インターネット投稿の削除依頼の値段(費用)|内訳・節約する方法などを解説
インターネット上で誹謗中傷やプライバシー権侵害の投稿を発見したら、速やかに削除依頼を行いましょう。
削除依頼には、裁判費用や弁護士費用がかかります。
弁護士費用については、法テラスの利用や複数の弁護士の比較によって抑えられる可能性があります。
必要に応じてポータルサイトなどを活用し、合理的な値段で依頼できる弁護士を探しましょう。
今回は、インターネット上の投稿の削除依頼にかかる費用(値段)の内訳や、できる限り費用を抑えるための方法などを解説します。
インターネット投稿の削除依頼にかかる主な費用
投稿者やサイト管理者に対して、自分で直接投稿の削除を求める場合には、特に費用はかかりません。
これに対して、裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる場合には裁判費用が、弁護士に削除請求の対応を依頼する場合には弁護士費用がかかります。
裁判所に納める申立て費用(裁判費用)
誹謗中傷やプライバシー権侵害に当たるインターネット投稿については、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てることが考えられます(民事保全法23条2項)。
裁判所に対する仮処分申立ての費用は、申立て1件当たり2000円です(申立書に収入印紙を貼付)。
投稿削除の仮処分申立ては、原則として掲載先のサイトごとに行う必要があります。
ただし、運営者が同じサイトについては、1つの仮処分申立てにより削除を求めることが可能です。
掲載先が同じサイトの場合 →そのサイトの運営会社を債務者とする仮処分申立て1件(2,000円) |
掲載先が別サイトの場合 →各サイトの運営会社が同じ場合は仮処分申立て1件(2,000円)、異なる場合は仮処分申立て2件(4,000円) |
上記のほか、数千円分程度の郵便切手を裁判所に納付する必要があります。
投稿削除の仮処分申立てに関する裁判費用の総額は、1万円前後となるケースが多いです。
弁護士費用
裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる際には、専門的な手続きへの対応を一任するため、弁護士に依頼するのが一般的です。
またサイト管理者に対して直接削除依頼をする際にも、スムーズに投稿を削除してもらうため、弁護士に依頼して連絡するケースがあります。
弁護士費用は依頼先の弁護士によって異なるので、複数の弁護士から見積もりを取得するのがおすすめです。
次の項目では、インターネット投稿の削除依頼に関する弁護士費用の目安を紹介します。
インターネット投稿の削除依頼に関する弁護士費用の内訳
インターネット投稿の削除依頼に関する弁護士費用の主な内訳は、以下のとおりです。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
相談料
弁護士へ正式に依頼する際の相談料は、30分当たり5,500円程度が標準的です。
ただし、弁護士によっては無料法律相談を受け付けていることもあります。
相談料の有無や金額については、必ず事前に弁護士へ確認しましょう。
着手金
着手金は、インターネット投稿の削除依頼などを弁護士へ正式に依頼する際に支払います。
一括払いが原則ですが、弁護士に相談すれば、事情によっては分割払いが認められることもあります。
任意交渉の場合 | 11万円~33万円 |
---|---|
仮処分申立ての場合 | 22万円~44万円 |
報酬金
報酬金は、弁護士の対応によって問題の投稿が削除された場合に支払います。
任意交渉の場合 | 11万円~33万円 |
---|---|
仮処分申立ての場合 | 22万円~44万円 |
日当
日当は、インターネット投稿の削除依頼などの対応につき、弁護士の出張が発生した場合に支払います。
裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てた場合には、原則として債務者であるサイト管理者を審尋する期日が開催されます(民事保全法23条4項)。
その際、弁護士が申立人の代理人として裁判所へ出頭した場合には、日当が発生します。
実費
インターネット投稿の削除依頼などの対応につき、弁護士が支出した費用の実費相当額は依頼者負担となります。
- <インターネット投稿の削除依頼に関する実費の例>
- 郵送費
- 印刷費
- 公的書類の取得費
- 弁護士の交通費
- 仮処分申立ての費用
- 訴訟費用(訴訟対応を引き続き依頼する場合) など
インターネット投稿の削除にかかる費用を抑える方法
インターネット投稿の削除にかかる費用を抑えるためには、以下の方法が考えられます。
- 弁護士に依頼しない|ただし仮処分申立ては非常に大変
