労災(労働災害)の相談は誰にする?状況別の相談先や活用のポイントなどを解説
- 「労災に該当するのかわからない…」
- 「会社に相談してもいいのか不安…」
このように悩んでいませんか?
労働中のケガや病気が発生した場合、誰に相談すべきかによって、その後の対応や受けられる補償が大きく変わることがあります。
特に、会社との関係性やトラブルの有無によっては、適切な相談先を選ばなければ不利益につながる可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、労災(労働災害)の相談先について、状況別にわかりやすく整理するとともに、それぞれの相談窓口の特徴や活用のポイントを解説します。
初めての方でも適切に対応できるよう、具体的なケースを交えながら解説していますので、ぜひ参考にしてください。
労災(労働災害)に関する基本的な相談窓口2選
まずは、労災について相談できる一般的な窓口を2つ紹介します。
- 会社
- 労働基準監督署
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
会社|通常は労災手続きを代理してくれることが多い
労災に関する相談先として、まず挙げられるのが自分が勤めている会社です。
会社は、労働者から労災の報告があったときには、所轄労働基準監督署長に労働者死傷病報告書を提出しなければいけません。
事業者がこの義務に違反したときには、50万円以下の罰金に処されます。
(労働者死傷病報告)
第九十七条 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒(以下「労働災害等」という。)により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
引用元:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索
(報告等)
第百条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
3 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
五 第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
引用元:労働安全衛生法|e-Gov法令検索
そのため、労災が発生したときには、従業員が会社に報告をし、報告を受けた会社が労働者死傷病報告・労災申請書を労働基準監督署に提出するという流れで手続きが進むのが一般的です。
つまり、労災が発生したことを会社に報告をすれば労働者の代わりに労災関係の手続きを代理して進めてくれるということです。
そのため、労災が発生したなら会社に相談・報告をして、手続きを任せるとよいでしょう。
労働基準監督署|労災保険全般について相談できる
会社が労災を認めてくれないときや、労災を申請してもよいのか不安な時は労働基準監督署へ相談するのもよいでしょう。
本来、労災が発生したときには、会社への報告によって労災手続きがスムーズに進むはずです。
しかし、実際には、労災を報告しても会社が労災だと認めずに手続きを進めてくれないケースが発生します。
また、業務中に負った怪我が極めて軽微なときには、「この程度の負傷で労災申請してもよいのだろうか」などと遠慮をしてしまうことも少なくありません。
その点、労働基準監督署は労災認定申請の受付窓口でもあるため、労災手続きに関する基本的な事項や、労災隠しの通報など、さまざまな疑問・不安に対応してくれます。
労災保険相談ダイヤルであれば電話で相談ができる
地域の労働基準監督署まで直接訪問するのが難しい場合には、労災保険相談ダイヤルの電話相談を利用するのがおすすめです。
| 電話番号 | 0570-006031 |
|---|---|
| 受付時間 | 月曜日〜金曜日 9:00〜17:00(土曜日、日曜日、年末年始は休み) |
| 公式HP | 労災保険相談ダイヤル|厚生労働省 |
労災に関連する法律トラブルを相談できる窓口3選
労災の悩みは、会社や労働基準監督署に相談することで解決できるケースが多いものの、場合によっては労災隠しや労災認定が下りないなどのトラブルになることもあります。
そのため、労災をめぐって法律トラブルが生じたときの相談先についても把握しておくことが大切です。
そこでここでは、労災に関連して法律トラブルが生じたときに相談できる専門窓口を3つ紹介します。
- 法律事務所
- 法テラス
- 弁護士会
それぞれの相談先について、詳しく見ていきましょう。
1.法律事務所|労災トラブルの解決まで対応してもらえる
労災が発生して深刻な法律トラブルに発展しそうなときには弁護士への相談・依頼がおすすめです。
労働問題への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下のメリットを得られるからです。
- 会社の代わりに労災認定申請手続きを進めてくれる
- 労災認定申請に必要な書類を準備してくれる
- 労災隠しをする会社と協議をして労災認定申請手続きを進めるように説得してくれる
