無免許運転に該当する3つのケースや罰則とは?逮捕後に弁護士へ相談すべき理由も解説
無免許運転に該当するケースについて、しっかりと理解している方は少ないかもしれません。
とはいえ、思いもよらぬ形で無免許運転となってしまう可能性は避けたいところです。
本記事では、無免許運転に該当する3つのケースや罰則、そして仮に逮捕された際に弁護士へ相談すべき理由などを解説します。
車の運転をする機会が多い方にとって自分にも十分起こり得るリスクとなるため、ぜひ参考にしてください。
無免許運転とは?
無免許運転とは、その名のとおり運転免許を取得せずに車を運転することです。
ほかにも、免許の有効期限が切れている状態で車を運転すると無免許運転になります。
なお、無免許運転については道路交通法で次のように定められています。
(無免許運転等の禁止)
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は一般原動機付自転車を運転してはならない。
引用元:道路交通法|e-Gov法令検索
無免許運転と免許不携帯の違い
無免許運転と混同しているケースが多いものに、免許不携帯があります。
免許不携帯とは、免許証を持たずに車の運転をすることで、無免許運転とは根本的に異なるものです。
たしかに、車の運転時は免許証を携帯していないため無免許という捉え方はできるものの、有効な免許を所持しているため、無免許運転には該当しません。
なお、車を運転する際に免許証を携帯することは、道路交通法第95条にて以下のとおり定められています。
仮に免許不携帯で車を運転した場合、違反点数はつきませんが、3,000円の反則金が科せられます。
もっとも、免許不携帯は無免許運転とまったく異なるものではあるものの、免許不携帯にも注意が必要です。
(免許証の携帯及び提示義務)
第九十五条 免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。
2 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項又は第二項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。(罰則 第一項については第百二十一条第一項第十二号、同条第三項 第二項については第百二十条第一項第十号)
引用元:道路交通法|e-Gov法令検索
無免許運転に該当する3つのケース
無免許運転は道路交通法に違反するため、うっかりしたミス、あるいは勘違いや認識違いであったとしても逃れることはできません。
では、無免許運転はどういったものが該当するのでしょうか。
運転免許を取得していない・期限が切れている
無免許運転の代表格といっても過言ではないケースが、そもそも運転免許証を取得していない者が車を運転することです(純無免)。
近年では、高齢者が運転免許証を自主的に返納することが少なくありません。
仮に、返納した方が車を運転した場合は無免許運転に該当します。
免許の返納後に運転をするのは絶対にやめましょう。
そのほか、有効期限が切れている運転免許証を所持して車を運転した場合も、無免許運転に該当します。
運転免許証は3年ないしは5年で更新しなければならず、仮に更新が滞ると効力がなく失効扱いになるため車の運転はできません。
運転免許証の定期更新忘れにより無免許運転をしてしまう可能性はゼロではないため、十分に注意しましょう。
【参考】運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移|警視庁
運転免許の対象外の車両を運転する
運転免許証を取得しているものの、対象外となる車両を運転した場合も無免許運転に該当します(免許外無免)。
たとえば、普通免許を取得している方が大型自動車を運転することは、大型自動車に対する免許は取得していないため無免許運転となるのです。
なお、似た違反行為として免許条件違反があります、
これは公安委員会が運転免許を交付するにあたって加えた条件を違反することです。
たとえば、「眼鏡等」「AT車に限る」などの条件が記載されているにもかかわらず、眼鏡あるいはコンタクトを付けずに運転すること、AT車に限るという条件にもかかわらずMT車を運転することなども免許外無免となるため注意が必要です。
免停中・免許取り消し中に運転する
免停期間中は運転免許証の効力がないため、車の運転をした場合は無免許運転に該当します(免停中無免)。
仮に、免停期間中に運転をすると免許取消となります。
そして、免許取消中の運転も無免許運転に該当する行為です。
これは取消無免といわれ、処分の際は過去3年間の前歴に加えて累積違反点数から、1年から10年の欠格期間が与えられます。
欠格期間中は免許の再取得はできないため、いくらこれまでに運転をしてきて技術が伴っているとしても、道路交通法に違反する行為に該当するのです。
なお、免許取消になってから再び車を運転するにあたっては、欠格期間を終えてから免許を再び取得する必要があります。
無免許運転の罰則は?
