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遺留分を弁護士に相談する3つのメリット・デメリットを紹介

弁護士監修記事
遺産相続
2023年12月14日
2024年04月22日
遺留分を弁護士に相談する3つのメリット・デメリットを紹介
この記事を監修した弁護士
葛城 繁弁護士 (葛城法律事務所)
相続問題を中心に分野を問わず幅広い法律問題に対応。
『ご依頼者の利益が最大限になるためのサポート』となることを心掛け、的確なアドバイスを伝えられるよう客観的視点を忘れず、日々、業務と向き合っている。
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一定の法定相続人に発生する遺留分ですが、遺言書や他の法定相続人の言動によりトラブルが発生するケースは多いものです。

しかし、遺留分のトラブルは専門的な知識が必要なので、自分だけで対応すると多くの時間や労力を有してしまいます。

そこで頼りたいのが弁護士です。

弁護士に遺留分の相談をするメリットについて、この記事では紹介していきます。

もちろん、デメリットもあわせて紹介しますので、ご自身・あるいは親族の方と判断する際の参考にしてください。

弁護士への相談を通じて遺留分の全容を理解すると同時に、トラブルの迅速な解決を目指しましょう。

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遺留分が侵害される要因【3選】

遺留分とは、法律により定められた相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。

被相続人は、自身の財産の行方を遺言によって自由に決めることができますが、被相続人の近親者には、最低限の生活保障が必要な場合があります。

しかし、この遺留分が遺言書や自分以外の相続人によって侵害されることがあります。

遺留分が侵害される要因は大きく分けて3つあります。

遺留分が侵害される要因を理解して、適切な対策を施せるようにしましょう。

要因1.遺言書に自分の名前がない場合

被相続人が作成した遺言書に自分の名前がないと、ほかの相続人の誤解によって相続手続きから排除されてしまう可能性があります。

被相続人は自分の財産を誰にどれだけ渡すかを遺言書で指定できます。

しかし、必ずしもすべての法定相続人の名前を指定して、財産を分配するとは限りません。

そのため、法定相続人全員の名前が遺言書にないケースもあります。

その場合に遺言書に名前がある相続人が、遺言書に記載のある相続人だけで遺産を分けるのだと勘違いをし、法定相続人である人物を相続手続きから排除してしまうことがあります。

遺言書に名前のないことが原因で相続手続きから排除されてしまった法定相続人は、侵害されている遺留分を請求できます

要因2.遺言書に偏った遺産分配が指示されている場合

遺産の相続権利はあるものの、遺言書に記載された遺産の分配割合が大きく偏っている場合は、遺留分が侵害されている可能性があります。

遺産の総額によって遺留分は異なります。

相続財産の総額や、自分の遺留分として主張できる額の確認を事前におこなっておきましょう。

要因3.一部の相続人に多額の生前贈与がおこなわれた場合

被相続人が存命期間に、自分以外の法定相続人に生前贈与をおこなっていた場合、一定の贈与は遺留分の計算において財産として含められます

生前贈与は遺留分侵害に該当する可能性があるため、遺留分侵害の請求をおこなうことが可能です。

しかし、生前贈与が日常生活費の範囲内とみなされる程度の額であれば、遺留分侵害請求の対象とはなりません。

生前贈与がどのような目的でおこなわれていたかを調査したうえで請求しましょう。

遺留分が侵害された場合の対処方法

自分の遺留分が侵害されていることがわかったら、まずは侵害している相続人に請求しなければなりません。

以下で、実際に遺留分を請求する際の手続きの流れを、順番に説明します。

①遺留分を侵害している相続人に通知し、協議する

まずは自分の遺留分を侵害している相続人に、遺留分を請求する意思があることを通知しましょう。

法律上は意思表示だけで効果が発生するため、通知は口頭でも構いませんが、争いになったときのために「内容証明郵便」で意思表示をすることをおすすめします。

遺留分を請求できる権利は、侵害を知ってから1年以内に請求する意思があることを通知しなければ、時効消滅してしまいます。

この時点では具体的な侵害額まで確定する必要はありませんので、時間がない場合は遺留分を請求する意思だけでも通知しておきましょう。

話し合いで解決するのであれば、必ずしも調停や裁判を起こす必要はありません。

当事者で協議し、合意した内容で遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書について詳しくは遺産分割協議書とは?作成ポイントや注意点を徹底解説をご覧ください。

