職場いじめに遭ったらどうする?いじめの具体例と対処法、相談先を解説


いじめは子どもだけの問題ではありません。
休職や転職が生活に直結する職場いじめは、子どものいじめよりも深刻な問題となることもあります。
今回は、職場いじめでお悩みの方に向けて、以下の内容を解説していきます。
- 職場いじめにはどのようなものがあるのか、具体例
- 職場いじめへの対処法
- 職場いじめの相談先
- 職場いじめの法的責任
自分が職場いじめに遭っているのかを確認したい方、具体的な対処法を知りたい方はぜひ参考にされてください。
職場いじめとは?職場いじめの具体例
職場いじめは、パワハラ・セクハラ・モラハラなどの行為によって被害を受けることを言います。
それぞれ具体例を見ていきましょう。
暴力や暴言
上司や同僚からの暴言や威嚇行為・身体的な攻撃は、明らかな職場いじめです。
たとえば、「お前仕事できないな」や「クビにするぞ」といった言葉を吐かれたり、物品の破壊をされたりする場合が該当します。
これらの行為はパワーハラスメントとして法的に問題視され、立件できる可能性があります。
陰口を言われる・無視される
陰口を言われる、無視されるといったことも職場いじめに該当します。
たとえば「ほかの社員より出来が悪い」と言われたり、会議やランチでの発言を無視されたりするなど、仕事上の連携での排除や孤立などが該当します。
これらのいじめは被害者の心を侵すだけでなく、第三者の証言など他者からの協力も得られにくくなります。
また、職場の協力関係も損なうことで、職場いじめとして立件することが難しくなるでしょう。
過大な量の仕事を課される
過大な量の仕事とは、達成できない過大なノルマや、無理な残業、業務過多などが含まれます。
たとえば、通常の処理スピードでは1週間ほどかかる作業を、緊急性も高くないのに一人に1日で処理するよう求める行為が該当します。
仕事がない・理由もなく担当から外される
仕事がない状況とは、上司または担当者が業務を割り当てず無視されることで、いじめに該当します。
仕事がないことでスキルの停滞や成果への不安が生じ、精神的な苦痛が生まれるでしょう。
たとえば、何の理由もなく突然プロジェクトを外されたり、雑用のみを命じられたりするなどがあります。
このように仕事が与えられない状況や必要性のない業務を強制することも、パワハラとして認定される可能性があります。
プライベートに干渉される・身体的接触
プライベートへの干渉や身体的な接触とは、職場外での個人的な事情に対する不適切な介入や、必要以上に問い詰めてくるなどの行為が該当します。
たとえば、仕事とは関係のないプライベートな情報を無理に聞き出そうとしたり、休日の過ごし方を執拗に問いただしたりするなどがあります。
職場いじめへの対処法・相談先
ここからは職場いじめに直面した場合の対処法と相談先を解説します。
それぞれ確認して、自分に出来そうな手段を選択しましょう。
いじめの相手と直接対峙する
いじめられている方は、加害者の顔も見たくないと思うこともあるでしょう。
ただし、直接話し合うにしても自分一人で立ち向かう必要はありません。
信頼できる同僚や、上司に相談して複数人での対話を検討しましょう。
話し合いで大切なのは、いじめの具体的な事例や言動を挙げ、その行為がなぜ問題かを明確に伝えることです。
客観的なデータや証拠を提示するとより効果的です。
このとき、感情が高ぶるとコミュニケーションが難しくなるので、冷静な態度を保つように心がけましょう。
また、相手を攻撃するのではなく、問題解決に焦点を当てることを心掛けてください。
会社の相談窓口に相談する
勤め先によっては、以下の相談窓口があります。
- 人事部
- 労働組合
- 社内カウンセリングセンター
- 産業医など
まずは勤め先にこうした窓口があるか確認しておきましょう。
相談の前に、各相談先でどのようなサポートが得られるのか、法的なアドバイスや対策も提供してもらえるかなど確認しておくとよいでしょう。
相談の際はいじめの具体的な事例や問題点を明確に説明しましょう。
