借金を回収するにはどうすればよい?回収方法・相談窓口を解説
友人や恋人、家族にお金を貸した方は、穏便・確実に借金を回収できる方法はあるかと疑問を感じていますよね。
本記事では、借金の回収方法や注意点、知っておくべきポイントなどを解説します。
自分でどのように対処すればいいかわからない方は借金の回収方法について知れるため要チェックです。
また、自分で借金の回収が難しい場合の相談先についても紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
借金を回収するために知っておくべきこと3つ
最初に、借金回収のために知っておくべきことについて3つ紹介します。
スムーズかつ確実に借金を回収するためにも、事前に把握しておきましょう。
1. 口約束だけで借用書がなくても返済請求はできる
消費者金融や銀行からお金を借りる際は、必ず借用書を作成します。
一方、個人間では借用書を作成せず、口約束だけでお金の貸し借りをしてしまうケースは珍しくありません。
借用書を作成しなかったため、相手が返済を渋ってお金を回収できないと困っている方は少なくないでしょう。
しかし、借用書がないからと借金の回収を諦めなければならないわけではありません。
口約束の場合でも相手が返済の意思を表しており、実際にお金を貸している事実があれば返済請求は可能です。
ただし、相手が返済に応じない場合に備えて、お金のやり取りに関する証拠を用意する必要があります。
2. 各債権には時効が定められている
原則として、個人間の借金の時効は10年間です。
つまり、お金を貸してから何もアクションを起こさなければ、10年後には借金の回収ができなくなります。
ただし、借金の時効は更新が可能で、更新し続けていれば時効成立までにカウントがやり直しとなるため、時効を迎えることはありません。
更新となるタイミングとして、たとえば相手がお金を返済する意思を表したときや、法的手段をとったときなどが挙げられます。
時効切れで借金を回収できず泣き寝入りする事態にならないためにも、早めに借金回収のアクションを起こしましょう。
3. 借金を回収するために必要なもの
個人間での借金を回収するためには、以下のようなお金のやり取りがわかる証拠が有効です。
- 通帳など銀行振込履歴がわかるもの
- LINEやメールなど金銭の貸し借りがわかるもの
- 受領書やメモ
- 第三者の証言
たとえば、相手の銀行口座にお金を振り込んだ場合は通帳に日付と金額が残るため、重要な証拠となります。
現金を手渡しして振込履歴がない場合でも、LINEやメールでお金のやり取りがわかる内容があれば有効です。
仮に借用書のような正式な書類がない場合は、受領書や簡単なメモが残っているかを確認しましょう。
また、紙や電子のデータがなければ第三者の証言が間接的に役立つ可能性があるため、お金のやり取りをした会話を聞いた方がいないかを確認してみてください。
借金の主な回収方法6つ
借金の回収方法には、主に以下の6つが挙げられます。ニーズや状況に応じてベストな方法を選びましょう。
1. 対面・電話・メールで交渉する
法的手段を使わず穏便に借金を回収したい場合は、対面・電話・メールなどで直接交渉する方法があります。
交渉したタイミングで返済に応じてもらうことがベストですが、相手が着信拒否や居留守などで音信不通になる可能性はゼロではない点には注意しなければいけません。
しかし、交渉自体が時効の更新になるというメリットもあります。
時効切れで借金の回収ができなくなるリスクを避けるためにも、相手への交渉はコンスタントにすべきです。
なお、万が一裁判になることを想定し、対面や電話の場合は録音・記録することをおすすめします。
ただし、個人で交渉する場合は脅しと捉えられる言葉を使ったり、いつまでも相手の家に居続けたりすると、恐喝罪などの罪に問われる可能性があるため注意してください。
やり取りをするうえで相手が一向に返済に応じない場合は、法的な手段に移ります。
2. 内容証明郵便で催促する
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に・どのような内容で郵便物を送ったか郵便局が証明してくれる制度です。