②任意の話し合いが難しければ調停を申し立てる

当事者同士の話し合いで解決しない場合、調停を家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

これを、「遺留分侵害額請求調停」といいます。

調停を申し立てるときには、相続財産や主張する遺留分の額を確定しなければなりません。

調停は、裁判所が選任した中立な立場の「調停委員」を介して、当事者同士が自分の意見を主張しあう、第三者を交えた話し合いの場です。

成立すれば裁判所が合意内容をまとめた「調停調書」を作成し、その内容に沿って相続手続きが進められます。

ただし、調停はあくまでも「話し合い」の場であるため、双方が納得できないときは、調停での合意は成立しません。

合意に至らないときは、「調停不成立」となり、終了します。

③調停でまとまらなければ訴訟提起する

調停不成立になったら、改めて訴訟提起をしなければなりません。

訴状の提出先は遺留分の金額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円以上なら地方裁判所です。

訴訟では、お互いが自分の権利を立証するための証拠を準備して主張し、裁判官はどちらが正しいか判断し、判決を下します。

確定後は判決文の内容に沿って相続手続きが進められます。

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遺留分でのトラブルを弁護士に依頼するメリット

遺留分でのトラブルが発生した場合には自分だけでの解決が難しいケースが多く、トラブルに対して多くの時間や労力を必要とします。

弁護士に依頼することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。

メリット1.遺留分に関してのアドバイスや知識をもらえる

弁護士へ依頼する一つ目のメリットは、遺留分に関する的確なアドバイスをもらえる点です。

遺留分の請求は、相続財産の額を調査して自分の遺留分が侵害されているかを確認するという煩雑な手続きを、1年という短い時効から逆算して進めなければなりません。

弁護士に的確なアドバイスをもらえることは、迅速に手続きを進めるうえで、大きなメリットになります。

自身で調査方法を調べることで経済的コストは抑えられますが、調査漏れなどがあった際は手続きがやり直しになることもあるため、弁護士に依頼するのがよいでしょう。

メリット2.手続きの代行をおこなってくれる

相続手続きは非常に煩雑です。やり方を調べて自分で手続きすることも可能ですが、初めての作業のため多くの時間がかかってしまうでしょう。

被相続人の財産や負債を調査し、相続財産を確定することは、非常に手間がかかります。

また、不動産などの評価額を算定するには専門的な知識も必要です。

さらに、調停や訴訟に進んだ際は裁判所への必要書類を作成しなければなりません。

これらの業務を弁護士に依頼することにより、正確かつ迅速に相続トラブルを解決できるでしょう。

メリット3.争いになっても安心

相手から遺留分の支払いを拒否されて話し合いでは解決できなかった場合、調停や訴訟で争うことになります。

裁判所でおこなわれる調停や訴訟には緊迫する雰囲気があり、また準備や期日対応にも労力を要するため、自身で対応するのは非常に困難です。

調停や訴訟になれば、こちらが弁護士に依頼しなくても、相手方が弁護士を立ててくる可能性も大きいでしょう。

弁護士に依頼すれば、調停や訴訟の準備から対応まで一任できます

メリット4.精神的に楽になる

遺留分侵害の請求では侵害額の計算や相手との交渉、調停や訴訟の準備など自身でおこなった場合、膨大な労力がかかります。

弁護士に依頼することにより、これらの労力を軽減でき精神的なストレスも軽くなります

また、遺留分侵害額請求の協議中は他の相続人との主張がぶつかり合う可能性が高く、心身ともに疲弊してしまいます。

弁護士に依頼することで、相続人同士で直接いがみ合うことがなくなるため、精神的にも楽になるでしょう。

メリット5.迅速な解決に繋がる

遺留分トラブルの多くの場合、争う相手は親族もしくは顔見知りの相続人というケースがほとんどです。

自身の遺留分を取り戻すために争うものの、やはり見知った人物と主張をぶつけるのは気が進まないものです。

相続人同士で話し合うと、年齢や立場、性別などから強く主張できないこともあるでしょう。

弁護士に依頼すれば、相手方と対等な立場で話し合いを進められます

むしろ、弁護士という権威を前にして、相手が低姿勢になるという効果も狙えるのです。

結果的に弁護士に依頼することで、遺留分トラブルの早期解決にも繋がります

遺留分でのトラブルを弁護士に依頼するデメリット

遺留分のトラブルを弁護士に依頼するメリットが多くあることが分かりました。

一方、デメリットもあります。

メリット、デメリット両方を理解したうえで、弁護士への依頼を検討しましょう。

デメリット1.費用が高い

弁護士への依頼では、やはり費用が高いと感じてしまう方が多くいます。

遺留分問題を弁護士に依頼する際は、財産の価値によって変動しますが数十万円は最低でも必要です。

弁護士報酬は2004年4月1日より自由化されましたが、現在でも多くの法律事務所は、過去に採用されていた「日本弁護士連合会報酬基準」を参考に報酬を算定しています。

また、ホームページ上に報酬規程を掲載している事務所もありますので、事前に調べればある程度の必要費用は算出できるでしょう。

費用額は決して安くはないので、戸惑ってしまう方は多くいます。

しかし、弁護士への依頼で今後発生する可能性のあるトラブルを未然に防止できるなど、目に見えない利益も見込めます

また、法律事務所によっては着手金の一括支払いが難しい場合、分割払いや着手金を抑えて報酬のほうに上乗せすることも可能な場合もあります。

ただし、分割払いは利息が付されるケースもあるので事前に確認しておきましょう。

弁護士への依頼を判断する際は、費用単体で見るのではなく費用に対してどこまでの事をしてくれるのかで判断すると良いでしょう。

【参考記事】日本弁護士連合会報酬基準

デメリット2. 経験豊富な弁護士に当たるとは限らない

遺留分トラブルを弁護士に依頼する際には、その弁護士が遺留分や遺産問題に関して経験や知識が豊富かどうか見極める必要があります。

経験豊富な弁護士に担当してもらうためには、依頼前に相談をして、自分の遺留分問題の解決方針について確認してみましょう。

また、担当弁護士の過去に扱った事案なども参考までに聞くようにしましょう。

まとめ|遺留分の相談は弁護士にするのがベスト

遺留分問題を早期に解決するには、最初から弁護士に相談するのが最も近道です。

早期に弁護士に相談することで、煩雑な相続財産や遺留分の計算を任せることもできます。

また、調停や訴訟に発展しても、専門家として心強い味方となってくれるでしょう。

そのため、はじめから弁護士に依頼をしておくことが、最も時間や労力がかからない方法といえます。

弁護士に依頼するメリット・デメリットを検討しつつ、遺留分トラブルの早期解決を目指していきましょう。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
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