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自己破産にかかる期間と専門家に依頼して短縮する方法

弁護士監修記事
債務整理
2023年02月14日
2023年08月01日
自己破産にかかる期間と専門家に依頼して短縮する方法
この記事を監修した弁護士
梅澤 康二弁護士 (弁護士法人プラム綜合法律事務所)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

自己破産手続きは、最短でも3ヵ月~半年の期間がかかりますが、自己破産の種類や借金の内容によっては、1年かかることもあります。

「もっと早く手続きを終わらせたい」と思った方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、手続きの期間や早く手続きを終わらせる方法について解説します。

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自己破産手続きの流れと期間

自己破産手続きの期間が人によって大きく異なる理由は、申立人の状況によって手続きの内容が異なるためです。

そこで、手続きの流れを解説するとともに、どのような条件で期間が変わるのか解説します。

【関連記事】自己破産するには何が必要?満たすべき条件や費用などを徹底解説

同時廃止と管財事件で異なる自己破産の期間

自己破産の申立が正式に認められた場合、同時廃止事件か管財事件のどちらかに分かれて手続きがおこなわれますが、同時廃止の手続きに要する期間は3ヵ月~半年程度、管財事件の場合は半年~1年程度かかります。

【参考】2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【データ編①破産事件】|日弁連

管財事件に該当する人

管財事件として手続きを行う人は、換金価値のある所有資産が20万円以上である場合、または免責不許可事由に該当している場合です。

免責不許可事由とは、免責(借金を免除)するに相応しくない事由であり、以下の8つの項目が挙げられます。

  1. 債務の原因がギャンブルや風俗である
  2. 最後の免責から7年以内
  3. 破産申立から1年以内に収入・借入金額を偽り、借入を行った
  4. 特定の債権者にだけ債務を弁済
  5. 特定の債権者の存在を故意に隠ぺいしていた(債権者平等の原則に反する)
  6. クレジットで購入した商品の換金
  7. 財産(資産の名義変更など)の隠ぺい行為
  8. 裁判所側に対して嘘の供述・協力的でない場合

免責不許可事由は裁判所から免責の許可が下りない原因になりえますが、免責不許可事由に該当しているからといって免責の許可が下りないわけではありません。

①破産・免責手続きの申立

自己破産の手続きの流れについて解説します。

まず最初に、あなたの住所を管轄する地方裁判所に申立手続きを行います。

申立必要書類

申立書類には、裁判所で受け取れる書類と自身で用意する書類があり、正しく記入した状態で提出しなければなりません。

裁判所で受け取れる書類の一覧と、記載内容は以下の通りです。

 

記載内容

破産申立書・免責申立書

申立人の個人情報

収入(財産)・借金に関する情報

借金を作った理由

陳述書

経歴(職歴)

家族構成

住まいの状況

申立に至った経緯

債権者一覧表

各債権者(賃金業者)の特定するための情報(名称・住所)

借入状況(借入金額・最終返済予定日・担保の有無)

財産目録

現金・貯金

貸付金などの債権

不動産(賃貸の場合は敷金の有無)・自動車

保険・有価証券などその他換金価値のある財産

家計の状況

申立前から2~3ヵ月以内の収支の状況

また、上記の裁判所で用意する書類に記載した内容を裏付けるために、以下の書類を集めなければなりません。

個人で用意する書類の一覧

申立人を特定するための書類

住民票

戸籍謄本

収入の情報を示すための書類

給与明細書

源泉徴収票のコピー

市民税・県民税証課税明書

財産の状況を示すための書類

預金通帳のコピー

賃借契約書(敷金・礼金の記載)

不動産登記簿謄本

退職金を示す書類

保険証券のコピー

保険解約返戻金証明書

車検証のコピー

自動車の査定書

公的助成金・年金証明書のコピー

受給証明書のコピー

財産分与明細書

財産相続明細書

クレジットカード

上記の書類は、申立書、陳述書、財産目録、家計の状況を示すために必要な書類です。

申立人の生活状況や担当する裁判所によって必要書類が異なることもありますので、管轄の裁判所に確認しましょう。

②破産尋問|申立から2週間~1ヵ月

申立が受理されたら、続いて裁判官との面接が行われますが、申立開始から2週間~1ヵ月程度かかります。

面接において、借金原因が免責不許可事由に該当するか、申立人の支払能力などの確認が行われます。

自己破産は、借金に対して支払能力が乏しい人を対象とした手続きであるため、この尋問において一定以上の支払能力があると判断された場合、自己破産の手続きを行うことができません。

