ハラスメント相談窓口8選|無料・24時間対応の窓口とは?
職場でのパワハラやセクハラに悩みながらも、「どこに相談すればよいのかわからない」「社内の相談窓口を使うと不利益を受けるのではないか」と不安を抱えている人は少なくありません。
現在は、無料で利用できる公的な相談窓口や、匿名で相談できる電話窓口、24時間対応の支援機関など、社外にも多くの相談先が用意されています。
本記事では、ハラスメントに悩んだときに利用できる相談窓口8選を紹介し、相談前に準備しておくべきポイントや、実際の解決事例などについても解説します。
自分に合った相談先を把握し、安心して行動に移すための参考にしてください。
ハラスメント相談窓口8選|無料の相談先は?24時間受け付けているところは?
ハラスメントの相談先は一つではありません。
社内に設置されている相談窓口のほか、匿名や夜間・休日にも対応している電話相談、弁護士に直接相談できるサービスなど、状況に応じて選べる選択肢があります。
ここでは、費用負担を抑えつつ利用しやすい相談窓口を中心に、それぞれの特徴を整理します。
社内の相談窓口|法律によって設置が義務付けられている
身近な相談先として、まず挙げられるのが会社内のハラスメント相談窓口です。
2019年の法改正により、事業主にはパワハラを含むハラスメントに関する相談体制を整備する義務が課されています。
企業によって異なりますが、人事・労務部門、管理職や従業員から選任されたハラスメント相談員、産業医や社内カウンセラー、労働組合などが担うのが一般的です。
社内制度を利用することで、事実関係の調査や配置転換、指導といった対応が期待できます。
一方で、相談内容が社内に伝わることへの不安や、十分な対応がなされないケースもあるため、状況によっては社外の相談窓口を併用することが重要です。
総合労働相談コーナー|労働局が運営している公的な相談窓口
総合労働相談コーナーは、解雇や雇止め、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、あらゆる労働問題に関する相談を受け付ける公的な窓口です。
厚生労働省の管轄のもと、各都道府県労働局や労働基準監督署内など、全国379ヵ所に設置されています。
相談は予約不要・無料で、専門の相談員が電話または面談で対応するシステムです。
全国各地に設置されているため、居住地を問わず対面相談を利用しやすく、相談内容に応じて助言・指導やあっせん制度の案内を受けられる場合もあります。
プライバシーへの配慮もなされており、公的機関として安心して利用できる相談先といえるでしょう。
みんなの人権110番|無料で電話相談ができる公的な相談窓口
みんなの人権110番は、法務省が管轄する人権問題全般の相談窓口です。
電話・対面・インターネットを通じて相談が可能で、法務局職員または人権擁護委員が対応します。
ハラスメントは、人権侵害の要素を含むケースも少なくありません。
発言や態度によって人格や尊厳を傷つけられたと感じている場合には、有効な相談先となります。
電話をかけると、最寄りの法務局や地方法務局につながり、状況に応じた助言や対応の案内を受けられます。
法的観点から整理しながら相談できるため、問題解決の方向性を見極めたい場合にも適した相談先です。
労働条件相談ほっとライン|匿名で無料の電話相談が可能
労働条件相談ほっとラインは、厚生労働省の委託を受けて運営されている電話相談窓口です。
労働条件や職場環境に関する相談を対象としており、ハラスメントについても相談できます。
公的機関の相談窓口としては珍しく、夜間や土日祝日にも対応している点が特徴です。
相談自体は無料で、匿名での利用も可能なため、日中に相談の時間を確保しにくい人でも利用しやすいでしょう。
ただし、具体的な解決を直接おこなう機関ではなく、状況に応じて適切な専門窓口を案内する役割が中心となります。
こころの耳|メール・電話・SNSにてメンタルヘルスに関する無料相談が可能
こころの耳は、厚生労働省が運営する働く人のためのメンタルヘルス・ポータルサイトです。
ハラスメントによる精神的な不調やストレスを抱えている人が、無料で相談できる窓口を提供しています。
電話やメールに加え、SNSによる相談も可能で、利用しやすい手段を選べるのが特徴です。
なお、相談内容に応じて、より専門的な医療機関や支援機関を紹介される場合もあります。
また、サイト上ではセルフチェックやストレス対処に関する情報も提供されており、心身の状態を客観的に把握する手助けになります。
よりそいほっとライン|24時間無料でさまざまな悩みを聞いてくれる
よりそいほっとラインは、24時間365日対応の無料相談窓口です。
職場の悩みに限らず、生活上の困りごとや精神的な苦痛など、幅広い相談を受け付けています。
電話相談のほか、チャットやSNS、FAXでの相談にも対応しており、相談内容に応じて専門の相談員につながる仕組みです。
外国語対応や、女性向け、若年層向けの相談窓口も用意されています。
