相続問題を相談・依頼する弁護士の選び方|信頼できる専門家を見極める12のポイント


相続の手続きは非常に複雑で、専門的な知識も必要です。
トラブルをスムーズに解決するには、弁護士へ相談したほうがよいでしょう。
しかし、「どんな基準で弁護士を選べばよいのかわからない」「インターネット上に情報が溢れていて混乱している」という方もいるかもしれません。
本記事では、相続問題に強い弁護士の選び方や、信頼できる弁護士を見極めるポイントなどを詳しく解説しているので参考にしてみてください。
【相談段階】相続問題を相談する際の弁護士の選び方
弁護士へ依頼する前に、まずは法律相談をおこなうケースが一般的です。
ここからは、相続問題を相談する際の弁護士の選び方を7つ紹介します。
1.初回無料相談などに応じているか
1つ目は、初回無料相談などに応じているかということです。
弁護士へ依頼するときには、ご自身と弁護士との相性も大切です。
ご希望を率直に伝えることができるか話しやすい弁護士かどうかを確かめるためにも、初回無料相談などに応じている弁護士を選ぶとよいでしょう。
また、無料相談を活用し、見通しや目下必要な対応についてアドバイスを受けてください。
2.相続問題の取り扱い実績が豊富か
2つ目は、相続問題の取り扱い実績が豊富かということです。
弁護士によっては得意分野があったり、注力分野を設けていたりする可能性があります。
相続について相談するなら、企業法務や刑事事件などが得意な弁護士よりも、相続問題の取り扱い実績が豊富な弁護士に相談したほうが安心です。
法律事務所のホームページに相続問題の解決実績が多数掲載されている弁護士や、相続に関する書籍・セミナーを手がける弁護士であれば、相続問題の実績も豊富だといえるでしょう。
3.弁護士としての経歴が十分にあるか
3つ目は、弁護士としての経歴が十分にあるかということです。
弁護士歴が長いからといって、必ずしも弁護士として優れているというわけではありません。
しかし、一般的には経歴が長いほど経験値も高いといえるでしょう。
ただし、新人弁護士の場合、同じ事務所のベテラン弁護士にアドバイスを受けながら対応してくれる可能性もあります。
弁護士の経歴に不安が残る場合は、依頼した際にどのような体制で事件処理を進めてくれるのかを確認するようにしましょう。
4.税理士や司法書士と連携しているか
4つ目は、税理士や司法書士と連携しているかということです。
相続問題では、相続税申告や不動産登記などが発生することも考えられます。
スムーズな手続きのためにも、税金のことは税理士へ、登記のことは司法書士へ相談したほうが安心です。
しかし、ご自身で新たに専門家を探すのは手間がかかります。
税理士や司法書士と連携している法律事務所を選べば、手続きが発生した際に専門家を紹介してもらえるはずです。
ご自身の負担を減らせるので、他士業との連携体制もチェックしておくとよいでしょう。
5.通いやすいところに事務所があるか
5つ目は、通いやすいところに事務所があるかということです。
弁護士へ依頼することになったら、定期的に弁護士との打ち合わせが発生します。
電話やビデオ会議で対応している法律事務所もありますが、何度かは事務所に足を運ぶことになります。
アクセスが悪いと、交通費や移動の手間が大きな負担になってしまいます。
自宅や職場の近くなど、打ち合わせが負担にならない場所を選ぶとよいでしょう。
6.口コミで良い評価が多くあるか
6つ目は、口コミで良い評価が多くあるかということです。
口コミを見れば、ホームページには載っていないリアルな声を知ることができます。
あまりにも不満の声が多い弁護士は、避けたほうがよいかもしれません。
ただし、口コミは不特定多数の人が書き込めるものです。
単に弁護士との相性が悪かったケースや、事件の相手方が嫌がらせ目的で書いているケースもあります。
多少悪い評価があるからといって、その弁護士に問題があるとは一概に言い切れません。
とはいえ、悪い口コミが多いようであれば避けておくのが無難です。
7.懲戒処分を受けたことはないか
7つ目のポイントは、懲戒処分を受けたことがないかということです。
日弁連や弁護士会のルールを破り、弁護士としての品位に欠けるおこないをした弁護士は、懲戒処分を受ける可能性があります。
例えば、依頼業務を放置したり、ミスによって依頼者に損害を与えたりした場合などです。
依頼を検討している弁護士が懲戒を受けたことがあるかは、弁護士懲戒処分検索センターで確認できます。
不安な方は、チェックしてみるとよいでしょう。
ただし、懲戒処分は必ずしも弁護士に全ての責任があるとは限りません。
