長時間の残業が失業保険に与える影響は?|月45時間越えの残業が理由なら会社都合に
失業保険は、失業した人が新たな職を見つけるまでの経済的な支援を目的とした制度です。
転職などを理由とした一般的なケースでは自己都合退職とみなされ、失業保険の給付までに時間がかかります。
しかし、長時間の残業を理由とした退職した場合や、パワハラなどのハラスメントが原因の退職は、会社都合の退職とみなされ、要件を満たしていれば、退職直後から失業手当を受けられることがあります。
本記事では、残業が失業保険に与える影響を解説します。
会社都合の退職となるケースや、会社都合の退職とするメリットなどを紹介するので参考にしてください。
残業を理由とした退職は会社都合とみなされる可能性がある
労働者が自らの意思で退職した場合、自己都合の退職とみなされます。
しかし、自らの意思で退職した場合でも、長時間の残業や残業代が未払いであることなどの理由によって退職する場合、会社都合の退職と判断してもらえる可能性があります。
会社都合の退職とみなされるケース
残業を理由とした退職が会社都合の退職とみなされるためには、3ケ月間連続で、月45時間を超える残業をした場合、2か月連続で1か月平均80時間以上の残業をした場合などに該当する必要があります。
会社都合の退職とするメリット
会社都合の退職となるメリットは、失業保険の支給が早くなることがあげられます。
自己都合の退職の場合、失業保険の給付は退職から2か月(※)と7日後から開始になりますが、会社都合の場合は、7日後から給付が開始となります。
※なお、5年間のうち2回までは2か月ですが、3回目の離職以降は3ケ月となります。
また、その他にも給付期間の上限が自己都合の場合と比べて長くなるなど、さまざまなメリットがあります。
会社都合退職に変更するための準備
労働者が残業を理由とした退職を、会社都合退職とみなしてもらうためには、以下の準備をしましょう。
長時間の残業を証明するための証拠を用意する
残業を理由とした会社都合の退職と認めてもらうためには、残業の実態を正しく伝える必要があります。
残業の実態を証明するための資料としては、タイムカードや日報などの記録、メールやチャットの履歴などが考えられます。
証拠が見つからない場合は何をすべき?
証拠が明確にない場合でも、会社のパソコンの中にある勤怠情報や、通勤時のICカードの履歴など、さまざまなものが証拠になる可能性があります。
悩んだら労働基準監督署や労働組合、労働問題に強い弁護士に相談することで、証拠の収集や会社都合の退職に向けたアドバイスをしてもらうことができます。
未払いの残業代がある場合は何をすべき?
未払いの残業代がある場合は、労働基準監督署や労働組合に相談し、残業代の請求手続きを進めることが重要です。
また、弁護士に相談することで、アドバイスをもらったり、手続きを代行してもらうことが可能です。
まとめ|失業保険や残業代請求に悩んだら弁護士に相談
長時間の残業を理由とした退職は会社都合とみなされる可能性があり、失業保険の受給に関して有利に立ち回れます。
残業を理由とした退職や未払いの残業代に関する問題では、労働問題に精通した弁護士に相談することが重要です。