深夜や休日など、ほかの相談先が利用できない時間帯でも相談できる点が大きな特徴です。
#8103(ハートさん)|警視庁が運営する性犯罪被害の相談窓口
#8103(ハートさん)は、各都道府県警察の性犯罪被害相談窓口につながる全国共通番号です。
性的なハラスメントや性暴力に関する相談を対象としており、ダイヤルすると発信地域を管轄する警察の相談窓口につながります。
警察への被害届提出を前提とするものではなく、まずは状況を相談する目的で利用できます。
ベンナビ労働問題|ハラスメント問題に強い弁護士に無料相談が可能
ベンナビ労働問題は、労働問題に注力している弁護士・法律事務所を検索できるポータルサイトです。
ハラスメント、不当解雇、残業代未払いなど、労働者が直面しやすいトラブルごとに弁護士を探すことができ、各事務所の対応分野や相談体制を事前に確認できます。
労働問題を多く取り扱ってきた弁護士が掲載されているため、相談内容に応じた法的視点からの助言を受けやすい点が特徴です。
地域や相談内容ごとに弁護士を絞り込める検索機能が用意されており、居住地や勤務先のエリアに対応した弁護士を探しやすい設計となっています。
また、初回相談無料や電話・メール相談に対応している事務所も掲載されているため、弁護士への相談が初めての人でも、心理的・費用的な負担を抑えて利用しやすい点もメリットといえるでしょう。
ハラスメントの相談窓口を利用する際のポイント
ハラスメントの相談を有意義なものにするためには、事前の準備が重要です。
相談窓口や弁護士は限られた時間の中で状況を把握し、適切な助言や対応を検討するため、内容が整理されていないと十分なアドバイスを受けられないおそれがあります。
ここでは、相談前に押さえておきたい2つのポイントを解説します。
ハラスメントの内容や状況をメモにまとめておく
相談時に、自身が置かれている状況をその場で整理しながら説明することは容易ではありません。
相談相手に正確に事情を理解してもらうためには、事前に内容を整理し、メモとしてまとめておくことが重要です。
特に意識したいのは、出来事の時系列と関係者です。
「いつから」「誰から」「どのような行為を受けたのか」、その結果「どのような影響が生じているのか」といった点を整理しておくことで、相談担当者も状況を把握しやすくなります。
相談の目的は、単に話を聞いてもらうことではなく、状況に応じた助言や解決策を得ることです。
誰が読んでも状況を理解できるよう、簡潔にまとめておくことで、より実践的なアドバイスを受けやすくなるでしょう。
ハラスメントの証拠を確保する
ハラスメントに関して相談や法的対応を検討する場合、証拠の有無は非常に重要です。
録音や動画、メールやメッセージアプリのやり取り、タイムカードなどの勤務記録、ハラスメントが原因で心身に不調をきたした場合の診断書などは、事実関係を裏付ける資料となります。
相談後に証拠を集めることも可能ですが、相談時点で証拠があれば、それを前提とした具体的なアドバイスを受けることが可能です。
また、証拠は多いに越したことはなく、継続的に記録を残しておくことで、後に交渉や労働審判、訴訟といった法的手続きを検討する際にも有利に働きます。
無理のない範囲で、相談前から証拠を確保しておくことが望ましいでしょう。
弁護士によるハラスメント相談の解決事例
ここでは、ベンナビ労働問題に登録されている弁護士が対応したハラスメント相談の解決事例を紹介します。
上司のパワハラによる精神的被害について訴訟で解決した事例
上司から同僚の前で繰り返し罵倒されるなどのパワハラを受け、精神疾患を発症し退職を余儀なくされた30代男性の事例です。
相談後、弁護士が会社および上司に対して損害賠償請求をおこないましたが、協議では解決に至らず、訴訟に発展しました。
裁判の結果、精神疾患が上司のパワハラに起因するものと認められ、会社には休職期間中の賃金支払い、上司には不法行為に基づく損害賠償の支払いが命じられています。
社内で起きるパワハラは証拠の確保が難しい傾向にありますが、弁護士が関与することで証言の整理や立証が進み、訴訟による解決につながった事例です。
【事例】パワハラによる精神的被害を訴訟によって解決したケース
職場でのセクハラに対し慰謝料獲得や相手の異動で決着した事例
職場の上司から日常的に言葉や身体へのセクハラを受けていた20代後半女性の事例です。
会社へ相談したものの対応されず、弁護士に相談したことで、会社に対して労働環境の改善と慰謝料請求をおこなう方向で進められました。
弁護士が内容証明郵便を送付した結果、会社はセクハラの事実を認め、慰謝料120万円の支払いと、加害上司の異動を実施する形で解決しています。
セクハラは加害者に悪意がなくても、受け手の意に反する行為であれば問題となる可能性があることを示した事例といえます。
暴力を含むハラスメント行為に対して損害賠償を獲得した事例
会社役員から暴力を含むパワハラを受けていた40代男性の事例です。
