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遺産分割協議書とは?作成ポイントや注意点を徹底解説

弁護士監修記事
遺産相続
2023年02月28日
2024年04月09日
遺産分割協議書とは?作成ポイントや注意点を徹底解説
この記事を監修した弁護士
野中 辰哲弁護士 (アリアンサ法律事務所)
相続問題を中心に対応し、現在では年間約20〜30件ほどの案件に取り組む。遺産分割を始め、生前対策や相続放棄などの実績も多数。大学での非常勤講師を務めるなど、活動の幅は多岐に渡る。
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遺産分割協議で記載する「遺産分割協議書」。
作成する必要があるのは知っていても、作成の流れや書き方をご存じない方も多いのではないでしょうか。

遺産分割協議では、遺産分割協議書を作成することになるため、遺産分割協議書についての理解を深めることは重要です。

本記事では、遺産分割協議書とは何か、作成する流れや書き方、ポイントなどを解説します。

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遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果を書面にまとめたものです。

遺産分割協議では相続人全員の参加が求められ、故人の財産をどのように分割して相続するかを話し合います。

遺産分割協議がおこなわれるタイミングや遺産分割協議書を作成しておく必要性を十分に理解し、相続手続きをスムーズにおこなうための準備をしましょう。

遺産分割協議がおこなわれるタイミング

遺産分割協議は「遺言書がない場合」や「遺言書に記載のない財産や割合で相続をおこなう場合」におこなわれますが、遺産分割協議をおこなう期限などは特に定められていません。

相続税の申告や納税が遅くとも相続発生から10ヵ月以内におこなわないといけないため、四十九日の法要で集まる機会を利用し遺産分割協議をおこなう場合が多いです。

遺産分割協議は遺言書により左右されるため、遺言書の有無や遺言書に記載される内容を早めに確認するようにしましょう。

遺産分割協議書の必要性

遺産分割協議書の作成は法律で定められているわけではありませんが、法定相続分以外の割合で遺産を相続する場合は作成が必要になります。

また、後々の相続トラブルを未然に防ぐ目的で遺産分割協議書を作成する場合もあります。
相続人が複数人いる場合は、誰がどの遺産を相続するかを明確に書面に残しておかないと、相続内容に不満を持つ人が現れた際の話し合いが長期化します。

遺言書通りに相続をおこなう場合や相続人が1人以外の場合は遺産分割協議書の作成をおすすめします。

遺産分割協議書を作成する流れ

ここからは、遺産分割協議書を作成する流れを解説します。

相続人の確定

遺産分割協議をおこなうにあたって相続人の確定が必要になります。
遺産分割協議には、相続人全員が参加し合意を得なければなりません。

離婚や再婚、養子縁組などの場合は相続人の確定が難しいので注意が必要になります。

参考までに相続人の調査に必要な証明書と取得にかかる手数料を、東京都中野区を例にとって一覧でまとめました。詳細は各自治体へ問い合わせすることをおすすめします。

請求できる証明

内容

1通の手数料

全部事項証明(戸籍謄本)

戸籍に記録されている事項の全部を証明したもの

(戸籍に記載されている全ての人の証明書)

450円

個人事項証明(戸籍抄本)

戸籍に記録されている事項の一部を証明したもの

(戸籍に記載されている中で指定した人の証明書)

450円

除籍全部事項証明(除籍謄本)

戸籍に載っている方全員が、転籍・婚姻・死亡などの理由で除籍になったことを証明するもの

750円

 

除籍個人事項証明(除籍抄本)

戸籍に載っている方の一部が、転籍・婚姻・死亡などの理由で除籍になったことを証明するもの

750円

【参考】戸籍全部事項証明(戸籍謄本)l 中野区

被相続人の財産を確定

相続人を確定し、被相続人の財産の確定をおこないます。
現金・預金・不動産だけではなく借入金・ローンといった負債も把握することが必要なため、漏れのないように確認しましょう。

財産を確定する際は、通帳や書類を確認するだけでなく、被相続人と取引していた可能性のある保険会社や金融機関へ問い合わせたり、スマートフォンやパソコンの中身を調べたりすることも必要になるでしょう。

遺産分割協議の実施

相続人と被相続人の財産が確定すれば遺産分割協議を実施します。

遠方に住んでいる相続人がいれば、電話やメールなどにより意思を確認することは可能です。

必ず全員が相続内容に合意する必要があるので、対面で協議できないことを利用して、当相続人が望まない形で勝手に相続割合を決めてはなりません。

また、遺産分割協議は短期間で終わることもありますが、それぞれの主張が入り混じり、長期化することも考えられます。

相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月後とされています。

協議が長期化し申告・納付期限に間に合わないと、翌日から延滞税が発生するため、期限も考慮しながら早めに協議を始めるようにしましょう。

なお、遺産分割協議で話し合いがまとまらない場合もあります。

その際は、家庭裁判所に、遺産分割調停の申立てをおこなうことになります。

また、遺産分割調停でも合意できない場合は、家庭裁判所による遺産分割審判がおこなわれることを理解しておきましょう。

合意内容を遺産分割協議書に作成

遺産分割協議をおこない協議内容に合意が得られれば遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は代表者が書面の作成をおこない、遺産分割協議に参加をした全員の署名と押印を求める流れになります。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書には決められた書式はありません。

