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相続放棄の取消し(撤回)はできる?認められるケースや必要な手続きなどを解説

弁護士監修記事
遺産相続 相続放棄
2026年03月30日
相続放棄の取消し(撤回)はできる?認められるケースや必要な手続きなどを解説
この記事を監修した弁護士
杉本 真樹弁護士 (杉本法律事務所)
解決への道筋は一つではありませんので、いくつか選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをしっかりとご説明した上で、一緒に最良の選択肢を考えるように心がけております。
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一度おこなった相続放棄は、原則として撤回することはできません

しかし、その相続放棄に至った理由が、錯誤・詐欺・強迫などの場合は取り消せる可能性があります

そのため「相続放棄の取消しはできない」と諦めず、取消しの可能性や手続きなどを理解することが重要です。

そこで本記事では、相続放棄の取消しをしたいという方に向けて、以下の内容について詳しく説明します。

  • 相続放棄の取消し(撤回)は原則として認められないこと
  • 相続放棄の取消しが認められる可能性がある3つのケース
  • 相続放棄の取消し手続きをする際の大まかな流れ
  • 相続放棄の取消し手続きをする際の3つの注意点 など

本記事を参考に、相続放棄の取消しが可能かどうか、どう手続きをすればよいのかなどを確認しましょう。

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相続放棄の取消し(撤回)は原則として認められない

原則として、一度受理された相続放棄をあとから撤回することはできません(民法第919条)。

しかし、民法に規定された取消し事由がある場合は、相続放棄の取消しが認められています(同条第2項)。

なお、取消し事由があることを証明する必要があり、場合によっては取消しが認められない可能性もあります。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
4 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

相続放棄の取消しが認められる可能性がある3つのケース

相続放棄の取消しが認められるケースには以下のようなものがあります。

  • 制限行為能力者がひとりで申述していた場合
  • 錯誤(誤解)によって相続放棄をしていた場合
  • 詐欺や強迫によって相続放棄をさせられた場合

ここでは、相続放棄の取消しが認められる可能性があるケースについて紹介します。

1.未成年者や成年被後見人などがひとりで申述していた場合

未成年者や成年被後見人が単独で相続放棄をした場合は、取消しが認められる可能性があります(民法第120条)。

(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

未成年者や成年被後見人などは民法上の「制限行為能力者」として扱われます。

このような人たちがおこなった法律行為は、保護者や成年後見人などが取り消せる決まりになっています。

相続放棄も上記のルールに当てはまるため、制限行為能力者が単独で申述していた場合は取消しができます。

2.錯誤(誤解)によって相続放棄をしていた場合

錯誤によって相続放棄をした場合も、取消しが認められる可能性があります(民法第95条)。

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

錯誤とは、簡単に言うと「誤解」や「勘違い」のことを指します。

錯誤には2パターンありますが、相続放棄では「相続放棄をする動機について錯誤がある場合」が該当します。

たとえば「借金があると思っていたのに実はなかった」などの場合に取消しが認められる可能性があるでしょう。

3.詐欺や強迫によって相続放棄をさせられた場合

詐欺や強迫によって相続放棄をさせられた場合も、取消しが認められる可能性があります。

(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

詐欺や強迫があった場合、「相続放棄をしよう」という本人の意思ではないと考えられます。

裁判所に対して詐欺や強迫の事実があったことを証明できれば相続放棄の取消しが認められるでしょう。

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相続放棄の取消し手続きをする際の大まかな流れ|4ステップ

相続放棄の取消しをする際の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 取消しに必要な書類を準備する
  2. 家庭裁判所に準備した書類を提出する
  3. 家庭裁判所が取消しの審理をおこなう
  4. 家庭裁判所に相続放棄取消申述を受理される

相続放棄の取消しをする際は、裁判所に対して取消しの申請をおこなう必要があります。

ここでは、取消しの準備から申請が受理されるまでの大まかな流れについて説明します。

1.取消しに必要な書類を準備する

相続放棄の取消しに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 相続放棄取消申述書
  • 相続放棄をした人の戸籍謄本

相続放棄の取消しをする際は、事前に家庭裁判所に連絡・相談しておくことをおすすめします。

家庭裁判所に連絡することで、相続放棄の取消しに必要な書類や資料などを教えてもらえることもあります。

2.家庭裁判所に準備した書類を提出する

相続放棄取消申述書などを準備できたら、家庭裁判所にこれらの書類を提出します。

提出先は、相続放棄をおこなった家庭裁判所(被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所)です。

また、申述費用として収入印紙代800円と郵便切手代が必要になるため、忘れずに準備しておきましょう。

3.家庭裁判所が取消しの審理をおこなう

書類を受け取った家庭裁判所は、相続放棄の取消しに関する審理を開始します。

必要に応じて、裁判所から質問状が届いたり、呼び出されたりすることもあります。

取消しを認めてもらうためにも正直に質問状に回答したり、呼び出しに応じたりするようにしましょう。

4.家庭裁判所に相続放棄取消申述を受理される

「取消し事由がある」と認められた場合は、家庭裁判所が相続放棄の取消しを受理します。

これにより「相続放棄をしていなかった」という状態になり、申述人は相続する権利を取り戻します。

なお、権利を取り戻した場合は、そのあとに遺産分割協議や遺産分割調停をする必要があるでしょう。

相続放棄の取消し手続きをするにあたっての3つの注意点

相続放棄の取消し手続きをする際の注意点は、以下のとおりです。

  • 取消しが認められるとは限らない
  • 取消しできる期限が決まっている
  • 取消しによってトラブルが生じることがある

ここでは、相続放棄の取消し手続きをするにあたっての注意点について確認しましょう。

1.取消しが認められるとは限らない

相続放棄の取消し手続きは、必ずしも認められるわけではありません

過去には錯誤が理由の取消しが認められなかった事例もあります(最高裁判所昭和40年5月27日判決)。

相続放棄の取消しが認められなかった場合は、当然、被相続人の財産を相続することはできないでしょう。

【参考】裁判例結果詳細 | 最高裁判所

2.取消しできる期限が決まっている

相続放棄の取消しには、以下のように期限が設けられています。

  • 追認できるときから6ヵ月
  • 相続放棄をしたときから10年

具体的には、錯誤・詐欺・強迫の影響がなくなり、取り消せることを知ったときから6ヵ月以内です。

また、上記のように取り消せることを知らなくても、相続放棄から10年経つと取消しはできなくなります。

3.取消しによってトラブルが生じることがある

相続放棄の取消しが認められても、すぐに相続財産を受け取れるわけではありません

遺産分割協議のやり直しを求めたり、遺産分割調停をおこなったりする必要があります。

なお、時期によってはすでに財産が処分されており、希望どおりに財産を相続できない可能性も考えられます。

また、仮に相続のやり直しができても、相続税とは別に贈与税・所得税・不動産取得税などが課されるでしょう。

さいごに|万が一、相続放棄の取消しが必要になったら弁護士に相談を!

相続放棄は、錯誤・詐欺・強迫などの事情がある場合は取消しが認められる可能性があります

しかし、その立証は難しく必ずしも相続放棄の取消しが認められるわけではないので注意が必要です。

相続放棄の取消しをしたい場合は、ひとりで対応しようとせずに弁護士に相談・依頼するほうが望ましいです。

弁護士に相談・依頼すれば、相続放棄の可否を判断してくれたり、申述の手続きをおこなったりしてくれます。

相続放棄の取消しには期限があるため、早めに「ベンナビ相続」で弁護士を探してまずは相談してみましょう。

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