- パワハラや長時間残業などが原因で労災が発生したときには、会社に対する慰謝料請求などの法的措置をとってくれる
- 労災認定の審査結果に満足できないときには速やかに異議申立てをしてくれる
- 労災に関する簡単な相談にも丁寧に答えてくれる など
弁護士は法律の専門家なので、労災トラブルの解決のためのフルサポートを期待できます。
ベンナビ労働問題なら労災問題が得意な弁護士が探せる
労災トラブルについて相談できる弁護士を見つけるならベンナビ労働問題を活用してください。
ベンナビ労働問題では、さまざまな労使紛争・労災トラブルなどへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
お住まい地域、具体的な相談内容、以下のようなサービス面から24時間無料で弁護士を検索できます。
- オンライン相談可
- 来所不要
- 電話相談可能
- 初回の面談相談無料
- 休日相談可能
「近くの法律事務所の探しかたがわからない」「無料で相談できる弁護士を見つけたい」などのニーズを抱いている方は、ぜひお気軽にご利用ください。
2.法テラス|条件を満たせば最大3回まで弁護士と相談できる
経済的な理由から弁護士にアクセスできないなら、法テラスへの相談がおすすめです。
法テラス(日本司法支援センター)とは、経済的に困窮してリーガルサービスにアクセスできない人のための法律問題の総合案内所です。
法テラスが定めている収入要件・資産要件を満たす場合には、同一案件につき最大3回まで弁護士による法律相談を受けられます。
また、必要であれば弁護士費用の立替制度も利用できるので、まとまった着手金を支払えなくても弁護士に代理人として労災トラブルに対応してもらえるでしょう。
なお、法テラスの無料相談や民事法律扶助制度を利用するには事前予約必須です。
事前に法テラスのページから要件を確認し、気になることがあれば電話で問い合わせてみましょう。
【参考】お近くの法テラス|法テラス
労災トラブルを法テラスに相談するときの要件
法テラスの無料法律相談や民事法律扶助制度を利用するには、以下の収入要件・資産要件を満たす必要があります。
| 家族の人数 | 収入基準 | 資産基準 |
|---|---|---|
| 1人 | 200,200円以下 | 180万円以下 |
| 2人 | 276,100円以下 | 250万円以下 |
| 3人 | 299,200円以下 | 270万円以下 |
| 4人 | 328,900円以下 | 300万円以下 |
※同居家族の人数が1名増えるごとに収入基準は33,000円加算
| 家族の人数 | 収入基準 | 資産基準 |
|---|---|---|
| 1人 | 182,000円以下 | 180万円以下 |
| 2人 | 251,000円以下 | 250万円以下 |
| 3人 | 272,200円以下 | 270万円以下 |
| 4人 | 299,900円以下 | 300万円以下 |
※同居家族の人数が1名増えるごとに収入基準は30,000円加算
また、毎月家賃や住宅ローンを支出している場合には、同居家族の人数ごとに以下の金額が収入から控除されます。
| 家族の人数 | 控除限度額(東京・大阪など) | 控除限度額(東京・大阪など以外) |
|---|---|---|
| 1人 | 53,000円 | 41,000円 |
| 2人 | 68,000円 | 53,000円 |
| 3人 | 85,000円 | 66,000円 |
| 4人 | 92,000円 | 71,000円 |
3.弁護士会|原則有料だが無料で法律相談ができる場合もある
各都道府県には弁護士会・弁護士会連合会が設置されています。
弁護士会に連絡をすれば、30分5,500円程度の相談料で、弁護士による法律相談を受けることができます。
「自分で弁護士を検索しても誰がよいかわからない」「会社がある地域の法律事務所にアクセスしたい」という希望があるなら、弁護士会に問い合わせてみるとよいでしょう。
ただし、弁護士会の法律相談は事前予約必須です。
以下から連絡先を確認し、予約方法などについて確認しましょう。
労災に関する相談時間を有効活用するポイント
労災に関する悩みは、さまざまな窓口で相談できますが、相談時間を活用するには以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
- ニーズに適した相談先を選ぶ
- 相談内容や状況をまとめておく
- 最終的なゴール・希望内容をまとめておく
- 労災に関する証拠を集めておく
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.自分の悩みに合う場所で相談する
労災についての相談先を決めるときには、悩みに合った相談先を選びましょう。
たとえば、会社側が労災を認めずに本格的に労災隠しをしようとしている状況で、労働者本人が会社に労災についての相談を持ちかけても、根本的な解決は期待できません。
このような場合、速やかに労働基準監督署や弁護士に相談をして法的な措置をとるべきです。
