共有名義の相続登記とは?手続きの流れやデメリット、おすすめできない理由を解説
共有名義の相続登記とは、相続人が複数いる場合に、不動産を相続人全員の共有名義として登記する方法のことです。
遺産分割がまとまらない場合や、ひとまず名義変更だけしておきたい場合などに選ばれるケースがあります。
しかし、共有名義の不動産をそのまま放置してしまうと、売却や活用をする際に全員の同意が必要になるなど、将来的なトラブルにつながる可能性も少なくありません。
相続が重なることで権利関係が複雑になるケースもあり、慎重な判断が必要です。
そこでこの記事では、共有名義の相続登記の基本的な仕組みをはじめ、手続きの流れやデメリット、なぜおすすめできないといわれるのかについてわかりやすく解説します。
相続登記を進める前に知っておきたいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
共有名義の相続登記とは?どのような手続き?
共有名義の相続登記とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた不動産を、複数の相続人で共有する形で登記する手続きのことです。
簡単にいうと、「この不動産は相続人全員の共有財産である」という事実を登記簿に記録するための手続きといえます。
不動産の権利関係は、登記簿に記載されてはじめて第三者に対して主張できます。
つまり、相続で不動産を取得した場合でも、登記をしていなければ法律上の権利を十分に守れない可能性があるのです。
実際に民法では、次のように定められています。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
また、不動産が共有状態になると、各共有者は持分割合に応じてその不動産を使用することができます。
これについても民法で次のように定められています。
(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
引用元:民法|e-Gov法令検索
そのため、仮に共有名義の不動産を第三者に賃貸した場合には、その家賃収入も共有持分に応じて分配することになります。
つまり、共有名義の不動産から得られる利益についても、基本的には持分割合に応じて受け取ることになるのです。
共有名義の相続登記は2種類ある
共有名義の相続登記は、以下2種類に区分されます。
- 持分全部移転登記
- 持分一部移転登記
持分全部移転登記・持分一部移転登記のどちらに該当するかは、被相続人が不動産をどのような形式で保有していたかによって異なります。
被相続人の不動産の所有状況がわからない場合には、登記事項証明書の権利部(甲区)を確認してください。
以下では、それぞれの種類について、簡単に解説します。
持分全部移転登記|相続対象の不動産が単独名義だった場合
被相続人が不動産全体を単独所有しており、相続によって複数の相続人が共有することになった場合には、持分全部移転登記という形式で相続登記をおこないます。
たとえば、父親が所有していた実家の土地・建物を、長男・次男が共同で相続するケースなどです。
持分一部移転登記|相続対象の不動産が共有名義だった場合
被相続人が不動産の共有持分を有しており、相続によって複数の相続人がこれを共有することになった場合には、持分一部移転登記という形式で相続登記を申請します。
たとえば、父と母が実家を共有しており、父親が死亡してその共有持分を、母と長男が共同で相続するケースなどです。
相続登記をしないとどうなる?考えられるリスクとは?
被相続人の不動産を複数の相続人で共有する状態になったのに、相続登記をしないでいると、以下のようなリスクに晒されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 過料の対象になる | 相続を知ってから3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性がある。 |
| 権利関係が複雑になる | 登記しないまま次の相続が発生すると、相続人が増えて権利関係が複雑になる。 |
| 不動産の売却・活用ができない | 登記簿の名義が亡くなった人のままになるため、売却・賃貸・担保設定などができない。 |
| 債権者による代位登記 | 相続人に借金があると、債権者が代わりに登記し持分を差し押さえる可能性がある。 |
共有名義の相続登記は誰がおこなう?一人でもできる?