実際に無免許運転をすることがどれほどの罪となるのか、きちんと理解している方は多くないでしょう。
ここからは、無免許運転の罰則について解説していきます。
人生計画を狂わせるといっても過言ではない行為にあたるため、ぜひ把握しておいてください。
違反点数25点で、一発免許取消し
無免許運転をすると行政処分として違反点数25が加算され、一発免許取り消しとなります。
一発免許取消しの下限ラインは、15点以上ですが、それを大幅に超える加算であり当然ながら運転はできません。
25点という違反点数については、35点の酒酔い運転などに次ぐ重い行政処分となります。
いわば、無免許運転は車という凶器を手に公道を走っているといっても間違いではありません。
誰かに大けがを負わせる、または死亡させる危険な行為であるため、それだけ重い罰が科せられて当然です。
なお、違反点数25点は欠格期間2年の免許取消しとなることから、再び免許を取得できるまでに時間を要します。
仮に過去3年間に前歴が2回あると欠格期間は3年となり、3回以上であれば4年になることから厳しい現実が待ち構えています。
3年以下の懲役または50万円以下の罰金
無免許運転をした際の刑事罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。
第百十七条の二の二
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(中略)
二 第六十四条(無免許運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該自動車又は一般原動機付自転車の提供を受けた者が同条第一項の規定に違反して当該自動車又は一般原動機付自転車を運転した場合に限る。)
引用元:道路交通法|e-Gov法令検索
2013年以前は「1年未満の懲役または30万円以下の罰金」でしたが、無免許運転による重大事故が続いたことから、2013年12月に法改正がなされたことにともない罰則が強化されました。
なお、初犯でこれまでに交通事故を起こしていない場合は、罰金刑で済む可能性もあります。
しかし、重大な事故を起こしてしまった、無免許運転での前歴がある、任意の取り調べに応じなかったなどの場合は逮捕されるケースもゼロではありません。
無免許運転は同乗者や貸与者にも罰則がある
無免許運転に関して運転する本人はもちろんですが、同乗者や貸与者にも罰則がある点も理解しておきましょう。
道路交通法第64条2項及び3項では次のように定められています。
2 何人も、前項の規定に違反して自動車又は一般原動機付自転車を運転することとなるおそれがある者に対し、自動車又は一般原動機付自転車を提供してはならない。
3 何人も、自動車(道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項において同じ。)又は一般原動機付自転車の運転者が第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けていないこと(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されていることを含む。)を知りながら、当該運転者に対し、当該自動車又は一般原動機付自転車を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する自動車又は一般原動機付自転車に同乗してはならない。
(罰則 第一項については第百十七条の二の二第一項第一号 第二項については第百十七条の二の二第一項第二号 第三項については第百十七条の三の二第一号)
引用元:道路交通法|e-Gov法令検索
運転者が無免許であることを知っていたにもかかわらず、運転者に運送を依頼したり、同乗したりした場合や、自身の車両を提供することは、道路交通法第64条の2項及び3項で禁止されています。
これらの行為は「無免許運転ほう助行為」とみなされ、同乗者や車の提供者にも罰則が科される可能性があります。
ただし、仮に運転者が無免許であることを知らなかった場合には、罰則が科されない可能性も考えられます。
とはいえ、運転者が無免許であることを知らなかったことを証明するのは決して容易なことではありません。
このことからも、車両を提供する際や同乗する際には、運転者が有効な免許を持っているかをきちんと確認しましょう。
無免許運転は初犯でも逮捕される可能性はある?