③破産手続き開始|尋問から数日後

破産尋問が数日後に破産手続きが開始されます。

この際に、破産者が同時廃止事件と管財事件どちらに進むか決められます。

管財事件の場合は破産者の財産の調査から処分までの手続きを担う管財人が選定されます。

管財人には裁判所から弁護士が選定されますが、管財人が選定された段階から、破産者は自身の財産を処分(売却や贈与など)することができません。

【関連記事】破産管財人の役割や権限について知っておくべき4つの事

管財事件は同時廃止事件と異なり、破産者の財産の調査、換金、債権者への配当までを行うため時間がかかります。

同時廃止事件に関しては、破産手続きが開始された後に免責許可手続きが行われますが、手続きの④、⑤に関しては管財事件に進む方に向けた内容になりますので同時廃止事件に進まれる方は読み飛ばしてください。

④債権者集会

管財人の選定後、破産者の借金に対する全ての債権者(賃金業者)を対象に集会が開かれます。

債権者集会は通常、破産手続きと同時に日程が指定されます。

債権者集会では債権者に破産者の財産状況を知らせるだけでなく、各債権者の意思を尊重するために必要な集会です。

⑤債権の決定から配当まで

破産者の財産は最終的に、配当という形で各債権者達へ分配されますが、配当金額を決めるためには各債権者の債権の存在、債権額を明らかにしなければなりません。

配当金額は、破産者の債権(借金)総額のうち、所有している債権の割合によって算出されます。

破産者の特定の財産(不動産)に抵当権を所有している債権者は、その財産における配当が優先的におこなわれます。

配当は財産の換金後に各債権者の債権額に応じて平等に分配され、配当が終わり次第、管財事件における破産者の破産手続きは完了します。

⑥免責許可手続きの開始|申立から3ヵ月~1年

免責許可手続きの開始後、破産者と裁判官の間で面接が行われます。

この審尋の目的は、破産者に免責(借金の免除)の許可を与えるかどうかを決めることです。

また、必要に応じて免責の許可を与えるべきかを確かめるために管財人から調査が行われることがあります。

調査には協力的な姿勢で取り組んでください。

審尋から大体1週間で免責許可が決定し、免責の決定と同時に官報に自己破産の記録(住所・氏名)が掲載されます。

掲載日の翌日から2週間以内に債権者から即時抗告(免責に対する不服申立)がなければ自己破産の手続きは完了です。

自己破産の期間を短縮する2つの方法

自己破産の手続きにかかる期間は3ヵ月〜1年と大きく異なりますが、少しでも早く手続きを終わらせたいですよね。

そこで、この章では自己破産の手続きの期間を短縮する方法について解説します。

即日面接の利用

即日面接とは、自己破産の申立件数が多い東京地方裁判所で実施されている制度です。

即時面接を利用することで、申立日に破産手続きを開始することができます。

通常の自己破産手続きでは、申立から破産手続きの開始まで2週間~1ヵ月程度を要しますが、即日面接を利用することで期間を大きく短縮できます。

即日面接は弁護士に代理人を依頼した人のみ使用可能

即日面接では、弁護士と裁判官が面談し、申立人が同時廃止事件と管財事件のどちらが相応しいのかを決定します。

そのため、即日面接は弁護士に依頼した方のみが利用できる制度です。

横浜地方裁判所の即日面接に似た制度

即日面接は東京地方裁判所でのみ利用可能な制度であり、東京在住の方しか東京地方裁判所で申立ができないため、東京以外に在住の方は即日面接を利用することができません。

東京以外に在住の方は即日面接の代わりとして、横浜地方裁判所において、申立から3日以内に破産手続きを開始することができる早期面接制度を利用することをおすすめします。

少額管財事件の利用

先ほども説明した通り、同時廃止事件に比べて管財事件は手続きに要する期間が長くなります。

しかし、少額管財事件を利用すれば、手続きを簡略して期間を短縮することができます。

少額管財事件は弁護士への依頼が必要

少額管財事件とは、弁護士が代理人となることで申立前に申立人の財産の調査をある程度まで終わらせることで手続きの期間を短縮する仕組みです。

手続きに要する期間を2~5ヵ月程度に短縮することができ、さらに予納金が安くなります。

通常、管財事件における予納金は負債額に応じて50~150万円程度ですが、少額管財事件における予納金は20万円程度ですので、管財事件と比べて予納金がとても安いです。

【関連記事】自己破産の費用を安く抑える方法はある?自己破産の費用の目安は?

