相続問題は弁護士に相談がおすすめ 無料相談の方法や準備・相談後にかかる費用を解説
遺産相続についてこんなお困りごとはありませんか?
相続手続きは一般的に複雑なものがほとんどです。
1人で悩む前に、まずは相続の問題全般に対応できる弁護士の無料相談を利用してアドバイスを求めることをおすすめします。
今回は、相続について弁護士に無料相談をする方法や相談をする前にやるべきこと、無料相談後にかかる弁護士費用などについて解説します。
相続問題について弁護士に無料相談をする方法
相続問題について無料で弁護士に相談する主な方法は、以下のとおりです。
- 法律事務所の無料相談を利用する
- 法テラスの無料相談を利用する
- 自治体の法律相談会に参加する
法律事務所の無料相談を利用する
法律事務所で無料相談すべき人は、以下の通りです。
- 自分で相談する弁護士を選びたい
- 相続問題を得意とする弁護士に相談したい
- 複数の弁護士を比較して、依頼先を決めたい
最近では、遺産相続に関する無料相談を実施している弁護士も増加しています。
相談料無料は初回のみとしているケースが多いですが、相続問題解決の見通しを知りたい場合は、無料相談の範囲でも有用なアドバイスを受けられるでしょう。
複数の弁護士に相談すれば、弁護士の能力やサービス内容、弁護士費用などを比較することもできます。
無料相談を実施している弁護士は、ホームページに掲載していることが多いのでチェックしてみるとよいでしょう。
最適な弁護士を探すならベンナビ相続がおすすめ
弁護士のお問合せは、各法律事務所のホームページにて可能ですが、「ベンナビ相続」などのウェブサイトを活用すると、より簡単です。
「ベンナビ相続」では、相続問題に詳しい弁護士を地域や相談したい内容で絞って検索することができます。
加えて、「初回の面談相談無料」や「オンライン相談可能」、「休日相談可能」など、さらに条件を絞って弁護士を探すことができるので、状況に合わせて活用するとよいでしょう。
法テラスの無料相談を利用する
法テラスで無料相談すべき人は、以下の通りです。
- 弁護士への相談・依頼にあまりお金をかけられない
- 自分で弁護士を探すのが難しいの弁護士を紹介してほしい
法テラスとは国が運営する法律問題解決のための相談窓口のことです。
法テラスでは経済的に余裕のない方に、弁護士による無料法律相談と弁護士費用の立替制度を提供しています。
遺産相続について弁護士に依頼したいものの弁護士に支払う依頼費用が準備できない場合は、法テラス経由で弁護士に依頼するのがおすすめです。
サービスを利用するためには収入や預貯金が一定額以下であることなど、いくつかの要件を満たす必要があるので、詳しくは「法テラス」を確認してみてください。
【参考記事】「法テラスで無料相談できる内容はどこまで?利用するための条件や注意点も解説」
自治体の法律相談会に参加する
自治体の法律相談会で無料相談すべき人は以下の通りです。
- 住んでいる自治体で気軽に相談したい
- 自分で弁護士を探すのが難しいので弁護士を紹介してほしい
市役所や区役所などの各市区町村役所では、定期的もしくは不定期に法律相談会を実施している場合があります。
1枠あたり20分から30分程度の法律相談を、市民であれば誰でも利用できる場合が多いです。
相談した弁護士が信頼できれば、そのまま遺産相続の対応を依頼することもできます。
弁護士に相談する際の入り口として有効活用できるので、関心のある方は市区町村役場の窓口で申し込みましょう。
相続問題の解決に無料相談がおすすめな理由
①相続手続きの手順が明確になる
相続手続きを行う機会はなかなか無いため、多くの方が「何をしたらいいのかわからない」と不安を感じるものです。
無料相談を通して、相続手続きに必要な手順や流れを知れるのはもちろん、専門家と話すことで不安感を解消することができます。
②弁護士を選ぶ材料になる
弁護士によって得意分野・経験・実績などが異なってきます。そのため、無料相談を利用して弁護士が自分にあっているか見極めることが大切です。
【弁護士をえらぶときのポイント】
- 自分の悩みが弁護士の得意分野か
- 弁護士に相談する分野での十分な実績や経験があるか
- 弁護士の説明は自分にとってわかりやすいものか
- 自分の相談内容を丁寧に聞いてくれるか
- 対応やメールなどの返信が迅速であるか
- 弁護士費用について明確な説明があるか
- 「絶対に勝てる」などの根拠のないアドバイスをしないか
- 相談者にとって不利な状況についても隠さずに伝えてくれるか
【参考記事】「弁護士の選び方のコツ|自分に合う弁護士を見つけるための13の要素と探し方」
無料相談前にやったほうがよいこと・有効な相談にするコツ
弁護士や事務所によっては30分まで、60分までと面談時間が限られている場合もあります。
限られた時間の中で無料相談を効果的なものにするためのポイントを紹介します。
相続に関わる書類を用意する
相続に関する相談は、相続人同士の関係や財産の種類・内容など、相談内容が複雑になります。
