不倫問題の解決を弁護士に依頼するメリットは?サポート内容や弁護士の選び方
不倫に関して配偶者などとトラブルになった場合は、弁護士に解決を依頼することがお勧めです。
弁護士を通じて示談交渉等をおこなうことで、適正な条件により不倫問題を解決できる可能性が高まります。
また、相手と顔を合わせずに済むので、精神的な負担が軽減される点も大きなメリットです。
今回は、不倫問題の解決を弁護士に依頼するメリット・サポート内容・弁護士費用・弁護士の選び方などを解説します。
不倫問題解決に向けた弁護士のサポート内容
ご自身が不倫をしてしまった場合や、配偶者の不倫が明らかとなった場合には、弁護士に問題解決を依頼することをお勧めいたします。
弁護士は、不倫問題の解決に関して、主に以下のサポートを行っています。
請求に関する法的検討・アドバイス
配偶者以外の者と性的関係をもつ「不貞行為」(不倫)は、不法行為(民法709条)に基づく慰謝料請求の対象となるほか、法定離婚事由にも該当します(民法770条1項1号)。
そのため、不倫が問題になるケースでは、慰謝料請求や離婚請求に関する対応を検討しなければなりません。
弁護士は法令や過去の裁判例などを踏まえて、配偶者に対してどのような請求をおこなうか、また配偶者からの請求にどう対応するかについてアドバイスをおこないます。
法的な観点を踏まえて対応することで、ご自身にとって有利な(負担の少ない)形で不倫問題を解決できる可能性が高まります。
示談交渉・離婚協議の代理
不倫に関して慰謝料請求をおこなう(受ける)場合、配偶者との間で示談交渉が発生します。
また、不倫がきっかけでいずれかが離婚を主張する場合には、決めるべき事柄の多い離婚協議に臨まなければなりません。
弁護士は、慰謝料請求に関する示談交渉や、離婚協議を代行します。
弁護士を代理人として交渉・協議に臨むことで、相手からの不当な要求を受け入れずに済むほか、相手と顔を合わせるストレスを軽減できます。
示談書・離婚協議書の作成
慰謝料請求の示談交渉や離婚協議がまとまった場合、合意内容を書面(示談書・離婚協議書)にまとめておくことが大切です。
書面を作成することで合意内容を明確化し、後に元配偶者との間でトラブルに発展する事態を防げます。
弁護士は、元夫婦間でのトラブルを防げるように、示談書や離婚協議書を明確かつ疑義のない文言で作成します。
また、示談書や離婚協議書を公正証書化する場合には、弁護士が公証役場とのやり取りや作成手続きを代行します。
調停・訴訟手続きの代理
慰謝料請求の示談交渉や離婚協議が暗礁に乗り上げた場合、法的手続きである調停や訴訟に発展する可能性があります。
弁護士は、交渉・協議に引き続いて、調停や訴訟への対応も一括して代行します。
戸惑わずに法的手続きへ対応できるほか、調停委員や裁判官に対して、ご自身の主張を効果的に伝えることができます。
不倫問題の解決を弁護士に依頼するメリット
不倫問題の当事者になった場合、近しい関係にある配偶者との間で、激しく主張を戦わせることになります。
当事者の精神的な負担は著しいうえ、対応を間違えると、不当に大きな経済的損失を被ってしまいかねません。
弁護士に依頼することで、不倫問題に対応するストレスを軽減できるほか、適正な内容により不倫問題を解決できる可能性が高まります。
不倫問題の解決を弁護士に依頼する主なメリットは、以下のとおりです。
不倫慰謝料の適正額がわかる
不倫慰謝料の金額は、さまざまな要素を総合的に考慮して決定されます。
考慮すべき主な要素は、以下のとおりです。
- 不貞行為の累計回数
- 不倫相手に対する経済的利益の供与の有無、金額
- 不貞行為をきっかけとする別居の有無
- 不貞行為を自発的に申告したかどうか
- 不貞行為をやめたかどうか
- 不貞行為についての反省の有無
- 不貞行為当時の婚姻関係の状態、破綻の有無
(離婚する場合)
- 婚姻期間の長短
- 未成熟の子どもの有無 など
弁護士に相談すれば、過去の裁判例などを踏まえたうえで、個々の事案における適正な慰謝料がどの程度の金額かを分析してくれます。
慰謝料の適正額を把握したうえで示談交渉に臨めば、相手の主張内容を受け入れるべきか、それとも拒絶するべきかの判断がしやすくなるでしょう。
