弁護士に断られたらどうする?断られた原因と断られないポイントについて解説

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弁護士に依頼しようとして断られた場合、なぜなのかと気になるかもしれません。
弁護士が依頼を受けるかどうかを決める際は、依頼状況・コスト面・相談者の態度などを見るといわれています。
なお、弁護士に依頼を断られたとしても、ほかの法律事務所であれば引き受けてくれる可能性もあるため、すぐには諦めないことが大切です。
本記事では、弁護士が依頼を断る理由や、弁護士に依頼を断られないためのポイントなどを解説します。
契約後に「この弁護士に依頼してよかった」「最後まで適切にサポートしてもらえて助かった」と思えるよう、依頼前の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
弁護士に断られても、別の弁護士なら依頼を受けてくれる可能性がある
冒頭でも触れたとおり、一度弁護士に依頼を断られたからといって、弁護士のサポートが一切受けられないとはかぎりません。
状況によっては、別の弁護士であれば依頼を受けてくれることもあります。
詳しくは「【ケース別】弁護士に断られないためのポイント5選」で後述しますが、一口に弁護士といってもそれぞれ取り扱っている分野は異なるうえ、法律問題に対するアプローチの仕方や費用体系なども弁護士によって変わります。
弁護士に依頼を断られてもすぐに諦めずに、なぜ断られたのかを考えたうえで別の弁護士とも話してみることをおすすめします。
初回相談無料の法律事務所も多くありますし、依頼はせずに相談だけの利用も可能ですので、遠慮なく気軽にご相談ください。
なぜ断られた?弁護士に依頼を断られる理由5つ
弁護士に依頼しようとしたものの引き受けてもらえないというケースは一定数あり、「断られた理由が知りたい」と思う方も珍しくありません。
そのような方のためにも、ここでは弁護士が依頼を断る5つの理由を紹介します。
1.費用倒れする可能性があるから
費用倒れとは、慰謝料や示談金などの回収金額よりも、弁護士への依頼費用のほうが高くなることです。
費用倒れは依頼者にとって金銭的な損失となるため、依頼を断る法律事務所は少なくありません。
ただし、なかには金銭よりも相手への社会的制裁などを目的とする依頼者などもいるため、「費用倒れでも構わない」との了承を得ることで依頼を引き受ける弁護士もいます。
そのため、弁護士へ相談する前に「依頼費用を上回るお金を回収したいのか」「お金は二の次で相手に制裁を加えたいのか」などの依頼目的を明確にしておくことで、断られるリスクを下げられる可能性があります。
2.裁判などで争っても勝てる見込みがないから
弁護士に相談した結果、「相手方と裁判などで争っても勝てない」と判断された場合は依頼を断られる可能性があります。
このようなケースで弁護士が依頼を断る理由のひとつとしては、不当訴訟のリスク回避が挙げられます。
不当訴訟とは、十分な根拠のない状態で訴えを起こすことを指し、不当訴訟では逆に相手側から訴え返されてしまう場合もあります。
弁護士との契約前には「勝てる見込みがあるのかどうか」について、法律相談を通じて見通しを立てることが大切です。
やみくもに依頼を引き受けるような弁護士と契約してしまうと、納得のいかない結果に終わるリスクが高まるため、面談などであなたに寄り添って的確にサポートしてくれる弁護士かどうかを確認することも大切です。
なお、自分が訴えられている側であれば、裁判で勝てる見込みがないとしても、慰謝料・賠償金の減額などの不利益の軽減に向けてサポートをしてもらえる可能性はあります。
3.業務範囲外の相談・依頼内容だから
弁護士には、それぞれ得意分野・取扱分野があるため、それ以外の分野に関する相談や依頼を断ることがあります。
たとえば、離婚問題を得意としている弁護士にインターネットに関する問題を相談しようとしても、IT関連の法律知識や業務経験が乏しいことを理由に依頼を断られる可能性があります。
特に規模の比較的小さい法律事務所の場合、規模が比較的大きい法律事務所に比べて取扱業務が少ないこともあるため、事前に事務所ホームページなどで依頼可能な相談内容などを確認しておきましょう。
