離婚で慰謝料がもらえないこともある!もらえないのを防ぐ方法を解説
慰謝料を貰ったうえで離婚を考えている方は、必ずしも慰謝料を請求できるかどうか気になりますよね。
本記事では、離婚で慰謝料を請求できないケースや、請求できないリスクを防ぐ方法などについて解説します。
また、慰謝料以外にも離婚時に請求できるお金もまとめているので、どんなお金を貰えるか離婚前にチェックしておきましょう。
最後には離婚問題を得意とする弁護士の探し方も紹介するので、自力では心配な方はぜひご覧ください。
離婚で必ず慰謝料がもらえるわけではない!
自分が相手に不満を抱いたことが原因で離婚を考えるとき、慰謝料も請求できると思う方もいるでしょう。
しかし、離婚で必ずしも慰謝料を貰えるわけではないという点に注意してください。離婚における慰謝料には、次のような定義があります。
理解しておきたい「慰謝料」の定義
原則として、慰謝料とは自分が相手から受けた精神的苦痛に対して支払われます。
そのため、相手から精神的苦痛を受けたとはみなされない場合や、相手の不法行為などが認められない場合などは慰謝料は発生しません。
また、相手に不法行為があったと認められた場合でも、証拠不足によって慰謝料が請求できないケースもあります。
そのほかにも、自分にも不法行為など落ち度があった場合は相殺というような形で、相手の不法行為による慰謝料がなくなるケースもある点に注意してください。
離婚の慰謝料を請求するためには、精神的苦痛を受けた・証拠がある・自身は不法行為をしていないという3つのポイントが重要になります。
離婚慰謝料をもらえない8つのケース
離婚で慰謝料を貰えないケースとして主に次の8つが挙げられます。
自分が離婚を考えるときは、これらに当てはまっていないかチェックし、慰謝料が貰えそうかどうかの参考にしてください。
1.性格が合わないことが原因で離婚
性格の不一致は離婚の原因の中でも大きな割合を占めます。
性格の不一致による離婚成立はありえますが、どちらかが相手に慰謝料を請求できる可能性は低いでしょう。
離婚の慰謝料は精神的苦痛を受けたことが前提となるため、性格が合わないというだけでは精神的苦痛の責任を求めることは難しいです。
ただし、モラハラのような言動は性格の不一致ではなく、相手の不法行為とみなされる可能性もあります。
モラハラによる離婚を考えている場合は、モラハラによって精神的苦痛を受けたことを立証する証拠を集めましょう。
2.DVや浮気を証明できるものがない
DVや浮気は、精神的苦痛が認められ、離婚時に慰謝料請求ができる代表的なケースです。
しかし、慰謝料請求をして離婚するためには、DVや浮気の証明が必要となります。証拠がなければ、慰謝料請求は難しいでしょう。
たとえば、相手が不倫相手といるところを目撃しても肉体関係があると証明できなければ、不倫とはみなされない可能性があります。
どのような証拠を集めればいいかわからない場合や、自力での証拠集めが難しい場合などは、弁護士への相談がおすすめです。
3.宗教が原因で離婚した
宗教は離婚の一因となる可能性もありますが、ただ入信した・もともと信仰している宗教があるというだけでは慰謝料請求の対象にはなりません。
次のケースに当てはまる場合は、宗教による離婚慰謝料を請求できる可能性があります。
- 宗教活動のためにお金を使い、家庭に生活費を入れない
- 宗教活動に時間を割いて働かず、生活が苦しい
- 宗教を理由に、配偶者以外と性交渉している
夫婦には扶養義務があるため、その義務を放棄して宗教活動を優先することは悪意の遺棄とされ、慰謝料請求の対象となります。
同様に宗教活動とはいえ、配偶者以外との性交渉も不法行為とみなされます。
4.配偶者の親族と仲が問題で離婚した
配偶者の親族との仲がうまくいかず離婚する場合も、慰謝料を請求するのは難しいです。
離婚慰謝料請求は夫婦間の責任が問われるので、第三者である親族による行為はどちらの責任かを問うことができないからです。
ただし、配偶者の親族からのいじめが離婚の主な原因となった場合は、配偶者と親族どちらにも慰謝料請求できる可能性もゼロではありません。
