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遺産相続で兄弟姉妹が相続できるケースとは?相続割合や遺留分も解説

弁護士監修記事
遺産相続
2023年02月28日
2024年04月09日
遺産相続で兄弟姉妹が相続できるケースとは?相続割合や遺留分も解説
この記事を監修した弁護士
小林 洋介弁護士 (翔和総合法律事務所)
遺産分割トラブルなどの紛争案件はもちろん、生前対策にも力を注ぐ。丁寧かつ具体的な解決策の提示に定評があり、一度だけでなくリピートで依頼する相談者もいるなど、厚い信頼を獲得している。
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遺産相続では、兄弟姉妹であっても相続できるのか、どれだけ相続できるのか、非常に分かりづらいケースが目立ちます。

遺産相続の問題は、相続順位・遺産の取り分など、複雑な計算や面倒な手続きがあります。相続をきっかけに親族の関係がギクシャクしないかと不安になる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、遺産相続で兄弟姉妹が相続人になるケースと、遺産トラブルを未然に防ぐ方法を解説します。

相続割合や遺留分など、特に問題になりやすいケースを中心に解説をしていますので、円満に遺産相続をおこなえるようしっかりと理解していきましょう。

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遺産相続で兄弟姉妹が相続人になるケースとは?

遺産相続は、親族内で誰が優先的に相続できるかが民法で定められています。この順番のことを「相続順位」といいます。

故人の兄弟の法定相続人の順位

相続順位では、故人に配偶者がいれば必ず「法定相続人」となります。以下、故人の子どもが第1順位、親が第2順位、兄弟姉妹が第3順位となります。なお、故人の養子も法律上の子どもとして、法定相続人になり得ます。

故人に子ども・孫・親・祖父母のいずれかがいれば、兄弟姉妹は法定相続人にならないのです。それでは、兄弟姉妹が法定相続人になるケースはどういった場合なのかを解説していきます。

兄弟姉妹の相続割合をケースごとに解説

ここからは、兄弟姉妹の相続割合をケースごとに解説します。

配偶者と兄弟姉妹だけの場合

配偶者はいるけれど、子ども・孫・親・祖父母もいない場合です(既に他界しているなどのケースが考えられます)。この場合は、故人の兄弟姉妹も法定相続人となります。

この場合の相続割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。ですから、仮に兄弟姉妹が3人いる場合は、3人でさらに分けるので、一人当たり(相続財産の)12分の1ずつをうけとることになります。

故人の兄弟姉妹だけの場合

故人に配偶者がおらず(他界の場合も考えられる)、子ども・親・祖父母もいない場合には、故人の兄弟姉妹「のみ」法定相続人となります。この場合は、相続財産の全てを兄弟姉妹の人数分で割ることになります。

ただし、このケースでは相続税が20%加算されることだけは注意しておきましょう。後述の見出しで詳しく解説しています。

異母・異父兄弟と相続する場合

異母・異父兄弟にも相続権がありますが、親の遺産を相続する場合と兄弟姉妹間の相続では法定相続割合が異なります。

  • 親の遺産相続時:異母・異父兄弟にも実の兄弟姉妹と同じだけの相続権
  • 兄弟姉妹間遺産相続時:腹違い、父親違いの場合は実の兄弟姉妹の2分の1の相続権

異母・異父兄弟にも相続権はありますが、親の遺産を相続する場合と兄弟姉妹の遺産を相続する場合とで相続割合が異なる点には注意しましょう。

親の遺産を異母・異父兄弟と相続する場合

親の遺産を異母・異父兄弟と相続する場合は、実の兄弟姉妹と同じだけの相続権があります。

仮に父親が亡くなり、配偶者である母親がいて実の兄弟姉妹が2人いて異母・異父兄弟が2人の場合は、配偶者である母親の法定相続割合が半分です。

子ども4人分の相続割合は異母・異父兄弟でも変わらないため平等に法定相続割合の半分を4分割となります。

故人の兄弟姉妹に遺留分は認められない

故人が遺言書を作成していた場合、遺言内容は法定相続分よりも優先されるため、遺言内容によっては法定相続人が財産を受け取れなくなる場合があります。

法定相続人が遺産を受け取れない事態を防ぐため、民法では遺留分という制度を定めています。

遺留分とは、一定の範囲で法定相続人に最低限保障される遺産のことです。

遺留分を侵害された場合には、他の相続人や贈与を受けた人に対して遺留分侵害額を請求できます。

しかし、遺留分が認められる一定の範囲の法定相続人には被相続人の兄弟姉妹は含まれません。

「一定の範囲」は、配偶者や子どもなどの直系卑属や親などの直系尊属ですので、故人の兄弟姉妹(およびその代襲相続人)に遺留分は認められていません。

兄弟姉妹間の遺産トラブルを未然に防ぐ5つの方法

兄弟姉妹で相続をするとなると、遺産トラブルに発展してしまう可能性もあります。ここでは、これから兄弟の相続を控えている方に、トラブルを未然に防ぐ方法を紹介します。

①生前に遺言書を作成する

兄弟姉妹間の遺産トラブルを未然に防ぐ一番効果的な方法が遺言です。

遺言があると無駄な争いを避けることができるため多くのトラブルを未然に防げます。

遺言には、以下の3種類がありそれぞれメリット・デメリットがあります。

  • 自筆証書遺言:遺言を残す人が全文を自筆で書き、パソコンの利用や代筆はできない遺言書
  • 公正証書遺言:法律実務豊富な公証人に遺言内容を伝え作成してもらう遺言書
  • 秘密証書遺言:公証人と証人2人以上に遺言書証明をしてもらい遺言の内容を秘密にする遺言書