離婚する場合、離婚条件の交渉を一任できる
不倫がきっかけで配偶者と離婚することになった場合、さまざまな離婚条件を並行して協議しなければなりません。
離婚時に取り決めるべき離婚条件の例は、以下のとおりです。
- 財産分与(年金分割を含む)
- 慰謝料
- 婚姻費用
- 親権
- 養育費
- 面会交流の方法 など
これらの離婚条件を漏れなく、バランス良く交渉することは非常に大変ですが、弁護士に依頼すれば安心です。
論点を整理し、どの条件を重視するかなど依頼者の希望を踏まえたうえで、できる限り依頼者にとって有利な解決を得られるように交渉を進めてくれます。
調停・訴訟に発展した場合も、戸惑わずに手続きを進められる
配偶者との間で主張内容がかけ離れている場合には、交渉・協議がまとまらず、調停や訴訟に発展する可能性も念頭に置かなければなりません。
調停や訴訟には、手続法上の厳格なルールが適用されるため、準備や対応に専門的知識が要求されます。
そのため、不慣れな方にとっては非常に大変ですが、弁護士に依頼すればスムーズに対応してもらえます。
調停・訴訟に臨む際の注意点や心構えなどについてもアドバイスを受けられるので、戸惑わずに手続きに臨むことができるでしょう。
相手と顔を合わせる必要がなくなる
不倫慰謝料に関する示談交渉や離婚協議をご自身でおこなう場合、配偶者と顔を合わせること自体も大きなストレスになってしまうでしょう。
弁護士に交渉・協議の代理を依頼すれば、ご自身は交渉・協議に出席する必要はないため、精神的なストレスを大きく軽減できます。
不倫問題解決の弁護士費用|項目・金額相場
弁護士に不倫問題の解決を依頼する場合、弁護士費用の支払いが発生します。
「弁護士費用は高額、わかりづらい」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
しかし弁護士に質問すれば、わかりやすく説明してもらえるので、弁護士費用については納得できるまで確認をおこないましょう。
弁護士費用の仕組みや金額は個々の弁護士によって異なりますが、以下では主な項目と金額の目安を紹介します。
※2004年4月1日以降廃止されている「日本弁護士連合会報酬等基準」をベースとしつつ、実務の実態を踏まえて内容を調整しています。
相談料
相談料は、正式依頼前の段階で、弁護士に不倫問題について相談する際に発生します。
相談料の金額目安は、30分ごとに5,500円~1万1,000円程度(税込)です。
ただし最近では、初回無料相談を実施する弁護士も多くなっています。
着手金
着手金は、不倫問題の解決を正式に弁護士へ依頼する際に発生します。
着手金の金額は、基本報酬に、財産分与・慰謝料等の請求額(請求を受けた額)に応じた金額を追加して計算するケースが多いです。
各金額の目安は以下のとおりです。
交渉・調停の場合 | 22万円~55万円(税込) |
訴訟の場合 | 33万円~66万円(税込) |
請求額 | 着手金の額(税込) |
300万円以下の場合 | 経済的利益の8.8% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の5.5%+9万9,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の3.3%+75万9,000円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の2.2%+405万9,000円 |
※最低額は10万円
報酬金
報酬金は、不倫問題が解決に至り、案件が終了した際に支払います。
報酬金の金額も、基本報酬に、財産分与・慰謝料等の経済的利益(獲得額または減少額)に応じた金額を追加して計算するのが一般的です。
各金額の目安は以下のとおりです。
交渉・調停の場合 | 22万円~55万円(税込) |
訴訟の場合 | 33万~66万円(税込) |
経済的利益の額 | 報酬金の額(税込) |
300万円以下の場合 | 経済的利益の17.6% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の11%+19万8,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の6.6%+151万8,000円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の4.4%+811万8,000円 |