まず、初犯とは読んで字のごとく、初めて罪を起こすことと理解している方は多いのではないでしょうか。
しかし、実際は法的な意味で同種の犯罪について、過去に懲役や禁固、もしくは罰金などの刑事処分を受けたことがあるか否かで判断されます。
つまり、無免許運転をした場合に初犯でも逮捕される可能性はゼロではありません。
もちろん、無免許運転が過去に発覚したにもかかわらず繰り返していた、今回で無免許運転の事実が発覚したことは初めてだが、長期間にわたり車の運転をしていたなどの場合は、悪質性が伺えるため懲役を科せられる可能性は十分にあり得るのです。
無免許運転で逮捕されたあとの流れ
無免許運転で逮捕されるケースとして、現行犯逮捕・通常逮捕・緊急逮捕の3つに分けられます。
もちろん、状況によって異なりますが、事故を起こして警察が現場に臨場して初めて、無免許運転の事実が発覚することが少なくないため、現行犯逮捕となる可能性が一番高いです。
ここでは、無免許運転で逮捕されたあとの流れについて、順を追って解説していきます。
- 警察での取り調べ
- 検察に送致され、取り調べを受ける
- 勾留による身柄拘束
- 起訴・不起訴を判断される
- 裁判で量刑が決まる
無免許運転で逮捕された際は、まず警察で取り調べが実施されます。
取り調べは逮捕後48時間以内に実施され、その後身柄が検察に送致され、取り調べを受けることになるのです。
次に、逮捕されてから48時間以内に検察に送致され、そこからさらに24時間以内に勾留請求の必要性が判断されます。
なお、勾留するか否かは事件内容や悪質性など事件の具体的な事情をもとに判断されることになります。
検察官に勾留の必要はないと判断されれば即時釈放により在宅捜査に切り替わりますが、勾留の必要性があると判断された場合は、10日間にわたり勾留が実施されます。
ケースによっては、さらなる延長により10日間が加算され、結果的にトータル20日間の勾留となる可能性があります。
この間に起訴・不起訴が判断され、不起訴であれば事件は終結しますが、仮に起訴された場合は刑事裁判へ進みます。
刑事裁判まで進むと、数回の審理を経て判決が言い渡されます。
無免許運転は略式起訴される可能性が高い
無免許運転を含めた交通違反や交通事故などの事件では、略式手続が選択される可能性も十分考えられます。
略式手続とは、正式な公開裁判とは異なり、非公開で書面審査によって裁判を終了する手続きです。
100万円以下の罰金の言い渡しを予定している事件で、罪の疑いをかけられている人が略式手続に了承している場合に限って認められています。
ただし、略式起訴の場合は必ず有罪となり、罰金の支払い命令が下されてしまう点には注意が必要です。
無免許運転で逮捕されたら弁護士に相談すべき理由
無免許運転で逮捕されてしまった場合は、以下に挙げた点から弁護士への相談をおすすめします。
早期釈放に向けて動いてくれる
逮捕・勾留された場合、弁護士に依頼すると早期釈放に向けて行動を起こしてくれます。
身柄拘束は最長23日間にもわたるため、家族はもちろん職場への影響が出ることは避けられない可能性が高いでしょう。
状況によっては、弁護士が、被疑者の家族から、被疑者が逃亡しないように監督することを内容とする誓約書を取り、捜査機関に提出することなどをはじめ、在宅事件として捜査を進めるように働きかけてくれる場合もあります。
また、勾留されそうな状況に陥っている場合でも、状況によっては、弁護士が客観的な証拠を添えて、各機関に対し法的な主張をおこなうことで、検察官が勾留請求を見送る、あるいは、裁判所が勾留請求を却下するなどの展開が期待できる場合があります。
起訴を回避するために尽力してくれる
無免許運転は懲役や罰金などの刑罰が科せられる犯罪ですが、初犯や悪意がないなど状況によっては罰金となる可能性があります。
もちろん重い罪を受けるのは避けたいところですが、個人での対応は、簡単とはいえません。
その点、弁護士へ依頼することで起訴を回避するために尽力してくれます。
交通事件に対する知見をもった弁護士へ依頼すると、自分の身を守れる可能性に期待できるでしょう。
さいごに
本記事では、無免許運転に該当する3つのケースや罰則、そして仮に逮捕された際に弁護士へ相談すべき理由などを解説しました。
悪意があるものだけでなく、免許の期限切れといったうっかりしたことも無免許運転に該当するため注意しなければいけません。
また、罰則についても悪質か否かなどにより異なりますが、罰金もしくは懲役と重い処分が科せられる可能性は否定できないのです。
仮に逮捕されてしまった場合は、少しでも早く釈放されるように働きかけてくれる、かつ起訴を回避するために尽力してくれるなどの理由からも、弁護士への相談・依頼をおすすめします。