作成方法が自由である分、相続人の誰がどの遺産を相続するのかを明確に示さないとトラブルに発展してしまいます。

遺産分割協議書の書き方や記載すべき項目を解説します。

また、実際に使用できる記載例もあわせて紹介しますので参考にしてみてください。

遺産分割協議書に記載する内容

遺産分割協議書には以下の内容を盛り込むと良いです。

正確に記載をしていくためにも相続人の確定や被相続人の財産の把握をしっかりとおこないましょう。

  • 被相続人の住所や氏名、死亡日
  • 遺産分割協議には誰が参加をしたのか
  • 誰がどの遺産を相続するのか
  • 相続する財産の内容とその割合
  • 不動産の記載は登記簿謄本や権利証をもとに正確に記載
  • 預貯金、株式などの遺産や借金などの債務についても記載
  • 遺産分割協議をおこなった日付
  • 相続人全員の氏名と住所(自筆)、実印の押印

遺産分割協議書の記載例

遺産分割協議書へ記載すべき項目を踏まえてどのような形で書式を作成するのでしょうか。

国税庁のホームページに掲載されていた事例を引用して紹介します。

引用元:相続税の申告書の記載例 l 国税庁

遺産分割協議書の冒頭で、「被相続人の住所や氏名、死亡日」と「相続人全員が合意していることを示す内容」を記載します。

その後、「分割する相続財産の詳細」がそれぞれ記載され、最後に「相続人全員の氏名と住所、実印の押印」を記載する流れとなります。

手書きでもパソコンでも良い

遺産分割協議書に正式なフォーマットはなく、必要事項さえ記入されていれば遺産分割協議書は手書きでもパソコンでも問題ありません。

利便性を考えればパソコンで作成するのが良いですが、好みの問題ですので必ずしもパソコンで作成する必要はありません。
作成しやすい方法を選びましょう。

遺産分割協議書を作成する際のポイント

正確に記載する

遺産分割協議書は正確に記載する必要があります。
とはいえ、遺産分割協議書にはさまざまな事項を記入しなければならず、記入ミスや記入漏れが発生してしまうケースが少なくありません。

特に多いのが、不動産に関する内容で、登記事項証明書の内容を誤って記載してしまうことです。

間違えて記入してしまうと遺産分割協議での決定とは異なる分割割合で遺産を分割することになったり、遺産分割協議書の書き直しが起きてしまいます。

こうしたトラブルを避けるためにも、何度もチェックをおこない記載間違いのないように確認しましょう。

慎重に協議する

遺産分割協議で慎重に協議することも遺産分割協議書を作成する上で重要になります。

遺産分割協議書の変更には再度相続人全員の合意が必要になるため、記載内容の変更が非常に難しいです。

また、遺産分割協議書を作り直すと、不動産登記の手続きや相続税の申告が遅れてしまい、トラブルになる可能性が少なくありません。

遺産分割協議に期限を設定することは大切ですが、期限が来るまでは慎重に協議をし、納得・合意をしたうえで遺産分割協議書の作成をおこなうようにしましょう。

全員で保管する

遺産分割協議書は1通でも問題はないのですが、トラブルを防ぐためにも相続人全員の作成をおこない保管するようにしましょう。

作成時に相続人の人数分を用意し、それぞれ自筆で氏名や住所、実印による押印をおこない保管するのがおすすめです。

遺産分割協議書が完成した後にやること

遺産分割協議書が完成した後には以下の3つをおこなうようにしましょう。相続税の申告や納税に必要な内容にあたるため、以下に解説をする内容をしっかりと抑えておくと良いでしょう。

  1. 不動産の名義変更
  2. 預貯金の名義変更・解約払戻し
  3. 株式の名義変更

1.不動産の名義変更

不動産を相続する場合は、法務局で不動産の名義変更の手続きが必要になりますが、その際に遺産分割協議書が必要になります。

また、遺産分割協議書だけでなく、被相続人の戸籍謄本類、住民票の除票、相続人の住民票や相続人全員分の印鑑登録証明書など、さまざまな書類が必要になるため、用意してから手続きをするようにしましょう。

2.預貯金の名義変更・解約払戻し

預貯金を相続した場合には、名義変更・解約払戻しをすることになるため、金融機関に遺産分割協議書を持っていき、名義変更・解約払戻しの申請書を提出しましょう。

書式や必要書類は金融機関によって異なるので、各金融機関に問い合わせるようにしましょう。

3.株式の名義変更

株式を相続した場合は、遺産分割協議書を用いて株式の名義変更をおこないます。
相続人名義の証券口座を開設し、そこに名義変更した株式を預け入れることになります。

証券会社ごとに申請書や必要書類があるため、担当者に問い合わせながら手続きを進めるようにしましょう。

まとめ|遺産分割協議書の作成が難しいときは?

遺産分割協議書の作成ポイントや注意点などを解説しました。

遺産分割協議書はご自分で作成もできるため、可能であれば自分で作成してみるのもよいでしょう。

しかし、複雑な法律関係が関わることなので、司法書士や弁護士など専門家に頼るのも一つの手段です。

費用はかかってしまいますが、遺産分割協議に関するアドバイスももらえ、遺産分割協議書を書く労力も軽減されます。
専門家の利用も検討してみるとよいでしょう。

また遺産分割における弁護士への相談は遺産分割について弁護士に無料相談する方法|弁護士に依頼するメリットも解説をご覧ください。

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本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
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