相手が状況を理解しやすくするために、具体例や証拠の提出が役立ちます。
公的機関に相談する
職場いじめにおける公的機関の相談窓口は、主に労働基準監督署、労働局、労働者相談窓口があります。
それぞれ以下で解説します。
労働基準監督署
労働基準監督署には、労働基準法に基づく違反行為や、いじめによる労働環境の悪化など、労働問題について相談できます。
相談する際は、具体的な事例や証拠を持参し、問題点を具体的に伝えましょう。
法令違反がある場合、会社に行政指導をおこなう可能性があります。
ただし、指導に強制力はないので注意しましょう。
労働局
労働局は、労働に関する法令全般に対応できます。
ただし、自主的な解決を促すための助言や指導にとどまるため、根拠的な解決は見込めないかもしれません。
助言や指導で解決できない場合は、専門家によるあっせんを検討しましょう。
労働者相談窓口
自治体によっては、それぞれ労働相談のための窓口が設置されていることがあります。
働くうえでのいろいろなトラブルの相談を受け付けていますが、自治体によっては予約が必要なこともあります。
具体的な内容は自治体によって異なるため、それぞれの自治体のホームページを確認しましょう。
弁護士に相談する
労働問題に詳しい弁護士に相談すると、依頼主に合わせた解決策を提案してくれます。
法的手続きや交渉はもちろん、和解交渉などにも対応しているので、どのような解決を目指したいのかを明確に伝えるようにしてください。
弁護士を選ぶ際は、職場いじめの解決実績と経験が豊富かどうか、コミュニケーション能力に長けているかどうかなどを確認してください。
転職する
職場いじめがあまりにも酷く、交渉・改善の余地もない場合は転職を検討しましょう。
退職を申し出た際に「お前なんかどこに行っても通じない」などの暴言を受ける可能性もあるので、そうしたコミュニケーションも避けたい場合、退職代行サービスの利用もおすすめです。
自己都合退職を押し付けられたら?
職場いじめによって退職をした場合、自己都合退職を押し付けられる可能性があり、結局どちらがよいのか迷うこともあるでしょう。
会社都合退職のメリットは、失業保険を速やかに受けられることです。
ただし会社都合退職の場合、転職する際にはデメリットになる可能性もあります。
会社都合退職となると面接で退職理由を問われるので、職場いじめが原因の場合は「いじめられた」と正直に話すしかありません。
そうすると「人間関係が構築できない人」といった印象を持たれる可能性があるのです。
なお自己都合退職であっても、ハローワークで「特定受給資格者」と認めてもらうことができるので、会社都合退職にこだわる必要はありません。
自己都合退職でも会社都合と同じように失業保険をスムーズに受け取ることができます。
職場でいじめの対象になりやすい人の特徴
どのような特徴があったとしてもいじめられている人に責任はありません。
しかし、職場でいじめの対象になりやすい人の特徴というのはあるので、いくつか以下で紹介します。
社交的でない
社交的でない、あるいはコミュニケーションが苦手な人は、周囲との関係が希薄になりやすく、いじめの対象にされることがあります。
解決するためには、少しでも人の輪に入ろうと努力したり、勇気をもって仕事の協力をお願いしたりするなど、職場の仲間と繋がりを持つことがいじめ防止になるでしょう。
過去のいざこざ
以前の職場でのトラブルやいざこざがある場合、新しい職場でも同様の問題が再発する可能性があります。
人の口に戸は立てられぬと言いますが、どこからともなく噂が広まって、被害を受けることもあるでしょう。
同じトラブルを引き起こさないように、以前のトラブルの原因を明確にして、できる範囲で対策をとっておくとよいでしょう。
自己主張が弱い
自分の権利や意見を主張することが苦手で、他人に合わせることが多い人は、いじめの対象にされやすいことがあります。
たとえば、嫌味なことを言われたり、暴力を振るわれたりしても「嫌だ」という意思表示ができないと、いじめはおさまらないでしょう。
きちんと意思表示をするということが、いじめ防止につながります。