4.利益相反にあたるから
利益相反行為とは、弁護士がすでに契約済みである依頼者の利害と対立する立場にある方からの依頼を引き受けることを指し、弁護士法25条で禁止されている行為です。
そのため、すでにトラブルの相手方が契約済みの弁護士に依頼しようとした場合、断られてしまうでしょう。
たとえば、相談者Aから依頼を受けている、あるいは受けたことがある弁護士は、Aのことを訴えようとしている相談者Bの依頼は受けられません。
なぜなら、Bが相談にきた時点で弁護士はAの情報を把握しており、Aに不利益が生じたりして公平性を欠く状況になりかねないためです。
なお、利益相反の対象は該当の弁護士だけでなく、その弁護士が所属する法律事務所の弁護士全員です。
そのため、上記のケースで同事務所内にAの依頼を受けている弁護士がいるにもかかわらず、ほかの弁護士がBの依頼を受けたりすると利益相反行為となります。
利益相反の該当範囲は広く複雑なため、弁護士は依頼内容を慎重に調べるでしょう。
利益相反を理由に断る場合は、基本的に弁護士はその事実を伝えないため、なぜ断られたのかわからない状況になる可能性が高いです。
5.相談者・依頼者を信頼できないから
的確な弁護士のサポートを受けて納得のいく形で問題解決するためには、弁護士と十分な信頼関係を築くことが大切です。
相談の段階で「信頼できない相手」と判断された場合は、弁護士側から依頼を断られることもあります。
弁護士が依頼者を信頼できないと判断するケース
弁護士が依頼者のことを「信頼できない」と判断するケースとしては、主に以下があります。
弁護士に対する態度が悪い場合
相談者の態度が悪いと、弁護士側が不信感を抱いて依頼を断ることがあります。
弁護士から態度が悪いと思われやすい主な言動は、以下のとおりです。
【弁護士から態度が悪いと思われやすい言動】
- 不機嫌な態度をとる
- アドバイスを無視する
- 音信不通になる など
弁護士としては、依頼を受けたあとに契約を途中解除することのメリットは少ないうえ、信頼できない相手をサポートすることは心身の負担となってしまうことから、態度が悪い相談者からの依頼は断ることがあります。
また、依頼者と弁護士の信頼関係が十分に構築されていない場合、弁護士が思うように動いてくれずに不満を感じることもあります。
具体的には、弁護士側は適切な解決策として和解を勧めても、依頼者側は「早く業務を終わらせたいだけでは」などと誤解し、うまく問題を解決できないケースなどが挙げられます。
このように、信頼関係が構築されていない状態でのサポートは弁護士と依頼者の双方にとってよいとはいえないため、態度の悪さなどを理由に依頼を断る弁護士は少なくありません。
弁護士に対して嘘をついている場合
弁護士が法律トラブルについてアドバイスをする際は、基本的に相談者から得られる情報をもとにおこなうため、嘘をつく相談者は敬遠されがちです。
相談者が嘘をつくと、適切なアドバイスができないだけでなく、調停や裁判などをおこなう際に不利な立場になりかねません。
一度弁護士が依頼を受けていても、嘘が多いと思われた場合などは途中で弁護士から解約を通達される可能性もあります。
これらの点から、たとえ言いづらい内容や自分が不利になりそうな事柄でも、弁護士には正直に全ての事実を伝えることをおすすめします。
弁護士には「相談者から伝えられたことは外部に漏らしてはいけない」という守秘義務があるため、他人に知られないか不安な方も安心してご相談ください(弁護士法第23条)。
【ケース別】弁護士に断られないためのポイント5選
一度弁護士に断られて困っている方は、次に挙げるポイントに注意することで相談先が見つかる可能性があります。
ここでは、ケースごとの対処法を解説します。
1.費用倒れを理由に断られた場合|費用が安い弁護士に依頼する
費用倒れは「回収見込み額が少ない場合」や「弁護士費用が高い場合」などに起こりうるため、弁護士費用が安い事務所に依頼することで費用倒れのリスクが低くなり、引き受けてもらえる可能性があります。
弁護士費用は自由化されており、事務所によって料金体系や金額設定は異なります。
相談時に無料見積もり可能な法律事務所も多くあり、いくつかの事務所で見積もりを出してもらって比較検討することで安価な依頼先が見つかることもあります。