第三者からも親族のいじめ行為を立証できるように、証拠を集める必要があります。
5.自分も不法行為をしていた
自分も不法行為をしていれば、自分だけ慰謝料を請求することは難しいでしょう。
相手に自分の不法行為が知られていなければよいのですが、明るみになった場合は相手から慰謝料を請求される可能性があります。
原則として、夫婦両者がそれぞれ同様の不法行為をしていた場合、慰謝料は相殺されると考えられます。
6.浮気される前から婚姻関係がすでに破綻していた
浮気や不倫は慰謝料を請求しつつ離婚できるケースですが、発覚する前から婚姻関係がすでに破綻している場合は、慰謝料を貰えないリスクもあります。
たとえば、次のケースに当てはまる場合は婚姻関係の破綻とみなされるかもしれません。
- すでに離婚の話し合いをしていた
- 離婚前提で別居していた
- 家庭内別居で、ほぼ会話や対面の機会がなかった
このような状態が続いていると、慰謝料請求を回避するために婚姻関係の破綻を主張される可能性もあります。
相手が婚姻関係の破綻を理由に離婚の慰謝料請求を拒否した場合は、自分の力だけではなく弁護士への相談がおすすめです。
7.相手に慰謝料を支払う能力がない
たとえ相手が100%悪く、慰謝料を請求できる場合であっても、相手に支払い能力がなければ慰謝料は貰えません。
現金以外にも不動産や株などがあれば差し押さえで強制的に回収できますが、換金できる資産がなければ慰謝料を貰うことは難しいでしょう。
ただし、相手の不倫が原因で離婚に至る場合は、不倫相手から慰謝料請求ができます。
また、相手が財産を隠し持っている可能性もあるので、まずは相手の財産が本当にゼロか確認することが大切です。
8.慰謝料請求の時効がとっくに過ぎていた
慰謝料請求には時効があるため、時効後に請求しても無効になります。
離婚の慰謝料を請求できるのは不法行為を知ってから3年、不法行為自体から20年と定められています。
つまり、不法行為を知ってから3年間何もアクションを起こさなければ、慰謝料は請求できません。
時効を延ばすためには、内容証明郵便や裁判によって請求アクションを起こす必要があります。
離婚慰謝料がもらえないリスクを防ぐ方法5つ
離婚慰謝料は自分にも非があったり、相手以外のことが原因だったりすると請求できないケースがあります。
一方で、DVや浮気など相手が悪いにもかかわらず、証拠や手続きの不備が原因で慰謝料請求できないのはもったいないです。
ここでは離婚慰謝料が貰えないリスクを防ぐ方法について5つ紹介するので、ぜひチェックしてください。
1. まずは離婚問題を得意とする弁護士に相談!無料相談も可能
自分だけで離婚の慰謝料の対応をすると相手から抵抗を受け、本来は貰えるはずの慰謝料を諦めたり、十分な金額が貰えなかったりするリスクもあります。
そのような事態を避けるためには、事前に離婚問題を得意とする弁護士へ相談することがおすすめです。
知り合いに弁護士を紹介してもらうと信頼もあって安心ですが、弁護士との関係がない場合は、インターネットなどでニーズにあった弁護士を探しましょう。
相談料無料の弁護士に依頼すれば、コストを気にせず複数社を比較しながら依頼先を決められます。
2. DVや浮気の証拠を集める
DVや浮気は口頭で伝えるだけでは、第三者には納得されない可能性もあります。裁判で有利になるには、客観的なDVや浮気の証拠集めが必要です。
たとえば、DVの証拠としてはけがした身体の写真や診断書、警察への相談履歴などが有効でしょう。
浮気の証拠としては、配偶者と不倫相手がラブホテルに入ったことや肉体関係を持ったことがわかるやり取りなどが利用できます。
証拠を集める際の注意点
慰謝料請求ができる確固たる証拠が集まるまでは、相手に離婚を切り出さないようにしましょう。
離婚話を先にした場合、慰謝料請求をおそれて配偶者が証拠を隠滅する可能性もあります。
弁護士などの力を借りて、相手の逃げ道がない状態にしてから離婚の手続きを進めてください。
3. 支払い方法や金額は譲歩する
相手の不法行為で離婚する場合、できるだけ高額な慰謝料を請求したくなるかもしれません。
