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弁護士に断られたらどうする?断られた原因と断られないポイントについて解説

弁護士監修記事
法律相談
2024年09月13日
2024年10月29日
弁護士に断られたらどうする?断られた原因と断られないポイントについて解説
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 野条 健人弁護士 (かがりび綜合法律事務所)
地域に根差した法律事務所で、依頼者の声に寄り添った解決を目指す。遺言書の作成や遺産分割協議など相続トラブルについて幅広く対応している。
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弁護士に依頼し、断られた場合、なぜなのかと気になるかもしれません。

弁護士が依頼を受けるかどうかを決める際は、コスト面や相談者の態度などを見るといわれています。

なお、弁護士に依頼を断られたとしても、ほかの法律事務所であれば引き受けてくれる可能性があるため、すぐに諦めないことも重要です。

本記事では、弁護士が依頼を断る理由や、弁護士に依頼を断られないためのポイントなどを解説します。

契約後に「この弁護士に依頼してよかった」「最後まで適切にサポートしてもらえた」と思えるよう、依頼前の注意点も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

なぜ断られた?弁護士が依頼を断る理由5つ

弁護士に依頼をしても引き受けてもらえるとは限らないため、「断られた理由が知りたい」と思う方は珍しくありません。そんな方のため、弁護士が依頼を断る5つの理由を紹介します。

費用倒れする可能性がある場合

費用倒れとは、慰謝料や示談金などの回収金額より、弁護士への依頼費用のほうが高くなることです。費用倒れは依頼者にとって金銭的な損失となるため、依頼を断る法律事務所は少なくありません。

ただし、お金ではなく相手への社会的制裁を目的とする依頼者もいるため、費用倒れでも構わないとの了承を得ることで、依頼を引き受ける弁護士もいます。

そのため、弁護士へ相談する前に依頼費用を上回るお金を回収したいのか、お金は二の次で相手に制裁を加ええたいのかなど、目的を明確にしておくと、断られるリスクを下げられることがあります。

勝てる見込みがない場合

弁護士に相談した結果、裁判で勝てないと判断された場合は依頼を断られる可能性があります

裁判で勝てる見込みがないために断られる理由のひとつに、不当訴訟のリスク回避が挙げられます。

不当訴訟とは、根拠がない状態で訴えたことを理由に、被告側から訴え返されることです。

また、あなたの時間・労力・弁護士費用などの負担が報われない可能性が高いため、弁護士から「勝てる見込みがない」と言われた際は注意が必要です。

このような点から、契約前に勝てる見込みがあるのかどうかについて、弁護士との相談を通して見通しを立てることが大切です。

また、闇雲に依頼を引き受ける弁護士と契約すると、その後の対応に不満を感じるリスクが高まるため、面談などであなたに寄り添ってサポートしてくれる弁護士かどうかなどを確認することも大切です。

なお、あなたが訴えられている側であれば、裁判で勝てる見込みがないとしても、慰謝料の減額や示談での解決などの不利益を少しでも軽くするために、サポートしてもらえる可能性はあります。

専門外の相談・依頼内容である場合

弁護士には、それぞれ得意分野や取扱分野があるため、専門外の相談や依頼を断ることがあります

例えば、離婚問題を専門としている弁護士へインターネットに関する問題を相談した場合、IT関連の法律知識や業務経験が乏しいことを理由に、依頼を断られる可能性があります。

特に、規模の小さな法律事務所は、規模が大きな法律事務所に比べ、取扱業務が少ないケースがあるため、事前にホームページなどで依頼できる内容などを確認しておきましょう。