登記実務上、不動産の所有権が移転する場合の登記申請は、登記義務者(所有権を失う側)と登記権利者(所有権を取得する側)が共同でおこなうのが原則とされています。
一方、相続による不動産の名義変更の場合、所有者である被相続人はすでに亡くなっているため、相続人だけで登記を申請することが可能です。
ただし、共有名義で相続する場合は、申請できる人の範囲がケースによって異なります。
まず、法定相続分で共有名義にする場合は、以下のような扱いになります。
- 相続人それぞれが単独で申請できる
- 他の相続人の同意は不要
これは、法定相続分による登記が「保存行為」と考えられているためです。
一方、遺産分割協議や遺言によって共有名義にする場合、不動産を取得する共有者全員で申請する必要があります。
つまり、ケースによっては一人では登記申請ができないということです。
相続登記の流れ【単独名義・共有名義どちらも同じ】
ここでは、相続登記手続きの流れについて解説します。
- 相続人調査・相続財産調査をおこなう
- 誰がどのような割合で不動産を相続するかを決める
- 相続登記手続きの必要書類を用意する
- 登記申請書を作成して法務局に相続登記の申請をする
それぞれの流れについて、詳しく見ていきましょう。
1.相続人・相続財産の調査をおこなう
遺産相続手続きを進める際は、最初に「誰が相続人なのか」「どのような財産があるのか」を正確に調べることが重要です。
というのも、遺産分割協議は相続人全員が参加しなければ無効になる可能性があるからです。
相続人は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をたどることで調査できます。
あわせて、相続財産の内容も確認しましょう。
財産の全体像がわからなければ、相続放棄・限定承認・単純承認のどれを選ぶべきか、また誰がどの財産を引き継ぐのかを判断できないためです。
相続財産には、以下のように被相続人に属していた権利・義務のほぼ全てが含まれます。
- 預貯金
- 現金
- 貸金庫内の財産
- 不動産
- 有価証券
- 貴金属
- 自動車
- 借金 など
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含めて、ひとつずつ丁寧に確認していきましょう。
相続する不動産については登記のため詳しい調査が必要
不動産が相続財産に含まれる場合は、登記手続きに備えて、物件の内容や権利関係まで詳しく確認する必要があります。
まず確認したいのが、固定資産税納税通知書です。
固定資産税納税通知書を見ると、その市区町村内にある被相続人名義の不動産を把握しやすくなります。
ただし、固定資産税納税通知書だけでは十分とはいえません。
たとえば、公衆用道路・ため池・水路などの非課税不動産は記載されないことがあるためです。
非課税不動産も含めて確認したいときは、名寄帳(固定資産課税台帳記載事項証明書)を取得するとよいでしょう。
また、場合によっては、財産調査によって先代の相続登記が未了のままになっている共有持分などが見つかることもあります。
そのため、必要に応じて過去の登記簿謄本などをさかのぼって確認することも大切です。
このような調査を通じて不動産を洗い出したら、最後に以下の点を正確に整理します。
- 土地の面積
- 建物の床面積や構造
- 名義や持分
- 抵当権などの権利関係
こうした情報を早い段階で整理しておくことで、その後の遺産分割や相続登記をスムーズに進めやすくなります。
2.遺言か遺産分割協議で誰が不動産を相続するか決定する
相続人と相続財産の調査が終わったら、遺産分割協議をおこない、誰が不動産を相続するのかを決定します。
共有名義で不動産を相続する場合は、相続人ごとの共有持分の割合を決めてください。
なお、本記事では不動産を共有財産として相続することを前提とするため、遺産分割協議の具体的な進め方については割愛します。
遺産分割協議の進め方が気になる方は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】遺産分割協議とは?円滑に進める方法や協議書の書き方を解説!
3.相続登記の必要書類を集める
遺産分割協議を経て不動産を相続する人物・相続割合が決まったら、相続登記の必要書類を準備します。
相続登記の際に必要になる主な書類は、以下のとおりです。
- 被相続人の戸籍謄本(戸籍事項証明書)、除籍謄本、改製原戸籍
- 被相続人の住民票の除票、戸籍の附票
- 法定相続人全員の戸籍謄本(戸籍事項証明書)
- 法定相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書を提出する場合)
- 固定資産課税明細書
- 不動産を相続する相続人の住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人関係説明図 など
ただし、相続人の状況や遺言書の有無などによって、必要書類の種類は異なるので、注意が必要です。
必要書類を収集するには、被相続人の本籍地の市区町村役場などへの問い合わせが必要になるので、できるだけ早いタイミングで準備を進めましょう。
4.登記申請書を作成し法務局へ申請する
必要書類を用意できたら、登記申請書を作成し、添付書類と合わせて法務局に提出します。
相続登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局の不動産登記窓口です。
法務局に書類を提出すると、2~3週間後に審査が終了します。
審査に合格すると、登記識別情報通知書・登記完了証が交付されるので、大切に保管をしてください。
【参考】管轄のご案内|法務局
相続登記の申請はオンラインでも可能
相続登記はパソコンからオンライン申請が可能です。
オンライン申請を利用すれば、わざわざ法務局まで足を運ぶ必要はなくなります。
また、法務局の窓口は平日9時から17時までですが、オンライン申請は平日8時30分から21時までなので、仕事で日中働いている人でも、自宅から簡単に相続登記の申請が可能です。
一部書類についてはオンライン申請から2日以内に法務局に郵送する必要があるなどの注意点はありますが、窓口申請よりも簡易に相続登記の申請手続きを完了できるでしょう。
相続登記のオンライン申請の方法や注意点については、以下の記事を参照してください。
【関連記事】相続登記のオンライン申請完全ガイド|失敗しないために知っておくべきことは?