相手が内容証明郵便を受け取ってもなにもアクションも起こさなければ、返済の意思がないという証拠になります。
なお、内容証明郵便自体に法的な強制力はありませんが、普通の葉書や手紙よりも相手に対してプレッシャーを与えられるでしょう。
特に、弁護士が作成した内容証明郵便であれば、今まで連絡が返ってこなかった相手もなんらかの対応をしてくる可能性が高くなります。
普通の手紙やメールなどで相手からのリアクションがない場合は、内容証明郵便を活用しましょう。
また、内容証明郵便は時効の更新の手段としても活用できます。
3. 民事調停を申し立てる
民事調停とは裁判所の調停機関を利用して、第三者をはさんで自分と相手の合意で解決する制度です。
普通の裁判と比べてもスピード感があり、コストも抑えられるというメリットがあります。
民事調停の時点で相手が返済に応じれば解決となりますが、返済請求に合意しなければ裁判へと進みます。
4. 支払督促を申し立てる
支払督促とは裁判所から直接支払いを督促する制度です。
裁判所から届く通知という点で相手に大きなプレッシャーを与えられるため、返済請求に応じる可能性が高いというメリットがあります。
また、支払督促が裁判で有利な証拠になるため、裁判へ進む際にも効力を発揮するでしょう。
支払督促でも相手が返済に応じない場合は、少額訴訟などに進みます。
5. 少額訴訟・通常訴訟を起こす
支払い督促に相手が応じない場合は、少額訴訟または通常訴訟を起こします。
少額訴訟は60万円以内の借金回収に対応しており、1回の判決で決着します。
コストを抑えつつ時間もかけずに進められますが、借金が60万円以上ある場合や争いが複雑化した場合などは少額訴訟では対応できません。
借金の額が大きい場合や争いが複雑化した場合は、通常訴訟を起こします。
通常訴訟は法的強制力が強い点がメリットですが、自分だけで対応することは非常に難しいです。
そのため、コストをかけてでも弁護士に依頼したほうがいいでしょう。
6. 強制執行の手続きをおこなう
強制執行とは、裁判所の判決のもと相手の財産を差し押さえる方法です。
財産から借金を返済させる方法となるため、万が一相手の財産が不足している場合は全額返済が難しいかもしれません。
また、強制執行は必ずしも全額返済ができるとは限らないうえ時間とコストがかかることから、結果的にマイナスになるリスクもゼロではないのです。
そのため、自分だけの判断で手続きに進まず、弁護士へ依頼することをおすすめします。
借金を回収する際の注意点3つ
借金を回収する際には、いくつか注意点があります。
思わぬトラブルを避けるためにも、以下の3点に注意してください。
1. 強引な回収は避ける
相手がなかなか返済に応じない場合、直接会って交渉をするケースもあるでしょう。
しかし、いくら早く返してほしいからといっても強引な回収は避けてください。
たとえば、乱暴な言葉を使ったり相手の会社に乗り込んだりするような行為は、かえって自分が訴えられるリスクがあります。
恐喝罪や営業妨害にならないよう、あくまで冷静に対処しましょう。
2. 返済計画や返済方法の変更も検討する
お金を貸した側からすると、できる限り早い段階での一括返済が望ましいです。
しかし、借主の経済状況によっては、いきなり一括返済ができない可能性はゼロではありません。
仮に一括返済が見込めない場合は、分割返済など返済計画や方法の変更を検討しましょう。
なお、返済しやすい計画を提案することで、相手が返済に応じる可能性は高まります。
無理のない返済計画や方法の提案で相手を納得させ、返済に応じさせることも回収するうえで有効な手段です。
3. 自力での回収が難しい場合は外部に相談する
交渉や返済計画の変更など借金回収のために自分でできることはありますが、自力での回収が難しい場合は外部に相談したほうがいいでしょう。
特に訴訟や裁判に進んだ場合は、法的な知識や経験がなければ余計なコストや時間がかかったり、借金の回収そのものができなかったりするなどのリスクが懸念されます。
解決に向けて弁護士に借金の回収を依頼すれば適切な方法をアドバイスしてくれるうえ、裁判の際には代理で出廷してくれます。
時間や労力を使わずに借金を回収したい方は、弁護士など外部に相談したほうがスムーズでしょう。
