Twitterで晒し行為の被害に遭ったら?削除の対象や手続きを紹介
晒し(さらし)行為とは、インターネット上で他人の個人情報や顔写真などを、本人に無断で公表する行為を指します。
インターネットトラブルの中でも特に多く、晒し行為の被害に遭うと嫌がらせやネットストーカーなど巻き込まれるリスクがあります。
そのため、被害に遭った際は、できる限り早く削除などの対応を取ることが重要です。
この記事では、Twitter上で晒し行為の被害に遭った方に向けて、Twitterの晒し行為に対するポリシー、晒し行為に関連する不法行為・犯罪、犯罪にならない晒し行為、晒し行為をされた場合の対処法などを解説します。
また、プライバシー権侵害や肖像権侵害などの晒し被害に遭った場合の相談先についても紹介します。
晒し行為とは?Twitter上ではルール違反
晒し行為は、Twitter上で禁止されている行為のひとつです。
そこでまずは、具体的にどのような行為が晒し行為に該当するのか、晒し行為をするとどうなるのかなどについて確認しましょう。
晒し行為|無断で個人情報を公表する行為
晒し行為とは、一般的に本人の許可なく個人情報をインターネット上で公表する行為を指します。
無断で個人情報を公表されると、公表された側には安全面やセキュリティ面でのリスクが生じたり、物理的・金銭的に不利益を被ったりするおそれがあります。
そのため、晒し行為は禁止されており、場合によっては不法行為や犯罪に該当することもあります。
Twitter上の晒し行為はポリシー違反になる
Twitter上での晒し行為は「個人情報および私的なメディアに関するポリシー」に違反するため、Twitterに対して通報することが可能です。
通報すると、Twitterは当該コンテンツを削除するように要請したり、アカウントを凍結したりしてくれます。
また、晒し行為を繰り返した場合は、アカウントの永久凍結がおこなわれることもあります。
Twitter上の晒し行為になる個人情報
Twitterのポリシーでは、以下のような晒し行為を禁止しています。
このポリシーでは、次のような種類の個人情報を本人の許可なく共有することを禁じています。
- 住所や実際の所在地(番地、GPS座標、その他場所の特定につながる個人情報に該当するもの)
- 現在の位置情報(Twitterで直接共有されている情報や、移動経路に関するサードパーティーのリンクを含む)、実際の所在地、または個人の所在地を特定できるその他の情報(対象の情報が公開されている場合を含む)
- 身元を証明する文書(政府発行の身分証明書、社会保障番号、その他の国民識別番号など) - 注記: 当該情報が個人情報に当たらない地域では限定的に例外とする場合もあります。
- 連絡先情報(公開されていない個人電話番号やメールアドレスを含む)
- 金融機関の口座情報(口座番号やクレジットカード情報を含む)
- その他の個人情報(生体データや医療記録を含む)
- 撮影された個人による許可のない私人のメディア
- 2022年4月5日以降に政府アカウントまたは国家当局関係メディアアカウントによって投稿された戦争捕虜を描写するメディア
引用元:個人情報に関するTwitterのポリシーと晒し行為 | Twitterヘルプ
Twitter上の晒し行為と関係する不法行為・犯罪
Twitter上でおこなわれた晒し行為は、内容によってはプライバシー権侵害、肖像権侵害、リベンジポルノ防止法違反などに該当することがあります。
ここでは、晒し行為と関係する権利侵害や犯罪などについて確認しましょう。
個人情報|プライバシー権侵害
無断で他人の個人情報を公開する行為は、プライバシー権侵害に該当する可能性があります。
プライバシー権とは、私生活上の情報をみだりに公開されない権利のことで、憲法第13条を根拠に保障されています。
プライバシー権を侵害された場合は民法上の不法行為に該当するため、加害者に対して損害賠償を請求できます。
顔写真|肖像権侵害
無断で顔写真を公開する行為は、肖像権侵害に該当する可能性があります。
また、プライバシー権や人格権などを侵害することにもなります。
肖像権とは、私生活上の容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を無断で公開されたりしない権利のことです。
肖像権侵害も民法上の不法行為になるため、加害者に対して損害賠償を請求できます。
顔写真等を晒された場合ネットに顔を晒されたときの対処法|顔写真を削除する3つの方法もご覧ください。
性的な画像|リベンジポルノ防止法違反
性的な画像・動画を無断で投稿されたり、投稿すると脅されたりした場合は、リベンジポルノ防止法違反に該当する可能性があります。
リベンジポルノ防止法違反には刑事罰が設けられており、無断で性的な画像や動画をインターネット上に公開した場合は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることになっています。