自己破産手続き中に受ける制限

自己破産手続きの期間中、破産者は住所変更や職業制限を受けます。

手続きが完了すれば制限は解除されますが、影響を最小限に抑えるためにあらかじめ制限を確認しておきましょう。

転居には裁判所の許可が必要

同時廃止事件を行う破産者は対象外ですが、管財事件を行う破産者は、裁判所の許可なしに引越すことはできません。

管財事件の場合、資産処分の関係で、住居を変更すると手続きがややこしくなるため、無許可で引越しをすることができません。

ただし、破産手続きが完了次第、自由に転居することができます。

どうしても破産手続き期間中に引越したい場合は、申立時に裁判所に用意されている「住所変更の届出」に住民票を添付して提出します。

職業の制限

自己破産の手続きの期間中、以下の職業に就くことができません。

  1. 弁護士、司法書士、行政書士、会計士、税理士などの士業
  2. 宅地建物取引主任者
  3. 生命保険外交員
  4. 警備員
  5. 古物商、質屋

制限期間は自己破産手続きの期間中のみですので、自己破産手続きが完了すれば上記の職業も再び就くことができます。

【関連記事】自己破産するとどうなる?自己破産のデメリットと自己破産後の影響

自己破産後に受ける制限|個人信用情報機関への事故登録

自己破産をすると、個人信用情報機関に事故登録(ブラックリスト)として個人情報が掲載されるため、自己破産完了後も5~10年程度はクレジットカードの発行、新規の借入を行うことができません。

信用情報機関によって異なる掲載期間

個人信用情報機関には、CIC、JICC、全国銀行協会 3つがありますが、それぞれ自己破産による事故 登録の掲載期間は異なりま す。

CICとJICCは、自己破産の掲載期間は免責決定日から5年間です。

全国銀行協会は、官報データを元に自己破産の事故情報を登録しているため、事故登録の掲載期間は官報掲載日から10年間になります。

【関連記事】

信用情報を回復させることは可能?時効が過ぎたら弁護士に相談!

自分の信用情報を確認する「信用情報開示請求」の手順

登録情報の確認方法

掲載期間を終えれば、個人信用情報機関の事故登録から個人情報が削除されるため、クレジットカードの発行や新規の借入を行うことができます。

そのため、掲載期間が経過したら情報機関へ事故登録が削除されているか確認しましょう。

CIC

確認するためには、情報機関に信用情報の開示請求をすることが必要です。

もし事故登録がされているのであれば支払い状況の欄の、返済状況が「異動」と表記されますが、事故登録が削除された場合は「法廷免責」と表記されます。

引用元:CICの情報開示

JICC

JICCも同様に信用情報の開示請求を行います。「ファイルD」、「ファイルM」、「照会記録開示書」の3つのファイルがあるので、「ファイルD」と「ファイルM」を確認してください。

もし事故登録が残っているのであれば、ファイルDにおいては「異動サ内容」の項に「破産申立」、ファイルMにおいては「注意情報」の項に「破産申立」と記載されています。

引用元:JICCの情報開示

全国銀行協会

全国銀行協会で開示情報をする際は、「官報情報」を確認しましょう。

もし事故登録が削除されていない場合、「官報公告区分」の項に「破産手続き開始」と表記されますが、事故登録が削除されれば「登録なし」と表記されます。

引用元:全国銀行協会の情報開示

必要年数を経過しても削除されていない場合は?

掲載期間を超えているにも関わらず、事故登録が削除されないケースがあります。

それは、行政側の伝達ミスにより全ての貸金業者へ免責通知が届かないことから、貸金業者から情報機関へ「法的免責」の報告がされないためです。

情報機関は、登録した貸金業者からの報告を元に事故登録を記録しているため、貸金業者からの免責の報告がなければ事故登録から信用情報が削除されません。

その場合は、自己破産の対象となった債権者(貸金業者、カード会社など)へ免責の確定証明書を送付した上で相談しましょう。

【関連記事】自己破産後の生活はどうなる?|破産者が受ける制限と家族に与える影響

まとめ

自己破産をする場合は、破産後の生活についても考えなければならないため、手続きに要する期間は気になるところです。

実際に要する期間は人によって異なるため、詳細の期間を知りたい方は弁護士に相談しましょう。

【関連記事】自己破産を弁護士に無料相談できる窓口4選|相談の流れや弁護士の選び方

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