仕事のパフォーマンスが低い
仕事の成果やパフォーマンスが低い場合、他のメンバーから不満やストレスを向けられやすくなります。
また何度もミスを繰り返すことで、気づかないうちに周囲に迷惑をかけていることもあるでしょう。
ミスであれば、できるだけミスが起きないような取り組みをすることで改善できます。
そういった姿勢の変化を示すことで周りから見直されれば嫌がらせも無くなるかもしれません。
異なる特徴を持つ
たとえば、人は自分に無いものに嫉妬をすることがあり、成績優秀だったり容姿端麗な人に対して妬みからいじめをおこなうことがあります。
この場合、いじめる側を変える事は出来ないのですが、満たされない心の寂しい人なのだと割り切って、思いやりをもって接すると反感も減る可能性があります。
職場いじめの加害者に問える法的責任
職場いじめは法的な問題に発展しやすく、特にパワハラやセクハラの要素が絡むケースが多いです。
ここからは加害者や会社に対して法的責任を問うポイントを解説します。
職場いじめはパワハラやセクハラに該当するケースが多い
パワハラは権力を背景にした嫌がらせであり、セクハラは性別に基づく不当な行為です。
これらが職場いじめの要素に含まれる場合、労働者の権利侵害として法的な対策が可能となります。
具体的には下記のとおりです。
- メッセージやチャットでの侮辱的な言葉や嫌がらせ
- 会議や業務中に直接的な侮辱や脅迫を受ける
- 不適切なジョークや冗談、性的なコメント
- 不要な身体的接触や視線の性的な嫌がらせ
- 仕事の成果や評価が明らかに他の同僚よりも低く評価される
- 仕事の分担やプロジェクトへの参加において不当に排除される
この場合、職場いじめが発生した場面や日時、関与者の名前を細かく記録しておきましょう。
日記やメモなどを残しておくと、整合性が取れれば有力な証拠となります。
また、電子メール、メッセージのスクリーンショットや音声録音など、できるだけ具体的な証拠を保存するのが望ましいです。
ハラスメントの目撃者がいる場合、その人々の証言も集めるようにしましょう。
加害者に対する損害賠償請求ができる
パワハラやセクハラなどを受けた場合、加害者に対して損害賠償請求が可能です。
損害賠償請求には法的な根拠が必要で、被害者はパワハラやセクハラなど具体的な法的違反行為があったことを示す必要があります。
民事訴訟となりますので、労働問題を得意とする弁護士にサポートを依頼しましょう。
弁護士であれば裁判になる前に、加害者との和解交渉も可能です。
和解が成立すると裁判手続きを回避でき、迅速な解決が期待できます。
会社が損害賠償請求の対象となることも
職場いじめが会社の管理や監督の不備に起因している場合、被害者は会社に対しても損害賠償請求をおこなうことができます。
会社との裁判で勝つことができれば、金銭的にも精神的にも損害を被っていた場合、それらの慰謝料を受け取れます。
ただし会社を訴える場合は、関係性が悪化して同じ職場で働くことが難しくなったり、かえって訴えられる可能性もあることに注意が必要です。
職場いじめの対処には証拠が必要!費用や時間がかかる点にも要注意
職場いじめに立ち向かうためには証拠が欠かせません。
被害を証明し、法的手段を検討する際には、言動の記録や具体的な事例が不可欠です。
しかし、証拠を集めるプロセスは手間暇がかかり、精神的な負担も大きいこともあるでしょう。
また、弁護士の助言や訴訟手続きには一定の費用がかかります。
費用倒れしないためにも、正確な見積もりを説明してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
さいごに|職場いじめは放置せずに、しっかりとした対応を
職場いじめは法律問題に発展し、被害者にとって深刻な影響を与える可能性があります。
職場いじめに立ち向かうためには、弁護士の協力が不可欠です。
法的なアドバイスや手続きのサポートを得ることで、効果的かつスムーズな問題解決が期待できます。
問題を放置せず、迷ったときは専門家に相談して、健全な労働環境の確立に向けた解決策を見つけてください。