相続登記の費用はどのくらい?
ここからは、共有名義の不動産の相続登記手続きにかかる費用を解説します。
- 登録免許税
- 必要書類の取得費用
- 司法書士の費用
それぞれの費用項目ごとに、詳細を見ていきましょう。
登録免許税|不動産の価額によってかわる
登録免許税とは、不動産の相続登記を申請する際に要する税金のことです。
登録免許税の金額は、「固定資産税評価額× 0.4%」の計算式で算出します。
固定資産税評価額は、毎年4月・5月頃に届く固定資産税納税通知書の課税明細書を確認してください。
なお、登録免許税は、不動産ごとに算出される点に注意が必要です。
そのため、共有名義で相続する場合でも、登録免許税の計算方法は基本的に変わりません。
また、相続によって土地と建物を取得した場合には、土地と建物それぞれの登録免許税を支払わなければいけません。
必要書類の取得費|数千円~1万円程度
以下のように、相続登記の申請手続きに必要な書類を取得するには、手数料が発生します。
- 戸籍謄本:1通あたり450円
- 除籍謄本:1通あたり750円
- 改製原戸籍:1通あたり750円
- 住民票・住民票除票:1通あたり300円
- 印鑑登録証明書:1通あたり300円
- 固定資産評価証明書:1通あたり300円程度
- 登記事項証明書:1通あたり600円
相続登記にはさまざまな書類が必要なので、数千円〜1万円程度の発行手数料を要するでしょう。
なお、自治体や申請方法などによって発行手数料が異なる場合があるので、詳しくは自治体の窓口などに直接確認してください。
司法書士の手数料(手続きを依頼する場合)|5万円〜15万円
相続登記は自分だけでも申請できますが、書類の準備や申請などに相当な時間・労力を割かなければいけません。
もし自分で相続登記を申請するのが難しいなら、司法書士に依頼をするのも選択肢のひとつです。
司法書士は登記関係の専門家なので、必要書類の準備から申請までの全ての手続きを代理して進めてくれます。
相続登記を司法書士に依頼したときの費用相場は5万円〜15万円程度です。
司法書士事務所によって費用体系は異なるので、依頼を考えている司法書士事務所まで直接お問い合わせください。
共有名義で相続登記をするメリット2つ
被相続人の不動産を複数の相続人で共有するメリットを2つ解説します。
- 公平な相続を実現しやすいので遺産分割手続きがスムーズに進む
- 不動産から収益を得た場合に、共有持分割合に応じて平等に分配できる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
1.公平に分割しやすく争いも起きにくい
不動産は、預貯金や現金と異なり物理的に分けられないという意味で、分割が難しい財産といえるでしょう。
しかし、法定相続人がそれぞれ相続分に応じた共有持分を有することにすれば、相続人間でトラブルが生じにくいです。
不動産を半分ずつ共有することにすれば、取得する相続財産の内容や金銭面での調整などをせずに、公平・平等に遺産相続を実現できるでしょう。
2.収益がでる場合も、平等に分配できる
共有名義で不動産を相続すると、不動産から得られる収益を持分割合に応じて分配できるというメリットがあります。
たとえば、被相続人が賃貸アパートや駐車場などの収益不動産を所有していた場合、不動産の評価額だけでなく、現在の収益額や将来の収益性も考慮して遺産分割を検討することになります。