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 |
引用元:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 | e-Gov法令検索
リベンジポルノの相談はリベンジポルノの相談はどこにすべき?画像や動画を削除したいときの対処法も解説をご覧ください。
そのほかの犯罪
実際に晒し行為をしていなくても、以下のような行為をした場合にはそれぞれ犯罪が成立する可能性があります。
- 個人情報や顔写真などを公開すると脅す行為:脅迫罪
- 個人情報や顔写真などを公開しない代わりに金品を交付させる行為:脅迫罪や恐喝罪
- 個人情報に対するハッキング行為やアクセスする行為:不正アクセス禁止法違反
不法行為・犯罪にならないTwitter上の晒し行為
一般的には「晒し行為」と判断されるものであっても、法律上の不法行為や犯罪にならないものもあります。
ここでは、不法行為・犯罪にならないTwitter上の晒し行為について確認しましょう。
自動車やバイクのナンバープレート
Twitter上に、他人の自動車やバイク(特に危険運転をしている自動車など)の画像や動画を無断で投稿している人もいます。
これらは一般的に晒し行為と判断されていますが、自動車やバイクのナンバープレートは個人情報に該当しないため、不法行為にはならないと考えられています。
なお、運転手が特定できる場合は、プライバシー権侵害や肖像権侵害などに該当する可能性があるでしょう。
削除されたアカウントの過去のツイート
過去にTwitter上に公開アカウントから投稿したツイートを保存されており、それが無断で他人に投稿・転載されることもあります。
しかし、こちらのケースでは本人自ら個人情報などを公開しているため、プライバシー権侵害や肖像権侵害には該当しないと判断される可能性が高いでしょう。
もっとも、削除から一定期間が経っている場合には、プライバシー権侵害や肖像権侵害に該当する可能性があります。
また、リツイートや引用リツイート以外の方法で、写真を転載する行為は、著作権侵害に該当する可能性があります。
個人間でのDM(メッセージ)のやり取り
個人間でのDM(メッセージ)を保存され、勝手にTwitter上に投稿されることもあります。
しかし、メッセージそのものは相手の支配領域下に移っているため、「DMを晒した」という行為だけではプライバシー権侵害にならない可能性が高くなります。
もっとも、メッセージの内容を人に知られたくない私生活上の情報が含まれる場合には、当該情報次第で、プライバシー権侵害が成立する可能性はあるでしょう。
Twitter上で晒し行為をされた被害者ができる対応
Twitter上で晒し行為をされた場合は、被害者はTwitterに削除請求を出したり、加害者に対して損害賠償請求をおこなったりできます。
ここでは、Twitter上で晒し行為をされた被害者ができる対応について確認しましょう。
削除請求
Twitter上で晒し被害に遭っている場合は、Twitterに対して削除請求をすることができます。
削除請求には「Twitterおよびセンシティブなコンテンツを安全に使用する」という専用フォームを使います。
削除依頼をおこなうと、数日~数週間以内に身分証明書の確認があり、その後Twitterが当該ツイートの削除対応をおこなってくれます。
但し、投稿者の特定や損害賠償請求を検討している場合は、削除対応をする前に、個別のツイートのURLがわかる形で証拠を保全する必要があるので、注意が必要です。
【Twitterへの削除請求の流れ】
- 「Twitterおよびセンシティブなコンテンツを安全に使用する」にアクセスする
- 「どのような問題がありますか?」などの質問についてプルダウンで回答する
- 署名や被害内容などを入力・選択してから「送信」ボタンを押下する
- 後日Twitterから本人確認メールが届くため、それに回答する(手続き完了)
Twitterの削除依頼について詳しくはTwitterの書き込みやアカウントを削除依頼するには?削除依頼の方法を解説もご覧ください。
慰謝料請求
晒し行為がプライバシー権侵害、肖像権侵害、リベンジポルノ防止法違反などに該当する場合は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
なお、加害者が友人や知人などの場合はすぐに損害賠償の請求手続きをおこなえますが、投稿者を特定できていない場合は発信者情報開示請求(命令)などの手続きが必要になるでしょう。
【Twitter上の晒し行為で受け取れる慰謝料金額の目安】
プライバシー権侵害 |
10万~50万円程度 |
肖像権侵害 |
10万~50万円程度 |
リベンジポルノ防止法違反 |
50万200万円程度 |
※悪質な内容の場合や、投稿数が非常に多い場合などは、さらに高額な慰謝料が認められる場合もあります。