依頼者のために必死に手を尽くすなかで、ルールに抵触してしまうケースがあることは否定できません。
懲戒を悪と決めつけるのではなく、なぜ懲戒になったのかという理由も忘れずに確認しておきましょう。
【依頼段階】相続問題を依頼する際の弁護士の選び方
では、実際に相続問題を弁護士へ依頼する場合、どのような基準で弁護士を選べばよいのでしょうか。
弁護士の選び方のポイントを5つ紹介します。
1.説明が丁寧でわかりやすいか
1つ目は、説明が丁寧でわかりやすいかということです。
弁護士の説明がわかりにくいと、その都度確認作業が発生します。
なかなか話が進まず、次第に弁護士と話すのも億劫になるかもしれません。
法律の専門用語を多用せず、かみ砕いて説明してくれる弁護士であれば、依頼したあとも安心して手続きを任せられるはずです。
2.弁護士との相性が良いと感じるか
2つ目は、弁護士との相性が良いと感じるかということです。
弁護士には、悩んでいることを包み隠さず全て伝える必要があります。
「威圧的で話しにくい」「なんとなく相性が悪い」などと感じる弁護士は、避けたほうがよいでしょう。
弁護士とは、問題が解決するまで関わることになります。
人によっては、年単位の付き合いになることもあるでしょう。
キャリアだけに注目するのではなく、人として話しやすいか、馬が合うかというのも重要なポイントです。
3.相談者にとって不利な話をしてくれるか
3つ目は、相談者にとって不利な話をしてくれるかということです。
依頼の段階で不利なポイントを知っておけば、今後の心づもりもできます。
そのなかで、不利な話もしてくれる弁護士は、誠実で信用度が高いといえるでしょう。
耳障りの良い話ばかりされると、相談者は過度な期待をしてしまうものです。
実際思うように進まなかった場合に、弁護士への不信感も募ります。
さまざまな可能性を見越して、メリット・デメリットを正直に話してくれる弁護士を選ぶようにしましょう。
4.相続税を考慮した遺産分割を提案してくれるか
4つ目は、相続税を考慮した遺産分割を提案してくれるかということです。
せっかく遺産を獲得できても、高額な相続税がかかってしまえば依頼者にとって負担になります。
相続税の知識に長け、依頼者の税負担も考慮した提案をしてくれる弁護士、もしくは税理士と連携している弁護士を選ぶようにしましょう。
5.弁護士費用についてきちんと説明してくれるか
5つ目は、弁護士費用についてきちんと説明してくれるかということです。
着手金や報酬金、日当など、弁護士費用にはさまざまな項目があります。
それぞれにいくらかかるのかが明確になっていなければ、弁護士との間で金銭トラブルが生じる可能性も否定できません。
また、法律事務所によっては、「経済的利益の〇%」「口座の払い戻し手数料〇万円」など、報酬体系が複雑なこともあります。
どんなときにどのような費用が発生するのか、目安はいくらくらいなのかを丁寧に教えてくれる弁護士であれば安心できるはずです。
相続問題が得意な弁護士の探し方とメリット・デメリット
相続問題が得意な弁護士を探すには、以下のような方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを考慮して、ご自身に合う方法を見つけましょう。
弁護士の探し方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
知り合いに紹介してもらう | ✔︎あらかじめ弁護士の人柄などを聞ける ✔︎安心して相談、依頼できる |
✔︎相続問題が得意とは限らない ✔︎断りにくい |
弁護士会に紹介してもらう | ✔︎自分で選ぶ必要がない | ✔予約に時間がかかる場合がある ✔︎情報が限られ、どんな弁護士なのかわかりにくい |
検索エンジンで探す | ✔︎いつでも簡単に見つけられる ✔︎候補が多く見つかる |
✔︎情報が多すぎて誰を選べばよいのかわからない ✔︎表示順位が上位だからといって、よい弁護士とは限らない |
ベンナビ相続で探す | ✔︎相続問題を得意とする弁護士しか掲載されていない ✔︎近くの弁護士を探せる ✔︎「初回の面談相談無料」「電話相談可」など条件で探せる |
✔︎掲載されていない弁護士もいる |
1.知り合いに紹介してもらう
弁護士を探す方法の1つ目は、知り合いに紹介してもらうことです。
知り合いの紹介であれば、自分で探す手間がかかりません。
過去に知り合いが依頼した弁護士であれば人柄も教えてもらえるので、全く知らない弁護士に依頼するよりも安心感があるでしょう。
ただし、紹介してもらえた弁護士が必ずしも相続問題が得意とは限りません。
また紹介してもらった手前、断りにくいというデメリットもあります。