- 法テラスを利用する
- 複数の弁護士を比べる
弁護士に依頼しない|ただし仮処分申立ては非常に大変
弁護士に依頼せずに自分でインターネット投稿の削除依頼を行えば、弁護士費用は全くかかりません。
投稿者やサイト管理者に対して直接削除を求める際には、まず自分で連絡を試みるのが一般的です。
この段階で投稿が削除されれば、弁護士費用を支払わずに済みます。
しかし投稿が削除されず、裁判所に対して仮処分申立てを行う際には、自分で対応するのは非常に大変です。
仮処分申立てが必要になる場合には、費用をかけても弁護士に依頼することをおすすめします。
法テラスを利用する
法テラスを通じて弁護士に依頼すると、弁護士費用の負担を抑えられる可能性があります。
法テラスは、市民と法専門家を繋ぐための公的機関で、各都道府県に設置されています。
収入と資産がいずれも一定水準以下の方は、法テラスの民事法律扶助を利用可能です。
法テラスの民事法律扶助を申し込むと、1つの事件につき3回まで無料法律相談を利用できます。
弁護士費用も比較的安く済むほか、法テラスに立て替えてもらえます(原則として後に分割で返済)。
法テラスに弁護士を紹介してもらうこともできますが、先に法テラスの契約弁護士に相談してから、弁護士を通じて法テラスの利用を申し込むことも可能です。
依頼する弁護士を自分で選びたい場合には、法テラスの契約弁護士を探して相談するのがよいでしょう。
複数の弁護士を比べる
インターネット投稿の削除依頼に関する弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。
同じ案件でも弁護士によって費用額が大きく異なるケースがあるので、複数の弁護士から見積もりを取得するのがおすすめです。
複数の弁護士を比較することは、弁護士としての能力・得意分野・性格なども併せて考慮し、総合的に信頼できる弁護士を選ぶ観点からも有用です。
いくつかの法律事務所の無料相談を利用して、もっとも信頼できる弁護士を見極めましょう。
インターネット投稿の削除請求を弁護士に依頼するメリット
インターネット投稿の削除請求を弁護士に依頼することの主なメリットは、以下の2点です。
- 迅速に投稿が削除される可能性がある
- 複雑な仮処分申立ての手続きを一任できる
迅速に投稿が削除される可能性がある
SNSや掲示板などのサイト管理者(運営会社)は、表現の自由に配慮して、裁判所の仮処分命令がない状態での投稿削除を躊躇する傾向にあります。
この場合、自分でサイト管理者に対して投稿の削除を求めたとしても、成功する確率は低いと言わざるを得ません。
ただしユーザーの依頼を受けた削除には消極的なサイト管理者でも、表現の自由に関する見識について信頼のおける弁護士から依頼を受けた場合には、スムーズな削除に応じることがあります。
特にインターネット投稿に関する法律事件を豊富に取り扱う弁護士であれば、同じサイト管理者に対して、過去に投稿削除や発信者情報開示の各請求をしたことがあるかもしれません。
その場合、過去の案件対応に鑑みてサイト管理者が弁護士を信頼していれば、投稿をスムーズに削除してもらえる可能性があります。
複雑な仮処分申立ての手続きを一任できる
裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てる場合、書類の準備や審尋期日の対応などに多大な労力を要します。
また民事保全法上の要件・手続きを踏まえ、投稿が削除されるべきであることを説得的に示せなければ、裁判所による投稿削除の仮処分命令は得られません。
弁護士に依頼すれば、複雑かつ専門性が高い仮処分申立ての手続きを一任できます。
弁護士への依頼により、申立人の労力が大幅に軽減されることに加え、投稿削除の仮処分命令をスムーズに得られる可能性が高まります。
合理的な値段で依頼できる弁護士を探すには「ベンナビIT」
インターネット上で誹謗中傷やプライバシー権侵害を受け、投稿の削除や損害賠償などを求めたい場合には、弁護士へのご依頼がおすすめです。
弁護士に依頼する際には、弁護士費用の金額を合理的な範囲に抑えられるように、複数の弁護士を比較するのがよいでしょう。
そのためには「ベンナビIT」を活用するのがたいへん便利です。
「ベンナビIT」には、インターネット関連の案件を得意とする弁護士が多数登録されています。
相談内容や地域を条件として弁護士を検索できるため、お近くで削除請求などを依頼できる弁護士を探すのに役立ちます。
無料法律相談ができる弁護士や、法テラスと契約している弁護士も多数登録されており、さらに複数の弁護士をスムーズに比較できます。
一覧性の高い表示により、合理的な費用で依頼できる弁護士を見極める観点から大いに有用です。
インターネット上における誹謗中傷やプライバシー権侵害にお悩みの方は、「ベンナビIT」の利用をご検討ください。