その結果、「収益不動産を相続するなら預貯金は受け取らない」「不動産を取得する代わりに代償金を支払う」といった形で、相続人同士の意見が対立することも少なくありません。
一方、収益不動産を共有名義で相続する場合は、各相続人が持分割合に応じて家賃収入などを受け取れます。
そのため、財産を無理に分ける必要がなくなり、遺産分割協議がスムーズに進みやすくなるでしょう。
共有名義の相続登記はメリットがあっても原則としておすすめできない理由4つ
被相続人の不動産を共有分割することに一定のメリットがあるのは事実ですが、実際には、共有名義で相続登記をするのは推奨されません。
ここでは、共有名義の相続登記を避けるべき理由を4つ紹介します。
- 費用負担・活用方法などで意見がまとまらず、共有者間でトラブルが生じやすい
- 処分や管理の方法が決まらず、塩漬け状態になってしまう
- ほかの共有者が勝手に第三者へ持分を売却してしまう
- 相続が発生するたびに共有者が増えて権利関係が複雑化する
1.費用負担や活用方針の意見相違などで争いになりやすい
共有名義の不動産は、活用方法や費用負担について共有者同士で意見が対立しやすいというデメリットがあります。
不動産を共有している場合、次のような場面では他の共有者との話し合いが必要になります。
- 不動産を売却する
- 賃貸として活用する
- 建物を建て替える・リフォームする
また、不動産を所有していると、次のような費用も発生します。
- 固定資産税・都市計画税
- 光熱費
- 修繕費
- 管理費 など
これらの費用を誰がどのように負担するのかについても、共有者同士で決めなければなりません。
このように、共有名義の不動産は協議が必要な場面が多くなるため、意見がまとまらずトラブルに発展するケースも少なくないのです。
2.不動産の処分や活用が難しくなり最悪塩漬け状態になってしまう
不動産全体の売却・大規模修繕・長期賃貸借契約の締結などの処分行為をするには、共有者全員の同意が必要です。
共有者の間で意見がまとまらず、処分も管理もできないとなると、不動産を現金化したり有効活用したりできないので、維持費・管理費だけがどんどん発生する負の遺産になりかねないでしょう。
3.ほかの共有者が勝手に第三者へ持分を売却してしまう可能性がある
共有名義の不動産では、各共有者が自分の持分だけを自由に売却できます。
そのため、次のようなトラブルが起こる可能性がある点に注意が必要です。
- 共有者の一人が無断で自分の持分を第三者に売却する
- 不動産とは無関係だった第三者が突然共有者になる
- 不動産の売却や管理について、見知らぬ第三者と協議する必要が生じる
さらに、場合によっては以下のような問題に発展することもあります。
- 不動産業者が共有持分を買い取る
- 安い価格での買取を強く迫られる
- 鍵の交換などの嫌がらせを受ける
このように、共有持分の売却によって、思いがけない第三者と不動産を共有する状況になる可能性があります。
4.相続が発生するために共有者が増え手続きが複雑化してしまう
不動産の共有名義人のひとりが死亡すると、共有持分について相続が発生します。
相続人がひとりなら共有者の人数に変化はありませんが、複数の相続人による共有分割が選択されると、共有持分がさらに共有されて、共有関係の複雑化は避けられません。
すると、処分や管理の際の協議が難しくなりますし、売却などをする際の必要書類の準備が面倒になるでしょう。
共有名義での相続登記で後悔しないための対処法とは?