依頼者は役員および会社に対して損害賠償請求をおこなっていましたが、対応されない状況が続いていました。
弁護士が介入し、刑事告訴の可能性も視野に入れた交渉を実施した結果、適切に保管されていた証拠をもとにハラスメントの存在が立証され、約3か月の交渉で300万円の解決金支払いによる和解が成立しています。
ハラスメントに暴力が含まれる場合や、被害の程度が重い場合には、高額の損害賠償が認められることもあることを示す事例です。
【事例】【パワハラ】暴力を含むハラスメントについて損害賠償をし、300万円を回収した事例
弁護士にハラスメント問題を相談・依頼するメリット
ハラスメント問題は、事実関係の整理や証拠の有無、会社との関係性などが複雑に絡むため、個人だけで解決を目指すことが難しいケースも少なくありません。
弁護士に相談・依頼することで、法的な観点から状況を整理し、解決までを見据えた対応を進めやすくなります。
ここでは、弁護士にハラスメント問題を相談することで期待できる主なメリットを解説します。
適切な解決策についてアドバイスしてもらえる
弁護士に相談することで、受けている行為がハラスメントに該当するかどうか、どの法律に基づいて主張できるのかを整理したうえで、現実的な解決策について助言を受けることができます。
たとえば、社内対応による解決が見込めるのか、会社に対して是正や再発防止を求めるべきか、あるいは慰謝料請求や労働審判、訴訟まで視野に入れるべきかなど、複数の選択肢を比較しながら検討できます。
感情的になりやすい局面でも、法的な見通しに基づいた判断ができる点は大きな利点です。
有効な証拠の集め方や手元にある証拠の有効性についてアドバイスしてもらえる
ハラスメント問題では、証拠の内容や質が結果に大きく影響します。
しかし、どの資料が証拠として評価されるのかを、一般の人が判断することは容易ではありません。
弁護士に相談すれば、録音データ、メールやチャットの履歴、業務日報、勤務記録、診断書など、手元にある資料がどの程度証拠として有効かを確認できます。
また、証拠が不足している場合には、今後どのような点を記録しておくべきか、どのような形で保管すればよいかといった具体的な助言を受けることが可能です。
会社がいい加減な対応を改める
従業員本人からの申し出では、事実関係の調査を十分におこなわなかったり、形式的な対応にとどめたりする会社も存在します。
しかし、弁護士が介入し、法的根拠を示した請求や通知をおこなうことで、会社側は問題を軽視しづらくなります。
弁護士名での内容証明郵便や正式な請求を受けることで、会社が事実確認や対応方針の見直しに動くケースも多く、問題解決に向けた進展が期待できるでしょう。
会社への交渉を代行してもらえる
弁護士に依頼すれば、会社との交渉を代理で進めてもらうことができます。
本人が直接やり取りをする必要がなくなるため、精神的な負担を軽減できるだけでなく、不利な条件を押し付けられるリスクも抑えられます。
また、弁護士は過去の事例や法的基準を踏まえた交渉をおこなうため、感情的な対立を避けつつ、合理的な条件での解決を目指すことが可能です。
裁判手続きのサポートや代行もしてもらえる
話し合いでの解決が難しい場合には、労働審判や訴訟といった裁判所の手続きを検討することになります。
これらの手続きでは、主張の整理や証拠の提出、書類作成など、専門的な対応が求められます。
弁護士に依頼すれば、申立書や訴状の作成から裁判所とのやり取りまで任せることができ、手続き全体を通じて適切なサポートを受けることが可能です。
仕事や生活と並行して対応する負担を軽減できる点も重要なメリットです。
必要に応じて刑事告訴のサポートも可能
暴力や脅迫、悪質な嫌がらせを伴うハラスメントの場合、民事上の対応だけでなく、刑事責任が問われる可能性もあります。
弁護士に相談すれば、刑事告訴が適切な選択肢となるかどうかを検討したうえで、告訴に必要な証拠や手続きについて助言を受けることができます。
民事と刑事の両面から対応を検討できる点も、弁護士に相談する大きな意義といえるでしょう。
さいごに|ハラスメントで悩んでいるなら適切な窓口へ相談を!
職場でのハラスメントは、決して我慢すべき問題ではありません。
上司や同僚からの言動によって心身に不調をきたしたり、働き続けることが難しくなったりする場合、それは個人の努力や忍耐で解決できるものではなく、適切な支援を受けるべき問題です。
現在は、社内の相談窓口だけでなく、労働局などの公的機関、匿名で利用できる電話相談、弁護士による法律相談など、状況に応じて選べる相談先が用意されています。
まずは自分が置かれている状況を整理し、利用しやすい窓口から相談を始めることが重要です。
また、会社の対応に不安がある場合や、法的な解決を視野に入れたい場合には、早い段階で弁護士に相談することで、今後の選択肢や見通しを把握しやすくなります。
ハラスメントのない環境で働く権利は、全ての労働者に認められています。
一人で抱え込まず、適切な相談窓口を活用しながら、無理のない形で問題解決を目指してください。