ただし、単に弁護士費用の安さだけで弁護士を選ぶと、思うようなサポートが受けられずに満足のいく結果が得られない可能性もあるため、注意が必要です。
弁護士選びの際は、「サポート内容が充実しているか」「過去の解決実績は豊富か」などを総合的に考慮したうえで依頼しましょう。
2.勝ち目がないことを理由に断られた場合|有利になりそうな資料を多く準備する
相談状況や依頼内容を口頭で説明しただけでは、弁護士が不利な状況と判断して依頼を断ることもあります。
このようなケースでは、自分にとって有利になりそうな材料をできるだけ多く準備することで、弁護士が「勝てる見込みがある」と判断して依頼を引き受けてもらえる可能性があります。
また、何の準備もなく口頭で説明しようとすると、必要な全ての情報を正確に伝えられないおそれがあるため、以下のような相談内容を整理したメモを用意しておくことをおすすめします。
【弁護士へ相談する際にまとめておくべき情報】
- 自分が望む結果・ゴール
- 事件の時系列・登場人物 など
多くの法律事務所では初回無料相談を実施していますが、大抵の場合は「30分まで」「60分まで」などの時間制限が設けられています。
限られた相談時間を有効活用するためにも、聞きたいことや伝えたいことは事前にまとめておき、弁護士との法律相談ではなるべく簡潔に伝えましょう。
3.業務範囲外であることを理由に断られた場合|相談分野に注力する弁護士に依頼する
弁護士によって注力している分野は異なるため、弁護士の得意分野ではない相談の場合は対応を断られることがあります。
弁護士の注力分野や解決実績などは事務所ホームページで確認でき、相談内容に合った弁護士を探してみることで依頼を受けてもらえる可能性があります。
また、依頼を受けてくれる弁護士が見つからない場合は、ほかの弁護士への相談を検討するのもひとつの手段です。
たとえば、相続税に関する依頼なら税理士、登記に関する依頼なら司法書士などが対応しており、場合によっては弁護士に依頼するよりもコストを抑えられることもあります。
4.利益相反を理由に断られた場合|別の弁護士に依頼する
弁護士費用や相談時の態度などに問題がないにもかかわらず弁護士に断られた場合は、利益相反に該当している可能性があります。
このようなケースでは、ほかの法律事務所に相談しましょう。
利益相反が原因で依頼を断られた場合、ほかの法律事務所であればスムーズに受任してもらえる可能性があります。
利益相反が原因かどうかわからない場合でも、ほかの弁護士と話してみることで新たな視点や対処法が見つかることもあるため、初回無料相談などを活用して相談することをおすすめします。
5.不適切な対応を理由に断られた場合|相談時の態度や姿勢に注意する
弁護士が依頼を受けるかどうかを決める際は、相談者の態度や姿勢なども判断材料のひとつとなります。
横柄な話し方をしたり、弁護士のアドバイスに耳を傾けなかったりすると、弁護士が「信頼関係を構築しづらい」「サポート・対応に困るかもしれない」などと考えて依頼を断ることもあります。
ほかにも「弁護士のアドバイスや情報提供を、自分に都合が良いように解釈する」「自分の主張を曲げない」などのケースでも断られるおそれがあります。
弁護士に断られた際は、自身の振る舞いを振り返ってみることも大切です。
もし失礼な態度を取っていた場合は、次回からは丁寧な話し方を心がけたり、弁護士のアドバイスにしっかりと耳を傾けたりすることで、依頼を受けてもらえる可能性があります。
法律トラブルに巻き込まれている状況では、精神的に余裕がなく態度や言葉遣いなどが悪くなってしまうこともあるかもしれませんが、依頼を断られて問題解決の糸口を見失うことがないよう、くれぐれも弁護士に悪く思われるような言動は避けましょう。
弁護士に依頼する前の注意点
一口に弁護士といってもそれぞれタイプが異なり、的確なサポートを受けるためには自分に合った弁護士を選ぶことが大切です。
弁護士に依頼を引き受けてもらうことだけを意識してしまうと、契約後に「しまった」と後悔することになるおそれがあります。
あくまでも弁護士へ依頼する目的は問題解決ということを念頭に置いたうえで、次に挙げる2つの注意点を確認しておきましょう。
