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遺言書の検認手続きの全手順|図解でわかる手順と必要書類

弁護士監修記事
遺産相続
2024年11月19日
2024年11月22日
遺言書の検認手続きの全手順|図解でわかる手順と必要書類
この記事を監修した弁護士
寺垣 俊介弁護士 (弁護士法人ネクスパート法律事務所)
弁護士法人ネクストパート法律事務所は、早期釈放・前科回避を目指した迅速対応が特徴。刑事事件における示談交渉や釈放に注力しており、年間相談件数800件以上という実績と経験で、相談者をサポートします。
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遺言書を見つけた時に必ず行わなければいけない「検認」。

遺言書の検認は法で定められた義務でもあるのです。

今回は、そんな遺言書の検認を行う際に必要な書類や手順、検認期日に行われることなどをご紹介します。

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遺言書は家庭裁判所で検認しないと開封できない

家族や親戚が亡くなった後、遺言書を発見したら、遺言書の検認手続きを行わないといけません

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の内容を確認することです。

検認は、遺言書が改ざんや隠ぺいなどがされずに開封されたということを証明するために行います。

検認が必要になる遺言書は「自筆証書遺言書」と「秘密遺言書」です。

「公正証書遺言書」は、公証人が遺言内容を証明できるため検認の必要はありません。

検認では遺言書の有効・無効の判断は行わない

検認は、あくまでも遺言書の内容を家庭裁判所などの公的機関で確認し、遺言書が改ざんなどされずに開封されたことを証明するものです。

遺言書の検認手続きを行う際、家庭裁判所は遺言書の効力を判断することはありません。

検認手続きをしないと過料が発生する

遺言書の検認は民法1004条で定められています。

遺言書の検認を行わないと民法に違反していることになり、5万円以下の過料が発生する場合があります。

また、遺言書は発見した後、直ちに検認を行わないと相続トラブルなどが発生した際に改ざんや隠ぺいを疑われることがあります。

第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
引用元:民法

遺言書の検認手続きの手順

遺言書の検認手続きは、家庭裁判所で行います

遺言書の検認手続きの大まかな手順を図にまとめました。

なお、相続人の相続順位や遺言者の立場によって必要書類が変わってきますので、この項目で確認していきましょう。

遺言書の検認は家庭裁判所で行う

遺言書の検認は家庭裁判所で行います。

遺言者(亡くなった方)の最後の住所の最寄りにある家庭裁判所に、検認の申立を行います。

管轄の裁判所は裁判所のホームページから調べることができます。

遺言書の検認には戸籍謄本が必要

遺言書の検認には、遺言者の戸籍謄本と相続人の戸籍謄本が必要になります。

検認に必要な相続人の戸籍謄本は、遺言者や相続人の立場によって変わります。

相続人が遺言者の配偶者と直系尊属・第二順位相続人の場合

例えば、上図のように遺言者が死亡した場合、配偶者は常に相続人となります。

また、遺言者より下の代の直系存続は子になるので、子も相続人となります。

この相続人の中で死亡している方がいた場合、相続人の死亡のわかる戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本が必要となります。

遺言書の検認で必要になる書類

遺言書の検認に必要になる書類は相続人の立場によって異なります

相続人の立場に関わらず、共通して必要な書類は以下の通りです。

  • 遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人にあたる方が死亡している場合、相続人の死亡がわかる戸籍謄本
  • 家事審判申立書
  • 当事者目録

検認にかかる費用

  • 収入印紙: 800円(遺言書1通)
  • 連絡用の郵便切手:数百円程度(送料によって変わります)

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遺言書の検認期日にすること

検認手続きをした後日、提出した切手で家庭裁判所から返信がきて検認期日が通知されます。

検認は、相続人もしくは代理人の立会いのもと行われます

遺言書の検認は、あくまでも遺言書の存在を認めるもので、遺言書が有効・無効であるという判断はできません。

検認は相続人全員が出席しなくても良い

検認期日の当日は、法定相続人の全員が出席する必要はありません

高齢や多忙などで、どうしても検認に出席できないという場合は、検認当日にその旨を裁判官に伝えてください。

裁判所で遺言書を開封し検認証明書を発行してもらう

検認期日の当日は、家庭裁判所で遺言書が開封され、遺言書の内容が読み上げられます。

遺言書の内容は遺言調書に記録されます。

その後、裁判官が遺言内容の確認を行い、遺言書の存在を法的に認めるために遺言検認証明書を作成します。

遺言書は、裁判官からの検認印・検認証明書をもって初めて相続を執行することができます。

遺言書の検認は弁護士に相談することもできる

遺言の検認は、弁護士がいなくても行うことができます。

しかし、遺言書の先には必ず相続問題が発生します

相続トラブルは身内同士の関係を悪化させる可能性のある、非常にデリケートな問題ですよね。

身内同士の問題だからこそ、第三者を間に挟むことでお互いを責め合わずに済むこともあります。

遺言書の検認を弁護士に相談するメリット

遺言書の検認手続き自体は、個人でも行うことができます。

しかし、相続人が仕事などで多忙であったり、大切な方を亡くしたショックで手続きをする気になれなかったりすることもあります

その場合は、遺言書の検認手続きを弁護士に相談するというのもひとつです。

遺言書の検認を弁護士に相談するメリットを以下にまとめました。

  • 相続人の代理人として検認手続きが行える
    (司法書士・行政書士は代理人にはなれません)
  • 遺言書の検認手続きに必要な書類の作成を依頼できる
  • 検認後に遺言書の有効・無効を判断できる
  • 遺言書の執行(相続)を相談できる

遺言書の検認を弁護士に依頼した際の費用

以下の表は、遺言書の検認を弁護士に依頼した際の費用を旧弁護士連合の取り決めをもとにまとめたものです。

なお、弁護士事務所によって、料金が異なるため弁護士相談する際は予算などをあらかじめ伝えて置くことをおすすめします。

  経済的利益の額 弁護士報酬
定型の遺言書 1,000万円以下 10万円
1,000万円を超え、3,000万円以下 10万円~15万円
3,000万円を超える場合 15万円~20万円
非定型の
遺言書
1,000万円以下 15万円
1,000万円を超え、3,000万円以下 1%+5万円(15万円~35万円)
3,000万円を超え、3億円以下 0.3%+26万円(35万円~116万円)
公正証書化 上記手数料に3万円を加算する
遺言書検認 10万円

相続トラブルを防ぐためにも遺言書の扱いは慎重に

遺言書の検認は、遺言書の存在を法的に認めるということだけでなく、遺言書が改ざんや隠ぺいされずに開封されたということを証明する手続きです。

検認の手続きをせずにうっかり開封してしまうと、相続の際に「自分の都合のいいように遺言書を書き換えた」と言われてしまうこともあります。

遺言書や相続の問題は一生身内と揉めてしまうということにもなりかねません。

遺言書の扱いは慎重に行いましょう。

まとめ

家族や親戚など、大切な方を亡くしたショックは計り知れないものです。

しかし、悲しむ間も無く発生するのが遺言書や相続の問題です。

遺言書は財産や資産の関わる重要な書類ですが、亡くなった方の最後の願いでもあります。

この記事で、亡くなられた方が遺してくれた遺言がより良い方向で実行されることを願っています。

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