安心感と手軽さを優先するなら、知り合いに紹介してもらう方法がおすすめです。
2.弁護士会に紹介してもらう
弁護士を探す方法の2つ目は、弁護士会に紹介してもらうことです。
弁護士会とは、各都道府県に設置された弁護士が所属する組織のことです。
弁護士会が定期的に実施している法律相談会に参加して、弁護士を探すのも方法のひとつです。
また一部の弁護士会では、相談内容をヒアリングして適切な弁護士を紹介してくれるところもあります。
弁護士会では弁護士を紹介しており、ご自身で弁護士を探す必要がないことはメリットです。
一方で、どの弁護士が紹介されるのかは事前にわからず、弁護士会とのやりとり等にも時間がかかる場合もあります。
自分で一から弁護士を探す時間がない状況で、ある程度安心して相談できる弁護士を探すためには弁護士会の紹介をご活用ください。
3.検索エンジンで探す
弁護士を探す方法の3つ目は、検索エンジンで探すことです。
「相続 弁護士 〇〇(居住地域)」などのキーワードで検索すれば、多数の弁護士情報がヒットします。
ネット環境があれば、いつでもどこでも気軽に弁護士を探せる点がメリットといえるでしょう。
ただし、ネット上には膨大な情報が溢れており、その中から自分に合う弁護士を見つけるのは困難です。
また、検索上位に表示されているからといって、よい弁護士だとも限りません。
検索上位に表示させるために広告料を支払っている可能性があるからです。
時間、場所問わずいつでも弁護士を探したい、自分でじっくり弁護士を選びたいという方は、検索エンジンで探す方法をおすすめします。
4.ベンナビ相続で探す
弁護士を探す方法の4つ目は、ベンナビ相続で探すことです。
ベンナビ相続とは、相続問題が得意な弁護士が登録されているポータルサイトです。
地域と相談内容を入力すれば、条件にヒットする弁護士を簡単に検索できます。
また、無料相談や電話相談の可否などの条件で絞り込めるので、より自分に合う弁護士を見つけられるでしょう。
日本全国全ての弁護士が登録されているわけではありませんが、相続が得意な弁護士を効率的に探したい方にはおすすめの方法です。
相続問題が得意な弁護士を選ぶ際のよくある質問
ここからは、相続問題が得意な弁護士を選ぶ際によくある質問を2つ紹介します。
Q.地元よりも都会の優秀な弁護士を選ぶほうが良いのでしょうか?
一般的な相続問題であれば、地元でも都会でも、弁護士の力量に大きな差はないといえるでしょう。
都会の弁護士に依頼をしたうえで裁判になれば、弁護士に地元の裁判所まで出廷してもらう必要があるため、交通費や日当がかさむ可能性があります。
地元でも都会でも、サービスの質に大きな違いはないでしょう。
弁護士がいる地域ではなく、基本的には自分との相性が良くて相談しやすい弁護士を選ぶのがベストです。
Q.若手とベテランではどちらの弁護士に依頼するのが良いでしょうか?
若手とベテランのどちらに依頼すべきかは、双方にメリット・デメリットがあるので一概にはいえません。
ベテラン弁護士のほうが若手弁護士に比べると、経験値は高いといえるでしょう。
しかし、キャリアと自信があるからこそ、中には態度が横柄な弁護士や、依頼者の話を聞かない弁護士もいるかもしれません。
若手弁護士は経験値が低く、頼りないと思われがちです。
しかし、弁護士歴が3年~4年ほどであれば基本的なノウハウは身に付いているはずなので、弁護士歴が浅いからといって依頼を躊躇する必要はないでしょう。
さいごに|無料相談を上手に使って相続問題が得意な弁護士を見つけよう!
信頼できる弁護士を見つけるには、以下の12のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 初回無料相談などに応じているか
- 相続問題の取り扱い実績が豊富か
- 弁護士としての経歴が十分にあるか
- 税理士や司法書士と連携しているか
- 通いやすいところに事務所があるか
- 口コミで良い評価が多くあるか
- 懲戒処分を受けたことはないか
- 説明が丁寧でわかりやすいか
- 弁護士との相性が良いと感じるか
- 相談者にとって不利な話をしてくれるか
- 相続税を考慮した遺産分割を提案してくれるか
- 弁護士費用についてきちんと説明してくれるか
世の中には多くの弁護士がいます。
自分に合う弁護士か見極めるためにも、無料相談を上手に使って弁護士に相談してみましょう。
また、ベンナビ相続を活用すれば、相続が得意な弁護士を簡単に探すことができます。
家の近くの弁護士に相談したい、電話で相談したいなど、ご自身が相談しやすい弁護士を探したいなら、ベンナビ相続がおすすめです。