【離婚問題】共有不動産は離婚時にどうする?後悔しないための3つの判断ポイント
- 「離婚を考えているが、共有名義の家はどうすればよいのだろうか」
- 「共有不動産をそのままにして離婚しても問題はないのだろうか」
このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
夫婦で住宅を購入した場合、不動産を共有名義にしているケースは少なくありません。
しかし、不動産を共有名義のまま離婚すると、売却や活用が自由にできなくなったり、住宅ローンや税金の負担をめぐって争いが生じたりするおそれがあります。
離婚後も相手との関係が続く形になるため、将来的な紛争の原因になることも少なくありません。
本記事では、離婚時の共有不動産の取り扱いパターン、放置するリスク、判断時のポイント、相談すべき専門家についてもわかりやすく解説します。
共有不動産の問題を正しく理解し、適切に対応するためにも、ぜひ参考にしてください。
離婚時の共有不動産の扱い方
ここでは、離婚時に選ばれることが多い共有不動産の扱い方を3つ紹介し、それぞれの特徴と注意点を解説します。
1.不動産を売却して現金を分割する
離婚時の共有不動産の扱い方として、まず考えられるのが、不動産を売却して現金で分ける方法です。
この方法は、共有状態を解消しやすく、離婚後のトラブルも残りにくいのが大きな特徴です。
売却によって不動産を現金化すれば、財産分与として分けやすくなり、1円単位で公平に清算しやすくなります。
また、不動産を手放すことで、将来的に売却や管理をめぐって元配偶者とやり取りを続ける必要もなくなります。
離婚後はできるだけ関係を整理したいと考える方にとって、選びやすい方法といえるでしょう。
ただし、不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。そのため、売買契約や決済などの場面では、原則として夫婦双方の協力が求められます。
相手と直接やり取りしたくない場合は、不動産会社や司法書士などの専門家に間に入ってもらうことで、心理的な負担を抑えながら進めやすくなるでしょう。
2.単独名義に変更してから住み続ける
離婚後もどちらか一方がその家に住み続ける場合は、共有名義を解消して単独名義に変更する方法があります。
たとえば、子どもの学校や生活環境を変えたくない場合や、住み慣れた家にそのまま住み続けたい場合には、この方法を検討すると良いでしょう。
共有名義を解消しておけば、将来的に売却や活用をする際も、自分の判断で進めやすくなります。
住宅ローンが完済されている場合は、出ていく側の持分を住み続ける側に移すことで、単独名義に変更できるケースがあります。
一方で、住宅ローンが残っている場合は注意が必要です。
名義変更やローンの引き継ぎには金融機関の承諾が必要になることが多く、希望どおりに進まないケースもあります。
また、不動産だけでなく、預貯金などほかの財産とのバランスも見ながら、公平に財産分与をおこなう必要があります。
そのため、単独名義に変更して住み続ける場合は、早めに弁護士や金融機関へ相談しながら進めるのが安心です。
3.共有名義のままその家に住み続ける
共有名義のまま、どちらか一方が住み続けるという選択をするケースもあります。
しかし、この方法は将来的なトラブルを抱える可能性が高い点に注意が必要です。
共有名義のままでは、不動産の売却や大規模修繕など重要な行為をおこなう際に、原則として共有者全員の同意が必要です。
離婚後に関係が悪化した場合、協力を得られなくなる可能性があります。
また、固定資産税や修繕費などの負担割合をめぐって争いが生じることも少なくありません。
加えて住宅ローンが残っている場合には、返済が滞ることで双方の信用に影響が及ぶおそれもあります。
短期的には現状維持しやすく見えても、長期的には売却・修繕・費用負担をめぐる紛争につながりやすいでしょう。
そのため、共有名義を維持する場合は、居住者・費用負担・使用方法・売却時の対応などを公正証書や合意書で明確にしておくことが重要です。
離婚時に共有不動産をそのままにしておく4つのデメリット
離婚後も共有不動産を解消せずに放置すると、将来的なトラブルの原因になります。
ここでは、代表的な4つのデメリットを解説します。