しかし、相手の支払い能力や相場よりも高い金額を請求すれば、話に折り合いがつかず決着しない可能性があります。
相手の支払い能力や相場と照らし合わせて、慰謝料の金額を譲渡することも大切です。
4. 離婚の条件を決めるまでは離婚はしない
感情的になってすぐに離婚をしてしまうと、その後慰謝料を請求することが難しくなるかもしれません。
相手と連絡が取れなくなるリスクや、口約束をはぐらかされるリスクもあるため、必ず公式な書面で条件を決めてから離婚するようにしましょう。
5. 可能な限り協議離婚の方向で話をまとめる
協議離婚とは、夫婦間の話し合いだけで離婚条件を決めて離婚することです。
裁判に比べてコストや労力がかからないだけでなく、離婚条件も当事者間で柔軟に決められるというメリットもあります。
特にすぐにでも離婚したい方は、できるだけ裁判ではなく協議離婚で終えられるようにしましょう。
離婚の際に慰謝料以外に請求できるもの3つ
離婚の際に請求できるのは慰謝料だけではありません。貰えるお金を取りこぼさないように、しっかりあらかじめチェックしておきましょう。
離婚の際に請求できる慰謝料以外のお金には、次の3種類があります。
1. 養育費|親権を持たない親は支払う義務がある
養育費は子どもがいる場合、親権を持たない親は必ず支払う義務がある費用です。
しかし、必要な養育費を全て支払う前に未払い状態になるケースも少なくありません。
養育費未払いを防ぐためには、支払いが滞った場合には財産差し押さえができるような公的書類を作っておくことが大切です。
養育費の支払いは口約束だけでは未払いに繋がるリスクも高いので、必ず公的書面を残しましょう。
2. 財産分与|夫婦で築き上げた共有財産は請求できる
財産分与とは、夫婦共有財産を決めた割合によって貰える制度です。
一般的には折半になることが相場ですが、相手が財産を隠し持っている場合は、どちらかが損してしまいます。
財産の隠し持ちを回避するためには、事前に弁護士の力を借りて、財産を把握しておきましょう。
3. 婚姻費用|は生活するために必要な費用
婚姻費用とは離婚後の生活に必要となる費用です。
一生涯貰えるわけではありませんが、衣食住にかかる生活費や医療費、娯楽費などは婚姻費用に含まれます。
また、子どもがいる場合は養育費も婚姻費用の一部なので、しっかり請求しましょう。
どうしても離婚慰謝料をもらいたい!離婚問題を得意とする弁護士の探し方
現時点は請求が難しくても、どうしても離婚慰謝料を貰いたいという方もいるでしょう。
離婚慰謝料を貰える確率をアップさせたい場合は、離婚問題を得意とする弁護士への相談がおすすめです。
ここでは離婚問題を得意とする弁護士の探し方について2つ解説します。
1. インターネットで探す
インターネットで離婚・弁護士などのワードで検索すると、離婚問題を得意とする弁護士が複数ヒットします。
各ホームページをチェックして、自分にぴったりの弁護士を探しましょう。
自分ぴったりの弁護士の選び方として、離婚問題に関する実績や得意分野、口コミなどが挙げられます。
ほかにも無料相談を受け付けているか、雰囲気がよさそうかなどでも弁護士を選ぶことをおすすめします。
2. ベンナビ離婚問題で探す
ベンナビ離婚とは、離婚を得意とする弁護士を探せるポータルサイトです。
自分の住んでいるエリアや相談内容などで弁護士を一度に探せるので、複数社を効率的に探したい方はぜひチェックしてください。
離婚慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
離婚慰謝料請求は、弁護士に相談することをおすすめします。
離婚慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとして、次の3つが挙げられます。
1. 早めに相談することで離婚時に生じやすいトラブルを回避できる
弁護士は離婚に関する知識が豊富で、離婚時に生じやすいトラブルも熟知しています。
あらかじめ弁護士にトラブルの回避方法についてアドバイスを貰っておくと、十分な慰謝料を貰えないというリスクも軽減できるでしょう。