不動産を共有名義で相続すると、共有者同士のトラブルや不動産の活用の難しさなど、さまざまな問題が生じる可能性があります。
そのため、共有名義での相続登記を検討している場合は、事前に対処法を理解しておくことが重要です。
ここでは、共有名義の相続登記で後悔しないために知っておきたい対処法について解説します。
1.遺言書にて不動産を単独で相続させるよう指定する
共有名義のトラブルを防ぐためには、遺言書で不動産を相続する人を一人に指定しておく方法があります。
被相続人が遺言書を残している場合、遺産分割では基本的にその内容が尊重されます。
そのため、あらかじめ不動産の相続人を一人に決めておけば、不動産が共有名義になることを避けやすくなるでしょう。
ただし、不動産のような高額資産を特定の相続人に集中させると、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。
その結果、遺留分侵害額請求がおこなわれると、かえって相続トラブルが深刻化することもあるでしょう。
そのため、遺言書を作成する際は、事前に弁護士などの専門家に相談し、トラブルになりにくい内容にしておくことが重要です。
【関連記事】遺留分侵害額請求とは?期限や方法、遺留分の割合・計算方法を解説
2.被相続人が生前に現金化しておく
共有名義のトラブルを防ぐ方法として、被相続人が生前に不動産を売却して現金化しておく方法もあります。
不動産は分割しにくい財産のため、遺産分割の場面で意見が対立しやすい傾向があります。
一方、現金や預貯金であれば、相続人の人数に応じて公平に分けやすいでしょう。
3.遺産分割協議で単独名義にするよう合意する
共有名義を避けるためには、遺産分割協議で不動産を単独名義にする方法も有効です。
共有分割を選択すると、将来的に次のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 不動産の売却ができない
- 管理方法で意見が対立する
- 共有者が増えて権利関係が複雑になる
こうした問題を防ぐため、相続人の一人が不動産を取得する形で合意するケースも少なくありません。
ただし、相続財産の多くが不動産の場合、単独相続にすると他の相続人の取り分が少なくなる可能性があります。
そのような場合は、次の方法を検討するとよいでしょう。
- 不動産を取得する相続人が代償金を支払う(代償分割)
- 不動産を売却して現金を分ける(換価分割)
状況に応じて、柔軟な遺産分割方法を話し合うことが重要です。
【関連記事】遺産分割で揉めない方法とは?|弁護士に依頼するメリットと費用、選び方のポイント
4.将来的に売却することや単独名義にすることをあらかじめ合意しておく
相続が発生すると、10ヵ月以内に相続税の申告・納付が必要です。
しかし、不動産のような扱いが難しい遺産が存在する場合には、相続税の申告・納付期限までに遺産分割手続きが終了しない可能性があります。
このような場合には、ひとまず不動産を共有名義状態にしたうえで、遺産相続手続きが終了したあと、売却や名義変更について話し合いをすることになります。
しかし、共有不動産の売却などをするには、共有者全員の合意が必要です。
話し合いがまとまらないと、売却などをできずに塩漬けになりかねません。
そのため、遺産分割協議の段階で将来的な売却や単独名義への変更などを決めておけば、遺産分割手続き終了後の売却や単独名義への変更がスムーズに進むでしょう。
5.共有名義にするなら契約書などでルールをまとめておく
不動産の共有名義状態を避けられず、また、遺産相続手続き終了後の売却なども難しい状況なら、事前に共有関係になったときの管理方法や代表者などのルールを決めておくのがおすすめです。
口約束だけだと、将来的に管理方法などについて「言った・言わない」の水掛け論になりかねないので、遺産分割協議書とは別に、管理方法などのルールについて契約書を交わしておくとよいでしょう。
共有名義の相続登記についてあらかじめ弁護士に相談するべき理由
相続財産に不動産が含まれている場合や、遺産分割手続きを進めるなかで不動産を共有する案が有力になっている場合には、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。
というのも、遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下のメリットを得られるからです。
- 相続人の関係性やほかの共有者の状況を踏まえて、不動産を共有名義で相続登記したときに想定される現実的なデメリットやリスクについて解説してくれる
- 土地家屋調査士や不動産鑑定士などと提携して、不動産の適正な評価額を算出してくれる
- 相続人調査・相続財産調査を丁寧におこなってくれる
- 不動産の共有状態を回避できるような遺産分割協議案についてアドバイスをしてくれる
- 依頼者を代理してほかの相続人との協議を進めてくれる
- 遺産分割協議がまとまらずに調停・審判に移行した場合には、家庭裁判所関係の手続きを代理してくれる
- 共有名義の相続登記手続きを代理してくれる など
遺産相続手続きでトラブルが生じそうな場合、弁護士が介入するタイミングが早いほど円滑な解決を目指しやすいです。
被相続人が不動産を所有していると遺産分割協議で何かしらの揉めごとが生じる可能性が高いので、念のために一度は弁護士に相談をしておくと安心でしょう。
さいごに|共有名義の相続登記について不安があれば弁護士へ相談を!
共有名義の相続登記をする事態はできるだけ避けるべきです。
というのも、共有者の間で意見がまとまらないと、不動産を放置するしかなくなり、せっかく有している共有持分権が有名無実化してしまうからです。
また、不動産の売却や管理をおこなうたびにほかの共有者に連絡を取らなければいけないのは面倒でしょう。
ですから、不動産が共有名義になりそうなときには、遺産相続手続きの初期段階から弁護士の力を借りて、不動産が負の資産にならないような対策を講じるべきだと考えられます。
ベンナビでは、共有名義の相続登記などの遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
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