法律相談では面談形式で弁護士との相性を確認すること
弁護士との相談方法としては、面談・電話・メール・オンラインなど、さまざまな方法があります。
弁護士に法律相談する際は、弁護士の雰囲気や人柄などを見て相性の確認がしやすい面談形式がおすすめです。
また、「相談した弁護士の態度が冷たくて話しにくい」「専門用語ばかりで理解できない」というような状態で問題解決を依頼してしまうと、十分に意思疎通できずに不安を抱えたまま対応が進んでしまうおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、自分にとって相性が良いと感じる弁護士を選びましょう。
弁護士との法律相談でチェックすべきポイント
弁護士との法律相談では、主に以下のような点をチェックしましょう。
【弁護士との相性を確認する際のチェック項目】
- 自分の話を親身に聞いてくれるか
- 説明がわかりやすいか
- 物腰がやわらかいか
- レスポンスが早いか など
依頼状況によっては弁護士との関係が数年程度続くケースもありますし、込み入った相談をしなければならないケースもあります。
面談時に相性が合わないと感じた弁護士に依頼してしまうと、契約後の対応に不満を感じるおそれがありますが、相性の良い弁護士を選べば安心してサポートしてもらえるうえ、相談もしやすいでしょう。
また、レスポンスが早い弁護士を選べば、問題や不利益が大きくなる前に解決できる可能性が高まります。
たとえば「刑事事件を起こして勾留されており、起訴・不起訴の判断が迫っている」というようなケースでは、レスポンスの早い弁護士にサポートしてもらうことで不起訴処分を獲得でき、前科が付かずに済むこともあります。
なお、自分と相性の良い弁護士を見つけるためには、はじめから一人の弁護士に絞り込もうとせずに複数の法律事務所に相談してみて、各弁護士の対応を比較検討するのが有効です。
相談料などの費用が気になる方は、初回相談料無料の法律事務所を選ぶことでコストを抑えられます。
依頼後も弁護士に辞任される可能性はある
弁護士との依頼が成立したからといって、必ずしも最後まで弁護士がサポートしてくれるとは限りません。
弁護士との相談時は誠実な対応をしていても、そのあとに信頼関係が崩れるような言動をしてしまうと契約中でも解除されるリスクが高まります。
弁護士から契約解除された場合、また別の依頼先を探さなければならず、余計なコストや手間暇がかかります。
弁護士都合による契約解除の場合は着手金を返還してもらえる可能性はありますが、契約内容や「すでに着手済かどうか」などによって対応は異なります。
弁護士への依頼後に契約解除されるケース
以下のようなケースでは、弁護士に委任契約を解除される可能性があります。
【弁護士から契約解除される可能性があるケース】
- 弁護士のアドバイスを無視する
- 横柄な態度をとる
- 弁護士と連絡をとらない
- 弁護士費用の支払いを滞納する
- 弁護士との打ち合わせや面談に応じない など
原則として契約解除は弁護士にとってほぼメリットがないため、実際に契約解除されるケースはまれです。
ただし、依頼者の対応次第では「最後までサポートするのは難しい」などと判断される可能性はあります。
弁護士にサポートしてもらう際は、依頼時だけでなく契約終了まで十分な信頼関係を構築することが大切です。
弁護士に辞任されて困るようなことがないよう、依頼後も誠実な対応を心がけましょう。
さいごに|弁護士に依頼を断られた際は、全国の弁護士を一括検索できるベンナビがおすすめ
弁護士が依頼を断る理由は、費用倒れ・勝てる見込みがない・相談者の態度が悪いなど、さまざまなものがあります。
依頼を引き受けた弁護士は、依頼者と二人三脚で問題解決に向けてサポートしてくれますが、横柄な態度をとったりすると「信頼関係を築けない相手」と判断されて契約解除となるおそれもあります。
弁護士へ依頼する場合は、良好な関係を構築できるように心がけて、依頼を断られたとしても別の弁護士であれば引き受けてくれる可能性があるため、すぐに諦めないことも大切です。
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