利益相反にあたる場合

利益相反行為とは弁護士がすでに契約したことがある依頼者の利害と対立する立場にある方からの依頼を引き受けることを意味し、弁護士法25条で禁止されている行為です。

そのため、すでに相手が契約済みの弁護士に、あなたが依頼をした場合、断られてしまうでしょう。

例えば、相談者Aから依頼を受けている、あるいは受けたことがある弁護士は、Aを訴えようとする相談者Bの依頼は受けられません。

なぜなら、Bが相談にきた時点で、その弁護士はAの情報を把握しているため、Aが不利になる可能性が懸念されるなど、公平性を欠く状況になりかねないためです。

なお、利益相反の対象は該当の弁護士だけでなく、その弁護士が所属する事務所の弁護士全員です。

そのため先述の例と同じ状況であった場合、同事務所内にAの依頼を受けている弁護士がいるにもかかわらず、ほかの弁護士がBの依頼を受けると利益相反行為となります。

利益相反の該当範囲は広く複雑なため、弁護士は依頼内容を慎重に調べるでしょう。

利益相反を理由に断る場合は、基本的に弁護士はその事実を伝えないため、なぜ断られたのかわからない状況になる可能性が高いです。

引用元:弁護士法 | e-Gov 法令検索

依頼者を信頼できない場合

解決までの道のりが長くなるほど、お互いの信頼関係が重要になるため、相談の段階で信頼できない相手と判断されると、弁護士から断られる可能性があります

弁護士が依頼者を信頼できないと判断するポイントとして、次の2点が挙げられます。

態度が悪い

相談者の態度が悪いと弁護士は不信感を抱き、依頼を断ることがあります

弁護士から態度が悪いと思われやすい言動は、以下のとおりです。

【弁護士から態度が悪いと思われやすい言動】

  • 不機嫌な態度をとる
  • アドバイスを無視する
  • 音信不通になる

一度依頼を受けると弁護士にとって契約を途中解除するメリットはあまりなく、また信頼できない相手をサポートすることは心身両方の負担が増えやすいと考えられるため、態度が悪い相談者からの依頼を断ることがあります。

例えば、依頼者が弁護士を信頼していない場合、サポートに不満を感じることがあります。

具体的には、弁護士としては適切と考えて和解を勧めても、依頼者としては「早く業務を終わらせたいだけでは」と誤解し、うまく問題を解決できないケースなどが挙げられます。

このように、信頼関係が構築されていない状態でのサポートは弁護士と依頼者の双方にとってよいとはいえないため、態度が悪いことを理由に依頼を断る弁護士は少なくありません

嘘をつく

弁護士が適切なアドバイスをする際は、相談者から得られる情報をもとにするケースが多いため、嘘をつく相談者は敬遠されがちです

相談者が嘘をつくと、適切なアドバイスができないだけでなく、調停や裁判で不利な立場になりかねません。

また、一度依頼を受けた場合でも、嘘が多いと思われた場合などには、途中で弁護士から解約を通達される可能性もあります。

これらの点から、言いづらい内容や自分が不利になりそうな事柄でも、弁護士には正直に事実を伝えることをおすすめします。

弁護士には相談者から伝えられたことは外部に漏らしてはいけないという守秘義務があるため、都合の悪い内容でも隠さずに、事実を伝えましょう。

弁護士に断られないためのポイント6選

一度弁護士に断られて相談先に困っている場合、次に挙げる6つのポイントに注意してください。

複数の弁護士を探す

同じ依頼内容でも、引き受けてくれる法律事務所もあれば、断る法律事務所もあります。

そのため、1社に断られたとしても諦めず、ほかの弁護士に相談してみましょう

特に、利益相反が原因で断られた場合、ほかの事務所であれば受任されることがあります。

費用や態度に問題がないにもかかわらず断られた場合は、利益相反に該当している可能性があるため、ほかの法律事務所に相談してみることをおすすめします。

異なる見解や対処法を教えてもらえる可能性もあるため、依頼を断られたとしても諦めず、複数の弁護士に相談してみましょう

費用が安い弁護士に依頼する

弁護士が依頼を断る理由のひとつに、費用倒れが挙げられます。

費用倒れは回収できる金額が少ない、あるいは弁護士費用が高い場合に考えられるため、弁護士費用が安い事務所に依頼すると費用倒れのリスクが低くなり、引き受けてもらえるかもしれません。

ただし、単に費用が安いだけで弁護士を選ぶと満足できる結果を得られない可能性があるため、注意が必要です。「サポート内容が充実しているか」「過去の実績は十分か」などを確認し、納得したうえで依頼しましょう。

有利になりそうな資料を多く準備する

口頭で説明しただけでは、弁護士が不利な状況と判断して、依頼を断る可能性があります

そのため、あなたが有利になりそうな材料をできるだけ多く準備すれば、勝てる見込みがあると判断され、依頼を引き受けてもらえるかもしれません。

また、口頭で説明すると必要な情報全てを正確に伝えられないかもしれません。

感情的になって、思うように情報を伝えられない可能性もあるため、関連資料や相談内容を整理したメモを用意しておきましょう

なお、次に挙げる項目は最低限メモしておくことをおすすめします。

【弁護士へ相談する際に用意しておきたいメモ】

  • 望む結果・ゴール
  • 事件の時系列や登場人物

相談を無料で引き受けてくれる法律事務所は複数ありますが、大抵の場合は30分や60分など、時間制限があるため、限られた時間を有効活用できるよう、聞きたいことや伝えたいことを簡潔にまとめておきましょう

相談分野に注力している弁護士に依頼する

各法律事務所によって注力している分野が異なるため、専門外の弁護士へ相談すると断られるリスクが高まります

相談してから専門外だったと気付くことを防ぐため、気になっている法律事務所のホームページなどで、事前に相談可能な分野を確認しておきましょう。

また、依頼を受けてくれる弁護士が見つからない場合は、ほかの専門家への相談を検討することもひとつの手です。

例えば、相続税の申告なら税理士が、登記に関する依頼なら司法書士が得意とすることあり、引き受けてもらいやすくなる可能性があるうえ、弁護士に依頼をする場合より、コストを抑えられるケースもあります。