1.自由に不動産の売却や活用ができなくなる
共有名義の不動産は、一部の共有者だけでは自由に売却・活用できません。
民法第251条では、共有物に変更を加える行為など、一部の行為には共有者全員の同意が必要と定められています。
たとえば、売却や大規模なリフォームなどは「変更行為」にあたり、単独で決めることはできません。
これは、共有者の一人が勝手に処分すると他の共有者に不利益が生じるためです。
つまり、離婚後に共有名義を放置すると、不動産を売却したい、賃貸に出したいと考えた際に、元配偶者と連絡を取り合意を得なければなりません。
しかし、離婚後に元配偶者との関係が悪化していれば、合意形成は容易ではありません。
意見が対立すれば、売却も活用もできないまま、固定資産税などの負担だけが続く可能性があります。
2.維持費や税金の負担などで揉めることになる
共有不動産には、固定資産税や修繕費、管理費などの維持費が発生します。
これらの費用は原則として共有者が持分に応じて負担しますが、その際「誰がいくら支払うのか」「住んでいる側が多く負担すべきではないか」などの争いが生じやすいでしょう。
また、離婚後に関係が疎遠になると、支払いの滞納や立て替えをめぐる紛争に発展することもあります。
金銭問題は感情的対立を深めやすく、長期的なトラブルの原因になるでしょう。
3.ローンが残っている場合は滞納が問題になる
共有名義の不動産について、住宅ローンが残っている場合は、ローンの滞納が問題になる可能性もあります。
たとえば、離婚後も共有名義のまま一方が住み続け、もう一方が返済に関与しない場合を挙げてみましょう。
この場合、本来返済をおこなうべき方が滞納すると、連帯保証人であるもう一方に対して金融機関から一括請求を受けるおそれがあります。
また、ローン契約者双方の信用情報に影響が及ぶこともあります。
離婚後の生活再建にとって大きな障害となる可能性があるため、軽視できない問題です。
4.将来的に子ども世代にトラブルが引き継がれる
共有名義を放置することは、当事者だけでなく子ども世代にも影響を及ぼしかねません。
たとえば、離婚後に妻が家を出て共有名義をそのままにし、将来妻が亡くなった場合、妻の共有持分は子どもに相続されます。
その結果、元配偶者と子どもが共有者となります。
不動産の売却や活用をおこなう際には、子どもが元配偶者と合意形成を図らなければなりません。
さらに、相続が繰り返されることで共有者の人数が増え、権利関係が複雑化します。
将来的には、共有者同士が面識のない状態になり、売却が困難になるおそれもあるでしょう。
離婚に伴い共有不動産をどうするか決める際の3つのポイント
共有名義の不動産について離婚時に適切な選択をするためには、客観的な情報を整理することが不可欠です。
ここでは、離婚に伴い共有不動産をどうするか決める際に、必ず確認すべき3つのポイントを解説します。
1.不動産を査定に出す
結論として、まずは不動産の現在の価値を把握することが重要です。
相手の持分を買い取る場合も、不動産全体を売却する場合も、不動産の評価額が基準となります。
適正な価格がわからなければ、公平な財産分与はできません。
たとえば、不動産の価値が1,000万円で、夫の持分が5分の3、妻の持分が5分の2である場合、夫が妻の持分を買い取るなら「1,000万円×5分の2=400万円」が一つの目安となります。
なお、不動産の価値は、不動産会社に査定を依頼することで把握できます。
また、簡易査定であれば、内覧なしで概算価格を提示してもらえることもあります。
複数社に依頼し、価格の幅を確認することも有効といえるでしょう。
2.住宅ローンの残債を調査する
次に確認すべきなのは、住宅ローンの残債です。
住宅ローンが残っている場合、原則としてローン名義人が返済を続ける義務を負います。
完済するまでは、金融機関の承諾なしに名義変更をおこなうことはできません。
たとえ夫婦共有名義であっても、ローン契約の内容によっては、すぐに単独名義へ変更できない可能性があります。
一方で、ローン名義人がそのまま住み続け、相手の持分を買い取る方法であれば、実行可能なケースもあります。
残債額と不動産の評価額を比較し、売却すれば完済できるのか、自己資金が必要かなどを具体的に検討することが重要です。