そのため、相談の際には、家系図、遺言書、遺産内容の一覧表など相続に関する書類をできる限り用意して持っていきましょう。
【相談時に持っていくとよいもの】
- 相続人の関係図・家系図(可能であれば被相続人の出生から死亡までと、各相続人全員の戸籍謄本等)
- 相続財産について遺産内容がまとまった目録や資料
- 遺言書(被相続人が作成している場合)
- 被相続人の死因や介護者、入院などの生活状況がわかる資料
- 直近の相続人間のやり取りがわかる時系列、やり取りをしたメール
相談したいことの順番や要点を明確にしておく
弁護士に相談する際、説明の要点がわかりづらかったりすると、的確なアドバイスを得られずに相談時間が終わってしまう可能性もあります。
どのようなことに困っていて、どのような解決を望んでいるのかなど、相談したい内容の要点をメモにまとめておきましょう。
また、トラブルの経緯や背景を整理しておくのもおすすめです。
できれば複数の事務所で法律相談をする
相続の無料相談は、さまざまな事務所でおこなっているため、時間が許す場合は複数の事務所で法律相談をしましょう。
複数の事務所で法律相談をおこなうことで、自分にとってよい事務所がどこなのか見極めやすくなります。その際に、無料相談も活用いただくのがよいです。
特に、弁護士費用については、事務所ごとに大きく異なることもあるため、比較する意味でも複数の事務所で法律相談をするのをおすすめします。
無料相談後にかかる弁護士費用
無料相談をして、「いよいよ弁護士に依頼をしたい」そう思ったときにかかる弁護士費用について、事前に知っておくことは重要です。
遺産相続について弁護士に依頼する場合、主に以下の弁護士費用がかかります。
正式に依頼する前に、必ず相談予約をして弁護士費用の見積もりを確認し、内訳や計算方法について不明な点を解消しておきましょう。
各弁護士費用について、「日本弁護士連合会弁護士報酬基準(現在は廃止済み)」を参考にした目安を紹介します。
具体的な費用や計算方法は依頼内容や弁護士によって異なるので、相談先の弁護士へ個別に質問してください。
【関連記事】遺産相続の弁護士費用の相場は?誰が払うの?払えない場合の対処法
着手金|依頼時に支払う
着手金は、正式に弁護士へ依頼した際に支払う弁護士費用です。
原則として一括払いですが、弁護士によっては相談すれば分割払いを認めてもらえることもあります。
経済的利益の額 |
着手金の額 |
300万円以下の場合 |
経済的利益の額の8.8% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 |
経済的利益の額の5.5%+9万9,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 |
経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円 |
3億円を超える場合 |
経済的利益の額の2.2%+405万9,000円 |
※税込表記
※着手金の最低額は11万円
※経済的利益の額は、請求額(請求された額)の時価相当額。ただし、遺産分割の場合、争いのない部分については相続分の時価の3分の1。
報酬金|案件終了時に支払う
報酬金は、弁護士による案件処理の終了時に支払う弁護士費用です。
請求によって何らかの財産を獲得できた場合や、相手方の請求額に比べて支払額が減額された場合に限って発生します。
経済的利益の額 |
報酬金の額 |
300万円以下の場合 |
経済的利益の額の17.6% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 |
経済的利益の額の11%+19万8,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 |
経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円 |
3億円を超える場合 |
経済的利益の額の4.4%+811万8,000円 |
※税込表記
※経済的利益の額は、獲得額(支払額の減額分)の時価相当額。ただし、遺産分割の場合、争いのない部分については相続分の時価の3分の1。
日当|出張時に発生する
日当は、弁護士が出張した際に発生する弁護士費用です。
遺産相続事件では、たとえば相続人の自宅で実施する遺産分割協議に弁護士が同席する場合や、調停・審判・訴訟の各手続きに弁護士が出席する場合などに日当が発生します。
拘束時間 |
日当の額 |
半日(往復2時間超4時間以内) |
3万3,000円以上5万5,000円以下 |
一日(往復4時間超) |
5万5,000円以上11万円以下 |
実費|調停・訴訟費用など
弁護士が案件処理の過程で費用を支出した場合、実費相当額が依頼者負担となります。
遺産相続事件において、一般的に実費として扱われるものには以下のようなものがあります。
- 郵送日
- 印刷費
- 公的書類の取得費
- 弁護士の交通費
- 遺産分割協議書を公正証書化する際の公証人手数料
- 調停申し立ての費用
- 訴訟費用