夫婦間での離婚の話し合いがこじれる前に、できる限り早く弁護士へ相談することがおすすめです。
2. 弁護士が相手と交渉してくれるので感情的にならなくてすむ
離婚の慰謝料請求について夫婦だけで話し合うと、お互い感情的になって話がすすまない可能性があります。
自分の代理人として弁護士に入ってもらうことで、感情的ではなく冷静な話し合いができます。
特に相手にネガティブな印象があって顔を合わせたくない方にとって、弁護士が代わりに交渉してくれる点は大きなメリットになるでしょう。
3. 離婚慰謝料の交渉がスムーズに進む可能性がある
弁護士は離婚慰謝料の相場や、相手が支払いやすい状況などを把握しているため、自分で対応するよりもスムーズに交渉が進みやすいでしょう。
また、自分の交渉には応じない相手でも、弁護士が伝えると対応するケースもあります。
離婚や慰謝料請求の交渉をスムーズに進めたい方は、弁護士へ依頼するといいでしょう。
4. 親権や養育費などの相談にものってもらえる
離婚時には慰謝料だけでなく、親権や養育費も問題になることもあります。
全て夫婦で納得するまで話し合うのは簡単ではなく、離婚が成立しなかったり、満足できる条件で離婚できなかったりするリスクもあります。
慰謝料にくわえて親権や養育費の心配もある方は、まとめて弁護士に依頼するといいでしょう。
離婚の慰謝料に関する質問Q&A
最後に、離婚の慰謝料に関する質問についてまとめます。
離婚の慰謝料が貰えるかどうか気にしている方がよく抱く疑問であるため、ぜひチェックしてください。
Q. 慰謝料がもらえない離婚のケースを教えてください
性格の不一致や親族問題など、夫婦どちらの責任かわかりにくい場合は、離婚でも慰謝料を貰えない可能性があります。
また、自分も不法行為をしているケースも、相殺という形で慰謝料が請求できないかもしれません。
そして、時効を過ぎてからの請求も慰謝料の対象外となるので注意してください。
Q. 慰謝料以外に配偶者に請求できるものはありますか?
大きく養育費・財産分与・婚姻費用が挙げられます。
養育費は子どもがいる場合、親権者ではない親は支払う義務があるので、未払いを防ぐためには公的書面の作成がおすすめです。
公的書面には、財産差し押さえなど未払いの場合の対応について記載しましょう。
財産分与とは離婚時に夫婦間の財産をわける制度で、割合は夫婦間で決めることもできます。
婚姻費用は離婚後の生活費・医療費・娯楽費のことで、生涯受け取ることはできませんが、当分の生活費には困らないでしょう。
Q. 離婚問題を得意とする弁護士はどうやって探せばいいですか?
インターネットで検索すると、離婚を得意とする弁護士のサイトやホームページがヒットします。
住んでいるエリアや相談内容などで、自分にあったところを選びましょう。
ベンナビ離婚というポータルサイトを利用すれば、一度に同じ条件の弁護士を複数検索できます。
Q. 離婚の慰謝料を弁護士に相談するメリットとデメリットは何ですか?
法的な知識や経験があるので、夫婦だけで話し合うよりも交渉をスムーズに進められます。
離婚の慰謝料だけでなく養育費や財産分与についても相談できるので、誰かにサポートしてほしい方にとっては大きなメリットになるでしょう。
一方、弁護士は高額な依頼費用がかかりますが、必ずしも希望の結果にはなるとは限らないなどのデメリットもあります。
せっかく依頼したのに費用だけ無駄にしてしまったというリスクを回避するためにも、弁護士選びは慎重にしましょう。
まとめ
離婚の際、必ずしも慰謝料を請求できるとは限りません。
自分も不法行為をしていた場合や、夫婦どちらか一方だけの責任とはいえない場合などは、慰謝料を請求できない可能性があります。
また、相手に非が認められる場合でも、離婚の慰謝料請求の時効を過ぎている可能性もあるため、早めに対応することが大切です。
本来は貰えるはずの慰謝料を請求できないリスクを防ぐためにも、夫婦間の話し合いは必要となります。
夫婦だけで話し合えない場合は、弁護士の力を借りると有効でしょう。
交渉をスムーズに進めたい方や、法的なアドバイスがほしい方などは、ぜひ弁護士へ依頼することをおすすめします。