3.住み続ける意思があるか確認する
最後に、どちらか一方が家に住み続ける意思があるかを明確にすることが必要です。
一方が住み続ける場合は、家を出る側から持分の譲渡を受け、単独名義にすることを検討しましょう。
ただし、住宅ローンが残っている状態で名義変更をおこなうと、金融機関から契約違反として一括返済を求められる可能性があります。
このリスクを回避するためには、ローンの借り換えをおこない、単独名義で新たに住宅ローンを組み直す方法がおすすめです。
とはいえ、当初に夫婦の収入を合算してローンを組んでいた場合は、一方の収入のみでは借り換えが認められないケースも珍しくありません。
その場合は、売却を含めた別の選択肢も視野に入れる必要があります。
住み続ける意思の有無は、感情面だけでなく、収入状況やローン条件などの現実的な事情を踏まえて判断することが重要です。
共有不動産がある場合の離婚手続きについて相談すべき専門家
共有不動産が関係する離婚では、法的問題・税務問題・不動産評価など、複数の専門分野が関わります。
当事者だけで判断すると、不利な合意や将来的なリスクを抱える可能性があります。
そのため、状況に応じて適切な専門家へ相談することが重要です。
1.弁護士|財産分与や離婚手続きの相談ができる
共有不動産がある離婚では、まず弁護士への相談が重要です。
弁護士は、離婚全般にわたる法的アドバイスを提供します。
特に不動産が関係する財産分与では、公平性を確保するための法的視点が不可欠です。
不動産の評価額や分割方法について、法律に基づいた整理を受けられます。
また共有者間で意見が対立した場合には、調停や審判、訴訟などの手続きを代理人として進めることも可能です。
当事者同士での交渉が困難な場合でも、法的手続きにより解決を図れます。
さらに、不動産売却に関する合意書や契約書の内容確認も重要な役割です。
不利な条項や法的問題がないかを事前に確認することで、後日の紛争を防げます。
2.税理士|財産分与に伴う税金について相談できる
不動産を売却する場合や持分を移転する場合には、税金の問題も発生します。
税理士は、譲渡所得税の計算や確定申告のサポートをおこないます。
売却益が出た場合には、その金額に応じた税額を正確に算出することが必要です。
また、適用可能な特例制度があるかどうかの検討も重要です。条件を満たせば税負担を軽減できる可能性があります。
さらに、財産分与の内容によっては、贈与税の問題が生じることもあります。
過大な財産移転と評価されないかどうかを確認し、税務上のリスクを回避するためにも、事前の相談が有効です。
3.不動産鑑定士|不動産の価値を正確に評価してくれる
共有不動産の分割方法を決めるうえで、客観的な評価額は重要な基準です。
不動産会社の査定は市場価格の目安として有用ですが、紛争が生じている場合や裁判手続きに発展する可能性がある場合には、不動産鑑定士による評価が有効です。
不動産鑑定士は、不動産鑑定評価基準に基づき、法的にも説明可能な評価額を算出します。調停や裁判において証拠資料として用いられることもあります。
評価額をめぐる争いがある場合には、第三者による専門的な評価が解決の糸口となることがあります。
さいごに|離婚問題が得意な弁護士は「ベンナビ離婚」で探そう!
共有不動産がある離婚では、感情面だけでなく、法的・金銭的な問題を冷静に整理することが重要です。
共有名義を放置すると、将来の売却やローン、税金、相続など、さまざまな場面でトラブルが生じる可能性があります。
特に住宅ローンが残っている場合や、持分の評価に争いがある場合は、専門的な判断が不可欠です。
当事者同士の話し合いで解決できればよいですが、意見が対立している場合や、不利な条件で合意してしまうおそれがある場合は、早期に弁護士へ相談することが重要です。
弁護士は、財産分与の公平性を確保しつつ、将来の紛争リスクを最小限に抑えるための助言をおこないます。
離婚問題が得意な弁護士を探す際は、「ベンナビ離婚」の活用も一つの方法です。
地域や相談内容から弁護士を検索できるため、共有不動産の問題に対応可能な弁護士を効率的に見つけられます。
離婚後の生活を安定させるためにも、共有不動産の問題をあと回しにせず、ぜひ適切な専門家へ相談してください。