相続問題について弁護士に相談しなかった際に起こりうるトラブル
仮に弁護士に相談しなかった場合、どのようなトラブルが起こりえるのでしょうか。
例えば、以下のような複雑な問題について、自分で対応をすることになります。
特別受益
具体的には、以下の遺贈・贈与が特別受益にあたります(民法903条1項)。
- ①相続人が受けたすべての遺贈
- ②相続人が受けた以下のいずれかにあたる贈与
- ー婚姻のための贈与
- ー養子縁組のための贈与
- ー生計の資本としての贈与
特別受益の金額は、「持ち戻し計算」によって相続分を算定する際に考慮されます。
詳細な計算方法は省略しますが、特別受益のある相続人の相続分は減る反面、ほかの相続人の相続分が増えることになります。
特別受益の有無や金額は、相続分に直接影響するため、相続人間でトラブルに発展するケースが非常に多くなっています。
寄与分
「寄与分」は、相続財産の維持・増加について特別の寄与をした相続人に認められるものです(民法904条の2)。
寄与分が認められるのは、たとえば被相続人の事業に協力した相続人や、介護をおこなった相続人などです。
寄与分が認められる相続人の相続分は増え、そのほかの相続人の相続分は減ります。
特別受益と同じく、寄与分も相続分に直接影響するため、相続人間で揉めるケースが多いポイントの一つです。
遺留分侵害
兄弟姉妹以外の相続人には、相続できる遺産の最低保障額である「遺留分」が認められています(民法1042条)。
遺言書や生前贈与によって偏った遺産の配分がなされると、一部の相続人は遺留分未満の相続財産しか取得できないことがあります。
この状態を「遺留分侵害」といいます。
遺留分侵害を受けた相続人は、相続財産を多く取得した者に対して「遺留分侵害額額請求」をおこない、金銭の支払いを受けることができます(民法1046条)。
しかし、遺留分額は生前贈与の時期や遺産の評価方法によって変動し得るため、相続人間で激しい争いに発展することも少なくありません。
遺言執行
被相続人は、遺言書の中で遺言執行者を指定することが認められています(民法1006条1項)。
遺言執行者が就任を承諾した場合、遺言内容に従って遺産の移転・名義変更などの手続きをおこないます。
遺言執行者は、民法のルールに従って職務をおこなわなければなりません。
弁護士などの専門家が遺言執行者になる場合は問題ありませんが、相続人やその他の親族が遺言執行者に就任する場合には、どのように職務をおこなってよいか戸惑ってしまうケースも多いでしょう。
また、遺言執行について配偶者などの相続人からクレームを受け、対処に困ってしまうケースもよくあります。
自力で円滑に遺言執行をおこなうのが難しい場合は、弁護士を代理人に選任して、代わりに遺言執行の職務をおこなってもらうのがよいでしょう(民法1016条1項)。
不動産の分割方法
遺産分割をおこなうにあたって、相続人同士で意見が対立しやすいのが、不動産の分割方法です。
不動産の分割方法には、共有のままにしておく共有分割を除くと、以下のような「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。
現物分割
現物分割とは、不動産を物理的に分割する方法です。
建物の現物分割はほとんどの場合に不可能ですが、土地は分筆によって現物分割をすることができます。
複数の相続人が土地を欲しがっている場合に適した分割方法ですが、土地が細分化され過ぎると、使い勝手が悪くなってしまうというデメリットがあります。
代償分割
代償分割とは、一部の相続人が不動産を取得する代わりに、ほかの相続人に対して代償金を支払う分割方法です。
1人の相続人が不動産を欲しがり、ほかの相続人は金銭での精算に納得している場合には、代償分割が適しています。
ただし、不動産が高額の場合には、代償金を準備するのが大変になることがあります。
換価分割
換価分割とは、不動産を売却したうえで代金を分割する方法です。
1円単位で公平に分割できるメリットがありますが、不動産そのものは手放すことになるため、愛着のある不動産を残しておきたい場合には不向きです。
不動産は一般的に高額資産であり、分割方法も複数存在するため、相続人間で意見が対立しやすい傾向にあります。
話し合いによる解決が難しければ、弁護士に依頼して遺産分割調停・審判の手続きを利用しましょう。
さいごに|無料法律相談を通して相続問題に見通しをつけよう
親族同士で遺産を巡る争いが発生すると、当事者の方にとっては時間・労力・ストレスの面で大きな負担となってしまいます。
弁護士に相談・依頼すれば、遺産分割協議の調整や調停・審判・訴訟などの法的手続きを通じて、相続トラブルを早期に解決できるようにサポートしてもらえます。
ほかの相続人から圧力を受けたり、遺言書によって不遇な扱いを受けたりした場合には、相続人としての権利を守るためにさまざまな対応を依頼できます。
相続人間の話し合いが進まない場合には、弁護士にアドバイスを求めることがトラブル解決への近道です。
遺産相続に関する悩みを抱えている場合には、弁護士の無料相談を利用してみてください。