日当
交渉・協議や離婚調停・離婚訴訟への出席などのために、弁護士が出張する場合には、日当が発生します。
日当の金額目安は、以下のとおりです。
半日 | 3万3,000円~5万5,000円(税込) |
1日 | 5万5,000円~11万円(税込) |
実費
不倫問題解決の対応に関連して、実際に何らかの費用を支出する必要がある場合、弁護士がいったん立て替えます。
最終的に適宜のタイミングで、発生した費用の実額を精算することになります。
なお、正式依頼時に一定の金銭を弁護士に預け、そこから差し引く形で実費を精算する場合もあります。
不倫問題解決に関して発生する実費の例は、以下のとおりです。
- 郵便費用(内容証明郵便等)
- 印刷費用
- 弁護士会照会費用
- 調停の申立て費用
- 訴訟費用
- 弁護士の交通費 など
不倫問題の解決を依頼する弁護士の選び方
不倫問題を円滑かつ適切な形で解決するには、信頼できる弁護士に依頼することが大切です。
依頼先の弁護士は、以下のポイントに着眼して選ぶとよいでしょう。
不倫問題の解決実績が豊富な弁護士を選ぶ
不倫問題について十分な解決実績のある弁護士は、交渉や法的手続きの勘所を押さえた対応により、依頼者にとって有利な解決に導いてくれる可能性が高いです。
公式ホームページや弁護士ポータルサイトなどを確認して、不倫問題解決の実績に関する記載がないかをチェックしましょう。
ただし、インターネット上で公開されている実績は、弁護士の自己申告に過ぎません。
そのため、実際に弁護士と話をしてみて、信頼できる回答を得られるかどうかを判断することが大切です。
何でも話しやすい弁護士を選ぶ
不倫問題の当事者となった状況では、精神的にも不安定になりがちです。
弁護士は、法律に関するアドバイスをおこなうことはもちろん、依頼者を精神的にケアする役割も担っています。
弁護士を相談相手として考えた場合、悩みや不安を何でも話しやすい弁護士を選ぶのがよいでしょう。
正式依頼前の段階で法律相談を利用し、弁護士とのフィーリングが合うかどうかを確認してから、依頼先を決定することをお勧めいたします。
スピーディに回答をもらえる弁護士を選ぶ
弁護士はさまざまな案件を抱えているため、常に一つの案件に集中できるわけではありません。
また、複雑な検討を要する問題も多いため、質問回答には時間がかかってしまうケースがよくあります。
しかしながら質問に対して、あまりにも長い時間弁護士が回答してこないと、依頼者としては不安になってしまうでしょう。
反対にできる限りスピーディに回答を返す、少なくとも受領確認をして回答期限を示すという姿勢で対応してくれる弁護士であれば、安心して依頼できます。
弁護士費用を比較して選ぶ
不倫問題解決の弁護士費用には、ある程度の目安が存在するものの、実際の費用は弁護士によって千差万別です。
依頼する弁護士が変われば、弁護士費用も大きく変わる可能性があります。
弁護士費用が適正かどうかをチェックするには、複数の弁護士から相見積もりを取得することが効果的です。
無料相談を実施している弁護士も多いので、できれば複数の弁護士の費用を比較したうえで、合理的な費用を提示する弁護士を選ぶのがよいでしょう。
ただし弁護士費用が安ければよいわけではなく、能力・人柄・仕事への姿勢などを総合して、信頼できる弁護士に依頼することが大切です。
まとめ
不倫問題を円滑かつ適切な形で解決するには、弁護士に交渉や法的手続きへの対応を依頼することがお勧めです。
法令や裁判例を踏まえた適正な解決策を模索できるほか、相手と顔を合わせる必要もなくなるため、精神的なストレスを軽減できます。
不倫問題の解決を弁護士に依頼する際には、能力・人柄・仕事への姿勢・費用などを総合的に考慮して、信頼できる弁護士を選びましょう。
早めに弁護士へ相談することで、スムーズに不倫問題を解決できる可能性が高まります。
弁護士へ相談する場合は離婚問題を弁護士に電話で無料相談できる窓口|24時間相談受付もをご覧ください。