ただし、外部に相談する場合は高額なコストがかかる可能性があるため、回収できる借金の金額と照らし合わせて相談するか否かを検討してください。
借金の回収を依頼できる窓口3つ
自力で借金の回収が難しい場合、外部への相談がおすすめです。
ここでは、借金の回収を依頼できる窓口を3つ紹介します。
1. 弁護士|法的な知識・経験が豊富
弁護士は債権回収をはじめ、あらゆる法的な知識・経験が豊富です。
借金の回収に関する手続きなどを一任したい場合は弁護士へ依頼しましょう。
ただし、弁護士へ依頼する場合の費用は高額となる傾向があるため、回収できる金額が少なければ結果的にマイナスになってしまう可能性があります。
弁護士に依頼をするとかえって損をするリスクを避けるためにも、事前にしっかりと計算しておきましょう。
2. 認定司法書士|登記に関する業務のほか債権回収の業務もできる
認定司法書士とは登記に関する業務のほかに、債権回収の業務もできる司法書士のことです。
一定条件の債権回収は引き受けてくれますが、140万円以内の債権回収しかできないといった注意点もあるため事前に確認しておいてください。
3. 債権回収会社|法令を遵守し債権回収を行う専門の会社
債権回収会社とは別名「サービサー」という債権回収専門の会社で、法令を遵守しているため安心して借金回収を依頼できます。
自力での回収によるトラブルを避けたい方は、ぜひ利用を検討してみてください。
ただし、債権回収会社への手数料などを考えると自分での回収と比べてコストがかかる傾向にあります。
借金の回収を弁護士に依頼する場合のポイント3つ
借金の回収の依頼先として弁護士が挙げられます。
ここでは、借金の回収を弁護士に依頼する場合の3つのポイントを紹介します。
1. 弁護士に依頼したほうがよい3つのケース
以下のようなケースに当てはまる場合は、借金の回収を弁護士に依頼したほうがいいでしょう。
- 借金回収のストレスから早く解放されたい
- ベストな方法で借金を回収したい
- 裁判の場合はサポートしてほしい
借金は借りた側だけでなく、貸した側にも大きなストレスを与えます。
お金を貸した相手が知人や友人の場合は、督促行為自体が苦痛になるかもしれません。
そこで、弁護士に依頼をすれば回収のための書類作成や法的手続きなどを一任できるうえ、相手へ交渉せずに済むことからストレスも避けられます。
ベストな方法で回収してくれるため、スピード感や手元に残るお金を重視する方はメリットを感じられるでしょう。
また、仮に裁判になった場合でも代理人として出廷してくれるため、裁判に要する時間や労力を心配する必要はありません。
2. 弁護士費用の相場|1時間5,000円から10,000円
弁護士費用の相場は事務所や借金額などによって異なりますが、相談料は1時間あたり5,000円から10,000円程度です。
なお、事務所によっては初回無料のケースもあります。
ただし、成果報酬型の弁護士は返済額の一部を支払うことになっているため、回収する借金が多いほど支払いも高くなる点に注意してください。
たとえば、成果報酬が回収額の10%という場合、100万円を回収したら10万円を支払うことになります。
ほかにも、着手金や実費などの費用も必要となるため、事前に見積もりを実施しチェックしておきましょう。
3. 弁護士の探し方|ホームページで得意分野や実績をチェック
一般的に、弁護士はホームページなどからニーズに合ったところを選びます。
得意分野や実績が記載されている場合は、借金回収を得意としているかチェックしておきましょう。
そして、ホームページで依頼先の弁護士を見つけたら実際に相談へいきます。
初回相談では親身になってくれるか、わかりやすく説明してくれるかなどをチェックし、自分と合いそうな弁護士に依頼をしましょう。
多くの弁護士と話して依頼先を見つけたい場合は、初回相談無料の事務所を利用することでコストを抑えられます。
さいごに|借金を回収できずに悩んでいるなら、まずは弁護士に相談を
貸したお金が返ってこず借金を回収できないと悩んでいる方は、まず弁護士に相談しましょう。
弁護士は自分にとってベストな借金の回収方法を提案してくれるだけでなく、手続きや裁判所への出廷なども代理でおこなってくれます。
自力での回収にはさまざまなトラブルが想定されるため、早めに弁護士へ依頼することをおすすめします。