兄弟姉妹間のトラブルを防ぐことが目的であることを忘れずに、最適な方法を選択しましょう。

また、相続人が兄弟姉妹の場合には、遺留分がないので、遺言書をしっかり準備しておけば、基本的に相続争いはおこらないということになります。

相続人が兄弟姉妹の場合には、ぜひ遺言書を作成することをご検討ください。

また、家族には生前に遺言書を書いてもらえなかったと後悔しないように、しっかりと遺言書の重要性を説明し、遺言を書いてもらえるように行動していきましょう。

②生前に財産や法定相続人を決めておく

相続トラブルを防ぐためにも、預貯金や不動産などの財産調査と土地や建物を含む財産目録作成が必要です。

しかし、仕事や家庭があったりすると日々の生活が忙しく財産調査や財産目録を作成する余裕があるとはいえません。

生前に余裕がある時に法定相続人を確認しておき、財産は財産目録作成をしておきましょう。

土地や不動産、預貯金などの財産の全体像が分かると財産をしっかりと把握でき、変な憶測も起こらず、残された兄弟姉妹が相続を進めやすくなります。

③生命保険を活用し遺産分割の自由度を増やす

生命保険に加入し活用することで、遺産分割の自由度が増します。

例えば、不動産や家など分割しにくい財産を長男に渡し、次男には生命保険の死亡保険金を受け取ってもらうなどです。

しかし生命保険はいつでも加入できるわけではなく、加入する本人の年齢や健康状態を加味される場合が一般的です。

健康な時には生命保険の重要性が分からない場合もあるかもしれません。

健康状態によっては加入できないこともあるため、健康なうちから生命保険を活用し準備を進めていくことがおすすめです。

④預貯金の使用履歴を把握する

特に、高齢の親の世話をしていたり、要介護状態の親の介護をしていたりする場合には確認しておきたいものです。

世話をしている側が、高齢の親の通帳から生活費を引き出し使用する場合は預貯金の使用履歴を把握し明確化することが重要です。

引き出したお金の使用履歴を明確化しておかないと、引き出したお金を自分の懐に入れているのではと疑われる恐れがあるためです。身内とであっても、家計簿をつけるようにして使用金額と用途を記録していきましょう。

⑤早い段階で弁護士に依頼をする

遺産分割の話し合いがまとまらない場合や遺産トラブルを未然に防ぐために、早い段階で弁護士に依頼をすることも一つの手です。

弁護士以外にも頼れる場所(行政の窓口・専門家)があるので、早い段階で任せれば話し合いがまとまらない場合や口論になるなどの面倒が減って楽になります。

また、遺産分割などの問題が解決できず紛争になってしまった場合でも、弁護士に早めに依頼しておくと的確なアドバイスを適宜もらえます。

紛争問題に対応してくれることが弁護士の最大のメリットといえるでしょう。

弁護士へ相談する場合は相続を弁護士に無料電話相談する方法|弁護士の選び方や費用の相場も解説をご覧ください。

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兄弟姉妹が相続人になる場合の3つの注意点

ここでは、兄弟姉妹が相続人になる場合の注意点を紹介します。

①再代襲がされない

代襲相続とは、相続人となるべき子どもや兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、もしくは相続権を失っていた場合に、さらにその相続人が代襲することを言います。

この場合の相続人を「代襲相続人」といいます。

また再代襲とは、相続人及び代襲相続人が被相続人死亡時にすでに亡くなっている場合、さらに代襲相続することを言います。

②相続税が20%加算される

故人に親や子ども、祖父母などがいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

故人の兄弟姉妹が相続人となる時は、相続税が20%加算され税負担が重くなる点には注意が必要です。

③収集する戸籍が増加する

相続人を決定するためには、故人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得する必要があります。

戸籍謄本とは、戸籍に記載されている全員分の身分を証明するものです。

氏名や生年月日、親子関係、本籍地などがすべて記載されているため戸籍謄本が必要です。

兄弟姉妹での相続の際には、一般的な相続での戸籍収集と比較して戸籍収集の量が多く、手続きが煩雑になり、時間がかかる傾向があります。

必要書類に漏れがある場合には、最初からやり直す必要があり時間がかかってしまいます。細心の注意を払って対応していきましょう。

まとめ|遺産相続は面倒だけれど兄弟でスムーズに進めよう

民法では、法定相続人・相続順位・相続割合も決められています。しかし、法定相続割合はあくまでも民法で定められた遺産分割の「目安」なのです。

もし、遺言書が残されている場合には、原則的として遺言書通りに遺産分割をおこないます。また、相続人全員が遺産分割協議で合意した場合は、決めた割合で分けることも可能です。

遺産相続は相続人全員が揃う必要があるだけでなく、協議がうまくいかず口論になってしまう場合もあるでしょう。

しかし、みんなで納得した遺産分割をおこなうためにも、遺産相続は面倒ですが穏やかに進めていきましょう。

また、遺言書があれば遺産分割協議を回避することができます。

親族で話し合いをしようとすると、うまくいかないということがあらかじめ想定される場合には、しっかりと遺言書を準備されることをお勧めいたします。

また弁護士へ相談する場合は遺産分割について弁護士に無料相談する方法|弁護士に依頼するメリットも解説をご覧ください。

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本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
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