一方、業務中に軽微な怪我を負って労災に該当するのかどうかがわからないといった事案であれば、いきなり弁護士や法テラスなどの専門機関に相談するのではなく、まずは会社に相談するとスムーズでしょう。
2.相談内容や状況をまとめておく
弁護士や労働基準監督署に相談する際には、相談を受ける前に、何を相談したいのか、会社とのやりとりはどのように進んだのか、何が問題なのかを整理しておくのがおすすめです。
なぜなら、弁護士の法律相談や労働基準監督署への通報は、時間無制限に対応してもらえるわけではないからです。
限られた時間内に弁護士や担当者に情報を伝えれば、端的な回答を引き出すことができるでしょう。
3.最終的なゴールを決めておく
弁護士や法テラスなどの専門機関に労災について相談するときには、労災トラブルについてどのような解決を希望しているのかを明確にしておきましょう。
なぜなら、弁護士は、相談者の希望を実現するために、会社との交渉方法・戦略を練ってくれるからです。
弁護士への相談前に検討するべき事項の具体例として、以下のものが挙げられます。
- 労災隠しをした会社側の法的責任をどこまで追求するのか
- 慰謝料や解決金の増額に成功するなら、会社を退職してもよいのか
- 労災の原因になったハラスメントの加害者本人や会社に対して慰謝料請求をするのか など
4.労災の証拠を集めておく
弁護士や労働基準監督署に相談する際には、労災に関する証拠や会社側のやりとりを示す証拠などを確保してください。
なぜなら、労災隠しをしている会社との間で協議を進めて労災を認めさせたり、労働審判や民事訴訟で有利な判断を引き出したりするには、客観的証拠が不可欠だからです。
相談者の証言に意味がないわけではありませんが、証言を根拠付ける客観的証拠があってはじめて労災トラブルについて有利な解決結果を得ることができるでしょう。
労災問題を弁護士に相談する際の注意点
さいごに、労災トラブルについて弁護士に相談するときの注意点を3つ紹介します。
- 相談料が発生する場合がある
- 相談日時や相談時間が限られていることが多い
- 労災申請には期限が設けられている
それぞれの注意点について、詳しく見ていきましょう。
1.相談先によっては料金が発生する
法テラスの資産要件・収入要件を満たした場合や、法律相談料無料サービスを提供している法律事務所を利用する場合には、労災について法律相談を受ける際に相談料は発生しません。
しかし、弁護士会の法律相談を利用する場合や、無料相談サービスを実施していない弁護士の法律相談を受ける場合には、労災についての法律相談を受けるだけで相談料の負担が生じます。
法律相談料の金額は法律事務所によって異なりますが、30分あたり5,500円〜11,000円(税込)が相場です。
ですから、労災について法律相談する回数が増えるほど経済的負担が重くなるので、端的に弁護士から的確な回答を引き出すために、法律相談を受ける前に丁寧に事前準備をしておきましょう。
2.相談日時や相談時間が限られている
法律事務所・法テラス・弁護士会のどこに相談するにも事前予約必須です。
また、法律相談の時間は30分〜1時間程度に限定されているのが一般的です。
いきなり法律事務所を訪問して時間無制限で悩みを聞いてもらえるわけではありません。
ですから、労災トラブルについて相談したい弁護士が決まったら、必ず直接法律事務所などに問い合わせをして、相談日時・時間を予約してください。
また、限られた相談時間で的確な回答を得るために、事前に相談内容や聞きたいことの優先順位をつけておくのもおすすめです。
3.労災申請には時効が設けられている
労災認定申請手続きの消滅時効に注意が必要です。
労災が発生してから時間が経ち過ぎてしまうと、必要な給付を受けることができなくなってしまいます。
労災の消滅時効は以下のとおりです。
| 給付内容 | 期限 |
|---|---|
| 療養補償給付 | 療養費用を支出した日の翌日から2年 |
| 休業補償給付 | 賃金を受け取ることができなかった日の翌日から2年 |
| 障害補償給付 | 傷病が治癒した日の翌日から5年 |
| 遺族補償給付 | 被災労働者が死亡した日の翌日から5年 |
| 葬祭料 | 被災労働者が死亡した日の翌日から2年 |
| 傷病補償年金 | 期限なし |
| 介護補償給付 | 介護を受けた月の翌月の1日から2年 |
過去の労災について請求期限が迫っているなら、速やかに弁護士に相談・依頼をして、早期の適切な手続きに着手してもらいましょう。
さいごに|労災に関する悩みは労働基準監督署や弁護士などに相談しよう!
労災の手続きについてよくわからないことがあったり、労災隠しをされて必要な給付を受け取ることができなかったりするなら、できるだけ早いタイミングで労働基準監督署や弁護士などに相談をしてください。
労働基準監督署は労災申請の受理機関ですし、弁護士は法律トラブル解決のプロです。
些細な不安・疑問から複雑な労使紛争に至るまで、どのような相談内容にも対応してくれるでしょう。
ベンナビ労働問題では、労災トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
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