相談時の態度や姿勢に注意する

弁護士は依頼を受けるかどうかを決める際、相談者の態度や姿勢などを参考にするため、丁寧な話し方を心がけたり、弁護士のアドバイスにしっかりと耳を傾けたりすると、断られるリスクを下げられます

反対に、横柄な話し方をしたり、弁護士のアドバイスに耳を傾けなかったりすると、「信頼関係を構築しづらい」「サポート・対応に困るかもしれない」などと懸念され、断られるリスクが高まります。

ほかにも、「弁護士のアドバイスや情報提供を、自身にとって都合がよいように解釈する」「自身の主張を曲げない」といった印象を与えると、依頼を断られやすくなるため注意が必要です。

相談時は心に余裕をもてず、態度や言葉遣いなどが悪くなる方もいますが、依頼を断られて問題解決の糸口を見失わないよう、弁護士に悪く思われるような言動は避けましょう

弁護士に依頼する前の注意点

依頼を引き受けてもらうことだけを目的とした場合、契約後に「しまった」と後悔するかもしれません。

弁護士へ依頼する目的は問題解決ということを念頭に置いたうえで、次に挙げる2つの注意点を確認しておきましょう。

面談で相性を確認すべき

弁護士に相談する際は対応内容・コストなどの条件面だけでなく、相性の確認がしやすい、面談形式がおすすめです。

面談で弁護士との相性をチェックする際は、以下の項目を参考にするとよいでしょう。

【面談時に弁護士との相性を確認する際のチェック項目】

  • 自分の話を親身に聞いてくれるか
  • 説明がわかりやすいか
  • 物腰がやわらかいか
  • レスポンスが早いか

状況によって、家族や友人よりも弁護士と一緒にいる時間が長くなることがあり、また込み入った相談をしなければならないケースもあります。

そのため、面談時に相性が良いと感じなかった弁護士を選ぶと、契約後の対応に不満を感じる可能性が高まります

反対に、親身になってくれる弁護士と契約すれば、より安心してサポートをしてもらえるうえ、相談もしやすくなります。

また、レスポンスが早い弁護士を選べば、問題が大きくなる前に解決できる可能性も高まります

特に、あなたが勾留されて不起訴・起訴が判断されるまでの期間が迫っている場合などには、「レスポンスの早い弁護士を選んでよかった」と感じられるでしょう。

なお、自分と相性の良い弁護士を見つけるためには、1社ではなく複数の法律事務所に相談すると、各弁護士との相性を比較して、より良い選択ができます。

複数の弁護士に相談する際は、初回相談料が無料の法律事務所を選ぶと、コストを抑えやすいです。

依頼後も弁護士に辞任される可能性はある

一度依頼が成立したからといって、最後まで弁護士がサポートしてくれるとは限りません。

相談時のみ誠実な対応をしても、そのあとに信頼関係が崩れる言動をとると、契約中でも解除されるリスクが高まります

弁護士から契約解除されると、また別の依頼先を探さなければならず、余計なコストや手間暇がかかります

弁護士都合による契約解除は着手金が返還される可能性がある一方、契約内容や着手済かどうかなどによっては返還されないかもしれません。

契約後に弁護士から解除される際の例は、以下をご覧ください。

【契約後に弁護士から解除される際の例】

  • 弁護士のアドバイスを無視する
  • 横柄な態度をとる
  • 弁護士と連絡をとらない
  • 費用の支払いを滞納する
  • 打ち合わせや面談に応じない

弁護士にサポートしてもらう場合、依頼時だけでなく、契約終了までの信頼関係が大切です。

弁護士に辞任されて困らないよう、依頼後も誠実な対応を心がけましょう。

なお、原則として契約解除は弁護士にとってほぼメリットがないため、持ちかけられることはあまりありませんが、依頼者の態度によっては最後までサポートしないほうがいいと判断されるケースが考えられます。

さいごに|弁護士に断られた際には再度弁護士へ

本記事では、弁護士が依頼を断る理由や、断られないためのポイントなどを解説しました。

弁護士が依頼を断る理由は、「費用倒れ」、「勝てる見込みがない」などのコスト面だけでなく、相談者の態度が悪いなどの心理面も影響します。

依頼を引き受けた弁護士は、相談者と二人三脚で問題解決に向けて対応するため、信頼関係を築けない相手と判断された場合は、依頼を断られるリスクが高まります

そのため、弁護士へ依頼する場合は、良好な関係を構築できるよう心がけましょう。

なお、依頼を断られたとしても、別の弁護士であれば引き受けてくれる可能性があるため、すぐに諦めないことも大切です。

依頼を断られたあと、別の弁護士へ依頼する際は、「より費用が安価な法律事務所を選ぶ」「より丁寧な態度で接する」などに注意して、断られるリスクを抑えましょう。

編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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