て)
- 源泉徴収票や給与明細
- 生命保険や学資保険の証券
- 不動産の権利証や登記簿謄本
- 住宅ローンの返済予定表
妻が管理している通帳などは、スマホで写真を撮っておくだけでも構いません。
あとから「そんな財産はない」としらを切られないよう、今のうちにしっかりと把握しておくことが重要です。
3.弁護士や離婚カウンセラーなどに相談する
自分の気持ちを整理し、ある程度の証拠が集まったら、次は弁護士に相談しましょう。
「まだ離婚すると決まったわけではないのに、弁護士に相談するのは大げさでは?」と思うかもしれません。
しかし、行動を起こす前だからこそ、専門家のアドバイスが大きな力を発揮します。
弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。
- あなたの状況で離婚できる可能性がどのくらいあるかわかる
- 慰謝料や養育費の相場を知ることができる
- 今後どのような手順で進めればよいか、戦略を立てられる
- やってはいけないNG行動(例:勝手に家を出て行くなど)を回避できる
とくに、親権を父親が取りたいと考えている場合、事前の戦略は極めて重要です。
日本の裁判所は親権者として母親を優先する傾向があるため、父親が親権を獲得するには周到な準備と専門的な知識が欠かせません。
また、まだ気持ちが揺れている場合は、離婚カウンセラーに相談するのも一つの方法です。
心理的な側面からアドバイスをもらうことで、本当に離婚すべきかどうか、冷静な判断ができるようになるでしょう。
最近では、初回相談を無料でおこなっている法律事務所も増えています。「まずは話を聞いてみる」という軽い気持ちでOKです。一度専門家の意見を聞いてみましょう。
なお、「ベンナビ離婚」では離婚問題を扱っている弁護士を地域別に探せます。
加えて、夜間や休日対応の法律事務所も多数掲載しているため、仕事を休まずとも相談できます。
妻と離婚したい場合の流れ|協議離婚の4ステップ
準備が整ったら、いよいよ離婚に向けた具体的なアクションを起こします。
日本における離婚の約88.3%は、夫婦の話し合いで決まる「協議離婚」です。
裁判所を通さずに手続きができるため、時間や費用を抑えられるのが特徴です。
ここでは、協議離婚を成立させるまでの基本的な流れを4つのステップで解説します。
1.妻に離婚したい旨を伝える
最初のステップは、妻に対して「離婚したい」という意思を伝えることです。
ただし、切り出すタイミングや場所は慎重に選びましょう。
お互いに時間が取れる休日の昼間や、子どもがいない静かな環境が望ましいです。
感情的になって怒鳴り合いにならないよう、カフェやファミレスなど、他人の目がある場所を選ぶのも一つの手です。
離婚の意思を伝える際は、以下のポイントを意識してください。
- 単刀直入に伝える:「実は最近考えているんだけど…」と曖昧にするのではなく、「離婚したいと思っている」とはっきり伝えます。
- 理由を冷静に話す:準備の段階で整理した理由を、感情的にならずに説明します。「お前のこういうところが嫌だ」と相手を責めるのではなく、「自分としてはこう感じていて、これ以上は無理だ」と自分の気持ちとして伝えると、反発を招きにくくなります。
- 相手の話も聞く:一方的にまくし立てるのではなく、妻の言い分にも耳を傾ける姿勢を見せましょう。
最初はショックを受けて取り乱したり、泣き出したりすることもあるでしょう。
「今日はとりあえず気持ちを伝えるだけ」と割り切り、長期戦になることを覚悟して臨んでください。
2.夫婦で離婚条件を話し合う
妻が離婚に応じる姿勢を見せたら、次は具体的な離婚条件について話し合います。
ここが最も重要で、かつ揉めやすいポイントです。
決めるべき主な離婚条件は以下のとおりです。
- 親権者:未成年の子どもがいる場合、離婚後の親権者を父と母のどちらにするか決めなければなりません。親権者が決まらないと離婚届は受理されません。
- 養育費:子どもを監護していない側の親が支払う費用です。金額や支払期間、支払方法(毎月振り込みなど)を決めます。
- 面会交流:子どもと一緒に暮らしていない親が、子どもと会ったり連絡を取ったりする方法について決めます(頻度、場所、連絡方法など)。
- 財産分与:結婚してから夫婦で築いた財産(預貯金、不動産、保険解約返戻金など)をどのように分けるか決めます。基本的には2分の1ずつ分けます。
- 慰謝料:不倫やDVなど、どちらか一方に離婚の原因がある場合、精神的苦痛に対する損害賠償として支払われます。
- 年金分割:婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。
これらのお金や子どもに関する問題は、離婚後の生活に直結するため、妥協せずにしっかりと話し合う必要があります。
口約束だけで済ませず、必ずノートなどに記録を残しながら進めましょう。
3.合意できたら離婚協議書を作成する
全ての条件について合意ができたら、その内容をまとめた「離婚協議書」を作成します。
離婚協議書とは、離婚の合意内容を記した契約書のことです。
書面に残しておくことで、あとになって「言った、言わない」のトラブルを防ぐことができます。
さらに、この離婚協議書を「公正証書」にしておくことを強くおすすめします。
公正証書とは、公証役場という公的な機関で、公証人に作成してもらう文書のことです。
公正証書には強力な法的効力があります。
もし、妻が養育費や慰謝料の支払いを滞らせた場合、公正証書に強制執行認諾文言が入っていれば、裁判を起こさなくても給料や預金を差し押さえることができます。