発信者情報開示請求については発信者情報開示請求とは|投稿者特定の手続き・注意点・弁護士費用などを解説をご覧ください。
刑事告訴(晒し行為が犯罪の場合)
Twitter上でリベンジポルノがおこなわれていたり、脅迫罪・恐喝罪などがおこなわれていたりする場合は、最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口に相談しましょう。
事件性があると判断されれば、捜査機関が投稿の削除を促してくれたり、捜査・逮捕などをしてくれたりします。
身の危険を感じたら、まずは警察に相談してください。
参考記事:相談窓口|警察庁Webサイト
Twitter上の晒し被害に遭った場合の相談先
Twitter上で晒し被害に遭っている場合は、ひとりで悩まずに、できる限り早く専門家・専門機関に相談するのが重要です。
晒し被害の主な相談先には、ベンナビIT、違法・有害情報相談センター、セーファーインターネット協会などがあります。
ここでは、Twitter上の晒し被害に遭った場合の相談先について紹介します。
ベンナビIT|ネットトラブルが得意な弁護士を探せる
「ベンナビIT」は、インターネットトラブルが得意な弁護士事務所を探せるポータルサイトです。
「私的情報・画像流出」「リベンジポルノ」などの相談内容で検索ができ、Twitter上の投稿削除や加害者の特定などが得意な弁護士をみつけられます。
事務所によっては、初回無料相談や夜間・休日相談などに対応している場合もあります。
インターネットトラブルは迅速な解決が必要になる上、必要な証拠の保全等も行う必要があるため、なるべく早期の段階で、ベンナビITで弁護士を探すことをおすすめします。
違法・有害情報相談センター|削除方法を知れる
総務省の委託事業である「違法・有害情報相談センター」は、インターネットトラブルに関する有識者が削除方法などに関するアドバイスをしてくれる相談窓口です。
実際の削除申請は本人がおこなう必要がありますが、主なメリットとして迅速なアドバイスを受けられることが挙げられます。
相談料は無料で、専用フォームから相談することができます。
参考記事:違法・有害情報相談センター
セーファーインターネット協会|削除を任せられる
インターネット事業者によって設立された一般社団法人 セーファーインターネット協会では、「誹謗中傷ホットライン」を開設しており、投稿・記事の削除依頼を受け付けています。
一定の基準に該当し、削除が必要と判断した場合には、国内外のプロバイダに対して当該投稿・記事を削除するように促してくれます。
参考記事:ネットの誹謗中傷 | セーファーインターネット協会 Safer Internet Association(SIA)
Twitter上の晒し行為に関するよくある質問
最後に、Twitter上の晒し行為に関するよくある質問・疑問に回答します。
Q.晒し行為の被害に遭うとどんなことで困る?
インターネット上で晒し被害に遭うと、不特定多数の人に個人情報や容姿が知られることになります。
その結果、以下のような被害に繋がる可能性が考えられます。
Twitter上で晒し被害に遭った場合は、できる限り早く削除申請をおこなったり、専門家・専門機関に相談したりしましょう。
- 拡散・複製されてインターネット上からの完全な情報の削除が難しくなる
- ネットストーカーの被害に巻き込まれる
- 迷惑電話や迷惑メールなどの嫌がらせが増える
ネットストーカー被害に関してはネットストーカー被害の相談窓口|選び方・対処法・弁護士費用を解説をご覧ください。
Q.フォロワーが晒し行為をしている場合は?
フォロワーが晒し行為をしている場合は、安易に同調や再投稿(リツイート)をしないことが重要です。
これらの行為をすると被害が大きくなったり、場合によっては名誉毀損罪や侮辱罪などが成立したりする可能性があります。
なお、Twitter上でおこなわれている攻撃的な晒し行為については、被害者以外でも通報することができます。
個人情報の共有 明らかに攻撃的な形で共有されている個人情報については、誰でも報告できます(Twitterアカウントの保有者である必要はありません)。 攻撃的な意図が明確ではない情報については、執行措置を実施する前に、当該情報の所有者(または弁護士などの正式な代理人)から直接話を聞かなければならない場合があります。 |
まとめ|Twitter上の晒し行為は削除対象!
Twitter上の晒し行為は「個人情報および私的なメディアに関するポリシー」に違反しているため、被害者が通報すれば当該投稿を削除することができます。
しかし、Twitterに権利侵害と判断されなかった場合は、削除されない可能性があります。
そのような場合は、できる限り早く弁護士に相談するのがおすすめです。
特に「ベンナビIT」を使い、インターネットトラブルが得意な弁護士に相談・依頼するようようにしましょう。