手続きには多少の手間と費用がかかりますが、将来の安心をお金で買うと考えて、必ず作成するようにしましょう。
【関連記事】【弁護士監修】離婚における公正証書とは?作成するメリットや手順を解説
4.市区町村の窓口で離婚届を提出する
離婚協議書(公正証書)が完成したら、最後に離婚届を提出します。
離婚届は、本籍地または住所地の市区町村役場の戸籍係に提出します。
用紙は役所の窓口でもらえるほか、インターネットからダウンロードすることも可能です。
記入する際の注意点は以下のとおりです。
- 夫婦それぞれの署名が必要です(令和3年9月より押印は任意となりましたが、本人確認のため求められる場合もあるので、念のため印鑑を持参すると安心です)。
- 成人2名の証人による署名が必要です(親、兄弟姉妹、知人など誰でも構いません)。
- 未成年の子どもがいる場合は、必ず親権者を記入します。
- 夫婦二人で提出に行く必要はなく、どちらか一方が提出しても構いませんし、郵送での提出も可能です。役所が離婚届を受理した日が、法律上の離婚成立日となります。
これで晴れて、協議離婚の手続きは完了です。
妻と離婚したいのに拒否されてしまった場合の対処法
「妻と話し合おうとしたが、まったく聞く耳を持ってくれない」
「条件面で折り合いがつかず、話し合いが平行線をたどっている」
このように、話し合いがうまくいかない場合でも、諦める必要はありません。
ここからは、協議離婚が難しい場合に取るべき手段について解説します。
1.妻に対して有利な条件を提示する
妻が離婚を拒否している理由が「経済的な不安」や「離婚後の生活への懸念」である場合、条件を譲歩することで解決する可能性があります。
例えば、以下のような提案を検討してみましょう。
- 財産分与の割合を、本来の2分の1よりも妻に多く渡す
- 養育費の金額を相場(算定表)よりも少し高めに設定する
- 解決金として、ある程度まとまったお金を支払う
男性側からすると「なぜ自分が損をしなければならないのか」と不満に思うかもしれません。
しかし、裁判をして何年も争うことの精神的ストレスや弁護士費用、時間を考えれば、多少のお金を払ってでも早期に解決したほうがメリットが大きい場合もあります。
これは「手切れ金」のようなものと考え、新しい人生を早くスタートさせるための必要経費と割り切るのも賢い選択です。
2.家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
当事者同士の話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停とは、裁判官と調停委員が間に入り、話し合いによって解決を目指す手続きです。
原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
調停のメリットは、
- 第三者(調停委員)が入ることで、感情的にならずに冷静に話し合える
- 妻と直接顔を合わせずに済む(待合室も別々で、交互に調停室に入って話を聞かれる)
- 法律的な観点から、妥当な解決案を提示してもらえる
調停は月1回程度のペースでおこなわれ、通常は半年から1年程度かかります。
ここで合意に至れば「調停離婚」が成立します。
3.離婚事由がない場合は別居を始める
調停でも合意に至らない場合は、最終的に離婚裁判を起こすことになります。
しかし、裁判で離婚が認められるためには、民法で定められた「法定離婚事由」が必要です。
【民法第770条に定める法定離婚事由】
- 配偶者に不貞な行為があったとき(不倫)
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき(生活費を渡さない、家出など)
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
性格の不一致などは「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に含まれますが、単に「気が合わない」というだけでは裁判で離婚は認められにくいのが現実です。
そこで有効な手段となるのが「別居」です。
長期間の別居は、夫婦関係がすでに破綻していることの客観的な証明になります。
一般的に、3年~5年程度の別居期間があれば、有責配偶者からの請求でない限り、裁判でも離婚が認められる可能性が高まります。
また、別居をすることで、妻に対して「自分の離婚の意思は固い」ということを強烈に示すことができます。
ただし、勝手に家を出て行くと「悪意の遺棄」とみなされて不利になるリスクもあるため、別居を始める前には必ず弁護士に相談し、生活費の分担などをきちんと決めてから行動することをおすすめします。
さいごに|「妻と離婚したい」と思ったら一度弁護士に相談しよう
「妻と離婚したい」そう心に決めても、実際に離婚を成立させるまでには、多くのエネルギーと時間を要します。
相手があることですから、自分の思い通りに進まないことも多いでしょう。
特に、親権やお金の問題が絡むと、話し合いは泥沼化しやすく、精神的な負担も大きくなります。
一人で悩んでいても、なかなかよい解決策は見つかりません。
そんなときは、離婚問題に注力する弁護士を頼ってみてください。
「弁護士に頼むのは、裁判になってからでいい」と考えている方も多いですが、それは間違いです。
話し合いの段階から弁護士が入ることで、調停や裁判になる前にスムーズに解決できるケースも多々あります。
新しい一歩を踏み出すために、まずは法律の専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
あなたの心強い味方になってくれるはずです。
